世界のねじを巻くブログ

ゲイが独自の視点で、海外記事/映画/書評/音楽/電子書籍/Lifehack/Podcastなどについてお伝えします。ポッドキャスト「ねじまきラジオ」配信中。

『おしゃれと無縁に生きる』/村上龍の感想(幻冬舎文庫)

【エッセイ最新作】

『コインロッカーベイビーズ』や『69』など強烈な性描写やドラッグで溢れたスタイルが有名な村上龍。

村上龍さんは長編だけでなく、映画や短編、そしてエッセイの書き手としても有名です。

本日紹介するのは、『おしゃれと無縁に生きる』というエッセイ。
文庫本が出るのを待っていたため、ずいぶん久しぶり龍さんの随筆。
軽く感想を書いてみたいと思います。

※お盆の間、読書メモをまとめたので、週に1回は書評記事を書く予定です。

『すべての男は消耗品である。/ 村上龍』完全版の感想 (以前の書評)

レビュー・書評

経済・政治・文化・海外などあらゆるジャンルについて、村上龍さんが雑誌のコラムに寄せた文がまとめられています。

※カッコ内「」はそれぞれのエッセイのタイトルです。

・「おしゃれと無縁に生きる」

 わたしは、勤め人の経験がなく、仕事上オンとオフがないので、 何を着ればいいのだろうと思い悩むことがなかった。
『おしゃれと無縁に生きる』 P8 

あの『地獄の黙示録』のコッポラが、
自分のワイナリーを持つほどの大金持ちなのに、撮影のとき靴下に穴が空いていた
というエピソードも興味深かったです。 



・「日本が誇れるもの」

言葉は、それが意味する概念が希薄になり、 優位性が失われたあとで、渇望の象徴として流行ることがある。 P33

 なんとなくわかる気がします。



・「日本人の政治意識」

政治意識の高さを測る指標は、投票率だけなのだろうか。 P41

単に他国の投票率と比較して、「最近の若者は~」という論調には辟易しているので、
ほかの指標があると面白いかもしれませんね。



・「社長になりたいですか」

「みんなで方針を決める」という経営は終焉を迎えた、という文章から、下記の流れ。

経営は、「連続して起こる危機への対応」ということにその本質を変えたわけだが、 もちろんそのほうが正統的であり、バブル以前が特異だったのだ。 P78

 「カンブリア宮殿」でいろんな経営者をインタビューしてきた村上龍さんの鋭い指摘。
まあ、昔みたいにふんぞり返っているだけでは社長は務まりませんよね。



・「お金で幸福は買えるか」

だから、「金で幸福が買えるか」にはあまり意味がないが、 「金があれば不幸をある程度回避できる」というのは真実だと思う。 P81

これは確かに健康面でも、教育面でもそうかもしれません。
ビートルズも「Can't Buy Me Love」(金じゃ愛は買えない)と歌ってますが、
お金持ちの方が多少有利なことは

だが、絶対に金では買えないものがある。信頼だ。P83

 意外と普通のことを言っていて、「村上龍も丸くなったな」と思いました。

 

・「イノベーションとは何か」

これまで偉大なイノベーションを生み出した人物の共通点はただ一つ、 「実行した」ということだ。 P119

「7:3の法則」について触れていましたが、
"成算が7割あればとにかく実行する確固たる精神"が肝心とのこと。

これも手に垢がついた表現ですが、結局人生やるかやらないか、ですよね。

 

・「観光立国への道」

政府主導で「観光立国」が実現するか? と疑問を投げかけたエッセイ。

観光には、ロマンが関わる。 ロマンを生み出し、外国の人に伝えることができるのは、政治ではない。文化の力だ。 P122

オリンピック担当者に読んで頂きたい一文。


・「歴史に学ぶ」

わたしたちは、歴史を主観的にとらえたがる傾向があるが、 歴史は元来、残酷で冷徹な事実の連なりである。 P134

歴史なんて解釈の仕方でどうとでも変わってしまいますが、
冷静に客観視して物事を判断できるようになりたいですね。

 

・「定年というシステム 」

問題は、本誌に限らず、ほとんどのメディアが、「弱者」をフェアに扱う文脈を持っていないということだ。 そういった社会は、生産性向上に必須の「想像力」が欠如している。 したがって、結果的に、衰退の一途を辿る。 P137

 マイノリティー側にいるとちょっと共感できる気がします。
ちょっとでも配慮を心掛け、多様化を目指すべき、ということでしょうか。

 

・「小さな経済圏について」

共通しているのは、国や大手への依存がなく、 独自のネットワークによる「小さな経済圏」を成立させていることだ。 P142

このエッセイは印象深かったです。
一人勝ちを目指す時代はすでに終わっていて、いかに協力・シェアするかが勝算を分ける時代になってきているんじゃないでしょうか。

 

・「人を育てる」

人を育てようと思ったら、まず 「自らを育てる」ことを優先すべきではないだろうか。 部下や後継者は、すぐそばで、育てようとしている人を見ている。 P197

まっとうな一文です。まずは自分から。

Ryu Murakamiらしい随筆文

一つひとつが短いので、寝る前にでもさくっと読めるような一冊。
「カンブリア宮殿」の話題も出てくるので、いつも以上にビジネスマン向けかもしれません。
主婦層にはおそらく向かないかと思われます。
 「最近、村上龍読んでないなぁ」って方は文庫版も発売されたのでぜひ。

おしゃれと無縁に生きる (幻冬舎文庫)

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Kindle本をプレゼントできたら電子書籍も流行るんじゃないか

【ギフトでキンドル本を送る】

記念日やお祝いのとき、何をプレゼントに贈るか迷われる方は多いのではないでしょうか。
近くの友達だと、直接本や雑貨を渡したりだとかできるのですが、
遠方の友達だとなかなか会うのは難しい。

何か贈りたいけど、「わざわざ住所を聞くのもなぁ」という場面、よくあるんじゃないでしょうか。

ちょうど僕もそんなことがつい最近よくあり、なんとなく「Kindle本をプレゼントできたらな」と思ったので、軽くこの記事を書いてみました。

友人に贈るには

調べてみると、実はこの「キンドル本プレゼント機能」
アメリカのAmazon.comではフツーにそんな機能があったりします。

Amazon.com Help: Purchase a Kindle Book as a Gift
これ面白いですよね。
メールでダウンロード用のリンクが届き、すぐにダウンロードできる。
受け取った側としては、スマホでもタブレットでも読めるし、
「タダなら読んでみようか」となる人も出てくるはず。

 

本なんて高くても数千円なので、ちょっとしたサプライズに最適じゃないでしょうか。
なにより、住所を知らなくても、メールアドレスさえ知っていれば、ギフトとしてプレゼント出来るってのが便利そうです。

『村上RADIO』村上春樹のラジオで流れた曲まとめ

なんだかんだ、電子書籍って「めんどくさそう」と思われてる部分が多いんじゃないかと個人的には思ってます。
実際に「アプリをダウンロード→本を探して購入」 
というステップを踏む人はなかなかいないかと思うので、何かしらプレゼントされたなどのきっかけがないと、利用には踏み切らない、という人は多いかと思います。

さすがに、知り合いから贈られてきた本をそのままほっとくわけにもいきません。
読み終えてくれるかどうかは別として、受け取った側はとりあえずKindleアプリぐらいはダウンロードしてくれるんじゃないでしょうか。

 

また、つい4日ほど前、Amazon.comでは、下記機能が発表されました。

電子書籍のギフトおよび他の人のための購入 (日本ではサポートされていません) | Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング

簡単にいうと、献本機能ができたという内容。

キンドル本の著者は読者に向けて、読者向けの本をまとめて購入し、引換用リンクを送付し無料配布できる、という機能です

この機能があれば、ブログで電子書籍のプレゼント企画ができたり、SNSでばらまけたり、面白いことができそうですよね。

本の貸し借り(レンタル機能)などまだまだ電子書籍は発展するところがありますね。

海外では図書館で電子書籍が借りられたり、いろいろ羨ましいな~と。

Kindle Unlimitedが英語学習に最も効果的だった

日本ではギフト券のみ

日本のアマゾンではこの「他人へのプレゼント機能・譲渡サービス」は一切導入されておらず、
現状はアマゾンギフト券を購入し、メール経由で送付するぐらいしか方法はありません。
なんだかちょっと味気ないですよね。

なかなか国内で導入されないのは、やはりお金が絡む部分が法的に厳しいかと。

 日本でも導入されるともう少し電子書籍業界も活発になるかもしれない・・ので
今後の発展に期待です。 楽天Koboではできるらしいし。

ポッドキャストはじめてみました。本のレビューも熱く語ってます。

「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。
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Kindleをお風呂で読める素晴らしさを語ってみる【新型キンドル】

Kindle本を買い漁る人だけにわかる"電子書籍あるある"

【キンドルでありがちなこと】

みなさん、電子書籍端末は使っておられるでしょうか?
紙の本を支持される方も多いかとは思いますが、今回は僕がキンドルをつかってきて感じた「電子書籍あるある」を一気に書いて行きたいと思います。
電子書籍ファンなら「あー、あるある。」と思うような事をこれでもか、と挙げてみました。

 Kindleなんて触れたことがない、という方にも独特の使用感みたいのが理解できるかもしれません。

Kindle本をプレゼントできたら電子書籍も流行るんじゃないか

電書独特のあるあるネタ

  • 紙の本だと絶対に買わないような本も、つい衝動買いしてしまう

  • 本の残りもあと10%!どう展開するの?とおもいきや、少し読んだだけで話が終わり、残っているのは索引や原典で肩透かしを喰らう。
    残りどれだけ読めば本が終わるのかわかるだけに、脚注やあとがきの存在を忘れ
    あっけない展開にがっかりすることも。

  • 買った当初は「へえ~紙みたい!初めてみた!」という声を聞いてすこし嬉しくなったが、いまだに一向に普及しない電子書籍に憂いを覚える
    いまだに紙の本の人気は根強いですね。

  • アマゾンの囲い込み戦略を知りつつも、やっぱりKindleの奴隷になってしまいがち

    なんだかんだキンドルが一番です。

  • 積ん読の意識が紙の本以上に薄れるため、まだ読んでないのに次々と本を買ってしまう
    これは電子書籍の特徴のひとつですね。買った分量が物理的に掴めない×クレジット払いというダブルコンボの恐ろしさ。

  • #三島由紀夫はまだか
    出版社の圧力のせいか、いまだに配信されませんね。

  • 海外へ行くと、小さな男の子が電子書籍でワンピースを読んでおり、複雑な気持ちに。
    こういうデジタルネイティブ世代が育って、ようやく電子書籍が花開くかもしれませんね。

  • UIが改善しないが、何だかんだで慣れてしまう
    やっぱり、操作周りはまだ100%満足とは言い難いです。

  • 試し読みのつもりが、しっかり最新作まで購入。

  • ただ昔の本をPDF化した書籍だったことがわかり、買った瞬間にがっかり
    古典の本を買うと、ほんとに昔の古本をスキャンにかけただけのような本があったりします。

  • 村上春樹の長編が出ないので、英語版を買ってしまいがち

     短編や初期三部作などは出ているのですが、代表作の「ねじまき鳥クロニクル」や「海辺のカフカ」などはいまだに電子書籍化されず。。

  • 寝床におくと、なかなか寝付けない
    横になって読み始めると、そこから軽く1時間潰れるということもしばしば。

  • Kindle Unlimitedの神サービスっぷりと、世の中の電子書籍に対する冷ややかさの温度差を感じる

  • 『弟の夫』を買うと、おすすめ(サジェスチョン)にゲイ小説やBLが並びがち

  • 電車の隣の人の視線が気になる

  • Evernoteに読書メモ残しがち
    むちゃくちゃ便利ですよね。電子書籍の大きなメリットのひとつかと。

  • カラー版電子ペーパーが出ないか待ちくたびれ、やっぱり本は白黒でいいや、と開き直る
    文字だけの本なら、白黒で十分です。

  • 電子書籍専用端末をもつと、スマホで本を読むのがしんどく感じる
    最低でも6インチはないと読書は厳しく感じます。

などなど・・・。
思いつけばさらに更新していきたいと思います。

梅雨を乗り過ごす、雨に関する印象的な映画名シーン10選

紙の本とは別物

いかがだったでしょうか?
"わざわざこんな記事を開け、ここまで読んで頂いた"ということは、
それなりに楽しんで頂けたかと思います。

他にもキンドルあるあるを思いついた方は
#電子書籍あるある でつぶやいてみてください笑

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ベルギー漫画『タンタンの冒険』シリーズの底知れぬ魅力

【小学校時代の思い出】

みなさんは『タンタンの冒険』という海外のマンガをご存知でしょうか?
小学校に 「火の鳥」や「ブッダ」『裸足のゲン』とともに置いてあったので、読んだことがあるという人も少なくないはず。

この「タンタンの冒険」という作品、エルジェというベルギーの漫画家が描いたヨーロッパ圏ではかなり有名なマンガです。

個人的に思い入れの強い数少ない漫画なので、紹介してみたいと思います。 

【マンガ版インディ・ジョーンズ?】

あまり外国のコミックを読んだことがないという方にも、
「タンタンの冒険」の魅力がわかるよう、簡単に説明したいと思います。

勧善懲悪の冒険劇

 ハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズ」シリーズはご存知でしょうか?
財宝を探して世界を飛び回り、悪役と戦い、最後は・・・
という単純明快な冒険物語。007シリーズにも同じものを感じます。

要するにそれを漫画版がタンタンの冒険。
(どちらかといえばインディージョーンズがタンタンをパクったのでしょうが)

小学生にはほんとにもってこいの冒険劇。

タンタンは少年なので、恋愛関連の話が出てこず、まどろっこしくないのが個人的には◎なポイント。

 

異国情緒がある

タンタンはあらゆる国をまわりながら事件を解決していくので、異国情緒を頻繁に感じることができます。
アメリカ、ロシア、EU諸国、南米、アラブ諸国、中国とありとあらゆる場所で活躍。
まるで自分の自身が海外旅行に行っているかのような感じに陥ります。
タンタン自身も現地の民族衣装にかわったり、おしゃれな漫画です。

よくよく考えると僕が外国の魅力にはじめて触れはじめたのが、このタンタンの冒険かもしれません。
なので個人的にはけっこう思い入れのある漫画だったりします。

まあ石油国=危険みたいなステレオタイプなところもあるのですが、馴れ初めにはいいんじゃないでしょうか?

濃いキャラクター勢

どのキャラクターもびっくりするほどキャラ設定が濃ゆいです。
酒が飲めない船長、振り子を振り続ける博士、声でガラスを割れるオペラ歌手など挙げればキリがないほど。
特に印象的なのが、犬のスノーウィ。お酒でベロベロになったり、人語を話したり、基本的に馬鹿犬なのですが、ここぞ、という場面で大活躍してくれます。

主人公のタンタンも、新聞記者ということもあってか、非常に頭が切れ、格闘技や飛行機・船の操縦も完璧にこなします。まさに子供版インディ・ジョーンズ。

ちなみに原作は 「TINTIN(チンチ●)」というタイトル なので、日本では”タンタン”という名前に変えられています笑

【おすすめの名作】

 入門にはこの2作がおすすめです。タンタンの冒険の魅力がギュッと詰め込まれています。 

『なぞのユニコーン号』

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

『レッドラッカムの宝』 

ペーパーバック版 レッド・ラッカムの宝 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 レッド・ラッカムの宝 (タンタンの冒険)

【映画版もNetflixで】

なんとタンタン、ハリウッド映画化もされてます。しかもあのスピルバーグ監督によって。
タイトルも『ユニコーン号の秘密』と、原作を元にした映画となっております。
原作の雰囲気を崩さず、リアルなCGで世界観が再現。
キャラクターのイメージもほんとそのまんま。

数年前にこの続編が作られる、という話を聞きましたが、いまだに進展がないですね・・。
映画では主人公の名前はしっかり「(TINTIN) チン○ン」と発音されています。笑
わかりやすい冒険劇なので、仕事の終わりにでも、子供とみて欲しい一作。

たしかIMAXが日本でもみられるようになった初期の頃の作品なので、リアルなグラフィックとともに、新世代的なインパクトもありましたね。
Netflixでもみれますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
海外の漫画を読んだことがない、という方はぜひ原作を。

ポッドキャストやってます。たまにゲイネタも話したり。

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太陽の塔の芸術家・岡本太郎が書いた『自分の中に毒を持て』

【内部公開の記念に】

先日エキスポシティに試写会へ行った際、夜の暗闇にボウッと浮かぶ不気味な「太陽の塔」を目にしてきました。
この岡本太郎の「太陽の塔」、2018年3月19日(月)に内部が一般公開されることをご存知でしょうか?
「芸術は爆発だ」ということばで有名な岡本太郎ですが、考え方や生き様も尋常ではありません。

せっかくなので、太陽の塔の内部公開を記念し、昔キンドル版で読んだ岡本太郎の著作『自分の中に毒を持て』の感想を書いてみたいと思います。

【レビュー・感想】

「自分の中に毒を持て」というタイトルからわかるように、かなり癖のある一作。

岡本太郎のドキュメンタリーを見たことがありますが、自分の意志を必ず貫く姿勢が非常に印象的な方でした。
本の文章を読んでも、その印象は決して薄まることなく、彼の常軌を逸した信念の強さがビシビシと伝わってきます。

例えばこういう文章。

ぼくだったらこうする〟というだけだ。それに共感する人、反発する人、それはご自由だ。 
『自分の中に毒を持て』 位置:473より

何気ない一文にも、彼の性格が表れています。

ニブイ人間だけが「しあわせ」なんだ。ぼくは幸福という言葉は大嫌いだ。ぼくはその代りに〝歓喜〟という言葉を使う。 
位置:633


あの「芸術は爆発だ」という有名なフレーズについても、岡本太郎が意図せず、言葉が独り歩きしてしまっていると苦言しています。

ところで一般に「爆発」というと、ドカンと大きな音が響いて、物が飛び散り、周囲を破壊して、人々を血みどろにさせたり、イメージは不吉でおどろおどろしい。が、私の言う「爆発」はまったく違う。音もしない。物も飛び散らない。 
 位置:1867

全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。  位置:1867

"爆発"という言葉にも彼独自の世界観があるよう。
宇宙うんぬんの話が出てきたところで、芸術家・横尾忠則のことを思い出しました。

結婚制度に対しても疑問を呈しています。
この本が出版されたのは1993年、つまり今より25年ほど前に書かれたということ。
その当時から結婚制度に"変わった人"と捉えられてしまったことは間違いないでしょう。

ぼくは、結婚という形式が好きじゃない。  男と女の関係は、証明書を登録し、形式的にワクにはめられるようなものではない。
位置:1232

家族というシステムによって、何の保障もされていないことが、真の生きがいであると思う。だからぼくは自由に独身を通してきたのだ。
位置:1257


さらに、職業分化に対しても異議を唱えています。
まるでようやく副業解禁がちらほら見られる今を見据えていたかのよう。

 職業分化の問題。 職業があることは悪いことじゃない。いまの社会人はほとんど職業を持って生きているし、社会もそれに支えられている。 ぼくは今まで一度も職業を持つことが、卑しいなどと言ったことはない。人間が社会で生きていくには、職業を持つことはノーマルなんだから。 しかし、そのために、全人間として生きないで、職業だけにとじこめられてしまうと、結局は社会システムの部品になってしまう。
『自分の中に毒を持て』位置:1867より

いくつか抜粋しましたが、こんなのは序の口で、「えっ?」と驚かされるほど暑苦しい文章が続きます。

体の芯から芸術家肌、悪く言ってしまえば"クセが強い"おっちゃん。
でも、こういうぶれないこだわりがない限り、芸術は生み出せないのでしょう。

余談ですが、この人を人情味あふれた感じに変身させれば建築家の安藤忠雄になるのだ、と勝手に思っています笑

これまた話はずれるのですが、本日、太陽の塔の内部公開を記念して、Dreams Come Trueの無料コンサートがあったのですが、僕も友達も両方ハズレ。
先日の試写会のように、人生続けてうまいことは起きません。
『大阪LOVER』や『決戦は金曜日』も歌ったとのことで、羨ましいかぎり。
内部観覧も予約でいっぱいのようですが、関西人として一度は見てみたいもんですね。

【Kindleの新装版も】

なんと僕がキンドルで当時読んだときにはなかった、『自分の中に毒を持て<新装版>』なるものが出ているようです。
新装版はカラー口絵つきでパワーアップしているとのこと。今から読む方はこちらもおすすめです。

自分の中に毒を持て<新装版>

自分の中に毒を持て<新装版>

デビット・リンチが瞑想を語る本『大きな魚をつかまえよう』レビュー

【アイデアとは魚のようなもの】

映画監督のデイビッド・リンチ(David Lynch)が瞑想について書いた一冊。

もちろん書かれているのは瞑想だけでなく、作品をどのように創り上げていくのか、

ジャンルを越えて活躍をするデイビッドリンチの創作の源を知れる一冊です。

さっそく感想を書いてみました。

瞑想を一ヶ月間続けて感じた感想・変化をまとめてみた

【リンチ流 アートライフ&瞑想レッスン】

特に印象に残った部分をいくつか紹介したいと思います。
まずは本のタイトルにも関連をするこの部分から。

アイデアとは魚のようなものだ。
小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。
でも大きな魚をつかめるには、深く潜らなければならない。
水底へ降りていくほど、魚はより力強く、より純粋になる。
巨大であり、抽象的だ。そしてとても美しい。 P10より
アイデアをひねりだそうとする欲望は、釣りエサに似ている。  P38

さな魚は浅瀬を泳いでいるが、大きな魚は水底にいる。
釣りをするコンテナーきみの意識ーが広ければ広いほど、より大きな魚をつかまえることができる。  P40

僕もブログ記事のアイデアを思いついた瞬間は、魚を釣り上げたときのような感覚を覚えます。

 他にも、至るところで映画への愛がひしひしと感じられる文章が。
映画監督なので当然といえば当然なのですが。
映画館に入ると明かりが消える。なぜか知らないが、これがすごくマジカルなんだ。 P26
いや、これなんですよね、映画は。
体験を共有できるのは素晴らしい。
家にいて、目の前にホームシアターがあるのもいいが、映画館にはかなわない。大きなスクリーンは最高だ。それはもう一つの世界へ分け入る通路だ。  P27

映画館の中に入るための通路。あそこを通るとき、今でもちょっとワクワクするのは僕だけでしょうか。

ぜひ上の記事も読んでみてください。

映画とは言語だ。話すことができる。
大きくて抽象的な事実をね。 P28

無声映画なんてのはその典型で、ことばなしにあらゆる世界観を観客の頭に疲労してくれます。映像というのはそういう部分では圧倒的な強さを見せますよね。

 

映画は本編だけで成立すべきだ。映画監督が作品の意味を言葉で解説するのは、馬鹿げている。  P30

見る側としては、「映画の意図をしっかり監督の口から聞きたい」と思ってしまう僕。

まあ監督側としては、自由に見て欲しい、という思いのほうが強いのは当然ですね。
 
意識の大海を活性化するためにダイヴするんだ。 P61
瞑想と聞くと、「静かな」「落ち着く」というようなイメージがありますが、デビットリンチ監督のこういった言葉を聞くと、積極的な「ダイヴ」という行為であることがわかります。
 
瞑想がもたらす至福は防弾チョッキみたいなものだ。 
きみを守ってくれる。 至福に満たされていればもう無敵だ。 P118

 瞑想が終わった後のスッキリ感、これは何にも代えがたい一時ですよね。

場所の感覚が出せるかどうかで、映画は大きく左右される。 P140
 "場所の感覚"という抽象的な言葉が出てきましたが、このワードを聞いてパッと僕が思い浮かべたのは、『シティ・オブ・ゴッド』や『ラスト・エンペラー』など。
そういうことなんでしょうか?
 
きみが発表する新作は、過去に達成したことの文脈において見られてしまう。 P184
これは辛いですよね。自分は新しいことをしたいのに、観客は昔の作風ばかりを求める。ブログ記事や小説にも同じ事がいえるでしょう。
例えば、『The Joshua Tree』から『アクトンベイビー』に転換を成功させたU2も、当時ここに相当苦しんだはずです。

最後に書かれているクリント・イーストウッド監督からのメッセージ(P206)も見逃せません。最新作の映画『15時17分、パリ行き』も本当に楽しみです。
 他にも有名人で例を挙げれば、
スティービー・ワンダー
リチャード・ギア
ヘザー・グラハム
コメディアンのラッセルブランド
マーティン・スコセッシ監督 など名だたるメンバーも瞑想を行っているとのこと。

音楽にも言及があり、
ビートルズの「Across the universe」
スティービー・ワンダーの「Jesus Childrens America」等の名曲、実は瞑想について歌っているとのこと。
特にStevie Wonderの曲なんて、確かに「Meditation」という言葉がモロに出てきますね。

デビットリンチがこんなに瞑想にハマっていたとは知りませんでした。
あの独特すぎる世界観は、こうした背景があって、生み出されているんですね。

【感想を読むより体験を】

瞑想に興味のある方、デビットリンチ監督の映画を一作でも見たことがある方は必読の一冊。

日本版には冒頭に「日本の読者へ」という題で、リンチ監督から日本の読者へのメッセージがあるのも好印象でした。

「瞑想って怪しそう」そんな印象をもっている方にはぜひ読んで欲しいです。

大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン

大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン

瞑想を実際に一ヶ月続けてみた感想は下記の記事をどうぞ。(今も継続中です) 

www.nejimakiblog.com

『広辞苑 第七版』は電子書籍端末にこそ搭載されるべきだとおもう

【広辞苑7 10年ぶり改訂】

ついに10年ぶりの改訂となる、「広辞苑 第7版」が1/12に発売されました。
新たに一万語が収録され「LGBT」や「ブラック企業」「フリック」「婚活」などここ五年で一気に身近になったことばまでもも網羅されているようです。
(「台湾」ということばの定義で岩波書店が窮地に立たされ、最近話題にもなりました)

日本の辞書を代表する『広辞苑』、 せっかく発売されたので、実物をみに本屋へ。

やはり、大きすぎます。

辞書編纂者の方の苦労を書いた本を何冊も読んできたので、「もし気に入れば買おう」と思って本屋に向かったのですが、さすがの存在感に圧倒されてしまいました。
今の時代、作家か、物書きか、ことばマニアか、教育関連の職の方 etc...
そういう特定の人以外にアプローチするには、広辞苑の大きなボディは重たすぎるのではないでしょうか。

【Kindle版の広辞苑は?】

昔は「知の象徴」だった巨大な紙の辞書も、Googleで打ち込めば意味が出てくる時代。

 

昔から紙の辞書を使ってきた方には不遜に聞こえるかもしれませんが、
新しい『広辞苑』が最も輝くベストな場所は、Kindleだと僕は信じてやみません。

本を読んでいるとき、ことばの意味がわからずに、文章をすっ飛ばしてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

しかし、電子書籍端末ではそんな心配はありません。
Kindle端末には「デジタル大辞林」や「Oxford Dictionary of English」が標準的に搭載され、電子書籍を読んでいるときに、わからない言葉があれば、文字を入力することなしに、すぐに調べることができます。

読書中、もしわからない言葉があれば、タップして単語を選択すると、
ポップアップで単語の意味が表示され、あっという間に意味を把握することができます。

しかも、『デジタル大辞林』にないことばは自動的に「Wikiedia」に接続し、意味を探してくれます。

『デジタル大辞林』、さすがに無料なだけあって、説明が非常に簡素であり、あくまで軽く意味を把握する程度にしか使用しません。

それだからこそ、個人的には新しい『広辞苑7』を電子書籍端末にのせてほしいのです。

【辞書編纂者の意見は?】

ここで、辞書を編纂されている方はどういう意見を持っているのかをみてみましょう。

『三省堂国語辞典』を編纂されている飯間浩明さんのラジオ講座をまとめた『国語辞典のゆくえ』という本に、興味深い内容が語られていましたので紹介したいと思います。

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 国語辞典のゆくえ (NHKシリーズ)

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 国語辞典のゆくえ (NHKシリーズ)

「インターネットの情報だけではダメです。自分で辞書を買いましょう」
こんなふうに要求することににどれだけの効果があるか、はなはだ疑問です。
私は最近、自分が辞書を作る立場でありながら、「辞書は死んだ」と繰り返し発言しています。 P9より

 辞書編纂者にもかかわらず、いきなりこんな発言をされています。
電子辞書の「後方一致検索・全文検索」ができたり、簡単にことばをアップデートできるというのは、紙の本がどう逆立ちしても勝てない部分だと認識されているようです。

オリジナルにある情報が、ネット上では欠落している、ということがあるのです。P15

しかし、さすがに辞書編纂者、無料のネット辞書には懐疑的です。

また、この本で特に印象に残ったのが、

国語辞典の電子版第1号は『広辞苑』だということ。
1987年という、国鉄が民営化されたような時代に、紙の辞書はすでに電子化されていたのです。(CD-ROM版として発売され、全く振るわなかったようですが。)


最後に、辞書の未来について飯間さんはこう語ります。

作り手が辞書を利用者に届け、利用者が作り手に反応を返す。
こうした双方向の回路ができれば、将来の辞書は、予想もつかないほど変わっていく可能性があります。 P145より

そもそもことばの意味なんて時代とともに変わっていくので、
一般人と辞書とのずれが随時修正されていくような仕組みがあれば、辞書は新たな活路を見出すのかも知れませんね。

またほかにも、『広辞苑 第七版』の編纂者インタビューで、電子化への抵抗はない、という内容を語っておられたのも印象的でした。

【紙の辞書も残って欲しい】

いかがだったでしょうか?
「昔から慣れ親しんだ紙の辞書がいい」という方も多いかも知れませんが、
ゆとり世代の僕からすれば、このような電子化への要望は決して珍しい意見ではないと思います。
せっかくこれだけ優秀な辞書があるのだから、最大限活用したいところ。
実際、新しい広辞苑は、電子辞書や「一太郎2018」、電子版としても発売されるようですのでキンドルなど電子書籍端末への展開も期待したいところです。

 でも、紙の存在感も捨てがたいところ。気になる方はぜひ。

広辞苑 第七版(机上版)

広辞苑 第七版(机上版)

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2017年に心を揺さぶられたKindleの電子書籍10選

【キンドルの名著まとめ】

2017年も残すところあとわずか。
せっかくのなので、今年読んだKindle本の中で、特に心を揺り動かされた10冊を厳選した記事を書いてみました。

いずれもまだブログで紹介していない電子書籍ばかりですので、キンドルをお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

【メディア論からワイン、LGBTまで】

 まずはブログ記事らしく、この本から紹介してみます。

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

シリコンバレーでの経験を踏まえ書かれた佐々木俊尚さんのメディア論。

 つまり家族や恋人、友人、同僚といった仲間たちと共有したり、議論したいと思うコンテンツを提供する最適化が必要だという主張なのである。
-286ページより

アップル・グーグル・フェイスブックの関係や 「Buzzfeed」の戦略についても書かれ、ブロガーなら一度は読んで欲しい一冊。

 

Do you talk funny? (英語)
Do You Talk Funny?: 7 Comedy Habits to Become a Better (and Funnier) Public Speaker

Do You Talk Funny?: 7 Comedy Habits to Become a Better (and Funnier) Public Speaker

作家や起業をこなすDavid Nihillというアメリカ人によって書かれた本。
アメリカの漫談である「スタンダップコメディ」を日常生活にいかそう、という視点で
非常に深い洞察をもって書かれた一冊です。
最近Netflixでスタンダップコメディばかり見てるので、僕個人としてはど真ん中の内容でした。

“The human race has only one really effective weapon and that is laughter.” — Mark Twain
人はただ一つ有効な武器を持っている、それは笑いだ。
ーマーク・トゥイン   位置:528

上記のような引用をいくつも交え、日常生活における「笑い」の有効性を説いていきます。
ブログのライティングにも活かせる内容なので、また機会があれば紹介したいと思います。 

 

The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド
The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

今年はナパ・バレーでの火災やEUとのEPAで大枠合意など、ワインを愛する人にとって色んなニュースが舞い込んできた一年でした。
僕自身もワイン好きなのですが、正直品種や味など理解せずに飲んでいるだけなので、少しずつ知識を身につけたい、と思い購入した一冊。

ビジュアルが見入ってしまうほど美しく、好きなページから気軽に何度読み返せます。
アマゾンのページで「なか見!検索」で一度中身みてからの購入をおすすめします。

 

弟の夫(全4巻完結)
弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

2018年に佐藤隆太×把瑠都で実写ドラマ化されるゲイ漫画『弟の夫』
「死んだ弟 の恋人であるゲイのカナダ人男性が日本にやってくる」という話。
4巻でコンパクトに話がまとめられ、世の中の無意識な偏見を浮き彫りにします。

「男同士の恋愛ってどうなの?」と思う方に特に読んで欲しい名作。

下記に最終巻のレビューもしてみたので、あわせてご覧ください。

『弟の夫』 第4巻(最終巻)発売、実写化も【ゲイ漫画】

『ゲイ・カルチャーの未来へ』田亀源五郎さん最新作の感想

 

Nature Fix 自然が最高の脳をつくる
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

 最近、スマホやパソコンに夢中で自然に触れてない、という方におすすめの一冊。

「自然に触れることがいかに大切か」ということを、最新の研究結果を踏まえて教えてくれます。

人には本来、自然との触れあいが欠かせない──その事実をきちんと理解すればするほど、得るものも大きくなる。キンドル版 位置:5026 より

とりあえず、1カ月に最低5時間は自然とふれあう時間をつくりましょう。

 こちらのレビュー記事もあわせてどうぞ。

僕自身もこの本を読んでから、ランニングコースはなるべく自然に満ちた場所を選ぶようになりました。

 

GO WILD 野生の体を取り戻せ!
GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

 上の本と同じく、「野生に立ち帰る」ことの大切さを説いた本。
トレイルランニングにも触れた一冊だったので、トレランにハマりはじめた僕にとってたまらない内容でした。

この違いの多くは、トレイルランニングが自然の中で行なわれるという点と、進化上の習性(狩猟)にならっているという点にあるはずだ。 位置:2820

 このスポーツの基本的要素が、進化によってわたしたちの中にコードされた根深い欲求に訴えかけるのだ。 位置:2831

 人間の本能を忘れず、日常生活を送っていこうと思いました。


天才たちの日課
天才たちの日課

天才たちの日課

  • 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

 古今東西の小説家、詩人、芸術家、哲学者たちが、どのようにして創作活動を続けていくのか、普段の日課に着目した一冊。
モーツァルトやカフカ、村上春樹やピカソなどあらゆる有名人の生活に触れることが出来ます。

この本を読むと、どんな偉人達も自分と変わらない人間なんだな、ということを実感しました。
モチベーションを失ってしまった方に、心からおすすめしたい一冊。

 「習慣は聡明な人間においては野心の表れである」
 ーオーデン(詩人)


わたしを離さないで
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/01
  • メディア: Kindle版
  • 購入: 1人 クリック: 2回
  • この商品を含むブログを見る

2017年のノーベル文学賞受賞、カズオ・イシグロの代表作『わたしを離さないで』です。
ネタバレをするとこの小説の価値が落ちてしまうので多くは語りませんが、最後の展開は涙なしでは読めませんでした。

またブログでも紹介したいのですが、重くて再び読見返すのが辛いぐらいです。
ノーベル文学賞のニュース後は品薄が続いたのですが、電子書籍なら一瞬で購入できたのも印象的な思い出。

 

ライフハック大全―人生と仕事を変える小さな習慣250
ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

人生と仕事を大きく変えるライフハックが、これでもか!と詰め込まれています
「Pocketの読み上げ機能」は英語の記事を読む上でもっと活用していきたいですね…
この本を読むと、デジタルスキャナーの「Scan Snap」がさらに欲しくなってきました。。

 

WIRED(ワイアード)
WIRED(ワイアード)VOL.19 [雑誌]

WIRED(ワイアード)VOL.19 [雑誌]

  • 作者: Condé Nast Japan (コンデナスト・ジャパン)
  • 出版社/メーカー: コンデナスト・ジャパン
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

知る人ぞ知る、名雑誌WIREDが今年でなんと、休刊してしまうということなので、最後にこれを挙げておきましょう。

個人的には音楽について特集されたVOL.21、 
VOL.26「ワイアードTV:映像ビジネスの新時代」

などが印象的でした。

ゲイの自分としては、アイデンティティーを特集した最新刊も非常に気になります。
どの巻も本当に心揺さぶられるものばかりで、休刊がほんとうに悔やまれます。。

バックナンバーも全て電子書籍で出版されていますので、気になる方は必見です。

【2018年こそ電子書籍元年に?】

2016年にはKindle Unlimitedという黒船が来航し、
2017年にはPrime Readingが開始され、さらには新型のKindle Oasisまで発売されました。まだ全体を占める割合としては少ないですが、電子書籍の浸透は誰にも止められません。

今後はどう電子書籍が広まっていくのか、2018年も楽しみです。

良い電子書籍ライフを!

Kindle Unlimitedが英語学習に最も効果的だった件

www.nejimakiblog.com

 

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世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】

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『すべての男は消耗品である。/ 村上龍』完全版の感想【キンドル】

【名エッセイの記念版】

『限りなく青に近いブルー』や『コインロッカーベイビーズ』などドラッグや性描写で溢れた長編が有名な村上龍。

彼は長編だけでなく、映画や短編、そしてエッセイの書き手としても有名です。

今回紹介するのは、ファッション雑誌等に掲載された『すべての男は消耗品である。』というエッセイ集。
30周年記念版、ということで、13冊分がまるまる収録されています。
こういうのがキンドルの良いところですね。

暇なときに気になる部分をちょこちょこ読み進め、ようやく読み終えたので、感想を書いてみたいと思います。

Kindle Unlimitedで読めますので、気になる方はぜひ。
『すべての男は消耗品である。』30周年記念 完全版

Kindle版レビュー

 あまりにボリュームがあるので、気に入った部分をかいつまんで紹介したいと思います。

まずはこの文章から。 

男の犯罪と芸術はすべて勃起をおさめるために発生する 位置1,840

いかにも村上龍らしい一文。
まあ、ある意味核心を突いているのかも知れません。
Ryu Murakami自身の芸術へのスタンスがはっきり示されているように思えます。

 

「日本文学が潰れても、文学が潰れるわけじゃない」の章より

考えてみれば、村上春樹も吉本ばななも、そして彼らの主人公達も、ポジショニングを拒否している。 位置5,182

いつまでも飽きられることなく、世界中で支持される作家は、ひとつのレッテルを貼られることを嫌うのでしょうか。
確かに村上春樹も吉本ばななも、毎回違ったアプローチで小説を書くように思われます。

 

「自分が見たいと思うものは全世界が見たがる」そう思うところから映画は始まる 位置7,456

最近の映画で言うと、 『ブレードランナー2049』も監督ドゥニ・ヴィルヌーヴが見たいがままの世界観が、そのまま表現されているように思えます。
AIの恋人が新しいソフトをインストールするシーンは、ただならぬ執念を感じました。

 

すべての兵士が消耗品であるのとまったく同じように、私達オスはどうあがいても消耗品であることから逃れることはできない。 位置7,745

代わりはいくらでもいるし、子供を産めるわけでもないし、いつか必ず死ぬし、死と隣り合わせのような無謀なことをやらなければ、必要な情報は得られない。位置7747

しかしだからこそ、自由な存在になれる可能性を持つ。それが私の言う消耗品なのである。 位置7748

『すべての男は消耗品である』というタイトルには、実は下の句があって、それは「だから自由だ」というものだ。 位置20,303

 このエッセイのタイトルである"消耗品"というワードに焦点を当てた文章。

なるほど、「消耗品」をネガティブに捉えるな、というのが村上龍の意図のようですね。

ゲイの僕からすると、女性に振り回されずに済むゲイは、ちょっとズルい立ち位置にいるのかな、とも思ったり。

 

日記は小説に敵対している。 小説家は、情報を物語の力によって強化するために虚構をつくる。  位置9756

なるほど、そのように認識したことはなかったです。

 

日本を象徴する言葉を一つだけ上げるとしたら、「間」だろう。  9907

日本文化を代表する庭園や建築、能や歌舞伎という面を見ても、「間」というものが根幹をなしていることに気づかされます。

もう一つあげるなら、「呼吸」というワードがあらわれるのかもしれませんね。

 

日本人は外圧がなければ、物事を考えたり、制度を変えようとしたりしない、とよく言われるが、それはどこの国も同じだ。物事を必死で考えたり、制度を変えたりするのは骨が折れる作業なので、できれば誰もそんなことなしで済ませたい。この国は外圧がなさすぎたのだ。  10,201

以前、『ゲイ・カルチャーの未来へ』という本を紹介しましたが、もう一度この文章を記載しておきます。

台湾の場合は、反中国というのをプッシュしているところがあるように思えるんです。それはたとえば、ウクライナが反ロシア的な形でEUに寄りたいからLGBTの権利運動が進んでいるというのと似ています。 そう考えると、日本は逆張りをするような相手がとくにいない気がするので、そういう意味では、推進力に欠けるのかもしれません。
『ゲイ・カルチャーの未来へ』 P.203より

ただ単に権利向上だけを訴える動きだけでは社会を動かす力にならず、何か外圧に対して反発するような別の要因がなければ、人・社会派変わることが出来ないということでしょうか。

 

また、"草食系男子"という言葉の出現について、

きっと日本社会においては、「どうでもいいような象徴的な表現」が常に必要とされているのだと思う。 20,309

最近でも "充実している上司"を表す"ボス充"なる聞き慣れないワードが生み出されたり、「象徴的な表現」が収まる気配はありません。

みんな”所属していないもの”を恐れているのでしょうか?

 

だが、社会的怒りは「しょうがない」という言葉では消えない。変質して、どこかに沈殿する。 23,191

最後にこの文章を。
なぜだかオウム真理教による「地下鉄サリン事件」を思い出しました。 

エッセイストなRyu Murakami

 男・女という性に対する概念がゆらいでいる現代に、改めて読んでみましたが、なお輝きを増したかのように興味深く読むことができました。

村上龍のエッセイは、重い内容もも軽いこともサクッと読める魅力がたまりませんね、

今回紹介したのは完全版、ということで、なんと13冊分がまるまる収録されています。

まさか、30年も連載が続くとは思わなかった。 」と本人も驚いていくボリューム。

 Kindle Unlimitedの読み放題対象の電子書籍なので、気になる方はぜひ。

すべての男は消耗品である。VOL.1?VOL.13: 1984年8月?2013年9月 連載30周年記念・完全版

すべての男は消耗品である。VOL.1?VOL.13: 1984年8月?2013年9月 連載30周年記念・完全版

ポッドキャストはじめました。

「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。

iPhoneで聴く→ https://goo.gl/kd4D8E 
Androidで聴く→ https://www.google.com/podcasts?feed=aHR0cHM6Ly9uZWppbWFraS1yYWRpby5jb20vZmVlZC8%3D 
「世界のねじを巻くラジオ」で検索してみてください。

世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】

『トコトンやさしい人工知能の本』文系にもおすすめのAIに関する本

【ディープラーニングも解説】

最近、世界を騒がす人工知能。
何となく理解はできるけど、でも正直「人工知能ってなに?」という問いにはっきり答えられない文系の方。
今回はそんなあなたにおすすめの一冊を紹介したいと思います。

【人工知能ってなに?】

今回紹介するのは、『 トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)』[辻井 潤一 (監修), 産業技術総合研究所 人工知能研究センター (編集)]という本。

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 辻井潤一,産業技術総合研究所人工知能研究センター
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

ぼんやりとした知識の方が多いかと思いますが、全編にわたり、イラストつきで非常にわかりやすく書かれております。
知識のない中学生あたりでも十分に理解できるのではないでしょうか。
さっそく、感想を軽く書いてみたいと思います。

【レビュー・書評】

この本を読めば、「機械学習とはなにか?」というような基礎的な知識は身につけることができると思います。

特に印象に残った部分を箇条書きで書きたいと思います。

  • "人工知能"というワードに、厳密な定義があるわけではない
  • 昔から人工知能は期待→失望の波を何度か繰り返してきた
  • 今回騒がれているのはビックデータが手に入るようになったため
  • ディープラーニングの"ディープ"は「多層」であること
  • 「意味の計算」が成り立つ分散表現の面白さ
    「4月-2月」=「桜-梅」なんてことも可能
  • テロ対策がテキストマイニング研究を後押ししている

まずは「人工知能って何?」という基礎的な部分から、仕組み、直面する課題、今後の展開、何が便利になるのか?というあらゆる疑問に答えてくれます。

2016年12月23日と比較的新しい書籍なので、最新の研究内容についても盛り込まれているところがいいですね。

特に深掘りされていたのが「人工知能にどうすれば人間的な認識をさせることが可能か」というところ。

まだ現代でもAIが活用できていない大きな原因のひとつに、"人とAIとの認識の違い"が挙げられます。

例えば、「上り坂」と「下り坂」は小学生でも簡単に認識出来ますが、
人工知能からすれば、「同じ傾斜の坂」でしかなく、判断するのが非常に難しいのです。

自動運転での事故や、SFで描かれるようなロボットの反乱を防ぐためにも、「どこまで複雑で不確実な外界を防ぐか」という「フレーム問題」も触れられており、非常に興味深かったです。

【理系でなくても楽しめる】

いかがだったでしょうか?AIはじめての一冊にぴったりの本だと思います。
ワトソンやらNEC WISEやらいろいろ人工知能が第四次産業革命を起こすといわれていますが、現状のように数百億円もするスーパーコンピュータがヒト一人分の仕事ができるようになったとしても、世の中はまだまだ変わりません。
ぜひ今後の発展に期待したいですね。
気になる方はぜひ本を手に取ってみてください。

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 辻井潤一,産業技術総合研究所人工知能研究センター
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

GPSとKindleを組み合わせれば、さらに読書体験が広がるはず

『クララとお日さま』カズオイシグロの最新作が気になるという話 - 世界のねじを巻くブログ@世界一周