世界のねじを巻くブログ

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U2がポケモンGOのようなAR技術をライブに取り入れるとの噂

【最新技術を用いたコンサート】

スタジアムバンドとしてよく名前が挙がり、いまだに「ライブバンドのお手本」として最前線で活躍するU2。

常に新しい技術やアイデアを取り入れ、ファンの期待をいい意味で裏切ってきました。
車をぶら下げ照明として用いたり、すだれのようなLEDをぶらさげたり、巨大な宇宙船型の360°全方位円形ステージで世界史上最高の動員数を記録したり。

前回のThe Joshua Tree Tourでも、ライブ史上最大の8Kディスプレイをコンサートに用い、話題となりました。

そんな彼らですが、次のツアーではAR(Argumented Reality)を駆使してライブを行うという噂がでています。

【拡張現実でどう変わるのか】

ARといえば、上にあげたように「ポケモンGOのあれ」といえば簡単に想像はつくかもしれません。
ARは「拡張現実」と呼ばれ、実在する景色に仮想的な情報を加えて現実世界を拡張する技術のこと。

この動画を見て頂くと、なんとなく理解できるかと思います。



ローリング・ストーン誌最新号の情報によると、U2の最新ツアーであるエクスペリエンス+イノセンスTOUR」の監督が「史上初のAR技術を用いたツアーになる」と発言したようです。

この技術を用いて、U2は何を試みようとしているのでしょうか?

ARは、他にもこんな使い方が出来ます。(初音ミクが仮想現実でポルカを踊る動画)

これを応用して、座席が離れていても、設置されたスペースをスマホを通してみれば、メンバーが目の前で演奏する様子が見られたりする・・・のかも。

 

また、ライブに行かずとも、家でスマホをかざすと目の前でボノが歌う様子をみることが出来る、なんて時代ももう目の前なのかもしれませんね。

上記はあくまで妄想に過ぎませんが、世界初のYoutubeライブ生中継を行ったU2なら、決してあり得ない話ではないかと思います

「CDで稼ぐ」なんて時代はとっくに終わり、ライブなど"体験"にシフトしている現代。
ツアーのタイトルも「eXPERIENCE + iNNOCENCE Tour」ということで、体験を全面的に推したツアーとなるのではないでしょうか?
なんといっても、アルバムが『Songs Of Experience』=『経験の歌』ですからね。

より多くのファンに見てもらうため、AR技術の活用は得策なのかもしれません。

何だかんだでポケモンGO以来、あれほどAR技術が知れ渡った事例は他にないように思うのですが、新たな進歩を期待したいです。

個人的には「愛・地球博」でみた日立館のMRデモの衝撃を越えるものはいまだありませんが、音楽業界にもこのような技術が浸透するといいですね。

【来日の可能性は?】

もちろん技術やアイデアのみならず、U2の音楽に対する情熱や、高品質な楽曲があるからこそ成り立つコンサート。
ぜひ日本でもU2の最新ライブを生でみてみたいところ。
今のところアジアに来る予定はありませんが、フジロックや単独ライブでの来日を祈るばかりです。

【アプリの配信開始】

※追記(2018.4.24):ARに関する詳細がU2ファンクラブのメールにて公開されました。
スマホ向けに、ライブ用のARアプリが配信開始。

バンドがステージに到着する際、100フィートのアリーナに設置されたLEDに向かってかざせば、ARが起動するとのこと。

"Then check out the opening song... "と書いてあるので、おそらくインストの「LOVE IS ALL WE HAVE LEFT」のみで使う感じだと思います。

『U2 eXPERIENCE』という名前でiPhone(iOS版)とAndroid版のARアプリが配信されていますので、コンサートを見に行かれる方はぜひインストールしてみてはいかがでしょうか?

映画音楽家ハンス・ジマーのライブ映像が凄まじい【Netflix】

Hanz Zimmer Live in Plaha

ネットフリックスの新着動画を見ていると、なんとあの映画音楽家ハンス・ジマーのコンサート映像が上がっていました。
その名も『ハンス・ジマー・ライブ・イン・プラハ』ということで、アカデミー賞受賞作曲家のハンスジマーが、自身の代表曲をプラハで演奏したときの様子が収められた映像となります。

映画音楽は子供の頃からずっと好きなので、さっそく見た感想を書いてみたいと思います。

 

レビュー・感想

その前に「ハンスジマーってだれ?」という方に少しだけ紹介を。
ハンスジマーといえば、『パイレーツオブカリビアン』や『ダークナイト』『インセプション』の楽曲で有名なミュージシャンです。
ジョン・ウィリアムズと並んでハリウッド界の最も有名な音楽家といえるでしょう。

最近ではアカデミー賞を2部門受賞した戦争映画『ダンケルク』のサウンドトラックを担当したことも大きく話題になりました。

さっそく、Netflixでライブを観た感想を書きたいと思います。

冒頭から代表曲をメドレー形式で演奏。

『ダビンチコード』のあとはテイストがガラッと変わり、『ライオンキング』へ。
おそらくみなさんご存じの「Circle Of Life」もやたらと分厚い演奏で野性的な気持ちにさせてくれます。民族的なコーラスが血を沸き立たせます。

以前の記事で、匂いが昔の記憶を呼び戻してくれるということも書きましたが、音楽も、幼少の頃を思い起こさせてくれますね。

【USJ】「ETアドベンチャー」の森の香りを探しあてた気がする

 

そこからは一気に西洋的な音色に変わり、港町を想起させる音楽が。(53:44~)
そう、『パイレーツオブカリビアン』メドレーへ。
もちろんあのメインテーマも。(1h04あたりから)
ギターも盛り込んだ情熱的なアレンジ。熱いです。
一度は生で聞いてみたいですね。

そこからは緩急をつけ、トム・クルーズ主演の『レインマン』。
曲ははじめて聞いたのですが音楽も良かったので、近いうちに観てみようかと思います。
大学の視聴覚室にあったのに、結局見れなかったんですよね~。

また、「アメイジング・スパイダーマン2」の曲ではなんとあのThe Smithsのジョニー・マーが参加。
ザ・スミスのメンバーって、こういう大衆音楽が嫌いそうな感じがしたのですが、実は『インセプション』のサントラでギターも演奏しているとのこと。意外です。

「ダークナイトメドレー」の前での撮影のエピソードはぜひファンの方にも観て欲しいです。ヒース・レジャーの名前もしっかり出ました。

 

個人的にすげーと思ったのは『インターステラー』の楽曲メドレー。(1h51m~)
Google Play Musicで何度もサントラを聴いていましたが、ライブ版はさらに迫力があります。「DAY ONE」のじわじわ始まる感じがほんとすごいの。。
映画を観た方なら記憶に残っているであろう、あのドッキングの場面の曲「No Time for Caution」が最大の聞き所。

そして最後は『インセプション』メドレー。
街がぐにゃりとと折れ曲がる様子が頭に思い浮かびます。
最後は「Time」で締め。

知らない曲ももちろんあったのですが、それでも十二分に楽しめました。
ぜひヘッドホンで重厚な世界観を味わってほしいです。

余談ですがハンスジマーご本人、そこそこお年かと思うのですが、ピアノも指揮もこなし、まだまだ元気そうなご様子。
てっきりスキンヘッドの方だと思っていたのですが、誰かと思い違いをしていたようです笑

本人の楽曲に関する解説をきける点もいいですね。

 

ゲーム音楽好きにもおすすめ

ハンスジマー、実はあのFPS『コールオブデューティーMW2』の音楽も担当していたりします。『ダンケルク』のあの迫力も、この下地があったからかもしれませんね。
サウンドの傾向的にどれもスケールの大きい楽曲が多く、
『メタルギアソリッド』シリーズの音楽が好きな方や、ロックバンドのMUSEファンの方にもオススメしたい作曲家です。

気になった方は一度ネッフリやライブ盤をチェックしてみてはいかがでしょうか?

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ポッドキャストはじめました。音楽レビューもやってます!

「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。

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マイブラの名盤『LOVELESS』と赤ワインをバレンタインデーに

【サマソニ 2018年来日!】

明日はせっかくのバレンタイン・デーなので、毎年これを聞くのだけは外せない、マイブラッディバレンタインの名盤『ラブレス』について語ろうと思います。

サマーソニックの前夜祭である、ソニックマニア(通称:ソニマニ)でライブが決定。せっかくなので、マイブラッディヴァレンタインの魅力を少しお伝えします。

今週のお題「バレンタインデー」

【バレンタインに聞きたい名曲】

 洋楽好きからカルト的人気を誇る『ラヴレス / MY BLOODY VALENTINE』。
とりあえずヘッドホンで耳を包み、轟音で聞いてみてください。
赤い音の津波に打たれ、ただただ圧倒されるのみ。
1曲目の「Only Shallow」も超名曲かつ衝撃的なんですが、
個人的にこのアルバムで最も好きなのは「When You Sleep」という一曲。

轟音の中を泳ぐような高音のメロが通り抜けていきます。
ノイジーなサウンドだけでなく、メロディーがしっかりしているところが多くの人の心を掴んだのでしょう。
ニルバーナやナインインチネイルズが好きな方もきっと気に入るはず。

ほかには「Sometimes」も有名ですね。

映画『ロスト・イン・トランスレーション』でも挿入歌として使用されており、退廃的に表現された日本のごみごみした部分を、温かいギターのノイズで表現しているようなはまり具合。
この感じ、ほかにはありませんね。
アルバムを通して統一感もあり、はじめての方にも、ぜひ通して聞いてほしいです。
先日バレンタインデーに向け、リマスター版も買ってしまいました。

【アルコールとの相性◎】

ここまで書いておいて、実はシューゲイザーのバンドはあまり詳しくありません。
でも非シューゲイザーバンドのシューゲイザー的トラックはもっと好きです。
スピッツの「惑星のかけら」U2「夢の果てまでも」R.E.M.の「Let Me In」など、シューゲイザーチックは曲がかなりツボ。
とにかくアルコールの陶酔感との相性が抜群なんですよね。
特にマイブラの『ラブレス』は濃い赤ワインがほんとに合う。

赤い液体から漂う香りが鼻を満たし脳髄を麻痺させ、そこに音の波が流れ込む。
心の混沌を肯定してくれるかのような。

「お酒の正しい用法ってこうなんじゃないの?」と思ってしまうほど。
別の世界に飛びたい方は、ぜひワインを飲み干し、赤い渦の中へ。

【シューゲイザーの金字塔】

あのブライアン・イーノもベタ褒めしたマイ・ブラッディ・バレンタインの代表作を、バレンタインの日に聴いてみてはいかがでしょうか?
ソニマニのライブも東京のみですが、観てみたいですね。

LOVELESS

LOVELESS

初めて知ったのですが、U2と同じくアイルランドのバンドだったんですね!

世界最重要ロックバンドU2が日本で評価されない7つの理由

岡崎体育ファンクラブの新システムbitfanは果たして悪なのか?

【優劣をつけることへのジレンマ】

『Music Video』で大きな話題を巻き起こした、あの岡崎体育のファンクラブ『Wallets』に「bitfan」というサービスが導入されることが先日発表されました。

Wallets有料会員の皆さまの行動が毎日「ポイント」として加算されていきます。 ポイントに応じて、「Wallets会員 ランク」が変動し、ランク上位者にはbitfanだけの特別な体験、特典をプレゼント!

Wallets×bitfan 始動!! | 岡崎体育 オフィシャルウェブサイト

つまり、ユーザーの"熱量"にあわせて特別な体験をプレゼントする、という新しい試み。

海外ではすでに数例、導入されていますが、日本ではおそらく初めての試み。

一見、"選民"とも思われること新しすぎる試みに、ネット上では賛否両論の嵐。

僕自身、岡崎体育さんのライブに一度訪れたことがあるので、ファンとしての私見を交えて思いを書いてみます。

【日本初導入の制度】

 インターネット上での批判の嵐に対して、2018年2月3日、岡崎体育さんの公式ブログへ本人の思いが投稿されました。(※ちなみにはてなブログです)

taiiku-cawaii-japan.hatenablog.com

いくつか本人のブログから抜粋させて頂きながら、私見を交えていきたいと思います。
まずは岡崎体育さんから今回のシステム導入に関する説明。

要は、『岡崎体育という歌手のライブ参加やグッズ購入で「相対的に多く」お金を使ってくれたファンクラブ会員に+αのサービスを受けてもらおう』というものです。 特定の会場で握手をしたり、一緒に写真を撮ったりだとか。そういうサービスです。まだまだいろいろ考えていますが。(街で僕がひとりで歩いてるときに握手したりとかはまた別です。そんなのはいつでもやらせてもらいます)

ファンクラブの存在意義について - 岡崎体育ブログ 脂汗日記

海外ではテイラー・スウィフトがすでに似たような制度を導入したことも一時話題になりました。

また、あれだけ巨大なバンドにも関わらず、ファンとの距離が非常に近いU2も優先方式をとる、という噂が一度出ていたので、僕自身、この優先制度がどうなるのかずっと状況を見守っていました。

そんなところに、岡崎体育のこのニュース。
日本一号目が岡崎体育になるとは思っていませんでした。目の付け所がいいですよね。

以前、ブロガーのはあちゅうさんが「ファンとアーティストは互いに応援し合う関係」という主旨の発言をされていましたが、岡崎体育さんが目指すのはそこではないでしょうか。

ファンクラブってそもそも、わざわざ追加のお金を出して、好きな人だけが入るもの。
僕個人としては、お金を出しているファンが+αのサービスを受けることにはなんの抵抗もありません。 

「 (街で僕がひとりで歩いてるときに握手したりとかはまた別です。そんなのはいつでもやらせてもらいます)」

 こういう人間味あふれる部分も好きです。

綺麗事を言っても仕方ないから正直に言うと、 ファンの人たちから「賛同」と「お金」を得ないと ミュージシャンやアイドルは生きていけません。

ファンクラブの存在意義について - 岡崎体育ブログ 脂汗日記

あたりまえすぎて、言うまでもない部分。
ここを正直に書く本人の正直さもいいですね。 

ほかにも有名なブロガー はあちゅうさんの考え方も、もしかすると参考になるかもしれません。

 また、なんにも行動をしない人をファンと呼んでいいのかというと、難しいところです。
例えば、図書館で私の本を読んでもらえるのもうれしいのですが、本を一切買ってくれないと私は執筆活動が継続できません。いくらツイートを読んでくれたり、知ってくれたりしていても、見ているだけの応援は、私には届きません。
思いを声でも形でもいいから届けてほしいです。また、いいと思ったものをお金を出して買ってもらうこともものすごく大事です。それが活動のエネルギーになりますから。

はあちゅうが考える「いいファン」とはどんな人?-ファンとアーティストは互いに応援し合う関係:日経ウーマンオンライン【アラサーはあちゅうの声に出して言いたいこと】

 

またサービスの内容についても少し言及されています。

「ファンに優劣をつけるな!」という声についてです。 使った金額が低くて+αのサービスが受けられなかったとしても、 今までのファンクラブコンテンツを受けられなくなることは無いです。 今までのコンテンツが5だとしたら、+αの会員が5+αになるだけであって、 それ以外の会員が4になったり3になったりしません。5のままです。 今まで通りなんです。

ファンクラブの存在意義について - 岡崎体育ブログ 脂汗日記

このブログを読むまで、

(もし「サービスを得る」ことが目的化して、特別にお金を出さないとライブに行けない、なんてことにまでなるとそれは違うのかな・・・)

と思っていましたが、そんな理不尽なことはなさそうです。

いままでのサービスは今まで通り受けられる、とのこと。
この部分が守られているのであれば、特に批判されるようなことはないかと思います。

岡崎体育がさらに生み出す+α(あくまでプラスアルファ)のコンテンツを、お金を出せるユーザーが受け取る。

それの何が悪いのでしょうか?

ネットでは批判の嵐ですが、音楽好きの方は、一度岡崎体育のファンクラブが切り開くものが何か、考えてみてはいかがでしょうか。

【音楽の価値とは】

音楽の価値が大きく変化している今日このごろ。

  • Radioheadのアルバム『In Rainbows』で "IT'S UP TO YOU"(あなた次第)のフレーズとともに、リスナー自身にアルバムの価格を決めさせたり、
  • 月額1000円で聴き放題のストリーミング配信サービスがあらわれたり。
  • U2のように新作を全世界のiPhoneに無料配布する例があったり。

音楽業界、この10年で荒れ狂うような荒波に揉まれています。

 ただCDを出していれば勝手に売れていく、そんな時代はもう終わりました。
いま、どのアーティストも、「音楽の価値ってなに?」という命題に頭を抱えていることでしょう。

で、その結果このシステム導入のGOサインを出したのは他でもなく、この僕です。 サイト運営会社もレコード会社も、1mmとて悪くないです。 僕が決めたのですから。

ファンクラブの存在意義について - 岡崎体育ブログ 脂汗日記

そこに、岡崎体育がおそらく相当叩かれることは覚悟で、このシステム導入。

結局なにが言いたいかというと、古くさい価値観にとらわれず、新しいことに挑戦し続ける岡崎マジぱねえ、ということ。

批判に負けず、さいたまスーパーアリーナでライブができるよう、音楽を作り続けてください。
まあ、この人のことなので、いまごろ寝ころびながらポケモンでもプレイしていることでしょう。

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BASIN TECHNO

BASIN TECHNO

スティーブライヒの最新作が発売!おすすめの名曲5選

最新アルバムが発売

ついに出ました。スティーブ・ライヒの最新アルバム『パルス/クオーテット』。
新作が発売され早速聴いてみましたが、その世界観は未だに健在!
今回、せっかくの機会なのでスティーブライヒのオススメの曲をいくつか紹介してみたいとおもいます。 

 

Steve Reichtって誰?

スティーブ・ライヒ、その名前の響きからも風格が漂っていますが、
現代音楽好きなら知らない人はいないであろう、大御所中の大御所。

ミニマル・ミュージック、といえばまずこの人の名前が出てくるほどの音楽家です。

「ミニマルミュージック」とは、
簡単にいえば、同じ音の繰り返しがずっと続く音楽。
それが少しずつ変化していき、独特の「”ゆらぎ”」を生み出します。
(※勝手に僕のことばで表してみたので、間違っていればすみません)

 "現代音楽"ときくと、どうしても姿勢がピッと正されてしまいそうなぐらい高尚なやつ、と思ってしまいがちですが、一度ハマりさえしてしまえばミニマル・ミュージックは特に聴きやすい部類に入ります。

今日は読者のみなさんにミニマリズムな世界観を味わっていただくため、おすすめの有名曲をいくつか紹介したいと思います。

 

代表曲の紹介

有名な曲のなかで、特に初心者にもおすすめの曲を5つ紹介したいと思います。
(※スティーブライヒはきちんとした理論に基づき、緻密な計算で音符を並べているようですが、音楽理論をほとんど知らない僕がそこを語れるはずがありませんので、あえて背景を説明せずに感覚的な紹介をしてみようと思います。)

まずは僕がライヒにハマるきっかけとなったこの曲から。

City Life

23分以上もある曲ですが、ライヒの曲では当たり前のような長さ。
実際聴いて頂くとわかるように、街の生活でのせわしなさを感じさせるような一曲です。
ドキュメンタリー作品が好きな僕は、一発で引き込まれました。

上の動画では映像付きですが、映像なしでも頭に同じような景色がバッと広がります
合わない人は諦めず、次の曲へ。

Electric Counterpoint

イギリスを代表するテクノグループ、The Orbの「Little Fluffy Clouds」という曲にも取り入れられていることで有名です。
あのRadioheadのジョニーにもギターでカバーされ話題になりました。

本来は14分43秒もある曲なのですが、上の動画はその曲の3楽章目の抜粋です。
聞き所は2:16~あたりからの転調部分。
いきなりそこの部分を聴くと魅力半減ですが、始めからの流れで聴くとこの展開に「おっ」と驚かされます。
あなたはこの”ゆらぎ”を感じられるでしょうか?

 

Drumming

次はシンプルな一曲。タイトルも「ドラミング」と無駄がありません。
言ってしまえばただ数十分間ドラムを叩き続ける曲なのですが、

「"ずれ"が生み出す快楽」を鋭く捉えた一曲だと思います。
演奏するさままで芸術的。
この動画を一本見ても心に響かないのであれば、スティーブライヒは諦めた方がいいかもしれません。

 

New York Counterpoint

はじめに紹介した「City Lfe」に近い音ですが、より柔らかで活気があり、人々の行き交う様子や声が聞こえてきそうな独特の雰囲気を醸し出しています。

こんな生活臭のする音楽、他にあるでしょうか?
久しぶりニューヨークの活気を見に行きたくなりました。

 

18人の音楽家のための音楽

ミニマル・ミュージックの古典。最も有名なライヒの曲でしょう。
とにかく聴いてみてください。合法ドラッグとはまさにこの曲のこと。
個人的には、33:30~あたりの展開が特に好きです。

聴くだけでトリップ?ドラッグソング名曲10選【イヤホン推奨】

 

新アルバムレビュー・感想

最後に、さっそく新作の『Pulse/Quartet』、聴いてみたので軽く感想を。
この最新アルバムでは、昔の二曲を一つにまとめる、という試みが行われています。
たいがい、二つの音楽を混ぜると下品でまとまりのない感じになっていますが、さすがスティーブライヒ、そんなことは一切感じさせません。
今までのライヒが好きなら、間違いなく楽しめる一作となるでしょう。

Pulse/Quartet

Pulse/Quartet

 現代音楽家好きの方は、ぜひブライアンイーノの記事もどうぞ。

ポッドキャストはじめました。

「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。
洋楽やU2についても熱く語ってます。

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世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】

※(2018.6.15更新):6月22日にNHK Eテレ『ららら♪クラシック』でライヒの特集が組まれるようです。吉松隆や、VTRで石野卓球が出演するとのこと。

エルトンジョンって誰?『キングスマン2 ゴールデン・サークル』

【Elton Johnってだれ?】

ついに公開された続編の『キングスマン2』、さっそく見に行ってきました。
1作目のぶっ飛び感を止めず、さらに加速させたようなナイスな内容でした。

一点どうしても気になったのが(ネタバレになってしまうのですが)、エルトンジョンの登場について。
キングスマンに出てくるのは濃いキャラクターばかりなのですが、その中でもひときわ目立っていたエルトンジョン

特に若い方は「エルトンジョンってだれ?」と困惑したのではないでしょうか。

派手な衣装を身にまとい、強烈な印象を残していましたが、
彼の本業は俳優でなく音楽家・歌手です。
クイーンやローリングストーンズにも並ぶほどイギリスでは有名です。

そんなエルトン本人が体を張っての格闘シーンもあり、本当に驚きました。

【格闘技】ブラジリアン柔術が極まる映画の格闘シーン10選

イギリスで1,2を争うほど有名なゲイ能人であるエルトン・ジョン。
昔からバイセクシュアルであることをカミングアウトしています。
曲も同性愛について歌ったものもちらほら。

せっかくなので、ゲイの僕自身がリスペクトしているエルトンジョンについて、紹介してみたいと思います。

【おすすめの代表曲】

Saturday Night's Alright for  Fighting

続編である 『キングスマン2 ゴールデンサークル』のトレイラーや劇中歌としても使用されている、「Saturday Night's Alright for Fighting(土曜の夜は僕の生きがい)」という曲。

印象的な冒頭のギターリフ、一度は耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。ロック好きなら必聴。車を飛ばしながら、週末に聞きたい一曲です。

 

Your Song (僕の歌は君の歌)

エルトンジョンの代表曲、「ユア・ソング」。

日本人に「ピアノバラードといえばエルトンジョン」というほど強い印象を植え付けた曲でもあります。(実際は上の曲のようにハードな曲もたくさんあるのですが・・。)
「LOVE」というワードを使わず相方への思いを乗せた詩が素敵すぎます。

 

Stan (feat. エミネム)

なんと、あの白人ラッパー・エミネムとのコラボで話題をよんだ「スタン」という曲。
そのドラマチックな展開は、ヒップホップが苦手な方でも十分楽しめるはず。

「エルトンジョンってねっとりしたバラードが多いよね」という認識をいまだにお持ちの方は、この名曲を聴いて考えを改めてください。めちゃくちゃかっこいいです。

 

All The Young Girls Love Alice

レズビアンの女の子が主人公、という歌詞の内容。
ラストもLGBT関連の映画のように救われないENDを迎えます。
世の中を直球で批判するエルトンかっけー、というのが味わえる一曲。

レズビアンの方にはぜひ聞いて欲しいです。邦題も「女の子、みんなアリスにくびったけ」と名付けられています。
「Daniel」などゲイ・同性愛者・LGBTに触れた曲は他にもいくつもあります。

 

Pinball Wizard (ピンボールの魔術師)

 The Whoの代表曲を彼がカバーするとこんな感じ。
映画『TOMMY』でピンボールの魔術師として出演するエルトン・ジョンですが、
今回の『キングスマン2』に関しても、この頃の影響を強く感じました。

今回の格闘シーンのハチャメチャ感が気に入ったかたは、この曲でのエルトンジョンのはしゃぎっぷりも気に入るはず。

ちなみに、ザ・フーの「My Generation」という曲のカバーもトレイラーにつかわれているので、気になった方はそちらもチェックしてみてください。

ピンボール好きな人は、この記事もどうぞ。

大阪のピンボール専門店シルバーボールプラネットを訪れた

【Kingsman2のサントラもぜひ】

いかがだったでしょうか?
エルトンジョンの名前を聞いたことがない方も、代表作『黄昏のレンガ路』からエルトンジョンに入門してみてはいかがでしょうか?

※キングスマン2のサウンドトラックにはエルトンジョンの曲は一曲も含まれていませんのでご注意ください。

黄昏のレンガ路(ニュー・デラックス・エディション)

黄昏のレンガ路(ニュー・デラックス・エディション)

  • アーティスト: エルトン・ジョン,エド・シーラン,ミゲル,ハンター・ヘイズ,ザ・バンド・ペリー,ジョン・グラント,エミリー・サンデー,イメルダ・メイ,フォール・アウト・ボーイ,ザック・ブラウン・バンド,ワーレイ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る

他にもオープニングにプリンスの「Let's Go Crazy」やフランクシナトラの「My Way」、 ジョンデンバーの「カントリーロード」 なども使用されており、洋楽を普段聴かない方も、この機会に洋楽に触れてくれれば、と思うほど音楽のチョイスが素晴らしい映画でした。

洋楽ロック初心者におすすめのU2アルバム5選【紙ジャケ版】世界最重要ロックバンドU2が日本で評価されない7つの理由

【格闘技】ブラジリアン柔術が極まる映画の格闘シーン10選

※追記(2018.1.18):第60回グラミー賞授賞式でパフォーマンスを行うことが決定。楽しみですね!!
ツアー・ライブからの引退も宣言した彼ですが、今後はどうするのかも目が離せません。

※追記(2018.4.12):レディ・ガガやサムスミスなど豪華アーティストがエルトンジョンの曲をカバーしたトリビュートアルバム『Revamp』も発売されました。

※追記(2018.5.25):エルトンジョンの人生を描いたミュージカル映画『ロケット・マン /(Rocket Man』もアメリカでは公開予定とのこと。これも楽しみですね。
ロケットマン、クリスマスのCMもかなりいい感じ。
主演はタロンエガートン。
『ボヘミアンラプソディー』好きなら必見の映画ですね。

実写版『ライオキング』にエルトンジョンの曲『Can you feel love』も収録したそうです。かなり活動的ですね…


あ、ポッドキャストはじめました。

「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。
洋楽についても熱く語ってます。

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『SONGS OF EXPERIENCE』U2の新作全曲レビュー

【ソングス・オブ・エクスペリエンス】

 ついに2017年12月1日に発売された、全世界待望のU2の最新作、『Songs Of Experience』。13曲(ボーナストラックを含むと17曲)で構成されています。さっそく発売日に到着しアルバムのイメージをつかめたので、全曲感想を書きたいと思います。
※(2018.3.11追記):NHK BSプレミアムにて3月17日『U2 ライヴ アット アビーロード スタジオ』としてオーケストラとの共演が放送されるようです.

【新作アルバム全曲感想】

曲に込められた背景はBono自身がライナーノーツで語っていますので、詳細はアルバムを買って読んで欲しいと思います。
今回の記事は、サウンド面がメインのレビューとなります。

1曲目 :Love Is All We Have Left

『ラヴ・イズ・オール・ウィ・ハヴ・レフト』

刺激のあるロックナンバーで始まるパターンが多い最近のU2の傾向から外れ、「約束の地」を感じさせる空間的なサウンドでアルバムが始まります。
ブルックナーのトレモロとでもいえましょうか。

優しい音に包まれてながら、ボノが「愛は僕らが残したものの全て」と何度もリスナーに語りかけます。

そして1:23~辺りで急にボコーダーで加工された声が。

2011年頃にNYで披露されたスパイダーマンのミュージカルに提供された「Rise Above」という曲のメロディーをコーラスに感じるのは僕だけでしょうか。

この曲で、U2の今作を"アルバム単位"で聴いてほしいという意志がはっきり示されます。
 

2曲目 :Lights of Home

エッジのギターで始まる、ロックチューンな「これぞU2」といった一曲。
重く力強く響くラリーのドラムがたまりません。

長年のファンでも納得の一曲でしょう。
HAIMというアメリカの姉妹バンドが参加している曲とのこと。
2:19~から円熟のエッジのギターソロが聞き所。
Free yourself to be yourself
If only you could see yourself
自分自身であるために、解放せよ
自分自身がわかってさえいれば
最後に繰り返される歌詞が本当に鼓舞されます。ゲイの僕には直球で迫る歌詞。
個人的に今作の一番胸に響きました。
これをプロモーションとして発売前に公開しなかったU2は偉い。
心なしか、ギターがアメリカで大流行したドラマ『ブレイキング・バッド』のOPに似ている気がします。
 
3曲目 :You're The Best Thing About Me

壮大な広がりをみせるアルバムに引き込まれた耳に、シングル曲である「ザ・ベストシング」が斬り込みます。

「うぇんゆるーっくそぐぅー」という始まりが気持ち良すぎます。
実際に歌ってみないとこの曲の魅力は理解できないかも知れません。
J-POP的なメロディーラインや転調がニクい一曲。

 「ユー・アー・ザ・ベストシング・アバウト・ミー」、意味としては
「君は僕におきたベストなできごと」という感じでしょうか。 詳細は下記の記事もどうぞ。

『You're The Best Thing About Me』U2の最新シングル - 世界のねじを巻くブログ

U2受けがよくないアジア圏でも、チャート上位に躍り出たことが話題になりました。
音楽センスの違いは難しいですね。
個人的にはスピッツの「ハチミツ」にちょっと似てると思うのです。

「ユーツーってなんかメロディーが聴きづらい」と思う邦楽オタクな方や、U2初心者の方はこの一曲から聞き始めても良いかもしれません。

強いメロディーを奏でるシンセサイザーの音に耳が寄ってしまいがちですが、
3:00~あたりから左の方で鳴っているエッジの空間的なギターが『All That~』の頃を思い起こさせたり、ファンの心もしっかり掴む一曲。

 

4曲目 :Get Out Of Your Own Way

煌びやかな音が徐々に聞こえてくるとともに、0:18~あたりから「Beautiful Day」を彷彿とさせるビート音が曲を前進させ、そこにメンバー全員のコーラスが加わります。

 The Killersの新作のプロデュースも行ったジャックナイフ・リーによって手掛けられた曲。曲調的にはコールドプレイ+キラーズ+U2を三で割ったような感じですね。

2:35~のエッジのディレイギターが聞きどころです。
ボノの力の抜けた声がたまりません。
詳しくは下記の記事もどうぞ。

『Get Out of Your Own Way』U2の新曲が流出


5曲目 :American Soul

わかりやすいギターロックで、若者受けがよさそうな一曲。
この「アメリカンソウル」がシングルでも十分なぐらいのキャッチーさですね。
前曲の「ゲット・アウト・オブ~」のケンドリックラマーのラップから曲がつながっており、曲の頭でケンドリックラマーのスパイスが効いてます。

何気にギャップレスで曲が繋がっているのはU2では初めての試みですかね!?

サビは昔360°ツアーで披露された「Glastonbury」をもとにしていますね。
前作の「Volcano」にも似ています。
バックでピコピコ音が鳴っているのもポイント高し。

 『アメリカンソウル』というタイトルですが、間違いなくトランプ政権の影響が見てとれます。2:35~あたりからの歌詞は、サビのシンプルさから一転し、かなり真面目な内容。

6曲目 :Summer of love 

左右でシャカシャカ鳴るマラカスが印象的な一曲。赤く熟したマンゴー、といった感じのサウンド。音の残響に特殊な加工がされています。

一時期大流行したゴティエ 「Somebody That I Used To Know」のU2版といったところでしょうか。ベースもちょっと似ている気がします。

歌詞の韻の踏み方もさすが詩人のBono

実はこの曲のバックコーラスはレディ・ガガが参加しているとのこと。
(Lady GagaとU2は以前コンサートで共演したこともあります)

 

7曲目 :Red Flag Day

アップテンポなカッティング・ギターで始まる一曲。

 ジョンレノンの次男であるショーン・レノンが参加しているとのこと。
 1:24~あたりから手拍子が曲調をさらに加速させます。
『原子爆弾解体新書』の「Fast Cars」が好きな方はど真ん中の曲でしょう。

CDで聴くと音質も非常に良いので、一つ一つ聞こえる音が気持ち良い曲。

 

8曲目 :The Showman (Little More Better)

変に曲をいじらず、人間味を見せるようなサウンドが、歌詞のイメージとぴったりです。ボノのボーカルがかなり上機嫌です。

2:20~からの不思議な展開&エッジのコーラスも◎
フェードアウトの仕方がU2の曲としては珍しいですね。

良い意味でU2のダサさが前面に出ている曲。もし今が90年代なら流行りそうな感じ。
ファン以外の方にはボノの声がちょっとクドく聞こえてしまうかもしれません笑

 

9曲目 :The Little Things That Give You Away

『Joshua Tree Tour 2017』で披露された「リトル。シングス・ザット・ギブ・ユー・アゥェイ」。ボノ自身について書かれた曲とのこと。
ライブで歌われていた動画を見ていた限りでは、正直メロディーがシンプルすぎて「あれ?」という印象だったのでした。

U2の最新ライブ『Joshua Tree Tour 2017』セットリストが凄い
しかしアルバムバージョンはかなりお洒落にアレンジされてます。大人なアダムのベースの影響も大きいかと。
最後は『原子爆弾解体新書』的なU2らしい盛り上がりを聴かせてくれます。

 

10曲目 :Landlady

妻のアリについて書かれた歌。この曲の魅力は何といっても歌詞でしょうか。
シンプルに思いを歌い上げます。二人が長年、ここまで強く結びついているとは。
こんな歌をいれてくれたら、妻のアリさんも嬉しいでしょうね。

 最後の畳み掛けが『Walk On』のラストの展開に似ています。

 

11曲目 :The Blackout

「この曲でアダムのベースを聴かなくてどうする!」というほどベースのグルーヴ感MAXな一曲。重厚なベースにヘッドホンが震えます。
若干ローリングストーンズの『Miss You』のベースラインを思い起こさせます。

音作りも、他の曲に比べてライブ音源を録ったような加工になっていますね。

 「ザ・ブラックアウト」= 停電・消灯・闇など色んな意味があるようです。

アルバム発売前から、ライブ映像が公開されており、ファンの評価も高かった一曲。
ダレがちなアルバムの後半を「これでもか!」と盛り上げます。

【The Blackout】U2がアナログレコードで新曲を発売

 

12曲目 :Love Is Bigger Than Anything in Its Way

「ラブ・イズ・ビガー・ダン・エニシング・イン・イッツ・ウェイ」と非常に長いタイトルの一曲。和訳すると「恋は何にも劣らない」という感じでしょうか。

分厚いストリングスが宇宙的な広がりを聴かせてくれる一曲。
「No Line On The Horizon」と名曲「Ultra Violet」を足して2で割ったようなイメージ。

2000年以降のU2が好きな方はハマるはず。映画のサントラにもぴったりな一曲です。

 

13曲目 :13 (There is a Light)

13曲目ということで、タイトルも13。
アルバム『WAR』の「40」につぐ、数字タイトル曲ですね。 

前作『Songs Of Innocence』から「Songs For Someone」の曲を使ってドラマチックにアルバム本編の幕を閉じてくれます。

前作を背景に聴くと、歌詞やサウンドも相まって、本当にU2ファンで良かったと心から思います。

アルバムの最後はぜひジブンの耳でお確かめください。

 

↓ここからはボーナストラック。5曲も収録されており、ボーナスの範疇を超えてます。

14曲目 :Ordinary Love (Extraordinary Mix)
今までアルバム未収録だった「オーディナリー・ラブ」。
ネルソン・マンデラの映画『マンデラ 自由への長い道』の挿入歌になりました。
AIDS対策を支援する、(RED)キャンペーンでもとりあげられた一曲。
このアルバムを「世界エイズデー」である12月1日に出したのは、この曲があるからかもしれません。ドラマチックな展開で、隠れた名曲だと思います。
 
15曲目:Book Of Your Heart

この曲をアルバム本編に持ってこなかったのに驚くほどの良曲。
"U2らしいサウンド"すぎて音が濃くなるのを控えたのでしょうか?

通常版と迷っている方は、5曲も多く収録されているデラックス盤をおすすめします。

 

16曲目:Lights of Home (St Peter's String Version)

曲の頭からRadioheadの「Burn The Witch」的なストリングスの波が押し寄せます。
オリジナルバージョンと比較すると、迫力満点でビビってしまうほど。
原曲の方がアルバムのイメージに合っていることは間違いないですね。
思い切ったアレンジがボーナストラックで聴けることに感謝の一言です。

 

17曲目:You’re The Best Thing About Me (U2 vs Kygo)
ボーナストラックとして、トロピカルEDMとして有名な、DJカイゴとのリミックス曲が収められています。なんとEDMにも挑戦する57歳のボノ。
1:45~からのBonoの声の加工の仕方とかが本当にウマいです。
EDMもまだまだ捨てたもんじゃないですね。
 
18曲目:ザ・ブラックアウト(ジャックナイフ・リー・リミックス)

ブラックフライデーに発売されたシングル盤のB面に収められているリミックス曲が、日本版のみのボーナストラックとして収録されています。

かなり冒険したリミックスで、ファミコン時代の8-bitサウンドが好きな方は気に入るのではないでしょうか。

ーーーーーーーーーーーーー
iTunesやGoogle Play Music,Spotifyでも視聴できるようなので、一曲ずつ視聴してみるのもおすすめです。
ちなみに「アルバムジャケットに写っているのは だれ?」と疑問に思う方は多いと思うのですが、誰かというと、実はボノの息子とエッジの娘。かなり似てますね。
「WAR」のアルバムカバーのように帽子をかぶっているのがいいですね。

【来日や評価は?】

前作『Songs Of Innocence』と対をなす新作アルバム『ソングスオブエクスペリエンス』。2作揃ったことで、世界観がさらに広がりを見せました。
過去作へのオマージュから新しい音まで、何からなにまでユーツーの音で満ちた名盤。
音質もかなりこだわりがみられ、ドラムの細かいニュアンスまで聞き取ることができます。

ライブツアー『eXPERIENCE + iNNOCENCE Tour 2018』も決定しており、来日の噂もちらほら。日本でのコンサートがみてみたいですね。
ワンアンドオンリーなU2の新アルバムをぜひ。

洋楽ロック初心者におすすめのU2アルバム5選【紙ジャケ版】

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U2が日本で評価されない7つの理由【洋楽ロック】

【欧米では人気アーティスト】

みなさんはU2というバンドをご存じでしょうか。
U2と書いてユーツーと読みます。ミュウツーでもウニでもありません。
世界で最もライブ収入が多く、グラミー賞も最多受賞という驚異のアーティスト。
それでも日本でのU2の知名度は、クイーンやローリングストーンズ、オアシスやレディオヘッド・レッチリといったバンドに劣る気がします。

U2ファンとして、なぜ欧米では人気のU2が日本ではそれほど人気ではないのか、ざっくばらんに書いてみたいと思います。

あくまで個人的な推測ですが、歌詞からビジュアルまで、日本でU2の評判がパッとしない理由をまとめてみました。

1:人権・宗教・反戦・ドラッグなど歌詞の内容が重い

U2といえば「Sunday Bloody Sunday」や「Pride」などが挙げられますが、アイルランドの「血の日曜日事件」を批判したり、キング牧師を称える歌だったりで、曲のテーマが非常に重たいです。
他にもヘロイン中毒を描いた「Bad」や、ユダのキリストへの裏切りを描いた「Untill The End Of The World」などあげればキリがありません。
デビューアルバムの頃から、若くして亡くした母に対する曲も何曲も書いたりします。

日常を歌った歌詞が多い邦楽に慣れ親しんだ日本人には、少し説教臭いと感じてしまうのではないでしょうか。
初期からこんな感じなので、U2の軸のブレなさには尊敬の一言。

2:わかりやすいラブソングが少ない

U2には他のアーティストにありがちなシンプルな恋愛ソングが少ないです。
何だかんだで大衆の心を掴むのはバラードや恋愛に関する歌。

U2のラブソングとして有名な「With Or Without You」も単なるラヴソングではなく、教義の違うカトリックとプロテスタントのカップル葛藤を描いた曲です。

「The Fly」ではなんと主人公を"蠅"に例えてみたり、一筋縄ではいかないのが,U2の歌詞の特徴といえるでしょう。

3:キリスト教・宗教色が強い

U2はメンバーの4人中3人がクリスチャンという珍しいバンドです(ベースのアダムのみ無神論者)。

そのため、十字架や神・教会などキリスト教関連のワードが歌詞にバンバン出てきます。

ハリウッド映画でも聖書をモチーフとした話は良く出てきますが、ストレートに表現するパターンはあまり多くありません。

代表作のヨシュアツリーやアクトン・ベイビーもアルバム全体を通してキリスト教の世界観が描かれています。一番メロディーが聴きやすいであろう代表曲「One」でさえ、宗教的なテーマがたっぷり。
聖書の聖句を引用した歌詞も多く、キリスト教的な教養がなければ十分に楽しむことができません。日本で受けるわけがありませんね。

逆にいえば、欧米で受けている理由のひとつとして、この宗教観によって深められた曲の深み、があげられるのかも。
 
まあ一言でいえば、真面目な曲が多すぎるんですね、U2は。

4:欧米寄りなサウンド
最近の学生や若者でも、オアシスやコールドプレイ、レディオヘッド、Queen、ビートルズは聞こう、となるのにU2を聞く方が少ないのはここに理由があるように思います。

音が非常に空間的でヨーロッパ的なのがU2の音の特徴。 スケールも非常に広大です。
「Stay (far away )」なんて、一度はヨーロッパの街並みを歩いてみないと良さがわかり辛い気がします。

ヨーロッパ的サウンドだということを裏付ける理由として、U2の中でもメロディ重視な「With Or Without You」は日本でもそこそこ知名度あることが挙げられるでしょう。やはりサビのメロディーでぐわっと持ち上げる曲でないと、日本では流行りません。ちなみにあの宇多田ヒカルやSuperflyもカバーしています。

その点、2017年12月1日に発売される『Songs Of Experience』収録の最新シングル「You're The Best Thing About Me」はわかりやすいメロディーなので日本受けも期待できるのではないでしょうか。

5.政治的発言・介入が多い
社会派バンドの代表であるU2ですが、色んな国に政治的発言を躊躇なく行います。そのため、それを快く思わない人層から反感を受けがちです。ライブでも思いっきりトランプ批判をしてました。そこがU2の凄さでもあります。
I don't know, I don't know which side I'm on.
I don't know my right from left or my right from wrong.
わからない、自分がどちら側にいるのか
わからない、右も左もどちらが正しいのか間違っているのか
                                 -「Two Hearts Beat As One」より
上記の歌詞のとおり、本人たちは右翼左翼どちらに傾くというわけでもなく、ひたすら正義を貫きます。
そういや最近、パラダイス文書の一件もあったりと偽善者といわれがちですが、アフリカやエイズ対策に巨額の寄付・支援をしてたりもします。口だけじゃないところがU2の凄さです。

(RED)×グランフロント大阪: 2017年は赤いクリスマスに?

 
6:日本受けしないビジュアル
昔はシュッとした顔立ちで女性にも多少人気はあったようですが、今のボノはサングラスをかけた50代のおっさん。海外でいう「サングラスといえばこの人」として挙がるぐらい有名なのがボノですが、そんなグローバルスタンダードは日本では通用しません。
日本人からすれば、「調子にのったセレブ」に見えてしまうのでしょう。

ギターのエッジも渡部陽一そっくりという有様。

ゲイの僕からすると、ドラムのラリーは日本人受けするかっこよさだと思う
のですが、あまりラリー好きだという話は聞いたことがありません。

カミングアウトデーなので、ブログでカムアウトしてみる【ゲイ】

外見は好みの問題なので、しかたないですね
まあ、ファッション的な要素ではデビッド・ボウイやカート・コバーンの貢献にはかなわないでしょう笑。
 
7:反日・嫌日家という誤解

U2は90年代の強引な企業買収や捕鯨に関して日本を批判したため、反日アーティストといわれがちです。

実際それは大きな間違いであり、アルバム『No Line On The Horizon』では有名な写真家である杉本博司さんの写真をジャケットに使用しています。

建築家の安藤忠雄とも電話をかけるほどの仲の良さであり、ほかにも吉野の桜を歌ったYoshino Bloomなんて曲も書いてます。

また、2017年にもお忍びで直島や京都にもプライベート観光にも来ていたようです。

90年代の強引な捕鯨は欧米人の批判の対象になるのは仕方ありませんが、それイコール日本嫌い に直結するわけではありません。
・・・「7つの理由」と書きましたがまだ書けそうです。
 
8:来日公演が少ない
他の大御所アーティストと比較して、日本でのライブに来てくれる回数が少ないです。
ストーンズやレッチリなどの有名どころと比較すると知名度が下がるのはそのせいでしょう。
ブルーススプリングスティーンやDepeche Modeが日本であまり評価されないのも同じ理由だと個人的に思っています。
 
それでも、日本はアジアの中で唯一U2のライブが行われた国であり、累計5回も来日コンサートにきています。最近コンサートがないのは、「ギャラが高すぎて呼べない」というのが現状かもしれません。

どうやら最新アルバムを携えたアルバムツアー『eXPERIENCE + iNNOCENCE Tour』では日本に来るという噂もあるようなので、2019年の来日に期待しましょう。
※最新作『Songs Of Experience』の全曲レビューを書きました!!

【新作は初心者にもおすすめ】

ここまでU2が受けない理由を挙げましたが、最後に来週発売の最新アルバムの紹介を。

2017年12月1日に最新作『Songs Of Experience』(ソングス・オブ・エクスペリエンス)、が発売されます。今までにないほどストレートなロックサウンドの曲が多めで、聴きやすいアルバムになっていると思われます。

海外でもいまだに強い支持を集めるU2の新アルバム、聴かない訳にはいかないでしょう。この記事を読んで興味をもった、初めての方もぜひ!!

音質の良いサウンドチェック向け洋楽アルバム10選【名盤】

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世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】

※追記(2018.9.2):ボーカルのBonoの喉の調子が悪く、声が出なくなったようですが大丈夫でしょうか。とても心配です。

※追記(2019.5.15):来日公演の噂がなんどもツイッターで流れてます。ライブ期待しましょう。

※追記(2019.12.5): さいたまスーパーアリーナのコンサートいってきました。中村哲さんへの追悼やオノヨーコ、草間彌生さんなどが背景に登場し 最後には日本国旗まで。反日なんてありえないほどの日本人への大サービスでした。

『Automatic For~』R.E.M.の名盤全曲レビュー

【25周年記念盤の感想】

「世界的にも影響力の高いバンド」として名高いアメリカのロックバンド R.E.M.(アールイーエム)。
2017年11月10日に、REMの代表作『Automatic For The People (オートマティック・フォー・ザ・ピープル)』が、25周年記念盤としてリマスターされ発売されました。
僕自身、学生時代本当に聴き込んだアルバムなので、素通りすることはできません。
改めて『オートマチック・フォー・ザ・ピープル)』全曲感想を書いてみたいと思います。

[:contents]

デラックスエディションも発売

まず感想・レビューを書く前にR.E.M.というバンドや、アルバムについての背景を。
REMはアメリカのロックバンドで、オルタナティブロック・カレッジバンドに分類されます。
つまり大学のラジオで流れ、口コミで大きくなったバンドのこと。ゴリ押しではなく、実力で成しあがってきたバンドといえるでしょう。

バンドの特徴としてはボーカルのマイケル・スタイプの声が、とにかく美しいことがあげられます。力押しな歌い方でもないのですが、
どこか心を震わせる芯の強さがあります。
特に高音がかすれずにクリアに出るのもすごいのよね。

そしてREMといえば哲学的な歌詞、ピーター・バックの力強いギター。カントリーミュージックっぽいのも◎

ちなみに、ボーカルのマイケル・スタイプ(Michael Stipe)はずいぶん昔に同性愛者であることをカミングアウトしています。

歌詞もゲイなら共感できる のちに紹介する「Everybody Hurts」もなかなか染みるものがあります。

 R.E.M.というバンド名の読み方は「レム」「アールイーエム」
どちらでもよいみたいです。
「レム睡眠」という言葉に由来するとかしないとか。
※ちなみにREMは2011年に解散しています。(本当にショックでした)


 REM名作全曲レビュー

 早速、ロック史でも評価の高い「オートマチックフォーザピープル」の全曲感想を書いていきましょう。

Drive

一曲目の「ドライヴ」を聞くと、すぐに音がクリアになっていることに気づくと思います。1992年発売のアルバムのため、もともと音は悪くないのですが、さらに音質が向上しています。

大ヒットアルバム、ということで一曲目からノリノリな曲を期待すると大事故を起こしてしまいそうな一曲。歌詞も難解。
マイケル・スタイプの声の重さが、このアルバムの展開を予見しています。

Try Not To Breathe

2曲目もまた重く、「死」について歌われた曲。「息をしないようにする」というタイトル。死が近い主人公が語るような歌詞になっております。

I will try not to worry you
I have seen things that you will never see
Leave it to memory me

君を心配させないようにするよ
僕は君が決して見たことがないものをたくさん見てきた
それを僕の形見にするよ

 死の淵に、パートナーのことを思う主人公の気持ちに胸が打たれます。

『ブレードランナー』のラストシーンにインスパイアそうです。

 

The Sidewinder Sleeps

このアルバムの中で、最も明るい曲。この曲だけふわっと浮いているほど。
2:33~辺りでは完全に笑い声まで入ってしまうほどの上機嫌ぶり。
リマスター盤でさらに音が華やかになった気がします。

"Call me when you try to wake her up"

と早口で何度も連呼され、知らない間に頭に残り続ける不思議な曲です。

 

Everybody Hurts(エブリバディ・ハーツ)

R.E.M.の代表曲の一つ。「男性が最も涙する曲」ランキングの1位に輝いたこともある名曲です。
自殺を図る若者を悔やんで、マイケル・スタイプが作った名曲。

メロディーや曲の構成は非常にシンプルなのですが、ボーカルが限りなく純粋で、歌詞も壊れそうなぐらい繊細です。
上記にも書いたように、同性愛者であるマイケルスタイプが書いた曲なので、
ゲイやLGBTも考慮して書かれた歌詞に違いない、と僕は思っています。

そういやディズニー映画「ズートピア」でも一瞬流れてドキッとしました。

 この「エヴリバディ・ハーツ」リリースされた数年後にあのMr.Childrenが、「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」という曲を出しています。
ミスチルは洋楽をオマージュした曲をいくつも出していますが、タイトルはおそらくR.E.M.の影響があったのではないでしょうか。

 

New Orleans Instrumental No.1

インストルメンタル、というタイトルの言葉のとおり、2分ほどのインスト曲。
左から聞こえるキーボードの音に、ストリングスが加わっていきます。
映画のサントラに入ってそうな曲ですね。

 

Sweetness Follows

オルガンが鳴り、ギターの歪んだ音が支配的に響く、
そこにマイケル・スタイプのボーカルが乗っていきます。

はっきり「死」に関して歌われており、歌詞の内容もなかなかに重いです…

Readying to bury your father and your mother What did you think when you lost another?
父と母を埋めようとしているとき、何を考えだろうか?

 上記のように歌われ、サビでは下記のように。

Oh, oh, but sweetness follows

でも、美しさが残る

暗い内容ですが、死が残すイメージをみずみずしく書いた一曲です。

 

Monty Got A Raw Deal

代表曲の「Losing My Religion」や、前作『Out Of Time』の中の「Low」という曲に少し似ています。
歌詞の内容は抽象的で、どう解釈していいのか、映画と現実の違いについて、歌っているように思えます。

 

Ignoreland

この曲で一番ロックサウンドな一曲。サウンド的には初期のレムに近いですね。
歌詞も政治や報道について批判的な内容を歌っています。

T.v. tells a million lies. the paper’s terrified to report Anything that isn’t handed on a presidential spoon,

テレビは百万もの嘘をつき、
新聞は大統領の範疇以外のことを書くのを恐れる

次作『モンスター』というアルバムでは、さらに政治的な方向に歌詞が振り切れます。
個人的に好きな一曲ですね。

 

Star Me Kitten

 二人のパートナーが離婚する前に、最後の愛を確かめ、セッ○スすう、という村上春樹的展開の一曲。

You are wild
And I'm in your possession
Nothing's free, so f**k me, kittenYou are wild 
君は野性的
そして僕は君に占領されているのさ
何も自由じゃない、だからF**kして

という歌詞で終わる、さりげなくスゴい歌です。
マイケル・スタイプはゲイなので、男同士の絡みを想像すると、ちょっとドキッとしますね。

Man On The Moon

このアルバムで特筆すべきなのは、ラスト三曲「Man On The Moon」~「Nightswimming」~「Find The River」流れ。

U2の『The Joshua Tree』がロック界の冒頭3曲の代表だとすれば、
R.E.M.の本作はラスト三曲の代表作といえるでしょう。ロック史のなかでも一二を争うほどの素晴らしさ。

アメリカのコメディアンであるアンディーカウフマンについて歌った曲。
かなりユニークな歌詞なので、気になる方はぜひ原詞にあたってみてください。

「マンオンザムーン」アンディーカウフマンを基にした映画『マン・オン・ザ・ムーン 』の主題歌としても有名です。

 

Nightswimming

Nightswimming deserves a quiet night

夜泳ぐのなら、静かな夜がいい

という一節で始まる一曲。短編小説が一本書けそうな独特の空気感です。
マイケル・スタイプのボーカルとピアノが絡み合い、美しいという言葉では決して言い表せないぐらい。 

「ナイトスイミング」、PVもいいんですよね。一押しの名曲です。
一度真夜中にプールで泳いでみたいですね。

 

Find The River

アルバムのラストを飾る、隠れた名曲。
歌詞も何かを達観したかのような、仏教的な思想が流れるように思えます。
シンプルながらも、REMにしか書けないような哲学的な内容ですが、マイケル・スタイプのボーカルのおかげでスッとこころに入ってきます。
 

 REMのすごさは、ヨーロッパ的な暗さがあるのに、アメリカで大ウケしているところ実力以外の何ものでもありません。

 このアルバムもテーマは「死」。しかしこんなアルバムが大ヒットしたの本当に驚きです。
ちなみに、このアルバムはNirvana(ニルバーナ)のカート・コバーンが銃で自殺する前に聞いてたアルバムという逸話も有名です。心して聞きましょう。

 今週のお題「芸術の秋」

【リマスター版の音質】

気になるリマスター盤の音質についても感想を。
元々このアルバムは音の悪さは目立たないのですが、今回のリマスターにより、さらにクリアに改善されました。
上にも書いたように、一曲目の「ドライブ」を聞くだけで、明らかにアコギをつま弾く音がリアルになっていることがわかります。

さらに、25周年記念エディション版(二枚組)のディスク2には、『Live At The 40 Watt Club』というライブ盤が収録されています。

レム公式のライブCDは他にもありますが、ここまでまとまっていると、買わざるを得ません。まさに代表曲のオンパレード。

初期の名曲「Finest Worksong」から有名曲「Losing My Religion」、「Country Feedback」までこれでもかと詰め込まれています。ボーカルの調子も抜群に◎。
1992年のコンサートの割に音も十分良く、REMを初めて聞くという方にもおおすすめです。

はい、こんな感じでそろそろ締めにかかりたいと思います。

この後、ボーカルのマイケル・スタイプは自分のセクシャリティをオープンにして『モンスター』というアルバムを発表します。ゲイやLGBTも、R.E.M.は避けて通れません。

REM解散後のマイケル・スタイプは立派な顎髭を蓄え、
「誰ですかこのダンブルドアは」状態なのですが、
まだ音楽活動は続けてくれているようです。

再結成して新アルバムでも出してくれるといいのですが、
残念ながらそんな噂はありません。
ちなみにアルバム内の写真はU2でお馴染みのアントン・コービンが撮っているとのこと。
 『Out Of Time』から続く名作『Automatic For The People』、本当におすすめです。ピン、と来た方はぜひ。
決して古びることのないアルバムです。

Automatic for the People

Automatic for the People

ポッドキャストはじめました。音楽レビューもやってます!
U2やStingなどについても熱く語ってます。

iPhone/iTunesで聴く→ https://itunes.apple.com/jp/podcast/世界のねじを巻くラジオ-ゲイのねじまきラジオ/id1409236261?l=en 

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「世界のねじを巻くラジオ」で検索を!

世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】

※追記(2019.9.20):『モンスター』の25周年盤も出るようです。ライブ音源も収録。
Monsterも名盤なので、必聴です!

『スーパーマリオ オデッセイ』主題歌から見る3Dマリオの音楽変遷

【Jump Up, Super Star!】

 2017年10月27日に発売されるニンテンドースイッチ専用ソフト『スーパーマリオオデッセイ』の主題歌である『ジャンプアップ スーパースター』。元気な曲名ですね。

頭の中で勝手に再生されるほどハマってしまったので、この曲も含め、3Dマリオの音楽について書いていきたいと思います。

【ミュージカル風のPV】

まずは『スーパーマリオオデッセイ』の主題歌である「Jump Up, Super Star!」を聞いてみてください。 

ミュージカル風のPVで、マリオが明らかにニューヨークをモデルにした街「ニュードンクシティ」を、マリオがGTAさながらあちこち駆け巡ります。
新しい「帽子」を使ったアクションや様々なステージも紹介されています。

一聴した感想として、まず耳に残るのは、デューク・エリントンやフランク・シナトラもびっくりのビッグバンドの華やかさ
ビッグバンドジャズでの主題歌とは思い切りましたね。
でもニューヨークといえばJAZZ。
このゲームはNYを元にした街なので、相性抜群なことは間違いないでしょう。

”「ニュー・ドンクシティ」の市長ポリーンが歌っている”という設定なのですが、
ボーカルも綺麗かつパワフル。楽器隊に負けない芯が通った声もまたいいですね。

 PVの衣装やダンスは映画『雨に唄えば』のオマージュを感じますし、
『ララランド』が好きな方も、間違いなくピン、と来るはず。 

サウンドだけでなく、歌詞もしっかり練られてます。 (日本語訳もあり)

Oh, we can zoom all the way to the moon
From this great wide wacky world
Jump with me, grab coins with me, oh yeah!

わたしたちは月まで飛んでいける
このとっぴな世界から
ジャンプして、コインをつかみ取ろう!

ところどころに「帽子」や「コイン」など『スーパーマリオオデッセイ』の世界観にはまったワードをちりばめてくるところがさすが。(和訳をもう少しうまくできればな)

There's no power-up like dancing
You know that you're my Super Star, (You're my Super Star)
No one else can take me this far
I'm flipping the switch
Let's do the Odyssey!

ダンスのようにパワーアップできるものは他にない
あなたはわたしのスーパースターだってこと知ってるでしょ
誰もこんな遠くに連れて行ってくれる人はいない
スイッチを切り替えて
オデッセイを旅しようじゃないの

「スイッチ」や「オデッセイ」という言葉もしっかり含んでおり、本作の世界観も説明されています。

30秒辺りでマリオのジャンプ音やコインがでる音が聞こえる演出もニクいです。

ちなみに、ポリーン市長が歌うこの曲は、マリオシリーズ初のボーカル曲らしいです。

任天堂公式HPで、ショートバージョンのMP3を無料でダウンロードできますので、気になる方はぜひDLしてみてください。(iTunesではフル音源をDLできます。)
また、公式サイトの音声ON/OFFスイッチを37回押すと、日本語版の主題歌が流れるようです笑

【3Dマリオのメインテーマ】

ここで、歴代3Dスーパーマリオの音楽を振り返ってみましょう。
まずは『スーパーマリオ64』から「ボムへいのせんじょう」。

【スーパーマリオ64】BGM メインテーマ - YouTube

いかにもゲームらしい音楽で、ワンワンの声やボム兵が爆発する音も不思議とマッチします。「スーパーマリオ64」はこれだけでなく、「さむいさむいマウンテン」や「クッパへの道」など名曲だらけのところがすごいですよね。

 

『スーパーマリオサンシャイン』から『ドルピックタウン』。

『ドルピックタウン』 スーパーマリオサンシャイン BGM

アルペジオがきいたギターで軽快に演奏されるメインテーマは、爽やかな夏を思い起こさせます。南国を舞台にしたドルピックタウン。
前作と比べると、なかなか思い切った路線変更で、難易度も高く、ポンプを使ったアクションがプレイの幅を広げました。
 

『スーパーマリオギャラクシー1・2』よりメインテーマを2つ。


スーパーマリオギャラクシー2 BGM メインテーマ

なんと、マリオシリーズでは初めてのフルオーケストラでの楽曲収録。
初めて音楽が公開されたときは、映画のサントラのような壮大な楽曲に若干の場違い感を感じたのですが、実際にゲームをプレイしてみると「宇宙」という世界観にしっかりマッチしていました。
他にも「かくかくもくざい」や「ウィンドガーデン」など思い切ったと名曲もたくさん含んでいます。未プレイの方はぜひ。

『スーパーマリオ 3Dランド』より「スーパーベルの丘」

【スーパーマリオ3Dワールド】1-1「スーパーベルの丘」

 実は未プレイです、すみません。WiiUを持っていなかったもので・・。

3Dマリオは歴代、世界観にあわせて音楽が作られている傾向があるように思います。
今回はNYという舞台にあわせたジャズテイストのサウンド。
シリーズを重ねるにつれ、だんだんストーリー性が強くなってきている3Dマリオですが、今回はどんな冒険ができるのでしょうか。

【サウンドトラックの素晴らしさ】

今回は「うた」で勝負してきたマリオオデッセイ。初めて聴いたときはびっくりしましたね。
僕自身、ゲームに限らず映画やドラマのサウンドトラックはかなり聴きます。
実際に真剣に音楽を聴き始めたのも、今思うと、学生の頃映画やゲームのサウンドトラックにはまったのが始まりでした。
今回音楽だけに着目しましたが、もちろんマリオオデッセイ自体も非常に楽しみです。
「 最近3Dマリオやってないな」という方も、Nintendo Switchの新作をぜひ。