世界のねじを巻くブログ

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『Automatic For~』R.E.M.の名盤全曲レビュー

【25周年記念盤の感想】

「世界的にも影響力の高いバンド」として名高いアメリカのロックバンド R.E.M.(アールイーエム)。
2017年11月10日に、REMの代表作『Automatic For The People (オートマティック・フォー・ザ・ピープル)』が、25周年記念盤としてリマスターされ発売されました。
僕自身、学生時代本当に聴き込んだアルバムなので、素通りすることはできません。
改めて『オートマチック・フォー・ザ・ピープル)』全曲感想を書いてみたいと思います。

【デラックスエディションも発売】

まず感想・レビューを書く前にR.E.M.というバンドや、アルバムについての背景を。
REMはアメリカのロックバンドで、カレッジバンドに分類されます。
つまり大学のラジオで流れ、口コミで大きくなったバンドのこと。ゴリ押しではなく、実力で成しあがってきたバンドといえるでしょう。

バンドの特徴としてはボーカルのマイケル・スタイプの声が、とにかく美しいことがあげられます。力押しな歌い方でもないのですが、どこか心を震わせる芯の強さがあります。特に高音がかすれずにクリアに出るのが流石です。そしてREMといえば哲学的な歌詞、マイク・ミルズの力強いギター。カントリーだって出来ます。

ちなみに、ボーカルのマイケル・スタイプ(Michael Stipe)はずいぶん昔に同性愛者であることをカミングアウトしています。
歌詞もゲイなら共感できる のちに紹介する「Everybody Hurts」もなかなか染みるものがあります。

 R.E.M.というバンド名の読み方は「レム」「アールイーエム」どちらでもよいみたいです。「レム睡眠」という言葉に由来するとかしないとか。
※ちなみに彼らは2011年に解散しています。(本当にショックでした)

 【REM名作全曲レビュー】

 早速、「オートマチックフォーザピープル」の全曲感想を書いていきましょう。

Drive

一曲目の「ドライヴ」を聞くと、すぐに音がクリアになっていることに気づくと思います。1992年発売のアルバムのため、もともと音は悪くないのですが、さらに音質が向上しています。

大ヒットアルバム、ということで一曲目からノリノリな曲を期待すると大事故を起こしてしまいそうな一曲。歌詞も難解。
マイケル・スタイプの声の重さが、このアルバムの展開を予見しています。

Try Not To Breathe

2曲目もまた重く、「死」について歌われた曲。「息をしないようにする」というタイトル。死が近い主人公が語るような歌詞になっております。

I will try not to worry you
I have seen things that you will never see
Leave it to memory me

君を心配させないようにするよ
僕は君が決して見たことがないものをたくさん見てきた
それを僕の形見にするよ

 死の淵に、パートナーのことを思う主人公の気持ちに胸が打たれます。

 

The Sidewinder Sleeps

このアルバムの中で、最も明るい曲。この曲だけふわっと浮いているほど。
2:33~辺りでは完全に笑い声まで入ってしまうほどの上機嫌ぶり。
リマスター盤でさらに音が華やかになった気がします。

"Call me when you try to wake her up"

と早口で何度も連呼され、知らない間に頭に残り続ける不思議な曲です。

 

Everybody Hurts(エブリバディ・ハーツ)

R.E.M.の代表曲の一つ。「男性が最も涙する曲」ランキングの1位に輝いたこともある名曲です。
自殺を図る若者を悔やんで、マイケル・スタイプが作った名曲。

メロディーや曲の構成は非常にシンプルなのですが、ボーカルが限りなく純粋で、歌詞も壊れそうなぐらい繊細です。
上記にも書いたように、同性愛者であるマイケルスタイプが書いた曲なので、
ゲイやLGBTも考慮して書かれた歌詞に違いない、と僕は思っています。

そういやディズニー映画「ズートピア」でも一瞬流れてドキッとしました。

 この「エヴリバディ・ハーツ」リリースされた数年後にあのMr.Childrenが、「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」という曲を出しています。
ミスチルは洋楽をオマージュした曲をいくつも出していますが、タイトルはおそらくR.E.M.の影響があったのではないでしょうか。

 

New Orleans Instrumental No.1

インストルメンタル、というタイトルの言葉のとおり、2分ほどのインスト曲。
左から聞こえるキーボードの音に、ストリングスが加わっていきます。
映画のサントラに入ってそうな曲ですね。

 

Sweetness Follows

オルガンが鳴り、ギターの歪んだ音が支配的に響く、
そこにマイケル・スタイプのボーカルが乗っていきます。

はっきり「死」に関して歌われており、歌詞の内容もなかなかに重いです…

Readying to bury your father and your mother What did you think when you lost another?
父と母を埋めようとしているとき、何を考えだろうか?

 上記のように歌われ、サビでは下記のように。

Oh, oh, but sweetness follows

でも、美しさが残る

暗い内容ですが、死が残すイメージをみずみずしく書いた一曲です。

 

Monty Got A Raw Deal

代表曲の「Losing My Religion」や、前作『Out Of Time』の中の「Low」という曲に少し似ています。
歌詞の内容は抽象的で、どう解釈していいのか、映画と現実の違いについて、歌っているように思えます。

 

Ignoreland

この曲で一番ロックサウンドな一曲。サウンド的には初期のレムに近いですね。
歌詞も政治や報道について批判的な内容を歌っています。

T.v. tells a million lies. the paper’s terrified to report Anything that isn’t handed on a presidential spoon,

テレビは百万もの嘘をつき、
新聞は大統領の範疇以外のことを書くのを恐れる

次作『モンスター』というアルバムでは、さらに政治的な方向に歌詞が振り切れます。
個人的に好きな一曲ですね。

 

Star Me Kitten

 二人のパートナーが離婚する前に、最後の愛を確かめ、セッ○スすう、という村上春樹的展開の一曲。

You are wild
And I'm in your possession
Nothing's free, so f**k me, kittenYou are wild 
君は野性的
そして僕は君に占領されているのさ
何も自由じゃない、だからF**kして

という歌詞で終わる、さりげなくスゴい歌です。
マイケル・スタイプはゲイなので、男同士の絡みを想像すると、ちょっとドキッとしますね。

Man On The Moon

このアルバムで特筆すべきなのは、ラスト三曲「Man On The Moon」~「Nightswimming」~「Find The River」流れ。

U2の『The Joshua Tree』がロック界の冒頭3曲の代表だとすれば、
R.E.M.の本作はラスト三曲の代表作といえるでしょう。ロック史のなかでも一二を争うほどの素晴らしさ。

アメリカのコメディアンであるアンディーカウフマンについて歌った曲。
かなりユニークな歌詞なので、気になる方はぜひ原詞にあたってみてください。

「マンオンザムーン」アンディーカウフマンを基にした映画『マン・オン・ザ・ムーン 』の主題歌としても有名です。

 

Nightswimming

Nightswimming deserves a quiet night

夜泳ぐのなら、静かな夜がいい

という一節で始まる一曲。短編小説が一本書けそうな独特の空気感です。
マイケル・スタイプのボーカルとピアノが絡み合い、美しいという言葉では決して言い表せないぐらい。 

「ナイトスイミング」、PVもいいんですよね。一押しの名曲です。
一度真夜中にプールで泳いでみたいですね。

 

Find The River

アルバムのラストを飾る、隠れた名曲。
歌詞も何かを達観したかのような、仏教的な思想が流れるように思えます。
シンプルながらも、REMにしか書けないような哲学的な内容ですが、マイケル・スタイプのボーカルのおかげでスッとこころに入ってきます。
 

 REMのすごさは、ヨーロッパ的な暗さがあるのに、アメリカで大ウケしているところ実力以外の何ものでもありません。

 このアルバムもテーマは「死」。しかしこんなアルバムが大ヒットしたの本当に驚きです。
ちなみに、このアルバムはNirvana(ニルバーナ)のカート・コバーンが銃で自殺する前に聞いてたアルバムという逸話も有名です。心して聞きましょう。

 今週のお題「芸術の秋」

【リマスター版の音質】

気になるリマスター盤の音質についても感想を。
元々このアルバムは音の悪さは目立たないのですが、今回のリマスターにより、さらにクリアに改善されました。
上にも書いたように、一曲目の「ドライブ」を聞くだけで、明らかにアコギをつま弾く音がリアルになっていることがわかります。

さらに、25周年記念エディション版(二枚組)のディスク2には、『Live At The 40 Watt Club』というライブ盤が収録されています。

レム公式のライブCDは他にもありますが、ここまでまとまっていると、買わざるを得ません。まさに代表曲のオンパレード。

初期の名曲「Finest Worksong」から有名曲「Losing My Religion」、「Country Feedback」までこれでもかと詰め込まれています。ボーカルの調子も抜群に◎。
1992年のコンサートの割に音も十分良く、REMを初めて聞くという方にもおおすすめです。

いかがだったでしょうか?

この後、ボーカルのマイケル・スタイプは自分のセクシャリティをオープンにして『モンスター』というアルバムを発表します。ゲイやLGBTも、R.E.M.は避けて通れません。

REM解散後のマイケル・スタイプは立派な顎髭を蓄え、「誰ですかこのダンブルドアは」状態なのですが、まだ音楽活動は続けてくれているようです。
再結成して新アルバムでも出してくれるといいのですが、残念ながらそんな噂はありません。
ちなみにアルバム内の写真はU2でお馴染みのアントン・コービンが撮っているとのこと。
 『Out Of Time』から続く名作『Automatic For The People』、本当におすすめです。ピン、と来た方はぜひ。決して古びることのないアルバムです。

Automatic for the People

Automatic for the People