世界のねじを巻くブログ

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『おしゃれと無縁に生きる』/村上龍の感想(幻冬舎文庫)

【エッセイ最新作】

『コインロッカーベイビーズ』や『69』など強烈な性描写やドラッグで溢れたスタイルが有名な村上龍。

村上龍さんは長編だけでなく、映画や短編、そしてエッセイの書き手としても有名です。

本日紹介するのは、『おしゃれと無縁に生きる』というエッセイ。
文庫本が出るのを待っていたため、ずいぶん久しぶり龍さんの随筆。
軽く感想を書いてみたいと思います。

※お盆の間、読書メモをまとめたので、週に1回は書評記事を書く予定です。

『すべての男は消耗品である。/ 村上龍』完全版の感想 (以前の書評)

【レビュー・書評】

経済・政治・文化・海外などあらゆるジャンルについて、村上龍さんが雑誌のコラムに寄せた文がまとめられています。

※カッコ内「」はそれぞれのエッセイのタイトルです。

・「おしゃれと無縁に生きる」

 わたしは、勤め人の経験がなく、仕事上オンとオフがないので、 何を着ればいいのだろうと思い悩むことがなかった。
『おしゃれと無縁に生きる』 P8 

あの『地獄の黙示録』のコッポラが、自分のワイナリーを持つほどの大金持ちなのに、撮影のとき靴下に穴が空いていた、というエピソードも興味深かったです。 

 

・「日本が誇れるもの」

言葉は、それが意味する概念が希薄になり、 優位性が失われたあとで、渇望の象徴として流行ることがある。 P33

 なんとなくわかる気がします。

 

・「日本人の政治意識」

政治意識の高さを測る指標は、投票率だけなのだろうか。 P41

単に他国の投票率と比較して、「最近の若者は~」という論調には辟易しているので、
ほかの指標があると面白いかもしれませんね。

 

・「社長になりたいですか」

「みんなで方針を決める」という経営は終焉を迎えた、という文章から、下記の流れ。

経営は、「連続して起こる危機への対応」ということにその本質を変えたわけだが、 もちろんそのほうが正統的であり、バブル以前が特異だったのだ。 P78

 「カンブリア宮殿」でいろんな経営者をインタビューしてきた村上龍さんの鋭い指摘。
まあ、昔みたいにふんぞり返っているだけでは社長は務まりませんよね。

 

・「お金で幸福は買えるか」

だから、「金で幸福が買えるか」にはあまり意味がないが、 「金があれば不幸をある程度回避できる」というのは真実だと思う。 P81

これは確かに健康面でも、教育面でもそうかもしれません。
ビートルズも「Can't Buy Me Love」(金じゃ愛は買えない)と歌ってますが、
お金持ちの方が多少有利なことは

だが、絶対に金では買えないものがある。信頼だ。P83

 意外と普通のことを言っていて、「村上龍も丸くなったな」と思いました。

 

・「イノベーションとは何か」

これまで偉大なイノベーションを生み出した人物の共通点はただ一つ、 「実行した」ということだ。 P119

「7:3の法則」について触れていましたが、
"成算が7割あればとにかく実行する確固たる精神"が肝心とのこと。

これも手に垢がついた表現ですが、結局人生やるかやらないか、ですよね。

 

・「観光立国への道」

政府主導で「観光立国」が実現するか? と疑問を投げかけたエッセイ。

観光には、ロマンが関わる。 ロマンを生み出し、外国の人に伝えることができるのは、政治ではない。文化の力だ。 P122

オリンピック担当者に読んで頂きたい一文。


・「歴史に学ぶ」

わたしたちは、歴史を主観的にとらえたがる傾向があるが、 歴史は元来、残酷で冷徹な事実の連なりである。 P134

歴史なんて解釈の仕方でどうとでも変わってしまいますが、
冷静に客観視して物事を判断できるようになりたいですね。

 

・「定年というシステム 」

問題は、本誌に限らず、ほとんどのメディアが、「弱者」をフェアに扱う文脈を持っていないということだ。 そういった社会は、生産性向上に必須の「想像力」が欠如している。 したがって、結果的に、衰退の一途を辿る。 P137

 マイノリティー側にいるとちょっと共感できる気がします。
ちょっとでも配慮を心掛け、多様化を目指すべき、ということでしょうか。

 

・「小さな経済圏について」

共通しているのは、国や大手への依存がなく、 独自のネットワークによる「小さな経済圏」を成立させていることだ。 P142

このエッセイは印象深かったです。
一人勝ちを目指す時代はすでに終わっていて、いかに協力・シェアするかが勝算を分ける時代になってきているんじゃないでしょうか。

 

・「人を育てる」

人を育てようと思ったら、まず 「自らを育てる」ことを優先すべきではないだろうか。 部下や後継者は、すぐそばで、育てようとしている人を見ている。 P197

まっとうな一文です。まずは自分から。

【Ryu Murakamiらしい随筆文】

一つひとつが短いので、寝る前にでもさくっと読めるような一冊。
「カンブリア宮殿」の話題も出てくるので、いつも以上にビジネスマン向けかもしれません。
主婦層にはおそらく向かないかと思われます。
 「最近、村上龍読んでないなぁ」って方は文庫版も発売されたのでぜひ。

おしゃれと無縁に生きる (幻冬舎文庫)

おしゃれと無縁に生きる (幻冬舎文庫)

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