世界のねじを巻くブログ

ゲイが独自の視点で、海外記事/映画/書評/音楽/電子書籍/Lifehack/Podcastなどについてお伝えします。ポッドキャスト「ねじまきラジオ」配信中。

『ザ・キンクス / 榎本俊二』のマンガを読んだ感想

日常系漫画

今年は「漫画をたくさん読む」を目標のひとつに挙げているので、見つけて良さげなコミックがあれば、積極的に手をつけていくことにした。

以前、ニュースレターを書くためにThe Kinksという英国ロックバンドの名前をTwitter(X)で検索したら、
なんと『ザ・キンクス』というオンラインコミックが引っかかったので少し読んでみると、なんかわりかし好みだった。

ちょうど2月中旬に第1巻が発売というのを知って、
思いきって紙の漫画を購入。

 

ザ・キンクス / 榎本俊二の漫画を読んだ感想

今、マンガって880円もするのね…(ちょっとデカいから?)

 

発売日に新しい漫画の第一巻を購入する体験は、
恥ずかしながら正直初めてかもしれない。

(『デスノート』の最終巻は発売日に購入した記憶があるけれど)

 

モーニングKCってなんやねん、と思いながら説明を読んでいると、
講談社関連の出版社だそう。

 

普段マンガはあまり読まないけれど、
リアル路線の『デスノート』や『オールラウンダー廻』とかが絵柄の傾向として好き。

 

だけれど、コメディタッチなこの漫画の絵柄は、

わりとスッと入ってきたのもあって、買うに至ったり。

『鉄コン筋クリート』とか『ボーボボ』とか『アタシんち』『田中太郎』を
思い出すようなスタイル。

 

レビュー・感想

ということで記念すべき第一巻を読んだざっくり感想を。

 

第1話「うれいらずたのぼー」

漫画にしかできない話の進め方、ほんとにユニーク。

この一話目から好みは分かれるだろうけれど、
いままで読んだことがないものを感じた。

 

第2話「ムーバー」

ボケたお義父さんをデイケアに送るとかおくらないとか、
家族の日常が描かれたエピソード。

 

「ケーキ屋方向全体ちがう…」

 

「おとうさん埋まらないの!!」

 

野球中継だけばっちり反応するの、
うちのおじいちゃんとそっくりでほんとにリアル。

 

『ザ・シンプソンズ』みたいに、
ボケが突っ込まれずに スーっと通り過ぎていく感覚が好き。

 

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第3話「三者面談」

「日本史も縄文時代をちゃんと復習してるんだよ」

「不安しかないぞ」

とかニヤッとできるセリフが◎

 

喫茶店の店内の様子とか、すごく好き。

 

第4話「NADARE」

扉絵(?)の描き込みがすごい。

作家の狂気みたいなのが垣間見えるエピソード。

おばあちゃんのお辞儀が毎度深すぎておもろい笑

 

 

第5話「ものがたりのできるまで」

わりと真面目な"創作論"的なものをコミカルに書いていてすごい。

記者がフラッシュを焚く絵も地味に絵がすごい。

「あちら側賞授賞式」ww

 

 

第6話の「闇夜のアウル」

全編ほぼ真っ暗な中、ストーリーが進むのがなんか新鮮。

怪しい赤外線ゴーグルをつけて草むらに突っ込んでいく子供もかわいい。

「完全に見えてないぞ!!」

作者のひと、モリッシーも好きなのかな?

 

 

Twitterで検索すると"榎本先生"っと呼ばれていて、
そこそこの(といったらめっちゃ失礼なのか)
ふつうの漫画家さんでも呼び方は「先生」なんだな、という学びを得た。

 

(今まで手塚治虫が偉大だからみんな「手塚センセイ」って呼んでるのかと思っていた)

 

あとがきに「ザ・シンプソンズ」が大好きと書いてあってびっくり。
やっぱそうよね。。

 

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あと、作者のデビュー35周年の作品と書いてあって、
新人さんとかではなく大ベテランの方の作品だった。

 

・・・ということで、榎本俊二先生(使い方あってる?)の新刊、
めちゃ良い感じなのでおすすめです。

 

ふと思ったけれど、
映画や本だと数年に1回しか買う時のワクワクを感じられないけれど、
漫画だとわりと密に新刊が出版されるので、
そういう意味でも「漫画はもしかすると結構よい趣味かもしれない」
と思う今日この頃。

 

The Kinksの『ヴィレッジ・グリーン』のアルバム聞きながらブログ書きました。
榎本さんはどのアルバムが好きなんだろう。

 

オンラインで別の過去作品もほぼ無料で公開されているみたいなので、
他のも読んでみようかなぁと。

 

 

 

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『村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Café』対談集を読んだ感想

教授のインタビュー本

かなり昔に電子書籍で読んだ『村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Café』
Evernoteで「村上龍」を検索してたらキンドルのハイライトが残っていたので、せっかくということでブログに書いてみようかと。

坂本龍一さんが亡くなったとき、追悼の意を込めてブログにまとめようと思っていたけれど、ちょっと心がしんどかったのと忙しかったのもあって、ようやく。

現在はアマゾンのキンドルストアからは削除されてますが、10年前ぐらいは無料で読めたような気がする。

 

80年代にカルト的な熱狂を持って迎えられた対談、鼎談シリーズの「EV.Cafe」。 村上龍と坂本龍一のふたりの「龍」がその知性と感覚を研ぎ澄ましたこの対談シリーズが、 3.11 後の日本で復活しました。日本のいまと将来を憂う21 世紀の新たな対談とともに 1998年から2000年まで展開された対談、鼎談『EVCafe2』を初単行本化! 連載をしていた「エスクァイア日本版」誌が廃刊、その後10年に渡り入手困難となり、 ほとんど目に触れることができなかったため 書籍化の要望が高まっていた幻のシリーズを遂に一挙掲載。

 

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政治からアメリカまで

ということで、印象に残った部分や感想をざっくりと。
(※Locationはキンドルのおおまかなページ数みたいなものです)

 

徹底的になくしたのは9・11の後のアフガン侵攻やイラク戦争の開戦当時のニューヨーク・タイムズに、なんの気骨もなければブレまくってばかりの論説記事が載ったとき。ニューヨーク・タイムズといえど、読者の大多数が読みたがっている論調を載せるだけのエンターテインメントに過ぎないって実感したときだったな。もうそれで幻想も信頼も、完全になくした。ニューヨーク・タイムズに限らず、どの国のどんなメディアも国民がなにを望んでいるかっていう空気を読んで、それに沿ったものを提供しているだけ。そこにはなんの一貫性もない。Read more at location 145

ガザ侵攻のときもNewYork Timesはやらかしてましたが、
911後もそんな感じだったのか・・・。

 

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坂本 ぼくにジャーナリズム幻想はないけども、もしジャーナリズムにまだ可能性があるとすれば、それは権力の暴走を防ぐこと、嘘を暴くことが基本であって、大学でジャーナリズムを専攻すればそう習うはず  location 162

 

村上 歳のことを言ってもしようがないけど、死ぬまでに長編小説はあと何作書けるかっていうのは思っちゃうね。小説って書くのに時間がかかるから。 location 529

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』と村上龍の『Missing』はかなり似ている、と言われているけれど、晩年になるとそういう方向にテーマは向かっていくんだろうか。

 

坂本 いまのこの気持ちのわるい社会に生きることは、小説家にとってかなり刺激にはなるって言ったけど。

村上 そう、その気持ちわるさを虚構に投影して小説に書いていくわけだから、ある意味のやりがいはあるよ。location 541

 

坂本 あの『コインロッカー・ベイビーズ』だって、当時のアンフェアな世の中をぶっ壊してやるって小説だしね。基本的に龍は変わってないよ。location 550 

『コインロッカーベイビーズ』、来年ウン十年振りに読み返そうと思ってます。
たぶん1月の「BookStack」読書会の本にするつもり。

 

 

坂本 3・11以降で音楽的な刺激を受けたいくつかの中で、とくに印象的だったのは、ぼくの友達のラッパーがエジプトの動乱のときに渦中に赴いて何か月か住んで、そこで録音したラップを聴いたこと。あのときのエジプトの状況とその中での音楽の扱われ方に衝撃を受けたんだ。タハリール広場で抗議活動をやっている若者たちのラップ。あそこでは毎週のように新しいラップが生まれてて、それは単なる音楽表現というだけじゃなく仲間への連絡手段として使われたりもしたのだけど、ある16歳のエジプトの少年のラップがリズム感も抜群でめちゃくちゃカッコよくて。エジプト人の少年にとってラップ・ミュージックは外国からの輸入物なんだけれど、完全に自分のモノにして独自の表現としている。これは刺激になった location 569

 

 

村上 う~ん、よくわかんないなあ。小説には目に見える連帯ってないよ(笑)。

坂本 そうか(笑)。音楽は聴いてもらってなんぼだから、どういう人が聴いてくれるかとか、聴かれるときの状況とかのシチュエーションも大事なの。

村上 小説とくらべると音楽はよりダイレクトだよ location 594

確かに、小説より音楽の方が、聞かれるシチュエーションって大事なのかも。

 

 

村上 そう。だからあえて、坂本作品でいちばん好きな作品は? って聴かれたら『スウィート・リベンジ』と答えるようにしてたんだよね。 坂本 ああ、あれ以前は他人のことを考えることはまったくなかったからね(笑)。聴き手のことは意図的に排除してたから、それはつまりは、音楽を作るということは方眼紙の上にどうきれいに点を置いていくかっていう審美的なことにしか気持ちが向いていなかったということでもある。 location 609

日本の聴衆にも受け入れられやすいポップな作品集を目指して作られたアルバム。

 

 

坂本 しかし、これまでのパターンからすると、次の『EV.Café』は2026年ぐらいの予定だけど(笑)、どういう日本になってるかな? 村上 経済的にはよくないだろうね。ということはお金でいろんなことを支えられなくなるので、難しいなあ。
location 632

2026年の「EV.Cafe」は教授の死により実現しなかったけれど、どんな内容になったんだろうな・・・。というか日本は大丈夫なんだろうか。

 

 

坂本 もっともっと、一般人がウィルスや遺伝子工学とか、環境工学の知識を持たないと生き残れない時代になっていくと思うからさ。僕は最近、生き残り技術として「整体」や「合気道」をやっている。それはインターネットと同じで、やっぱり実践的知識としての興味なんだよね。社会が悪いとかって言ってすむ時代じゃないもん。
location 796

コロナを予見したような教授のことば。
合気道やってたというのはちょっと意外。(でも似合うかも)

 

 

坂本 敏感な人が、こういう鈍感な社会で生き残っていくためには、感覚を鈍感にしておかなくちゃいけないのね。そうしないと自分を守れない。敏感だと今度は社会と「そり」があわなくなっちゃうわけで、生き方変えなくちゃいけなくなる。だから学校とか会社とか行かなくていいんだよね。 location 820

こういう言葉があると救われる人はたくさんいそう。
現代では学校ってそんなに無理していかないといけない場所でもないしね。

 

 

村上 だから、「人生ってものは傷つきやすいものなんだ」とか、「君たちは本当に傷ついている、わかった」みたいな小説を書けばもっとうけるんだろうなって考えることがある。みんな弱ってるからね。もうちょっと降りていって、解決策を含めて悩みをきいてあげた方がいいかな、俺ってちょっと不親切かなって思ったり。まあ、俺がそんなことするわけないけどさ(笑)。 location863

いかにも村上龍っぽい。

 

坂本 普通の人は訓練をしてないから、悲しい時でも、どう表現していいかわからないんだよね。でも、悲しいことってまわりにいっぱいある。location 878

 

坂本 好き嫌いは別にして、尾崎豊もそういう役割だったんだろうね。 村上 中島みゆきもちょっとあるけど。そういうのは今はないもんね、必要としてないと思うんだ。 坂本 自分が傷ついていることを気がついていないんじゃないかな。でも傾向は違うけど、近いと思うのはMr.Childrenかな。location 887

今の時代だとAdoがそれにあたるんだろうなと。

 

村上 羽生善治に逢った時も言ってたけど、将棋においてもすごくいい手というのは、将棋のパターンの中にある手じゃなくて、感覚的な領域に入ってる手なんだって。自分で何でそうしたのかわからない手が残っていくらしいよ。location 969

この時から羽生善治さんってすごかったんだろうな。将棋全然詳しくないけれど。

 

 

村上 僕はこの2年間ぐらい、面白い夢を見ると記録してるんです。小説を書くのは、めんどくさいからすごく嫌なんです。だけど夢を書くのはすごく楽しい。なんでだろうと思うんだけど、夢っていうのは物語がないんですよ。偶発的な事件とか、エピソードやフラッシュ・バックの映像みたいなのがあって、それを自分の中で瞬間瞬間物語にしていくのね。それは小説と、作業としては同じなんだけど、夢の場合は書くことがすべてもう決まってるんで、それを記録していけばいいんですよ。 location1199

最終的に『Missing 失われたもの』に繋がったんだろうなと(少ししか読んでないけど)。

 

村上 もう一つは、一つの国家の上位の、「EU」みたいなリージョナル共同体が盛んになってくるよね。「国家を超えたもう一つ上位の枠組み」みたいなね。こういう世界の流れの中で、明らかに自分が所属するものが没落するっていう不安を抱いてる人がいっぱいいて、そんな人たちは明らかにナショナリズムに回帰してくだろうね、きっと。 location 2755

 

村上 今までのエコロジーは環境を守るという、欲望を抑える方向だったんだけど、今は欲望を抑圧するだけではなくもっと積極的に環境を維持していくという方向になってる。

坂本 メリットを感じさせるエコロジーね。結局、人間の経済活動をやめずに、しかも持続的な環境を作っていこうとすれば、そういう方向にならざるをえないんだよね。location 2828

 

ほかにも映画『ソイレント・グリーン』が語られたり、

 

「来世紀は「よく死ぬ」ことが大切になる」という浅田彰との対談、
「幸せなインターネットの時代は 終わってビッグビジネスの時代へ」という伊藤穰一との会話など、どれを読み返しても面白かった。
(あくまでハイライトで残してた部分のみだけど)

 

2016年時点ではキンドル版として公開されていたので、
こういうのこそ誰でも読めるように手に取れる場を広げてほしいなと思ったり。

 

EV.Cafe 超進化論』というのも気になっているけれど、
さすがに文庫本に3000円は出せないので、図書館で探してみたい。

 

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『おしゃれと無縁に生きる』/村上龍の感想(幻冬舎文庫) - 世界のねじを巻くブログ

光文社古典新訳文庫版『ドラキュラ』章ごとの感想まとめ

唐戸信嘉訳の読書会

以前も何度かブログで紹介した、
"吸血鬼ドラキュラの作品を毎日5ページずつ読む"という試み。

 

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どこに感想をまとめようか迷った挙句、
つぶやきはSubstackチャットに、章ごとの感想はこのブログ記事に
追記しながら随時更新することにしました。

レビュー・感想

光文社古典新訳文庫版『ドラキュラ』(ブラムストーカー著)について、
章ごとの感想や印象に残った文章、疑問点などざっくりと書いていきます。

 

1章

書き出しから不穏な感じがいかにもゴシック小説な感じで、
かつ読者を惹きつけるエンタメ性がすごい。

"主人公の日記を読んでいく"という形式が1日5ページのコンセプトに向いてるなと。
注釈も細かく書かれていて、
当時のプロテスタントとカトリックの違いなどもわかりやすい。
海外文学を読むとき、こういう取りこぼしは多いんだろうなとこういう丁寧な注釈を読むと感じる。

わからない地名も地図が描かれているのでありがたいなと。

 

2章

「ひょっとしたら、この城で生きているのは自分だけではないのか」と2章にして気づいてしまうぐらい色々起こるお城。

主人公のジョナサン・ハーカーが血を流しているのを目をらんらんと輝かせてみているところとか、鏡に映らないところとか、もう怪物として正体を現しつつあるドラキュラ伯爵。

"ドラキュラは招かれていない家の敷居を勝手に跨ぐことはできない"というルールもはじめて知ったし興味深かった。

 

3章

伯爵の民族的な背景と歴史が細かく描かれていた章。
ドラキュラ姉妹の登場もこの段階から。普通に仲が悪そう(?)なのも興味深い。

夜のお城を探索する部分は、なんだか『ハリーポッターと賢者の石』を思いだした。
『ハムレット』の引用もあったり、吸血鬼ドラキュラの本自体もいろんな作品のエッセンスをとったものなんだろうなと。

 

4章

ドラキュラ伯爵が主人公の服を脱がせたのか?・・・というところがホモエロティックな感じが出てきて、今後もそういう展開があるんだろうか。

本全体の7分の1ぐらいの時点ですでにドラキュラ伯爵の正体に気づき、逃げ出そうとするところまでいくテンポの良さが本当に上質なエンタメ。

 

5章

今までほぼ主人公のジョナサン・ハーカーの日記だったのに、ここから女性同士の手紙のやりとりで物語が進む、というのが興味深い。

女友達はボーイフレンドとうまくいっているのに、ジョナサンからは一向に手紙がこない、心配だわ、という展開もうまい。

急にスワード医師の日記になるのも

 

6章

後半の虫や動物を喰らう狂人の観察日記も、『バイオハザード』の日記っぽくて興味深い。

謎のロシア船がさまよっている、という知らせが入り海外ドラマばりによいところで次のチャプターへ。

 

7章

 

 

読んでいる途中のつぶやきはこちらのSubstackチャットで読めるので

J.D.サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』もここでつぶやいてます。

substack.com

 

 

ニュースレターでの読書会、こちらより登録していただれば、
進捗がメールで届くはずです。

 

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今週のお題「最近読んでるもの」

光文社古典新訳文庫『ドラキュラ』を毎日5ページずつ読む読書会をはじめます

吸血鬼ドラキュラを半年かけて読む試み

以前紹介した海外の「ドラキュラ・デイリー」読書会が面白そうだったので、
僕もちょっとトライしてみることにしました。

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ちょうど光文社古典新訳文庫版の唐戸信嘉さん翻訳の
ドラキュラ / ブラム・ストーカー作』が発売したばかり。

 

光文社古典新訳文庫『ドラキュラ』

光文社古典新訳文庫版『ドラキュラ』

 

今回の新訳版はちらっと見る限り、
・地理的な位置関係がわかりやすいように地図が載せてある
・難しい言葉には、詳しい注釈がついている
・使われている言葉も平易

なのでかなり読みやすそう。

 

ホラー・ミステリー小説の古典名作として有名な吸血鬼ドラキュラ、
なんとこの版だと840ページもあります。

 

僕自身、小学校の頃ダイジェスト版の『吸血鬼ドラキュラ』を読んだことがあったのですが、ここまでボリュームのある長編だとは知らなかったな~

 

海外の「Dracula Daily」にならって、半年かけて
一日だいたい5ページ読めば、半年弱で読み終える計算。(840÷5=168日)

 

・・・ということで、11月1日からドラキュラを
1日五ページずつ毎日読むという読書会を行おうかなと。

 

Substackのスレッド機能を用いて、
みんなでコメントや感想を書きながら読めたらな、と思ってます。

 

結局のところ一人で読むことになるかもしれませんが、
どうせNotionかEvernoteに感想とかまとめているので、
自己満足につきあってやってください。

 

全部で27章あるので、Substackのスレッドやニュースレターに、
1章ずつ読み終えたら、感想を随時書いていこうと思います。

 

手元にすでに旧版のドラキュラをお持ちの方や、
もちろん英語原作での参加もOK。

 

吸血鬼ドラキュラの物語に半年浸かり続けるというオンライン読書会、
こちらより登録していただれば、
11月1日、読書会スタートのお知らせがメールで届くはずです。

 

光文社古典新訳文庫版『ドラキュラ』章ごとの感想まとめ - 世界のねじを巻くブログ

 

ちなみに、毎月行う定時の読書会11月分は、こちらの末尾にてアンケート受付中です。

 

 

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オンライン読書会をニュースレター「BookStack」ではじめます。 - 世界のねじを巻くブログ

『ドラキュラ』の小説をニュースレターで毎日読むのが海外で流行しているらしい

Substckとバンパイア

あの”吸血鬼ドラキュラ”の原作を毎日少しずつ読むのがアメリカを中心に流行している、というのをポッドキャストで聴いたので軽く紹介しようかなと。

 

・「いかにしてサブスタックはドラキュラをリバイバルさせたのか?」

slate.com

 

ここで登場するのは、
やっぱり流行りのニュースレターサービス「Substack」。

 

どうやらパブリックドメインになったドラキュラが、
毎日少しずつニュースレターとして配信されていて、
それがどうやら現代人に刺さっているらしい。

「Dracula Daily」

draculadaily.substack.com

 

この「ドラキュラデイリー」、TiktokやTwitterでバズったのもあってか、
購読者はなんと23万4千人
それだけの人がリアルタイムに同じ物語を読むのってなんかすげー。

 

発売年は1897年と100年以上も前の物語なのに、
なにが人々をドラキュラに引き寄せるのか。

理由はいくつかあるそうで。

 

まずは『ドラキュラ』の構成

小説の発表は1897年で、作中の年代は明記されていないが同時期。物語は三人称で語られ、全て日記や手紙、電報、新聞記事、蝋管式蓄音機などによる記述で構成されている。各々の記述者や叙述者の発言によって、徐々にドラキュラの企みが浮上していく構成となっている。(WIkipediaより)

確かにそんな構成になっているなら、
少しずつメルマガで読んでいくスタイルにぴったりかも。

日別に章が分かれていて、
区切ってよんでいける読みやすさは確かにウケる理由として十分理解できるかも。

 

僕は小学生向けに編集されたダイジェスト版『ドラキュラ』なら読んだこともあるんだけど、そんな仕組みになっていたかすら覚えていないほど前の話なのでなんとも。

 

仮想読書会的に楽しめるので、一人で読む孤独が薄れるので挫折しにくいというのもあるそうで。

 

 

ゲイ的解釈

このドラキュラ、どうやら同性愛的、クィア的な解釈ができるそうで(なんとなくわかるけど)吸血鬼以外にも、
ミナとルーシーの友情や、
オスカーワイルドとブラム・ストーカーのうんぬんとかあるそうで。

 

このニューヨークタイムズの記事も面白かった。

How Bram Stoker’s Dracula Became ‘Dracula Daily,’ and an Internet Sensation - The New York Times

 

Tumblrでもその辺でBL的な絵や同人誌的なものが書かれていたりするそうで。

とにかく「絵になる」というのもデカい要素かと。
銀の銃弾とか十字架とか血液とか、誰でもくすぐられる要素があるもんね。

 

僕自身もゲイなのでこの辺はちょっと深堀りしたいなと。
小学生のダイジェスト版以来の再読をしようかなぁと思ったり。

 

ドラキュラとニュースレターの流行

・・・あとはやっぱり映画『トワイライト』のブームがドラキュラ人気を後押した、というのももちろん言及されていた。

 

話は飛ぶけれど、
そういえば、ハロウィンのスタイルがよくてイケてる欧米の人はみんなドラキュラかスパイダーマンの格好をしていたような笑

 

映画『ヴァンヘルシング』もドラキュラの登場人物が主人公だもんね。

 

あとは公開予定のデメテル号船長の航海日誌もドラキュラの小説を元にした話だというのをXで知った。

 

そういう意味で、現代カルチャーにおいても吸血鬼ドラキュラの影響力はものすごいものだなと改めて痛感。

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また、Substackのコメント機能やコミュニティー機能により、
読者同士で繋がれるというのも大きな理由の一つかと。

 

光文社古典新訳文庫版

ここまで書いたらドラキュラ読まねば、とアマゾンを検索すると、
どうやらちょうと本日新訳が出るそうで。
(軽くホラーでした。ほんとにこれに合わせたとかではなくて。
昨日ポッドキャストでやってたから書いただけなんだけど・・・。)

 

ということで、本日発売の光文社古典新訳文庫版(唐戸信嘉

訳)の『ドラキュラ』はこちらより。

 

「ドラキュラ・デイリー」に従って、毎日ドラキュラを読む読書会をするのもありかも。(はじめました)

光文社古典新訳文庫版『ドラキュラ』章ごとの感想まとめ - 世界のねじを巻くブログ

 

ナオミイシグロの『逃げ道』の読書会をニュースレターで開催中です。

 

 

 

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ナオミ・イシグロの『逃げ道』読書会をニュースレターで開催します。

ブックスタックでオンライン読書会

一冊の本を、一ヶ月かけて みんなで読んでいくというちょっと変わった読書会を

BookStack」というニュースレター上ではじめます。

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記念すべき第一冊目を何にしようかは 正直かなり迷いましたが、

ノーベル文学賞受賞の作家、カズオイシグロの娘さんである
ナオミ・イシグロさんの短編小説集『逃げ道』(原題: Escape Routes)
を読むことにしました。

 

選んだ理由としては、

  • デビュー作がちょうど「ブックスタック」をはじめるタイミングで翻訳されるというタイミングの良さ
  • まだ邦訳されていなかった作家なため、評価が定まっておらず誰もが先入観なく読めること
  • 短編小説集なので 途中からでも、一部だけでも参加しやすい
  • 全体としてボリュームもそこまで長いわけではない
  • カズオイシグロさんのネームバリューもあって注目度は高いはず
  • 僕と同い年なので、同じ歳の作家が書いた本を読んでみたかった

という感じですかね~。

 

 

スケジュールの目安としては

第1回:魔法使いたち・くま・ネズミ捕りⅠ (10月10日配信)

第2回:ハートの問題・毛刈りの季節・ネズミ捕りⅡ(王)  (10月20日配信)

第3回:加速せよ!・フラットルーフ・ネズミ捕りⅢ(新王と旧王)  (10月30日配信)

 

・・・という感じで読んでいくつもりです。(多少の前後はあるかも)

ちょうど中編「ネズミ捕り」が3部作に分かれているのも都合がいいなと笑

 

ニュースレターでは、

  • 読んだところまでの感想や振り返り
  • Naomi Ishiguroさんのバックグラウンド
  • 本の内容に合いそうな音楽
  • 印象に残った文章
  • 次回読みたい本の投票・アンケート

など、より本を深く楽しめる工夫をしながら読み進めていこうかなと。

 

こちらより登録していただれば、
10月1日より読書会スタートのお知らせがメールで届くはずです。

 

ナオミ・イシグロさんの本はこちらより。(電子書籍版もあります)

 

 

 

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オンライン読書会をニュースレター「BookStack」ではじめます。

ブックスタック

以前からずっとやってみたかった読書会。
ニュースレターという形式で開催してみることにしました。

その名も「BookStack」。

bookstack1.substack.com

 

Substackにて、
月に一冊ずつ、みんなで進捗をあわせながら読むという試み。
参加はもちろん無料。
ニュースレターなので顔出しなども不要なため、
プライバシーも守られたブッククラブです。

 

bookstackブックスタック読書会

 

配信頻度は月に3~4回ぐらいになるかと。

なので、月頭、10日、20日、月末あたりに
読書の進捗とあわせてメールマガジンを送る予定をしてます。

 

随時、読んだ場所までの

  • 感想
  • 考察
  • 補足資料
  • 気に入った文章の引用
  • 本に合いそうな音楽プレイリスト

などをお届けします。

(文章の引用は「Biblog」を使ってみるのもありかなぁと思っていたり)

 

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Newsletterという独特な空間だけあって、
ユニークなブッククラブにしていきたいなと。

 

しばらくの間は一人つぶやいているだけになるかもしれませんが、
どちらにせよ本は毎日読んでるし、
感想も自分でまとめてるし。
・・・地道に続けていきたいな~と。

 

あと、毎月20日ぐらいに
いくつかの本を挙げてアンケートを取るので、
そこで一番票が集まった本を次の月に読もうかと考えていたり。

 

Substack

ということで冒頭にも書いた通り、
流行りのサブスタックでのメルマガ配信です。

スレッドやチャット機能もあって、交流もしやすいかなという感じで。

 

bookstack1.substack.com

 

 

逃げ道  / ナオミイシグロ

気になるのは、まず何の本を読んでいくかということ。

記念すべき第一冊目はナオミ・イシグロの『逃げ道』にする予定です。

 

 

ノーベル文学賞を獲ったカズオイシグロの娘さんが書く、短編小説集。
同い年ということもあって、まずはこの本から読書会を始めることにしました。

今回は小説(海外文学)ですが、
将来的に日本の小説はもちろん、古典、文芸、ビジネス書、エッセイ、専門書などいろんなジャンルの本を読んでいきたいなと。

 

10月1日からみんなで読み始める予定なので、
読書家の方はお気軽に参加してみてください。

 

・・・また詳細は今月中にブログでお届け予定なのでお楽しみに。

後から読み始めても十分間に合いますので、
都合が着くタイミングでのご参加お待ちしてます。

(※他にも良い読書会のアイデアがあれば、気軽にコメント頂けると幸いです)

bookstack1.substack.com

 

※(詳細はこちら)

ナオミ・イシグロの『逃げ道』読書会をニュースレターで開催します。 - 世界のねじを巻くブログ

 

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2022年のLGBTQ+的な話題を「ドーナツレター」で振り返る - 世界のねじを巻くブログ

高騰していて買えないプレミア本や気になる高価格帯の本を紹介してみる

高額な書籍たち

アマゾンで欲しいものリストに入れているけれど、
中古本でもプレミアがついているものや、元々のお値段が高くて手が届かないものが貯まってきたので、整理する意味も込めてブログにまとめてみました。

(※だいたいが3000円以上する"御本"ばかりです)

 

メキシコ文化に関する本、以前から気になっている。

 

 

チリの作家、ロベルト・ボラーニョの有名なあれ。
定価7700円(税込み)。面白いと噂は聞いているけれどお高い・・・。

 

 

 

Twitterで見かけたやつ。紙の本の装丁もいいかんじらしい。

 

 

ブラジル文学の翻訳は手に入らないものが多く、
以前からこれ以外にも読みたいものがたくさんある。

 

 

辞典も高額なのでなかなか変えないけれど、ブックオフでたまーに驚くような値段で買えることがあるのでずっと狙っている。

 

 

美学辞典

美学辞典

Amazon

こんなの辞典も面白そう。

 

 

海外文学はやっぱりお高い。(翻訳が大変なので仕方がないけれど)

 

 

600ページ以上もあるのでこのお値段。

"上質なユーモアとペーソスに満ちた"、とか書かれると読みたくなる。

 

 

亡霊の地

亡霊の地

Amazon

台湾の同性愛もの(?)
あらすじ読むだけでめっちゃ面白そうなやつ。

 

 

Twitterでみかけたやつ。

 

 

これとかめっちゃ面白そう。ギリ3000円以下。

 

 

ポール・オースターの対談本。(最近出たばかり)
Kindle本の方が高いってどういうあれなんだろう。

翻訳してほしい洋書を色々おすすめしてみる - 世界のねじを巻くブログ

 

 

オノ・ヨーコの『グレープフルーツ・ジュース』の英語原作。
日本語訳されている文庫版ははけっこう省略されているとのことなので
イラストなども描かれている完全版を読んでみたい。

 

 

クィア文学。ブックカバーもかっこよい。

 

 

学術本に近いものや専門書は、
やっぱりこの価格帯が当たり前なんだろうけれど、
気になるものをいくつか。

絶対面白いやつ。

 

 

古いけどけっこう有名なエイズをめぐる本。しかしお高い。

 

 

こういうのは老後にゆっくり読むのがいいのかも。

 

 

 

チャールズブコウスキーのWriting論。

 

 

五感から感じる、というニッチな建築本。

 

 

サンプリング的な文学、けっこう好みなのでこの村上春樹評論も気に

 

 

すごいニッチな視点からの本だけど、本ってこれぐらいじゃないとね。

 

 

 

植物本は高いものが多い。

 

 

 

最近発売された本。

 

もうコメントが追い付かないので気になるのをぺたぺた貼っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに挙げただけでも、
全て購入すると相当な金額になりそうで、やっぱり図書館や古本屋で地道に探すしかないのかな~。(まあ読む時間もないけれど)

 

紙の書籍が高いのはまあわかるけど、
Kindle版でも割引なく3500円以上すると
「ええお値段しはりますな」と言いたくはなるしやっぱり個人では買えなくなってしまうレベル。

 

でもこういうのが、
ブックオフ店舗で数百円で手に入れられたりすることがあるので、
ブコフめぐりはやめられないなと。笑

 

他にも「こんなお高い良さげな本ありまっせ」というのがあれば気軽にコメント頂けるとよろこびます。

今日はそんな感じで。

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E.M.フォスターが同性愛を描いた短編小説「アーサー・スナッチフォールド」を読んだ感想

英国のゲイ小説

イギリスの作家、E・M・フォスターが書いた短編小説「アーサー・スナッチフォールド」を読んだ。

同性愛的要素を含む、と聞いて以前から気になっていたんだけれど、
プライド月間ということでようやく手に取ったという感じ。

 

当時英国では犯罪だった同性愛について書かれた短編小説なので、
EMフォスターの死後に発表されたんだそう。

 

ざっくりいうと、
上流階級の初老と、労働者階級の若者との行きずりのセックスがテーマの短い作品。

冒頭から主人公のリチャード・コンウェイ卿が上流階級であることが強調されるのもイギリスらしい。

 

牛乳配達の男の描写がいかにも同性愛者な視点。

男が近づいてくるにつれ、 コンウェイは、色彩効果ばかりでなく、男がその場面に実にふさわしい若者だということに気づいた。肩幅が広く、顔は肉感的で開放的。まぶしそうに編めたが陽気な気配を 漂わせている。片方の腕を直角に曲げ、もう一方の腕で牛乳の缶を支えている。「おはよう。上天気ですね」と呼びかけた声は幸せそうだった。

 

 

自然や庭園の描写もイギリスらしく見事。
(マンスフィールドの『園遊会』とか特にそうだけど)

庭園と木々の緑には灰色がかかっていた。まるで拭き取ってやらねばならいかのようだった。

 

むろん欠けているのは色彩なのだ。 デルフィニウ ム、サルビア、ヒエンソウ、ヒャクニチソウ、タバコ何でもいいから植えておけば いいのだ。

 

 

労働者階級の牛乳配達の男への表現がえげつない。

近くで見ると粗野な男だった。出まみれの分厚いをしたのである。その種の人間は、百年前なら踏みつけられて土に埋まっていただろうに、今は勢いよく飛び、 何もまったく怖いものがないのだ。

 

後半はネタバレになるから詳細には書かないけれど、
結局は自分のせいで男が捕まってしまい・・・という話。

 

フィクションとしてこういう話があったということは、
当時、イギリスの庭ではこういうことが行われていたんだろうなと
そこはかとなく感じさせるストーリーだった。

 

牛乳配達の男が捕まったあたりの会話から漏れ出る主人公の感情の揺れとか
ラストの煮え切らない感じとかも◎。


遠回しに階級社会への批判を感じるような、含みのあるところも良かった。

 

自然や庭の描写は、アメリカの雄大でインパクトのある感じよりも、
しっかり細部まで書き込まれている方が日本人向けな気がするなと改めて思ったり。

 

E・M・フォスター自身がゲイだったので、
おそらく体験談的なところもあったのではないか、と思わせる内容だった。
ほんの一瞬だけど直接的な性描写もあるし。

 

「肛門性交罪」は殺人・強盗並みの重罪とされた、という話もあるぐらい
重い犯罪とされていたそうで (しっかり裏とってないけど)

映画『イミテーションゲーム』でアランチューリングがゲイであることをバレるのを恐れる意味がいまさらながら理解できたなと。

 

日本で触れるゲイ的ポップカルチャーはアメリカものに偏りがちなので、
イギリスやその他の国の文化もいろいろ意識して見て/読んでいきたいなと。

 

E.M.フォスターといえば、
映画化された『モーリス』が有名。


ただ、僕は自分がゲイだと気づいてなかった大学1回生のときに、
図書室の視聴覚室でため、正直あまり楽しめなかったので
うん年振りに観てみるのもありかなぁと思ったり。

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EMフォスターの『永遠の生命』もゲイ的な短編小説小説だとのことなので、
また図書館で借りてみようかな。

 

 

 

プライド月間ということでいろんなクィアなポップカルチャーを紹介しようと思っていたけど、結局これをぎりぎり紹介するだけになってしまった・・・。

また機会があれば色々書いていきたいなと。

nejimakinikki.hatenablog.com

 

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短編小説を毎日一編ずつ読んでいくという試み (※随時更新)

一カ月間の短篇読書チャレンジ

どうも、ねじまき(@nejimakiradio1)です。

新しい月始まりということで、
また懲りずにあらたな挑戦をしてみようかと。

今回のテーマは「毎日1篇ずつ短編小説を読む」ということ。

今年は小説を書きたいなということもあって、
たくさん短篇小説を読むことにした。

 

・・・昔からベッドの上に本を何冊か置いて、
寝る前に読んで眠くなったらやめる、という習慣はあるんだけれど、

短編小説を1編必ず読む、という縛りはしたことないので、
ちょっと気合を入れて読んでいこうかなと。

 

フォークナー短編集 毎日短篇小説を読む試み

 

Kindle Unlimitedや古本、図書館で借りた本など、
読むには困らないほど短編小説集は積読しているので、
・・・あとは読む時間を確保するだけ。

いくら長い短編小説でも15~30分あれば読めるはずなので、
今読んでいる長編本などの進捗を多少犠牲にすれば、
1日1編ならそれほど苦労することなくできるはず。


毎日忘れないように、
短編を読む用の時間を確保できるかが勝負な気がしている。

 

・・・ということで、
個人的に勝手に決めた5つのルールはこんな感じ。

  1. ジャンルは問わず、短い小説ならなんでもよし
  2. 読む順番は気にしない。直感でその時に読みたくなった作品を読む
  3. 昔に一度読んだ作品(再読)も可  (時間ない時はこれでいこうかなとw)
  4. 10点満点で評価+一言感想を書く  (どういう点が優れているかなど)
  5. 楽しんで読む

 

短編と短篇ってなにが違うのか。
前から気になっていたので調べてみると、

昔は「短篇」と書くのが普通だったけれど
「篇」は当用漢字にならなかったので
代わりに「編」を使うことになった、という解説を読んでなるほどなと。

 

読書メモ (随時更新)

ということでここから短篇小説の読書記録。

2023年5月

  1. 『フォークナー短編集 / ウィリアム・フォークナー』より「エミリーにバラを」

    フォークナーは学生の頃 長編に挫折して苦手意識があったので、 ようやく短編でリベンジ。かなり有名な作品だそう。
    エミリーの不可解な行動と町の住民の反応が面白い。
    ホーマー・バロンがゲイなのではないか?という解釈、なんだか映画の『スリー・ビルボード』を思い出した。 8点

  2. 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「悪の可能性」

    適当にかいつまんだのがまさかの”バラ”つながり。この短編小説も、親切なように見えて実は…というちょっと変わった女性主人公と街の住民とのやりとりを見守るような作品。オチがこれまた可哀想な・・・。 6.5点

     

  3. 『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「田舎へドライブ」
    第二次世界大戦前の不穏な状況の仲、女性が意を決して彼とドライブにいくも・・・。海外文学の中で「心中」という言葉が出てきたりするのはなんとも不思議な感じ。八方ふさがりな彼女はどうすればよかったんだろう。軽くネタバレすると父親が正解だったというオチもなんともいえない後味。 6点

  4. 『結晶するプリズム』より「鰐の王子さま / イン・イーシェン」
    短編なのに土着的なディテールや森の幻想的なシーンなど世界観がバッと広がるのが良い。展開も早いのに無理なく入ってくるのもすごいし、ラストがなんとも沁みる。シンガポールのル=グウィン的な印象を受けた。7点

  5. 『文鳥 / 夏目漱石』
    文鳥の様子をここまで綿密に描けるのはさすが夏目漱石。全編にユーモアをふりかけたような文章はやっっぱりすごい。時代を感じさせる描写もなんだか乙。 8点

  6. 『人みな眠りて / カート・ヴォネガットJr.』より「スロットル全開」 趣味にハマる夫、口を挟めない妻、そして息子の自分勝手な行動に呆れる母… そしてついに堪忍袋の緒が… 途中まではどこの家庭でもありそうな話で結構好みな話。オチも悪くない(笑  7.5点

  7. 『The Collected Stories of Amy Hempel / Amy Hempel』より「In the Cemetery Where Al Jolson Is Buried」
    アメリカの女流作家、エイミー・ヘンペルの短編小説。友人の死を見届けられなかった話。短い話だけどほんとグッとくる。一文一文がほんとに鋭い。9点

  8. 『傍迷惑な人々 / ジェイムズ・サーバー』より「ダム決壊の日」
    作り話っぽい話が多いけど単純に心を空っぽにして楽しめる。文体や雰囲気は少しエトガル・ケレットに似てる気もする。7点

  9. 『ここから世界が始まる / トルーマン・カポーティ』より「水車場の店」
    カポーティの初期短編集。昔の男を思い出させるような少女に出会い・・・。
    シンプルだけど余韻の残る一篇。 6.5点

  10. 『人みな眠りて / カート・ヴォネガットJr.』より「ボマー」
    男の同僚二人で超お金持ちの知り合いがいるとでっちあげ女の仕事仲間をハメようとするが・・・。 オチがこうでよかった(のか?)笑 6.5点

  11. 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「なんでもない日にピーナッツを持って」 主人公のジョンスン氏の野暮な親切心が周りの人に影響を及ぼし…。 世間は狭いという話。 7点

  12. 『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ / カート・ヴォネガットJr.』より「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」 最後のオチが切ない・・・。
    読んでる側としてもなんか気まずさ感じてしまう文章力と展開がさすが。7.5点

  13. 『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ / カート・ヴォネガットJr.』より「パウダーブルーのドラゴン」
    これも切ないラスト。あんだけ頑張ったのにこのオチかよ・・・。 8点

  14. 『フォークナー短編集 / ウィリアム・フォークナー』より「嫉妬」
    嫉妬心は女性を中心に描かれることが多い気がするけど、これは男性中年の話。
    あまり主人公に同情できないし、衝撃さは多少あるものの、わりと話もシンプルでうーんという感じ。6点

  15. 『傍迷惑な人々 / ジェイムズ・サーバー,』より「虹をつかむ男」
    妻の尻に引かれた男が現実世界で妄想を膨らましていく話。(一回目はよく把握できなかったけどそういうことか・・・。)
    映画『LIFE!』の元ネタっていうのを知ってちょとびっくり。7.5点

  16. 『レイモンド・カーヴァー傑作選』より「あなたお医者さま?」
    久々に再読。電話からはじまるいかにも春樹っぽい話。
    読みようによっては軽くホラー。短くて電話での会話からにここまで一気に読ませるのは流石。昔読んだときよりはるかに良く感じた。 9点

  17. 『ベスト・ストーリーズⅠ』より「深夜考 / ドロシー・パーカー」
    「NewYorker」に掲載された短編のみを集めたアンソロジー。
    不眠症の主人公が、脳内のラ・ロシュフコーを撃退しようとするが・・・。
    たぶん言葉のリズムとか韻が大切な感じな文章で、日本語で読んでもあまり面白くはなかった。ただ自分もなかなか寝付けないタイプなのでこの妄想はわかるな・・・。「人間って、どうやって眠るんだっけ。」 6.5点 

  18. 『カート・ヴォネガット全短篇』より「バターより銃」
    戦争中の現地で兵士たちが「故郷に帰ったら、いちばん最初に食べたいもの」を妄想して・・・という話。
    オチがちと弱い気がするけど、そのリアルな会話や出てくる食べ物が美味しそうなこと・・・。 6点

  19. 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスン』より「メルヴィル夫人の買い物」 クレーマーと洋服屋さんのバトル。 苦情受付係に行く途中でレストランに寄ってしまうところとか、店員の冷たい対応の描写も好き。オチも良い。 7点。

  20. 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「喫煙室」 悪魔と契約を結ぶ話。こんな弱そうで小物な悪魔初めてみたかも笑  契約は大事。 7点

  21. 『アメリカの鱒釣り / リチャード・ブローティガン』より「クールエイド中毒者」
    人口粉末果汁をドラッグのように丁重に扱う子供たちの話。
    5ページほどの掌編、文章のリズムが最高で何度読んでも良い。 8.5点

  22. 『アレフ / J.L.ボルヘス』より「死人」
    フォークナーよりフォークナーらしい、展開の
    マテ茶や馬乗りなどいかにも南米なイメージが出てきて〇
    どの描写も映像が浮かぶような文章で、ラストもなんとも映画的。7点

  23. 『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「一日の得」 殺し屋が男を追って仲良くなるが、充実した友人関係を見せられなんとも言えない哀愁を感じる一編。全体的にヒリヒリした空気感を書くのがうまい。冒頭から「一日得した」のテーマを忍ばせるのが良い。7点 

  24. 『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「アイ・スパイ」
    グレアム・グリーンって実際に諜報員だったこともあるのか!サマセット・モームもスパイだったし、人間観察ってやはり小説を書く上では大切だったのかも。 6

  25. 『レイモンド・カーヴァー傑作選』より「でぶ」
    レストランの情景が思い浮かぶし、会話のやりとりが巧い。レイモンド・カーバーが誰か知らなかった学生時代に読んだ時よりも断然楽しめた。 7.5点

  26. 『アメリカの鱒釣り / リチャード・ブローティガン』より「<アメリカの鱒釣りホテル>二〇八号室」
    超短編って意外と 読んだ記憶がない。
    短くてシンプルな文章なのに、情報量の多さと、そのスッと入ってくる世界観。
    なぜ208号室なのかもちゃんと謎が解けるのも良い。9点

  27. 『死者の奢り・飼育 / 大江健三郎』より「不意の唖」
     米兵数人と日本人通訳一人が集落にやってくる。やがて通訳者の靴がなくなって・・・。 米兵とムラ社会の村人の態度の書き分けがなんとも巧いし、展開もほんと無駄がない。 8点

  28. 『死者の奢り・飼育 / 大江健三郎』より「人間の羊」
    これぞ初期大江健三郎、って感じのお手本な短編。ウン年振りに読んだけどこれはハッキリと覚えていた。 8.5点

  29. 『掌の小説 / 川端康成』より「人の幸福」
    この短編は短い&数が多いので、既読だったけど一つひとつの印象が薄くてこれも記憶になかった。ただ短いのにめちゃインパクトある短編。
    継母奪われて満州に売られそうになる弟・・・。 7.2点

  30. 『AI 2041 人工知能が帰る20年後の未来』より「ストーリー仮面の神」
    ナイジェリアのクィア、という設定も、土着感と未来が組み合わさる感じも、
    実在人物の絡め方もどれもよかった。これが好きなら「結晶するプリズム」もよんで欲しい。 7.5点

  31. 『味覚の冒険』より「GOD OF THE DOG / 中島らも」
    「犬を食う?」という惹き強めな書き出しから、最後までスッと読ませる紀行文のようなもの。
    最後のオチも犬好きなら情景が想像できてしまう。 7点 

 

…ということで短編小説を読む経過や感想・レビューについては
このブログ記事やマストドンで随時更新していくつもりなので
よければフォローしてみてください。

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今週のお題「何して遊ぶ?」

nejimakinikki.hatenablog.com

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