20年前のニューヨーク
2021年9月11日に、NYでアメリカ同時多発テロが発生。
個人的に印象に残っている9.11周辺の音楽や本、映画などの作品をまとめてみました。
ということで、911まわりの作品をルック・バック。
トゥルー・ストーリーズ / ポール・オースター
ポールオースターによる日本独自のエッセイ集。
ニューヨーク愛はもちろん、空腹エピソード、偶然の連続など、
Paul Austerがどんな小説家であるかがじんわりと理解できる一冊になってます。
9.11以前のNYについても触れられている話も。
こうしたことが起きうることを、私たちはみんな知っていた。
その可能性を何年も前から話していた。でも悲劇が実際に起きてみると、
それは誰かが想像していたよりもずっと悲惨だ。
「覚え書き 二〇〇一年 九月十一日、午後四時」 P323
そうした物語にあって、ほとんど例外なく、ニューヨークは単なる背景ではない。
ニューヨークこそが物語のテーマなのだった。
狂気のニューヨーク、霊感の源のニューヨーク、度しがたいニューヨーク、醜いニューヨーク、美しいニューヨーク、どうしようもないニューヨーク。
人間のさまざまな矛盾の実験室たるニューヨーク。
「NYC=USA」 `P324
正直なところこのエッセイ集は寄せ集め感が強いんですが、
ちょこちょこ心に残る話があるので侮れないですね。
ちなみに最近、いまさらながら
柴田元幸訳の『ムーン・パレス』を読みはじめました。
これまたニューヨークやシカゴが舞台の物語なので、
ブルックリンの情景を思い起こさずにはいられません。
Walk On / U2
911直後にロンドンから生中継された911チャリティーの番組でのライブにて、
U2が「Peace On Earth」からの「ウォークオン」を演奏。
ラストの「ハレルヤ」コーラス部分も含め最高のパフォーマンス。
派手な演出もない白黒の映像。
ドラムスのラリーがびっくりするほど男前です。
当時の最新アルバム『All That You Can't Leave Behind』は
偶然にも空港をバックに撮ったジャケット写真となってます。
アメリカのシットコムなどで、
お葬式とかではサングラスをするのをよくドラマで目にするのですが、
このときのボノはサングラスを外して演奏してます。
サングラスに対する距離感がいまだにつかめずにいますが、詳しい方いますかね。
(ちなみにボノは目の病気のためグラサンを着用)
ブルーススプリングスティーンの「My City Of Ruins」や
ニールヤングの「イマジン」もすげーのなんの。
音楽にハマった学生時代、よくコレみてました。
ちなみに初代iPodは2001年10月23日発売で、
911の2か月も経たないうちに発売したのって、
もう時間軸がわけわかんないですよね。
『America: A Tribute to Heroes』というトリビュートアルバムにも収録されています。
スーパーボウルハーフタイムショーでのパフォーマンスもめちゃすごいのでぜひ。
U2 Superbowl 36 halftime performance where the streets have no name HD - YouTube
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
911テロで最愛の父を亡くした少年の話。
トムハンクスも出演しています。
これまた予告編にU2の「Where The Streets Have No Name」が使われてます。
友人とイオンシネマで見たのも随分前の話だよなぁ。
監督は『リトル・ダンサー』のスティーブン・ダルドリー。
911の話だけですが、内容は重くなりすぎておらず、
素直に楽しめる話なので、この機会にぜひ見てみてください。
原作の小説があるのですが、
Kindleの洋書無料祭りで入手したものの何十年と読めてないので
そろそろ手をつけようかな、と。
こういう映画を見ると、New Yorkにまた行きたくなります。
ツインタワーと9/11 Memorialの建築家
911のテロで破壊されたツインタワー、今日はじめて知ったのですが、
ミノル・ヤマサキさんという日系人の建築だったそうです。
ちなみに、跡地のビル「4 World Trade Center」も、
記念碑も日本人建築家である槇文彦さんの設計だったりします。
ミノル・ヤマサキさんは当時、差別主義者に攻撃されながらも、
ツインタワーを完成させたとのこと。
Perceived as symbols of strength after their destruction on 9/11, the Twin Towers and their designer, Minoru Yamasaki, were once criticized in racist and sexist terms https://www.bloomberg.com/news/features/2021-09-08/the-history-of-the-twin-towers-design-and-architecture
ウェブログ・ハンドブック
レベッカ・ブラッド著 yomoyomoさん訳の『ウェブログ・ハンドブック』。
911テロがブログ文化に与えた影響がしっかり記録されています。
9.11の後、生存者が大きな悲劇の目撃証言を共有するにつれ、自然発生的なストーリーテリングの力が明らかになった。
フィルタタイプのウェブログは、かつてよりも多くのオーディエンスを惹き付け、
人間による選別の力と有益さを決定的に示すことで、今一度最先端の位置に浮上した。
また、9.11は「ウォーブログ(warblog)」世代を生んだ。 P211 「あとがき」より
人が生み出すテキストが現地の悲惨さを理解する手助けとなり、
ブログが当時最先端のメディアとみなされるようになったというのは興味深いです。
ウォーブログという用語は初めて知りましたが、
そういう流れがあったというのが実感できます。
現地の一般人が書くものを世界のどこからでも読めるのって、
やっぱりすごかったんでしょうね。
そして、アメリカにあり日本になかったものとして9.11テロを挙げるのは、いささか不謹慎に思われるかもしれないが、この事件後、ウェブログの認知度が一気に高まったのは間違いない。 P259 謝辞の「Bloggerと9.11テロ」より
2001年といえば、Youtube(2005年) も Podcast (2004年)も存在していない世界。
いまじゃ考えられないですね。
Podcsatも日本ではまだまだ認知度が低いですが、
こうした大きな事故やイベントから広がっていくのかもしれません。
ブロガーは読んで損のない一冊なのでぜひ。
『ウェブログ・ハンドブック』は今『ウェブコミュ・ハンドブック』として改訂できる? - YAMDAS現更新履歴
フレンズ
アメリカのシットコムといえば、やはり「Friends」。
アメリカ合衆国のNBCで1994年から2004年にかけて放送されたテレビドラマなので、
911の期間ももちろん放送されていた番組となります。
なので、このドラマがテロで傷んだニューヨーカーの”癒し”となっていたんだそう。
もちろん後追い世代なので、
当時こんな背景があったのかと思うとなんともいえない気持ちになりますね。
ひとつ、興味深い記事をみつけました。
なお、911と言えば、シットコム『フレンズ』のデリートシーンが超有名です。2001年9月11日のすぐ後に放映予定だったエピソードに、空港のセキュリティをネタにするシーンがあったのですから、偶然の一致とは恐ろしいもの。チャンドラーが「ハイジャック」とか「爆弾」とか言ってしまい事務所に連れて行かれます。
こちらが2001年9月11日に放送されるはずだった削除された空港のシーン。
オチも最高w
911の影響でアメリカの空港のセキュリティー・税関はかなり厳しくなったそうです、
というか実際に、安全といわれる日本人でもかなり厳しくチェックされますしね。
「ザ・シンプソンズ」や「ジョジョの奇妙な冒険」でも
「911の予言がされていた!」と話題になりますが、
偶然の一致ってほんとすごいですよね。
ほかにもスティーブライヒやその他映画など書きたいことが山ほどあるのですが、
なんだか方向性が逸れてきたのでそろそろこの辺で。
現在は新型コロナを乗り越えつつあるものの、
治安が悪化しているというNYC。
コロナが明けたからといって、そう簡単に元通り、というわけにはいかないようです。
今後アメリカは、世界は、どこに向かうんでしょうか。
Peace on Earth.