世界のねじを巻くブログ

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コロナ禍に観る映画『インフェルノ』とダンテの「神曲」

没後700年とパンデミック

ダンテが亡くなってから700年が経つのだそう。
ダンテといえば、やっぱり『神曲』。

ということで、いきなり原作を読むのはちょっと辛いので、
ちょっとずるをして阿刀田 高の『やさしいダンテ<神曲>』 (角川文庫)と、
コロナ繫がりで映画『インフェルノ』を観ました。

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インフェルノ(2016年)

ダン・ブラウンの本『インフェルノ』が原作の映画。
もちろんトムハンクスが主演です。

個人的な話をすると、
ラングドン教授シリーズの『ダヴィンチコード』や『天使と悪魔』『ロストシンボル』は学生時代に、原作・映画とも見るほど好きだったんですが、
シリーズを経るごとにワンパターン化してきて、
読むのも観るのも止めちゃった、
という感じが今。

せっかくの(?)コロナ禍なので、
ダンテ死後700周年である2021年に
「今見るしか」と思って映画を見てみました。

原作は2013年に発売した作品ですが(映画は2016年)、
世界中を襲うパンデミックがテーマで、
思った以上に現在のコロナ禍の状況と重っていてびっくり。

 

ちなみに「インフェルノ」というタイトルは、
「神曲」の第一部である「地獄篇 (Inferno)」から来ています。

 

感想としては、「映画自体はまぁこんなもんか・・。」
と思いつつも、なんだかんだイタリア旅行映画としても楽んじゃいました。

 

もちろんダンテ新曲のモチーフが何度も登場し、
それが物語を動かすキーになっています。
まあいつも通りのダンブラウン作品でしたね。

 

ラストシーンの東ローマ帝国の大貯水槽、
イスタンブールにあるバシリカ・シスタン (Basilica Cistern) 
一度は訪れてみたい。。

 

『やさしいダンテ<神曲>』/ 阿刀田 高

短篇小説の名手としても有名な阿刀田 高さん。

ギリシャ神話やキリスト教、中世ヨーロッパの知識がなくても楽しめるように、
いちから神曲の背景を説明してくれています。

間違える人が多いのですが、読み方は "かみきょく"、ではなくて"しんきょく"。

 

神曲、現代の芸術やポップカルチャーにも散々引用されている名作。

 

ちなみに、
この「神曲」の第一部である「地獄篇 (Inferno)」を一言で無理やり要約すると、

”イタリア人の地獄めぐり”というお話。

なので話の筋のみでいうと、
それほどややこしいというわけではなかったり。

 

この本は神曲のあらすじのみならず、

ダンテの生い立ち、歴史的背景、宗教的な意味、
登場する怪物の設定、筆者の解釈
など初心者にもしっかいrわかりやすく書いてあったので、
とても楽しめました。


神曲はそもそもイタリアの詩の形式書かれた作品であり、
至る所に細かな工夫が凝らしてあるのでそれもすごいのなんの。

 

パブリックドメインな、2011年の映画もあるので雰囲気を味わいたい方は
こちらもぜひ。

 

余裕があれば、
来年日本語訳でも原作を読んでみたいなぁ、と。

イタリア語の詩なので、
リズムとかは完全に失われてはしまうんでしょうけども。

 

映画やゲームの元ネタ

なぜ僕が読もうかと思ったきっかけとして、
大江健三郎がよくダンテの話をするので、
「これは読まなきゃ」と思った次第で。

ほかにも僕がおおっと思ったのは、
ゲーム『バイオハザードリベレーションズ』で、
章ごとにダンテの「神曲」からの詩句が引用される演出がかっこよくて。

 

なんだかんだ日本のポップカルチャーや文学界隈に与えた影響も大きいんだなぁと
改めて思いました。

 

ほかにも、ゲイ映画の『君の名前で僕を呼んででも神曲の一節が引用されていたり。

 

古典文学を引用しまくる映画といえば、ブラッド・ピット主演の映画『セブン』。
セブンででも神曲は引用されてます。

 

SF小説としても読めるし、哲学書としても、ミステリーとしても読める神曲。

 

ネットカルチャーで”かみきょく”、という言葉が当たり前のようになりましたが、
たぶんダンテがいなかったらこの言葉は生まれなかったはず・・・。

(ちなみに英語では「Divine Comedy」とされてます)

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コロナ禍・ダンテ700周年がいいきっかけになったので、

2022年はドストエフスキー生誕200周年ということで、
『カラマーゾフの兄弟』に挑戦しようかと思ってます。

 

神曲、今回はダイジェスト版で知ったつもりになっただけですが、
こうやってなんとか背景をを知れただけでも、
ちょっと世界が広がった気がします。

 

話は飛びますが、Netflixの検索で引っかかった
『グリーン・インフェルノ』見てるけど強烈すぎてww
正月はこの映画見ようかなと笑

 

ダンテの神曲をざっくり知りたいか方はぜひ。

 

 

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