【新作CDが発売】
どう考えても1stアルバム『First Love』を意識したタイトルで、前作の『Fantome』から1年半ぶりの新譜です。
2018年に久々のライブを控えていることもあり、期待の新作。聴いてみました。
【全曲感想・レビュー】
冗談はさておき、早速、最新作『初恋』の全曲感想を勝手に書いてみたいと思います。
※HMVでは「うたマガ」という宇多田ヒカルさん本人の詳しいインタビュー載せた公式雑誌が配られていたので、まずはCDを聞きつつ、公式雑誌から読むことをおすすめします。
1曲目:Play A Love Song
前作「ファントーム」の一曲目「道」と同じく電子的なビートが利いたオープニング。
死の匂いがなくなり、純粋に前を向いた曲。
電子音があちこちに散りばめられてるのがいい感じ。
爽やかで安心して聴くことができ、まさに一曲目といえるべき内容。
歌詞の「Can you play a love song?」って部分は「Can You Keep A Secret?」を意識してる気がします。
力強い歌い方に、少しだけ女性歌手のAIの成分を感じました。
2曲目:あなた
アルバム発売前の段階では、個人的にこの曲の印象が一番強く、アルバムで通して聴いてもこの曲の魅力は褪せませんでした。
手拍子や篭もったようなビート音、トランペットの音など、
シンプルなようで、意外と音の数は少なくありません。
管弦の重なりが滑らかすぎます。
ソニーのノイズキャンセリングイヤホンのCMでよく耳にした気がします。
(映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」主題歌でもあるようです)
3曲目:初恋
冒頭は静かに宇多田ヒカルの細かいビブラートが聴いた声のみではじまり、徐々にドラマチックになるという構成。
はつこい= First Love ですがどうやら母への愛を歌った曲とのこと。
確かに、ほとんどの人間が感じる恋は、母に対するものかもしれません。
3:15~あたりの歌い回しはとても宇多田チック。
ストリングスでグッと盛り上げる、どストレートな一曲。
1:50~や後半の「I neeed you」の部分は、
U2の「With Or Without You」的な雰囲気を感じます。(実際カバーもしていましたね)
『重力と呼吸』ミスチル最新アルバムの全曲レビュー - 世界のねじを巻くブログ
4曲目:誓い
宇多田ヒカルといえば、そう、「キングダムハーツ」。
ミッキーをはじめ、ディズニーのキャラクター達が的とガンガン戦うゲームの主題歌です。(ディズニーがよくこのゲームへの版権を許可したな、といまだに思います)
「光」や「Passion」 でも世界観を支える宇多田ヒカルの音楽。
もはやこれらなしでは、キングダムハーツとは呼べないほど。
「宇多田ヒカルへを聴き始めたきっかけはKHやエヴァンゲリオンだった」、という若い方も少なくはないでしょう。
今回の歌詞もおそらく「KH3」の内容に関係しているんじゃないでしょうか。
「KINGDOM HEARTS III」テーマ ソングということで、ゲームの映像とともにご覧ください。
最近のキンハーには疎いのですが、ダークな世界観は未だに失われていませんね。
(曲よりも画質の進化にびっくりです・・。)
インタビューにも書かれているように、ドラムの不思議なリズム感が聴きどころです。
レディオヘッドの「Pyramid Song」にちょっと似てるかも?
最新作中、外国で最も聴かれるのは間違いなくこの曲となるでしょう。
5曲目:Forevermore
エフェクトを効かせた管弦楽器が印象的な一曲。
「締めつける~」あたりの歌い回しがいかにも宇多田ヒカルっぽくて好きです。
ドラムはジャズ的なアプローチ。
3:13~からの展開もかなり面白いです。
6曲目:Too Proud featuring Jevon
Hikaru Utada本領発揮の一曲。
英語の歌詞(コーラス)がよい味出してます。
音は凝り過ぎて、どこからコメントしていいかわからないぐらい詰め込まれてます。
歌詞もかなり冒険して"セックスレス"について書かれております。。
"拒まれたくない"という日本人にありがちな意識につき、はっきりと歌われた一曲。
前アルバムのラップが挿入された「忘却 featuring KOHH」のように暗い曲調ではないのですが、テーマとしてはなかなかの重たさ。
Jevonってアーティストは初めて知ったのですが、
どうやらイギリス出身のラッパーだそう。
これは新境地ですね。
7曲目:Good Night
J-POPらしい一曲。
大きな仕掛けなしに、ストレートに
映画「ペンギン・ハイウェイ」のストーリーを元にしたとのこと。
『HEART STATION』のアルバムに入っていても不思議ではない、といえばどんな曲調か伝わるでしょうか。
8曲目:パクチーの唄
衝撃の「ぼくはくま」的な遊んだ曲かと思って聞くと、やっぱりそうでした笑
シンプルな曲名が多い中、アルバムの曲名が発表されたときに真っ先に目を惹いたこの「パクチーの唄」。
個人的にパクチー嫌いがパクチーを恨む系の曲、かと予想していたのですが、
本人のパクチー愛が暑苦しいほど伝わってくる一曲。
歌詞カードを見ると、
パクチー ぱくぱく
が反復して書かれており、なんだか曲を聴かなくても頭が勝手に再生してくれるほどの吸引力があります。
「パクチーの"唄"」であり、「パクチーの歌」ではないところに意図があるのかちょっと気になります。
民謡など伝統的なものに対しては"唄う"と表現されるようですが、童謡的な感じもあるのでそういった意味もおそらく込められているのでしょう。
9曲目:残り香
前曲のパクチーの残り香を漂わせているのかいないのか、
意味深なタイトルの「残り香」。
「あなたの肩を探す」という歌詞が印象的な失恋の曲のようです。
かつてパクチーを一緒に食べていたのかと曲を繋げて聴いても面白いかも。
「ワイン」など嗅覚をくすぐる言葉も
下記の記事に書きましたが、10年もすれば音楽って「匂い」と結びついていると思うのです。でもさすがにコリアンダーの臭いはやだな。
10曲目 :大空で抱きしめて
妙にJ-POPらしいタイトルで、歌詞も曲名の通り非常にポジティブです。
宇多田ヒカルが山を登るサントリー天然水のCMを見ていると、不思議とトレイルランニングをやりたくなってきます。
余談ですが、サントリーは「道」の曲もあって、確実にイメージアップしてますよね笑
一曲目の「Play A Love Song」と同じく安心して聴ける一曲。
もっと爽やかさがあってもよかったかもしれません。
11曲目:夕凪
マイナーな曲調で終盤ににアルバムとしての重厚感を醸し出す一曲。
ゆうなぎ、という哀愁ただよう曲名のイメージ通りな感じ。
風が吹く風景がバーーっと頭に広がり、RPGの主題歌としても使えそうです。
ベースの動きが
3:21~からの「ぜいあー、ぜいあー」の異様なまでの連呼(何と言っているのでしょうか?)は
Radioheadの「There There」をふと思い出しました。
12曲目:嫉妬されるべき人生
ラスト一曲はなんとも思い切ったタイトル。
「嫉妬されるべき人生」、とは誰のことなんでしょう。
歌詞の内容をみると、お見合いから一気に恋に落ちてしまった幸せな人生が書かれています。こんな人生を送ってみたいですね。
前作の「人生最高の日」に人間味を加えたような舌触り感。
一曲通して歌い回しが非常に"宇多田"してます。
宇多田ヒカル本人のボーカルがほんとスッと入ってきます。
管弦やピアノの艶っぽさが一層曲を盛り立てます。
【評価はいかに?】
いかがだったでしょうか?
今回は以前よりタイアップ曲が多く耳なじみのある曲も多いので、
前作『Fantome』が気に入った方にはもちろん、初めての一作としてもおすすめの一枚です。他の口コミをみていても、かなりウケがいい感じ。
ライブツアーもほんと楽しみですね。
チケット先行抽選券も入っているので、コンサートに行きたい方もぜひ。
【ラジオ:トレビアン・ボヘミアンも】
2018年7月16日(月曜日)の夜19:00〜20:55に、宇多田ヒカルがDJを務めるラジオ、『トレビアン・ボヘミアン』が放送されます。いい放送時間ですね。
今月は村上春樹の『村上RADIO』もありますし、ラジオの流れが来てますね。
本当に楽しみです。
あ、ポッドキャストはじめました。
「こいつどんな声しとんねん!」と思った方はぜひ聴いてみてください。
iPhoneで聴く→ https://itunes.apple.com/jp/podcast/世界のねじを巻くラジオ-ゲイのねじまきラジオ/id1409236261?l=en
Androidで聴く→ https://www.google.com/podcasts?feed=aHR0cHM6Ly9uZWppbWFraS1yYWRpby5jb20vZmVlZC8%3D
Spotifyで聴く→https://open.spotify.com/show/6ComJ7U0Y0yJ9DM1eEt9jj?si=FlR5lp6VTQuDe86DH125VA
「世界のねじを巻くラジオ」で検索してみてください。
- アーティスト: 宇多田ヒカル
- 出版社/メーカー: ERJ
- 発売日: 2018/06/27
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