【大島渚監督の代表作レビュー】
あのメインテーマが有名な『戦場のメリークリスマス』をクリスマスイブに映画館で観てきたので、感想を書いてみたいと思います。
なぜわざわざタイトルに「ゲイが」という言葉をつけたかというと、この映画、実は女性が一切登場せず、全編にわたりホモセクシュアルな雰囲気が満ちた映画だからです。
散々語り尽くされた映画だと思うので、今回はそういった視点から大島渚監督の代表作のレビューを書いてみたいと思います。
「いまさらそんな昔の映画?」という方もおられるかと思いますが、「午前十時の映画祭」という試みで、昔の名作を何週間かおきで観ることができますので、ぜひチェックしてみてください。
【Merry Christmas, Mr. Lawrence】
僕は恥ずかしながら大島渚監督の作品を見るのは初めてでした。
この『戦メリ』も
・坂本龍一の音楽、
・北野武が「メリークリスマス、ミスターローレンス」というラストシーン
・ロックスター、デビッド・ボウイが出演している
・男しか出てこない映画
ということしか知りませんでした。
この映画は1942年のジャワ島を舞台にした映画で、日本軍とイギリス人捕虜の愛と憎しみの様子が描かれています。
座席はは6割埋まっている感じでした。昔の映画と考えれば、十分な客入りでしょう。
個人的なレビュー・解説をつらつらと書いていきたいと思います。
※ネタバレを全く気にせず書いてますので、ネタバレ注意です!
メインタイトルが終わったあと、いきなり裸で後ろ手に手錠をかけられれた男が。
どうやらイギリス人捕虜とセッ○スをしてしまったとのこと。
「自分が犯した罪」「恥」など言われていたのが印象的でした。
裁判の途中、デイビッド・ボウイに惹かれる坂本龍一演じるヨノイ大尉の演技がよかったです。
処刑で左右に腕を伸ばして繋がれるデビッド・ボウイが美しいの一言。
ボウイが赤い花を食べるシーンもヴィヴィッドに記憶に残ります。
自分はどちらかというと、オシャレな格好良さよりは、肉体的なかっこよさに惹かれるタイプなので、David Bowieのアヴァンギャルドでグラマラスな感じには惹かれたことはありませんでした。
ですが、この映画では男臭いデビッド・ボウイを見ることが出来るので、女性ファンの方にもおすすめできます。
軍服姿の日本兵達には、三島由紀夫的なダンディズムも感じました。
「侍はオカマなど怖くない」というビートたけしの迷言も。
外国でも評価されている映画のようですが、
「切腹」「ハラキリ」のシーンが何度も登場するからでしょうか。
セリアズと弟との交流を描くイギリスの挿入シーンは少し冗長に感じました。
終盤のキスシーンはやはり有名なだけあり、思わず息をのむほど。
あんな繊細な坂本龍一は初めてみました。
『君に胸キュン』のPVのヒドさしか知らなかったので、さすが教授、と坂本龍一の演技を見直しました。
ロレンス(トム・コンティ)の日本語が非常に聞きづらく、頑張ったんだろうけど、ちょっと映画の雰囲気を所々止めてしまっていた気がします。
音楽も陰鬱なシンセサイザーが効果的に使われていました。
とはいってもやはり有名なメインテーマの余韻が凄すぎる。
これ一曲で批判を撥ねのけられるほどの強さ。
聞いたことがない方はぜひ。(2:54~あたりの盛り上がりが特に泣けます)
「戦メリ」のライブ版は下記より。
またこの作品、戦争映画ではあるのですが、戦争的な戦闘のシーンは一切有りません。
予告のキャッチコピーは "男たち、美しく・・・。"
上記に惹かれた方は、ぜひ映画館へ。
BL(ボーイズラブ)的な視点で女性の方も楽しめる名作かもしれません。
【午前十時の映画祭】
この『戦場のメリークリスマス』、「午前10時の映画祭」で観られるのは12月29日までなので、気になる方はシアターまで。
来週はウッディ・アレン監督の『アニー・ホール』が上映されます。
年末はこれで〆ですかね。まだ見たことがない方はぜひ。
他にも午前十時の映画祭でみた昔の名作のレビュー記事もあわせてどうぞ。
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