4Kリマスター上映
早速ですが、以前から気になっていた黒澤明監督の『七人の侍』4Kデジタルリマスター上映を観てきました。
今さら黒澤明を観に映画館に?と思われる方も多いかとは思いますので、軽く説明したいと思います。
「午前十時の映画祭」という昔の名作を何週かおきに次々と上映する企画で、本日10月8日から『七人の侍』が上映開始されました。
その名のとおり、平日を含む午前十時から全国の映画館で様々な名作映画観ることができます。価格も大人1100円とかなりお手頃。
感想・レビュー
さっそくですが、ゆとり世代の僕が世界に誇る『セブンサムライ』をみた感想を書いていこうと思います。(※若干のネタバレを含みます)
あらすじ・ストーリー
誤解をおそれずあらすじを書くと、『七人の侍』は
「農民が野武士から村を守るために、
七人の士を雇い奮闘する」という話。
前半では農民が侍を集めようとする様子、後半では、野武士との戦いが描かれます。
こう書くと単純な話のように見えますが、百姓と武士の身分差による亀裂があったり、男と女の立場の違いが盛り込まれていたり、
単純には語れないエピソードが沢山詰め込まれています。
カメラワークや音の使い方がすごい
世界に名だたる『七人の侍』、どこのシーンをとっても観客を飽きさせないつくりになっていました。
気になったところを箇条書きで。
- どのシーンでも何かしら動きがあり(農民が前を横切ったり旗がなびく等)場面が変わるテンポも良かった。
重たい場面を長引かせず、サッと次の場面へいくところも◎ - 雨のシーンが何度も出てきてとても印象的だった
(あの時代でも雨を再現するセットなどはあったんでしょうか?) - 人質を助る場面では、切る場面を見せず、悪人が外へ倒れ込む姿を捉えており、より効果的に侍の凄さを見せつけていた
- 砦が燃えるシーンではあえて燃えている場面を写さず、女を長く映してたのが印象的だった
映画にそれほど詳しいわけではありませんが、一度見てみると、
なぜ世界中の映画監督がクロサワの影響を受けたのかが何となくわかる気がしました。
また、白黒映画を観るたびに思いますが、音楽や効果音の存在が、今の映画よりもはるかに重要な役割を占めているということ改めて痛感。
風や川の流れる音がその場面を支配しているような場面がいくつも見受けられました。
また、今回の目玉として4Kデジタルリマスター上映ということが挙げられます。
技術者が1コマずつ手を入れながらフィルムを修正し、サウンド面も大きく手を入れて大幅に改善されたとのことです。
1954年という半世紀以上前の作品になりますが、多少台詞が聞きづらい以外は、全く見劣りしませんでした。
50年代のアクション超大作
後半の野武士と戦うシーンはまさに息を飲む展開。
アクションシーンはスパイダーマンが霞むほど と言っても言い過ぎではないでしょう。
僕は時代劇がそれほど好きではないので、剣の切り合いはそれほど興味がないのですが、それでも十二分に楽しめました。
馬の機動力や銃の存在は、あの時代では恐ろしいものですね。
俳優の息もつかせぬ演技も必見です。
映画館での様子
友人と9時45分頃、ネットで予約したチケットを発券しようとしたところ、
驚いたことに、座席はほぼ満席でした。
映画館内に入ると、客層はやはり60~70代の方が多かったです。若者は僕たちを含めてポツポツ、という感じでした。
ツイッターの情報によると、東京ではなんと明日の分もすでに完売したところあるようです。どうしても観たい方は、早めにネット予約を。
3時間28分という長さ
この『七人の侍』は前編と後編の全編通して3時間28分という超大作。
久々にトイレ休憩がある映画を映画館でみたような気がします。いや、初めてでしょうか。
休憩中は [休憩]と大きな字がスクリーンに映し出され、音楽が流れるという感じ。
みなでぞろぞろとトイレに行く様子は少し不思議な感じでした。
豆知識ですが、映画中の休憩のことを「インターミッション」と呼ぶそうです。
また、以前観た黒澤明の『生きる』もそうでしたが、
エンドロールもなく 終 という表示で映画は終了。
最後まで音楽を聴きながら座ってみる雰囲気も好きですが、古い映画も潔くて良いです。
黒澤明だからって難解ではない
『七人の侍』といえば、英エンパイア誌が選ぶ「最も偉大な映画100」で1位に選出された超名作。海外でも『Seven Samurai(セブン・サムライ)』という英語の題で評価がものすごく高いことで有名です。外国でもそのすごさは伝わるんですね。
セリフも少ないながら、名言ばかりです。
クロサワ監督・しかも白黒ってだけで
「どうせ評論家向きで普通の人にはよくわからないんでしょ?」
と思う方も少なくないはず。
僕も以前はそうでした。
でも、この『七人の侍』は黒沢監督の中でも特にエンターテイメント性に溢れた作品となっております。
野武士に対抗するために集まった7人の侍も、
頼れるリーダー・冷静沈着・イケメン・おバカキャラ等々バラエティ豊かな面々が揃っております。
その中でも特に菊千代という三船敏郎演じるひょうきんな侍が、シリアスな場面もパッと笑いに変えてくれる場面が何度もあり、これがこの作品に大きな影響を与えているようにも思えました。
何が言いたいかというと、この映画は評論家が眉をひそめてみるような難しい映画ではない、ということです。
つまらないなんてことはありません。
マグニフィセント・セブンをみるまえに
いかがだったでしょうか?
大人でもあの名作を1,100円で観られる、何ともお得な機会です。
黒澤映画をあまり見たことがないという方に本当におすすめです。
学生からおじいちゃんにまでおすすめできる、超アクション大作とも言えるでしょう。
2017年1月27日から『七人の侍』を元ネタにした、7人のガンマンの西部劇を舞台としたリメイク映画「マグニフィセント・セブン」も公開されますので、
この機会にぜひ映画館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
『荒野の七人』も観てないので、機会があればチェックしたいと思います。
いつかはリメイク版も出たりするんでしょうね。
ポッドキャストはじめました。映画や音楽についても熱く語ってます。
「世界のねじを巻くラジオ」で検索。
世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】