【ソングス・オブ・エクスペリエンス】
ついに2017年12月1日に発売された、全世界待望のU2の最新作、『Songs Of Experience』。13曲(ボーナストラックを含むと17曲)で構成されています。さっそく発売日に到着しアルバムのイメージをつかめたので、全曲感想を書きたいと思います。
※(2018.3.11追記):NHK BSプレミアムにて3月17日『U2 ライヴ アット アビーロード スタジオ』としてオーケストラとの共演が放送されるようです.
【新作アルバム全曲感想】
曲に込められた背景はBono自身がライナーノーツで語っていますので、詳細はアルバムを買って読んで欲しいと思います。
今回の記事は、サウンド面がメインのレビューとなります。
1曲目 :Love Is All We Have Left
『ラヴ・イズ・オール・ウィ・ハヴ・レフト』
刺激のあるロックナンバーで始まるパターンが多い最近のU2の傾向から外れ、「約束の地」を感じさせる空間的なサウンドでアルバムが始まります。
ブルックナーのトレモロとでもいえましょうか。
優しい音に包まれてながら、ボノが「愛は僕らが残したものの全て」と何度もリスナーに語りかけます。
そして1:23~辺りで急にボコーダーで加工された声が。
2011年頃にNYで披露されたスパイダーマンのミュージカルに提供された「Rise Above」という曲のメロディーをコーラスに感じるのは僕だけでしょうか。
この曲で、U2の今作を"アルバム単位"で聴いてほしいという意志がはっきり示されます。
2曲目 :Lights of Home
エッジのギターで始まる、ロックチューンな「これぞU2」といった一曲。
重く力強く響くラリーのドラムがたまりません。
Free yourself to be yourself
If only you could see yourself自分自身であるために、解放せよ自分自身がわかってさえいれば
心なしか、ギターがアメリカで大流行したドラマ『ブレイキング・バッド』のOPに似ている気がします。
3曲目 :You're The Best Thing About Me
壮大な広がりをみせるアルバムに引き込まれた耳に、シングル曲である「ザ・ベストシング」が斬り込みます。
「うぇんゆるーっくそぐぅー」という始まりが気持ち良すぎます。
実際に歌ってみないとこの曲の魅力は理解できないかも知れません。
J-POP的なメロディーラインや転調がニクい一曲。
「ユー・アー・ザ・ベストシング・アバウト・ミー」、意味としては
「君は僕におきたベストなできごと」という感じでしょうか。 詳細は下記の記事もどうぞ。
『You're The Best Thing About Me』U2の最新シングル - 世界のねじを巻くブログ
U2受けがよくないアジア圏でも、チャート上位に躍り出たことが話題になりました。
音楽センスの違いは難しいですね。
個人的にはスピッツの「ハチミツ」にちょっと似てると思うのです。
「ユーツーってなんかメロディーが聴きづらい」と思う邦楽オタクな方や、U2初心者の方はこの一曲から聞き始めても良いかもしれません。
強いメロディーを奏でるシンセサイザーの音に耳が寄ってしまいがちですが、
3:00~あたりから左の方で鳴っているエッジの空間的なギターが『All That~』の頃を思い起こさせたり、ファンの心もしっかり掴む一曲。
4曲目 :Get Out Of Your Own Way
煌びやかな音が徐々に聞こえてくるとともに、0:18~あたりから「Beautiful Day」を彷彿とさせるビート音が曲を前進させ、そこにメンバー全員のコーラスが加わります。
The Killersの新作のプロデュースも行ったジャックナイフ・リーによって手掛けられた曲。曲調的にはコールドプレイ+キラーズ+U2を三で割ったような感じですね。
2:35~のエッジのディレイギターが聞きどころです。
ボノの力の抜けた声がたまりません。
詳しくは下記の記事もどうぞ。
『Get Out of Your Own Way』U2の新曲が流出
5曲目 :American Soul
わかりやすいギターロックで、若者受けがよさそうな一曲。
この「アメリカンソウル」がシングルでも十分なぐらいのキャッチーさですね。
前曲の「ゲット・アウト・オブ~」のケンドリックラマーのラップから曲がつながっており、曲の頭でケンドリックラマーのスパイスが効いてます。
何気にギャップレスで曲が繋がっているのはU2では初めての試みですかね!?
サビは昔360°ツアーで披露された「Glastonbury」をもとにしていますね。
前作の「Volcano」にも似ています。
バックでピコピコ音が鳴っているのもポイント高し。
『アメリカンソウル』というタイトルですが、間違いなくトランプ政権の影響が見てとれます。2:35~あたりからの歌詞は、サビのシンプルさから一転し、かなり真面目な内容。
6曲目 :Summer of love
左右でシャカシャカ鳴るマラカスが印象的な一曲。赤く熟したマンゴー、といった感じのサウンド。音の残響に特殊な加工がされています。
一時期大流行したゴティエ 「Somebody That I Used To Know」のU2版といったところでしょうか。ベースもちょっと似ている気がします。
歌詞の韻の踏み方もさすが詩人のBono。
実はこの曲のバックコーラスはレディ・ガガが参加しているとのこと。
(Lady GagaとU2は以前コンサートで共演したこともあります)
7曲目 :Red Flag Day
アップテンポなカッティング・ギターで始まる一曲。
ジョンレノンの次男であるショーン・レノンが参加しているとのこと。
1:24~あたりから手拍子が曲調をさらに加速させます。
『原子爆弾解体新書』の「Fast Cars」が好きな方はど真ん中の曲でしょう。
CDで聴くと音質も非常に良いので、一つ一つ聞こえる音が気持ち良い曲。
8曲目 :The Showman (Little More Better)
変に曲をいじらず、人間味を見せるようなサウンドが、歌詞のイメージとぴったりです。ボノのボーカルがかなり上機嫌です。
2:20~からの不思議な展開&エッジのコーラスも◎
フェードアウトの仕方がU2の曲としては珍しいですね。
良い意味でU2のダサさが前面に出ている曲。もし今が90年代なら流行りそうな感じ。
ファン以外の方にはボノの声がちょっとクドく聞こえてしまうかもしれません笑
9曲目 :The Little Things That Give You Away
『Joshua Tree Tour 2017』で披露された「リトル。シングス・ザット・ギブ・ユー・アゥェイ」。ボノ自身について書かれた曲とのこと。
ライブで歌われていた動画を見ていた限りでは、正直メロディーがシンプルすぎて「あれ?」という印象だったのでした。
U2の最新ライブ『Joshua Tree Tour 2017』セットリストが凄い
しかしアルバムバージョンはかなりお洒落にアレンジされてます。大人なアダムのベースの影響も大きいかと。
最後は『原子爆弾解体新書』的なU2らしい盛り上がりを聴かせてくれます。
10曲目 :Landlady
妻のアリについて書かれた歌。この曲の魅力は何といっても歌詞でしょうか。
シンプルに思いを歌い上げます。二人が長年、ここまで強く結びついているとは。
こんな歌をいれてくれたら、妻のアリさんも嬉しいでしょうね。
最後の畳み掛けが『Walk On』のラストの展開に似ています。
11曲目 :The Blackout
「この曲でアダムのベースを聴かなくてどうする!」というほどベースのグルーヴ感MAXな一曲。重厚なベースにヘッドホンが震えます。
若干ローリングストーンズの『Miss You』のベースラインを思い起こさせます。
音作りも、他の曲に比べてライブ音源を録ったような加工になっていますね。
「ザ・ブラックアウト」= 停電・消灯・闇など色んな意味があるようです。
アルバム発売前から、ライブ映像が公開されており、ファンの評価も高かった一曲。
ダレがちなアルバムの後半を「これでもか!」と盛り上げます。
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12曲目 :Love Is Bigger Than Anything in Its Way
「ラブ・イズ・ビガー・ダン・エニシング・イン・イッツ・ウェイ」と非常に長いタイトルの一曲。和訳すると「恋は何にも劣らない」という感じでしょうか。
分厚いストリングスが宇宙的な広がりを聴かせてくれる一曲。
「No Line On The Horizon」と名曲「Ultra Violet」を足して2で割ったようなイメージ。
2000年以降のU2が好きな方はハマるはず。映画のサントラにもぴったりな一曲です。
13曲目 :13 (There is a Light)
13曲目ということで、タイトルも13。
アルバム『WAR』の「40」につぐ、数字タイトル曲ですね。
前作『Songs Of Innocence』から「Songs For Someone」の曲を使ってドラマチックにアルバム本編の幕を閉じてくれます。
前作を背景に聴くと、歌詞やサウンドも相まって、本当にU2ファンで良かったと心から思います。
アルバムの最後はぜひジブンの耳でお確かめください。
↓ここからはボーナストラック。5曲も収録されており、ボーナスの範疇を超えてます。
14曲目 :Ordinary Love (Extraordinary Mix)
ネルソン・マンデラの映画『マンデラ 自由への長い道』の挿入歌になりました。
AIDS対策を支援する、(RED)キャンペーンでもとりあげられた一曲。
15曲目:Book Of Your Heart
この曲をアルバム本編に持ってこなかったのに驚くほどの良曲。
"U2らしいサウンド"すぎて音が濃くなるのを控えたのでしょうか?
通常版と迷っている方は、5曲も多く収録されているデラックス盤をおすすめします。
16曲目:Lights of Home (St Peter's String Version)
曲の頭からRadioheadの「Burn The Witch」的なストリングスの波が押し寄せます。
オリジナルバージョンと比較すると、迫力満点でビビってしまうほど。
原曲の方がアルバムのイメージに合っていることは間違いないですね。
思い切ったアレンジがボーナストラックで聴けることに感謝の一言です。
17曲目:You’re The Best Thing About Me (U2 vs Kygo)
EDMもまだまだ捨てたもんじゃないですね。
18曲目:ザ・ブラックアウト(ジャックナイフ・リー・リミックス)
ブラックフライデーに発売されたシングル盤のB面に収められているリミックス曲が、日本版のみのボーナストラックとして収録されています。
かなり冒険したリミックスで、ファミコン時代の8-bitサウンドが好きな方は気に入るのではないでしょうか。
ちなみに「アルバムジャケットに写っているのは だれ?」と疑問に思う方は多いと思うのですが、誰かというと、実はボノの息子とエッジの娘。かなり似てますね。
「WAR」のアルバムカバーのように帽子をかぶっているのがいいですね。
【来日や評価は?】
前作『Songs Of Innocence』と対をなす新作アルバム『ソングスオブエクスペリエンス』。2作揃ったことで、世界観がさらに広がりを見せました。
過去作へのオマージュから新しい音まで、何からなにまでユーツーの音で満ちた名盤。
音質もかなりこだわりがみられ、ドラムの細かいニュアンスまで聞き取ることができます。
ライブツアー『eXPERIENCE + iNNOCENCE Tour 2018』も決定しており、来日の噂もちらほら。日本でのコンサートがみてみたいですね。
ワンアンドオンリーなU2の新アルバムをぜひ。
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- アーティスト: U2
- 出版社/メーカー: Universal Music =music=
- 発売日: 2017/12/01
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