【キンドルや青空文庫でも】
どうも、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。
新年もあけたことなので、昔読んだKindle本の整理をしていました。
僕は普段、夢をみることは滅多にないのですが、世界一周旅行を始めてからやたらと夢を見ることが多くなりました。(グロテスクな夢もみるように・・。)
それも関係してか夏目漱石の名作『夢十夜』が目につきました。
電子書籍にハマりはじめた頃、パプリックドメイン(無料)の電子書籍をよみあさっていたので、読んだ当時のことをふと思い出しました。
とはいいつつも、読んだのは7~8年前。
いくつかの印象的な部分以外はあまり記憶に残っておらず。
なので、今回再読した感想を軽くまとめてみたいと思います。
【こんな夢をみた。】
夏目漱石といえば、『坊っちゃん』や『こころ』『草枕』で有名な日本を代表する作家ですが、この『夢十夜』も
こんな夢をみた。
という有名な文章から始まる夏目漱石の代表的な作品。
第一夜から第十夜まで書かれており、一種の短編集のようなものです。
(※ネタバレありなので、未読の方は注意)
この作品、当時はそれほど気が付きませんでしたが、
やっぱり五感の書き方がすごいんです。
「五感を鍛える」を実践してから、
本を読む際も人間の感覚がどう描かれているかを常に気を配り、読んでたりします。
村上龍とかエグみのある五感の書き方もすごいですが、
サラッとした感覚の部分に人間魅せるテクニック、というのでしょうか。
かといってトゥーマッチでもなくバランス感覚が絶妙です。
読者が場面にのめりこめるように、適切な部分でにおいや景色、触覚やざわめきなどが盛り込まれてます。
これは経験がものをいう部分なんでしょうね。。
キンドルで読んだのはずいぶん前なのですが、いくつかの章(夜)はおぼろげながら覚えていました。
第一夜は冒頭からちょっと重めの文章です。
しかし、文章がほんとうに綺麗。
すると、黒い 眸 のなかに 鮮 に見えた自分の姿が、ぼうっと 崩れて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。長い 睫 の間から涙が頰へ垂れた。―― 位置:28
第二夜は、「何としてでも"悟り"を見いだそうとする男」の話。
主人公の内面の書き方が天才的です。
悟ってやる。無だ、無だと舌の根で念じた。無だと云うのにやっぱり線香の 香 がした。何だ線香のくせに。 位置:96
やっぱり凡人だとこうなりますよね。
第三夜のオチ、なんとなく覚えてました。
「未来を見通し、心も読むわが子をおんぶする父親」の話。
一種の怪談のような感じで、オチもしっかりまとまってます。。
こんな子供は持ちたくないですね笑
・・・とこんな感じで描いていると キリがないので、
お気に入りの夜(章)を紹介します。
個人的に特に好きなのが、第六夜。
これは何回でも読み返せますね。
設定としては、
「明治時代に運慶がよみがえり、街で彫っている姿をみなが見物している」という状況。
運慶といえば、あの金剛力士像で有名な天才仏師です。
主人公が感心してみていると、見物人の一人がこう語ります。
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に 埋っているのを、 鑿 と 槌 の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
位置:294
なかなか哲学的な文章ですよね。
確かレオナルドダヴィンチもそんなこと言ってたような。
「それなら自分もできる」と主人公もすぐさま家に帰っていろんな木を試します。
ですが結局は・・・
ついに明治の木にはとうてい仁王は 埋っていないものだと悟った。それで運慶が 今日 まで生きている理由もほぼ解った。
位置:306
完璧な終わり方じゃないでしょうか。
第七夜の船の話も印象深い。
夏目漱石自身、海外留学のためによく船に乗っていたそうなので、自分の
自殺を試みる男の話。
第八話は五感の切り替えが天才的ですね。
散髪屋の場面とか、文章が開く無限の可能性が感じられます。
第十夜の豚の大群シーンも懐かしかったです。
この時庄太郎はふと気がついて、向うを見ると、 遥 の青草原の尽きる 辺 から幾万匹か数え切れぬ豚が、 群 をなして一直線に、この絶壁の上に立っている庄太郎を 目懸けて鼻を鳴らしてくる。 位置:492
スマブラのヨッシーの必殺技が思い浮かんだのは秘密です。
なんでこのエピソードをラストに持ってきたのかな?と疑問に思わざるを得ないですが、余韻を残す一篇。
明治時代に見る夢だけあって、
現代とは違う時代設定のものが多いですが、決して古びない文章。
今読んでも、現代の本と同じように読めるところがすごいです。
電子書籍で読める名作
いかがだったでしょうか?
紹介していない夜もたくさんあるので、あとはご自身で読んでみてください。
夏目漱石や昔の本ににそれほど興味がない方も、短編集のようなものなので気軽に読めるかと思います。
起承転結がわりかしはっきりしているところも◎。
Kindleだけでなく、青空文庫や楽天Koboでも無料で読めるので、興味のある方はぜひ。
- 作者: 夏目漱石
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