美空ひばりから米津玄師まで
柴那典さんの著作『平成のヒット曲』をKindleで読みました。
平成元年である1989年のヒット曲「川の流れのように」に始まって、
2018年の「Lemon / 米津玄師」まで、THE平成な曲が
時代背景と共に紹介されている一冊。
さっそく軽く感想を書いてみたいと思います。
(柴那典さんといえば、POPLIFE THE PODCASTにも出演されていて御馴染みの方。
実は、はてなブロガーだったりもします)
感想・レビュー
この本は三部構成になっていて、
「ミリオンセラーの時代」「スタンダードソングの時代」「ソーシャルの時代」
という区分に分けられています。
昭和が香る平成一年の一曲目、
選曲は美空ひばりの「川の流れのように」。誰もが納得の名曲。
「柔」ってそんなに売れてたんだ・・・。という驚きがあったり、
秋元康のエピソードもよかったです。
ちびまる子ちゃんの「おどるポンポコリン / B.B.クィーンズ」が入っているのも◎
僕の生前の話でなんとなくでしか分からなかった「ビーイング系」という言葉にもしっかり解説があって助かりました。
「EZ DO DANCE / trf」ひさびさに聞いたけど、なかなか攻めてる一曲だし、
制作側の意図も知るとやっぱすげーなと。
ミスチルは安定のイノセントワールド。
いろんな章にプロデューサーの小林武さんの名前が出てて流石だな、と。
「強い気持ち・強い愛 / 小沢健二」はあんまり実感なかったかな?というのが正直なところで、無難に『LIFE』の曲が一般的には”ヒット曲”にふさわしい気がしました。
奥田民生の「イージュー★ライダー」の項目の「カウンターとしての脱力」はまさにそうだな、と。お気に入りの一章です。
安室奈美恵のバックグラウンドはあまりよく知らなかったのでこういうのを知れるのがディスクガイド的な本の良さですよね。
・・・・と全部書くとネタバレっぽくなるのでこの辺で。
ほか印象に残ったことを箇条書きで。
・ハナミズキってカラオケでそんなに歌われている実感はなかったけどなんか納得。
・着うたの流れでいくと個人的に「キセキ / GreeeeN」ではないような気がした
・レディーガガの章で『Pray For Japan』に触れられていたのも個人的に◎
・嵐は無難に「A・RA・SHI」な印象だけど年代的にそうなるよね、という。
・割合的に沖縄系の系譜が意外と強いんだなぁ思わされました。
そのアーティストのことを知らなかったしても
しっかり楽しめる書かれ方をしていた点が良かったです。
個人的な平成ソングス
ねじまき自身の平成時代における個人的な記憶を振り返り、
「入れてほしかったなぁ」という曲として
「LOVEマシーン / モーニング娘。」
「BUMP OF CHICKEN / 天体観測」
「アゲハ蝶 / ポルノグラフィティ」
「上海ハニー / ORANGE RANGE」
「ばらの花 / くるり」
「夏祭り / Whiteberry」
「木村カエラ / リルラ リルハ」
「Dreamland / BENNIE K」
「Lovers Again / EXILE」
あたりが挙げられるかな~
(バンプオブチキンの天体観測は絶対入ってると思ってました)
改めて振り返ると、やっぱりドラマやCMで思い出される曲が多いですね~
いろいろ聞き返していると、「スイミー」とか「深い森」でノスタルジアが溢れてきました。
平成31年については4月30日までしかないせいか掲載なし。
ということで2019年のヒットチャートを振り返ると、
「香水 / 瑛人」か「白日 / King Gnu」「宿命 / Official 髭男dism」辺りになるのかな?
millennium paradeにも繫がりもあるので個人的にはキングヌーを推したいところ。
令和時代のヒット曲はどうなるか?
BandcampやTiktok、Soundcloud、Mixcloud、Youtube、メタバースなど、
音楽を発表する場も増え続ける一方。
リスナーとしてもフォローするのが大変になってきたせいで、
一点集中しにくい時代になってきた(柴さん的に言うと”ヒットの崩壊”)時代だと思います。
これからの時代は、
・メタバース
・プレイリスト
・ポッドキャスト
・NFT
・脱欧米
あたりがキーワードになるんじゃないかなぁと思ったり。
自分だけの音楽を探す楽しみが増えたはいいことかな、と思ってます。
「音楽の未来に関する12の予測」を読んで印象に残ったこと - 音の壁ラジオ
最後に柴那典さんのブログより引用。
が、ポイントはアルゴリズムと人間との相互作用のフィードバックループが起きることにある。たとえば、最初はそのユーザー自身と嗜好や指向に基づいて判断していた「お気に入り」に、アルゴリズムによってもたらされたザイオンス効果(単純接触効果)が発火する。たとえば、ハッシュタグに乗っかってミームに参加することで感情の焦点が変化する。一人ひとりの行動がデータとして食われることで可視化されたトレンドが提示され、それによって行動が変容する。「口コミ」とは全く別の力学が「ミーム」として人を突き動かす。 どうやら、オンラインの世界ではすでに非科学的な領域に属することが物事を動かしているようだ。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」とアーサー・C・クラークは言っていたけれど、それは僕が子供の頃に思い描いていたSF的な未来とは全く別の形で具現化している。
ミームは呪術、アルゴリズムは魔術 - 日々の音色とことば
アルゴリズムと、それに反発する人間の選曲、
令和時代もまったく読めないですが、
日本の音楽も海外勢に負けずに生き残ることを願うばかり。
数十年後になるであろう(?)『令和のヒット曲』楽しみにしてます。
Spotifyプレイリストにこの本で紹介されている曲を年代別にまとめてみたのでぜひ。
平成のヒット曲 / 柴那典 - playlist | Spotify