世界のねじを巻くブログ

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2018年に心揺さぶられたKindleの電子書籍10選

【キンドルのおすすめ本】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。 2018年も残すところあとわずか。 せっかくなので、今年読んだKindle本の中で、 特に心を揺り動かされた10冊を厳選してみました。
まだブログで紹介していない電子書籍ばかりですので、キンドルをお持ちの方はぜひ読んでみてください。
去年のまとめはこちらより。

創作術から酒に関するエッセイまで

まず、あらゆる創作活動に関わる方におすすめの一冊。

クリエイティブの処方箋

「クリエイティブ」の処方箋

「クリエイティブ」の処方箋

創造的思考を可能にするコツを、要点を絞ってまとめた本。
クリエイティブな人たちの思考の裏側を探り、 さらに、クリエイティブな活動に取り組む人なら必ずぶつかる壁がどのように乗り越えられてきたかという事例がたくさん紹介されています。

クリエイティブというのは絵を描いたり、小説を書いたり、家を建てるということだけではない。あなた自身を創り上げるということなのだ。それは、より明るい未来を、今は手の届かない機会を、自分自身のために創り出すということなのだ。

先日紹介した『クリスマス・キャロル』のディケンズの例も書かれています。

チャールズ・ディケンズは、夜な夜な街中を散歩した。夜の埠頭や、市場、路地裏でディケンズが出会った奇妙な人々は、後で小説の中に登場することになる。  位置:1729

妙に人間味のあるキャラクターばかりだな、とおもったら、実際みかけた人をモデルに書いてるんですね。。
『クリスマス・キャロル/ ディケンズ』を読んだ感想【Kindle】

酒から教わった大切なこと
酒から教わった大切なこと 本・映画・音楽・旅・食をめぐるいい話

酒から教わった大切なこと 本・映画・音楽・旅・食をめぐるいい話

本・映画・音楽・旅・食と酒にまつわるいい話を集めたエッセイ集。



あらゆるジャンルの芸術にちなんだストーリーを読めるところがすごいです。 筆者の「お酒論」的なことも学べます。

「だが私はおいしく飲んだ。まずいものをおいしく飲んだわけだ。青春の酒だからそれができたのだろう」 位置:515


僕自身のアルコールの趣向としては、ワイン・ビール・日本酒に偏りがちなので、
ウィスキーやカクテルにももっと挑戦しようかと思いました。
出てくるマティーニがほんとにうまそう・・・。

バーのしきたり的なことやマナーも軽く触れることできます。 エッセイ好きな方ならきっと気に入るはず。のんべえなら必読の一冊

 ベニスの商人
ヴェニスの商人(新潮文庫)

ヴェニスの商人(新潮文庫)

シェイクスピアは有名な『ハムレット』しか読んだことなかったのですが、 ずっと「ほしいものリスト」に入れっぱなしだった『ベニスの商人』もようやく読むことができました。


それちょっと屁理屈じゃない?」と思う部分はあったのですが、 話の展開の仕方はさすがシェイクスピア。

「ハムレット」と並ぶ面白さでした。

どのキャラクターも生き生きしていて、どのシーンも張りがあります。

金・銀・銅の箱選びの場面やラストの"肉1ポンド"のシーン、夫婦喧嘩など 「そりゃシェイクスピア売れるわ」と納得の一冊。

また会話のつくりがほんとに巧くて、一つひとつ出てくる言葉が人生の教訓になりそうなレベル。



ユダヤ人に対する当時の風当たりの強さ、キリスト教の立ち位置なども推し量ることができます。 また、経済学的な見方もできたりも。

シャイロックに対して「やりすぎじゃね?」とかわいそうに思う場面もありましたが。

決してシェイクスピアだからといって尻込みするような作品ではありません。 金融関係の方は必読。

ドビュッシーはワインを美味にするか?
ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学 (早川書房)

ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学 (早川書房)

「ねじまきブログ」を見ていただいる方は、音楽好きな方が多いはず。 この本は、心理学という視点から、音楽というものを見つめなおした一冊です。

音楽を聴くことには、われわれが予想する以上に複雑な脳内ジャグリングが必要になるというわけだ。  位置:3158

「ドビュッシーの名曲「月の光」がワインショップで流れていると、試飲のワインはより甘美になる?」
「ヘビメタ好きは言語能力に長けている?」
など興味深いトピックで、音楽というものの深さを教えてくれます。

音楽理論的な部分にもやさしく触れてくれるので、特に音楽に詳しくない方もぜひ。

熔ける
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫)

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫)

丁か半か。 吉か凶か。 そのとき私の目の前には、サラリーマンの平均生涯賃金のおよそ10人分にあたるチップが山積みされていた。総額20億円。 位置:6

書き出しからいきなり手に汗を握る場面ではじまる、大王製紙株式会社の元会長の独白。 ご存知の方も多いかと思いますが、海外のカジノで106億"溶かした"男。

だが、ひとたび開いてしまった地獄の釜の蓋は、二度と閉じることはなかった。48時間の死闘が終わったとき、私は煮えたぎる溶鉱炉のごとき奈落で熔解していた。 位置:107


カジノに溺れていく様子だけでなく、リーマンショックでの大打撃や、大王製紙経営立て直しの話
、リアルな体験に基づいたぐいぐい読ませるエピソードばかり。
経営者がマイナスの部分も包み隠さず書いた本として、 日本ではあまり見られない種類の一冊ではないでしょうか。

完全には反省してなさそうなところがまたすごい。
これだけの大失態を犯して、刑務所から出たあとに本を出しちゃうぐらいですからね。

個人的にはギャンブルはまったくハマらない口なのですが、もしそうなったときは、この本を読み返して我に返ろうと思います。 人間の欲の深さは、底なしです。

この電子書籍版は<増強完全版>ということで、さらに補完された部分も読むことができるのでおすすめです。

陰翳礼讃
陰翳礼讃

陰翳礼讃

日本人の美意識を見つめなおした、谷崎潤一郎の随筆集。 文章が綺麗すぎてさすがの一言。全ブロガーがお手本にすべきだと思います。


パブリック・ドメインの作品なので、Kindleだけでなく青空文庫やKoboでも無料で読めるかと思います。

デザインに関わるお仕事の方はもちろん、全日本人が必読の一冊です。

 

植物は<知性>をもっている
植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム

植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム

  • 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

この本を読むと、植物が「ただ生えてる」だけではないことがわかります。

植物は、「司令センター」を無数にもつ分割可能な生物であり、インターネットによく似たネットワーク構造で成り立っている。 位置:142

最近、こういった研究結果が続々とでてますよね。 ネットニュースでもよく聞きます。

 植物の感覚は人間よりもずっと鋭く、私たちのもっている五感以外に、少なくとも十五の感覚をそなえている。たとえば植物は、重力、磁場、湿度を感じて、その量や大きさを計算できるし、いろいろな化学物質の土壌含有率も分析できる。  位置:153

人間が思っている以上に、植物は緻密なセンサーをもっているようです。

私たちが鼻だけでにおいを嗅いでいるのに対し、植物は体全体を使ってにおいを感じることができるのだ。 位置:932


完全なる未知の世界。 BBCのドキュメンタリーを見ているかのようでした。

植物は、ロボット工学や情報科学にとってアイデアの宝庫というだけではない。実際、人類が共通して抱えるさまざまな技術問題にも、数多くの革新的な解決策を提供してくれる。

花や園芸好きな方、化学が好きな方、人間のちっぽけさを知りたい方もぜひ。

月と六ペンス
月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

これは非常に揺さぶられましたね。これはよかった。
ページをめくるのが止まらなくなった一冊とも言えます。

ストリックランドをはじめ、どの登場人物も個性が強すぎて、読んで思わず声が出た場面も。
これぐらい引き付けるキャラクターを書かないと読者を引き付けられないんでしょうね

友人から見た視点で語るというスタイルや、物語の導入部分も非常に巧い。

絵画は色んな人生が叩き付けられた狂気の塊なのだと改めて思い知らされました。

京都に「月と6ペンス」という知る人ぞ知るカフェもあるらしいので、来年訪れようかと思ってます。

また解説で知りましたが、サマセットモームはゲイの作家とのこと。 いわれてみれば、LGBT的解釈もできそうな作品。
モームの作品は短編しか読んでなかったのですが、ほかの長編も読もうと思いました。

今日からはじめる「技術Podcast」完全入門

個人的に2018年に大きな転換となったのは、
昔からずっとやりたかったポッドキャストを始めたこと。
かわいい表紙ですが、わりかしPodcastの技術的な部分もしっかり触れられていて、 エンジニアの方にもおすすめの一冊です。
配信さぼりがちなので、来年こそはポッドキャストに力を入れていきたいと思います。 詳細は下記より。

香料商が語る東西香り秘話
ヤマケイ新書 香料商が語る東西香り秘話

ヤマケイ新書 香料商が語る東西香り秘話

以前から書いてるように、僕は昔から「におい」に強い興味があります。 この本は香料を商売にしている方が書かれた、名エッセイ。

ともかく香水の興隆は女性の社会進出と表裏一体をなしていることを忘れてはならない。 位置:317
日本の香料商のつくる香料は食品用が圧倒的に多いのである。 西洋では、香水創りのために香料が発達してきた。 位置:366

なるほど、日本では香水の需要って少ないですもんね。

ルネサンスといえば一般には、古代文芸へ復帰して、美しい絵画が描かれるようになった時代という文脈でロマンチックに説明される。しかしこの説明は本質から目を逸らしている。見るべき本質は「人間の欲望の増大」である。   位置:1032

特に男性の方は香水って、あまり馴染みがないと思いますが、そんな方でも知的好奇心をくすぐるような本だと思います。 香りの世界って、ほんと広いです。
五感を鍛える」カテゴリーもぜひ。

【におい展】福岡の香りに関する展示会にいってきた感想

2019年もよい読書ライフを

いかがだったでしょうか? みなさんも、2018年に読んだ本の中でおすすめの一冊があれば、ぜひTwitterやコメントで教えていただければ幸いです。
来年も良い読書ライフを!
ポッドキャストもやってます。映画や音楽好きの方はぜひ聴いてみてください!

Androidで聴く→ https://www.google.com/podcasts?feed=aHR0cHM6Ly9uZWppbWFraS1yYWRpby5jb20vZmVlZC8%3D

Spotifyで聴く→ https://open.spotify.com/show/6ComJ7U0Y0yJ9DM1eEt9jj?si=FlR5lp6VTQuDe86DH125VA

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