世界のねじを巻くブログ

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『クリスマス・キャロル/ ディケンズ』を読んだ感想【Kindle】

【世界で語り継がれる名作】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。

クリスマスも近づいてきたので、欧米圏ではみんな知っている、
チャールズディケンズの代表作『クリスマスキャロル(池 央耿訳・光文社古典新訳文庫)』の感想をさくっと書いてみます。
イギリスのクリスマスのイメージを創始した、とも言われるほど名高い作品です。

ジョージマイケルの『ケアレス・ウィスパー』を男がサックスで吹き荒らす動画

【レビュー・感想】

恥ずかしながら、僕自身チャールズ・ディケンズの小説は全く読んだことがなく、
この『A Christmas Carol』が初めてのディケンズ体験でした。

主人公は、いじわるな金貸しのスクルージー。

 スクルージは息巻いた。「クリスマスおめでとうなんどと 戯けたことを口にする脳足りんは、どいつもこいつも、プディングとごった煮にして、心臓にヒイラギの杭を打ち込んで埋めてやりゃあいいんだ。ああ、そうだとも!」 位置:103より

絵に描いたような嫌な奴です。罵倒表現が非常にブリティッシュです。

 

ストーリーはご存知の方が多いと思いますのであまり詳しく説明はしませんが

簡単にいうと

「意地悪な主人公が、自分の過去・現在・未来を目の当たりにして・・・」

という話。 

ストーリー的には大きな捻りがあるというわけではありません。

ですが描写がすごく緻密で、難しい言葉を使ってないのにその場にいあわせるような描き方がさすがでした。
いたる場面でイギリスのイメージがぶわっっと頭に広がります。

床の中央にうずたかく山をなす肉類はあたかも玉座の 体 である。シチメンチョウ、アヒル、その他、家禽、猟鳥。骨付きの豚肉、丸焼きの子豚、数珠繋ぎのソーセージ、桶に山盛りの 牡蠣、ミンスパイ。 位置:798

 

ときおり、急に話の語り手が読者自身に話しかけるなど、飽きさせない工夫もなされてます。

また、聖書の引用なども含まれ、キリスト教の影響も感じることができます。

 

亡霊がスクルージーを過去に導き、スクルージーを諭す場面。

「人はみな」亡霊は答えて言った。「隣人、同胞と進んで広く交わって、心を通わせなくてはいけない。そのためには、遠路をいとわずどこへでも出かけるようでなくては駄目だ。位置:337

ああやってみんなを楽しませるというのは、一財産を投げ出すにも等しいんだ」 精霊の顔色を見て、スクルージは口を閉ざした。位置:664 

いじわるな金貸しのスクルージは、過去の体験を振り返ることで、
徐々に改心していきます。
道徳的な部分が多く含まれるので、親から子供へ語り継ぐのに最適な本といえるでしょう。

ネタバレになるのでこのへんで切り上げますが、
驚くべきなのは、
1843年出版、ということで、
なんと今から175年近く前に書かれた小説。
一部タイムスリップもするようなSFチックな要素も含み、その時代に書かれたとは思えません。
良いもの時が経っても残るんですね。

翻訳をされた池 央耿さんというお名前、どこかで聞いたことあるな、と思ったら、
あのSF名作『星を継ぐもの』の翻訳もされている方でした。。
どうりですっと頭に入ってくるな、と。
ハードなSFだけでなく、ファンジー的なものも作品の雰囲気に合わせて翻訳されているので、まさにプロの技。

 

話の筋的にいうと「家族ってやっぱいいよね、独り身はみじめだよ」的な古い時代の作品なので、
LGBT/ゲイ的な視点で見ると、わりかしつらい一冊だったりします。
なので個人的には手放しに褒めたい作品ではないのですが、
欧米圏で語り継がれる理由が少しは理解できた気がします。  

最近、『クリスマスキャロル』に関するVR動画が作られたようですが、
色んな時代・場面をポンポン移動していく本作品は、VRに非常に向いた作品なのではないでしょうか。

また、ジムキャリーが声優をつとめる、ディズニー作の子供向けの映画もあるのですが、予告を見る限り、わりかし原作をうまく再現できている気がします。

【Kindle Unlimitedでぜひ】

今年のクリスマスはいかがお過ごしの予定でしょうか。

クリスマスの雰囲気が苦手という人をわりかし見かけますが、街が活気に溢れるので個人的には毎年楽しみだったりします。
特に現在ヨーロッパにいるので、いたるところでクリスマスマーケットが開かれていて、ホットワインが飲みたくなります。 
平成最後のクリスマス」ということで、ひとりの方も、みんなでも、
せっかくのクリスマスを楽しみましょう。

 「クリスマスおめでとう、伯父さん! 神の救いがありますように!」
位置:88

興味のある方はKindle Unlimitedでぜひ読んでみてください。

クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)

クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)

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