世界のねじを巻くブログ

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フォロワーという概念の死@SXSW2024

SNSとクリエイターエコノミー

2024年のSXSWでのPatreon CEOであるジャック・コンテ氏のプレゼンが面白かったので紹介。

(ほんとにザっと書いていきます、ミスってたらすみません)

 

Death of the Follower & the Future of Creativity on the Web with Jack Conte | SXSW 2024 Keynote

もともとJack Conte氏は音楽が好きだったんだそう。

誰もいないバーで演奏している動画を43本を上げ続けたら、
Youtubeでバズった過去の思い出から、

Youtubeの「購読(Subscribe)」ボタンができたことで

新しいリーチ方法、つまり"フォロワー"という概念が誕生した話。
(クリエイターという概念もこの辺りかららしい?)

 

Web1.0からWeb2.0への移行、
iTunesでの大きな収益、
ケヴィン・ケリーの「1000 True Fans」の引用、

 

「とある学校に本を寄付したら新作アルバムを送るよ」という画期的なキャンペーンの成功などなど、
インターネットとクリエイティビティが遺憾なく発揮された時代を振り返るJack Conte氏。

 

 

そこからまた新たなシフトのときが来た、と2010年代に突入。

 

2010年代にフェイスブックのランキングシステムが導入。
フィードを操作して、最も最適なものにするという仕組み。

 

ただ、これはファンにとっての最適化ではなく、
Facebook Businessにとってのベストなフィードになっているというのがミソ。

クリエイターの裁量というものが破壊され、アウトプットしても、ファンに届かない問題がでてきたり。

アルコリズムがSNSを動かす時代に。

・・・ただ、これがウマくいったというのが(残念ながら)歴史の残酷なところ。

 

FacebookとInstagramはどんどん収益を上げ、

アーティストは、アルコリズムのトップにいるために、
常にたくさんポストしないといけなくなってしまった。

 

つまりそこから続く2020年代は「ランキングの時代」であるということ。

・ファンと強い結びつきを作るのか

・視聴時間を長くするのか

この全く相容れない二つを並べただけでも、
SNSの異常さを表しているなと。

 

そこに現れたのが、TikTok。

エンゲージ重視からパーソラナイズの「For You」へという流れに。
これがTikTokの強み。

フォロワーなんて気にせずに、
アルゴリズムでレコメンドしていくパワフルな仕組み。

Youtube ShortsもInstagram Reelsもそこに続いていく。

 

そしてその後の2020年代がこのまま続くと
これからの展開としては、
「Death of the Followers」の時代が来るんだそう。

 

"ここ四年間で、ファンは自分のコンテンツを見てくれなくなった"
と語るJack Conte氏。

 

Vice、Pitchfolk など色んなメディアの閉鎖の話も出てきたり。

 

インターネットをより良くするために、なにをすべきなのか?

アーティストは悪くないし、ファンが悪いわけでもない。

 

クリエイターエコノミーの衰弱、ディストリビューションの問題など山積みなあれこれ。

 

ただそうは言いつつも、
ジャックコンテ氏としては「フォロワーという概念の死」は起こらないと思っているそうで。

 

SNS企業が収益を上げるにははアテンションをあげるのみ、という状況を避けられなくなってきていて、いずれは頭打ちするということ。

 

そうなると、

・Discord

・KAJABI

・Moment House

・fourthwall

・Gumroad

などの

「Direct-to-Fan」的なコミュニティーとビジネスを続けられるようにしてくれるツールに需要が出てくるという流れ。

 

ニュースレターサービスのSubstackが、どんどんコミュニティー化してるのもなんか納得。

 

そんなこんなで、
Patreonとしてはクリエイターのためのコミュニティーを作るために責任を持っている、
というのが30分の概要をまとめた感じですかね。

 

・・・そこからはちょっとパトレオンの宣伝っぽくなるのがアレだけれども、
それはそれで面白かった。

 

Patreon"ただのメンバーシップ会社ではない"と主張するCEO。

ファンダムの盛り上がりとプロフェッショナルなクリエイティビティを発揮できる場所を誰にでも、というのが主張したい部分らしい。

 

Web3という言葉を使わなかったのがPatreonのCEOらしく交換が持てた。
(めっちゃ水飲むな~という印象も残った)

 

最後のメッセージとして、

Know What You Want.

ということを強く言っていた。

中島みゆき風にいうと、
"おまえのオールをまかせるな"ということなんだろうなと。

デヴィッド・ボウイやプリンスのような真のアーティストが求めるを考えるとわかるように、


・誰かが気にしてくれるようなユニークなものをつくること、
・いつの時代も通用するようなタイムレスなものをつくること。

など本当に大切なものはなにか?
というのを思い出させてくれる良いプレゼンテーションだった。


もともとアーティストだったCEOが語るからこその説得力。

 

要するに、
朝起きてから時間を捧げるべき目的を見失うな、ということなのかな~と。

 

インターネットとクリエイターエコノミーのおおまかな流れがわかりやすく説明されていて、インターネットで何かしらの表現をしている方、クリエイターの方なら見て損はない動画だった。

こうやって情熱をこめて訴えかけるスキルはこれからさらに重要になるんだろうなと。

パトレオンには全然興味なかったけど、ちょっとやってみようかと思ったし。

でも、これからどうなるのかは本当に気になるところ。

Web3なのか、ポッドキャスト、ニュースレターなのか、
はたまた個人サイトに回帰するのか・・・。

僕はちょっと遠くから眺めるぐらいしかできないけれど、
思うところを少しずつブログに書いていこうかなぁと。

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