『百年の孤独』を読む前に
ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』を読む前に、
頭を"マジックリアリズム慣れ"させておこうと、短編集を読むことにしました。
アマゾンなどで手に入りやすく、お手頃価格な版を3つほど紹介しておきます。
(※ちなみにねじまき自身は、
インタビュー集・文学論を2冊と、短編を数編読んだことがあるレベルで、
ほぼガルシアマルケス初心者、ということを事前に書いておきます)
ガルシア=マルケス中短篇傑作選 (河出文庫)
まずは比較的新しめのこの中短篇集より紹介。
「大佐に手紙は来ない」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」など、世界文学最高峰が創りだした永遠の物語。著者の多面的な魅力を凝縮した新訳アンソロジー。
収録されている作品は下記。
- 聖女
- 大佐に手紙は来ない
- 火曜日のシエスタ
- ついにその日が
- この町に泥棒はいない
- バルタサルの奇跡の午後
- 巨大な翼をもつひどく年老いた男
- この世で一番美しい水死者
- 純真なエレンディラと邪悪な祖母の信
- じがたくも痛ましい物語
- 光は水に似る
やっぱり有名な作品「エレンディラ」と
なんだかよく聞く「大佐に手紙はこない」は必須っぽい感じ。
一番新しい日本語訳の短編集なので、読みやすさもおそらく一番なはず。
解説によると、日本ではガルシアマルケスよりも
ボルヘスやカルペンティエールの方が人気があったのだとか。
エレンディラがカポーティの「ミリアム」の影響を受けているらしくて、
読むのが楽しみ。
要するに語りの魔術に掛かってしまえばいいのだ。
(編集者解説より)
ガルシア=マルケス全短編
「死」や「夢」など根源的な主題を実験的手法で描き、溢れんばかりの活力を小説に甦らせたコロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの短篇全集。「青犬の目」「ママ・グランデの葬儀」「純真なエレンディラと非情な祖母の信じ難くも悲惨な物語」と題されてまとめられた初期・中期・後期の3つの短篇集所収の26編を収録。巻末の詳細な「作品解題」とあいまって、この作家の誕生から円熟にいたるまでの足跡をつぶさにたどることができる。
グーテンベルク21のプロジェクト。
日本語訳がどれぐらい正確なのかはわからないけれど、
雰囲気を掴むためには十分なはず。
26作品あるので収録作品はスキップするとして、
Kindle Unlimited対象なので、
「作品解題」と「解説文」を読むだけでも参考になるかも。
『百年の孤独』につながる短編がいくつかあるみたいで。(※後述)
エレンディラ (ちくま文庫)
コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話"として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。
たぶん一つ目の「中短篇傑作選」が出版されるまでは、
定番の短編集だったはず。
収録作品として、短編6つと、中篇「エレンディラ」が収録されている。
- 「大きな翼のある、ひどく年取った男」
- 「失われた時の海」
- 「この世でいちばん美しい水死人」
- 「愛の彼方の変わることなき死」
- 「幽霊船の最後の航海」
- 「奇跡の行商人、善人のブラカマン」
- 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」(中編)
つまり、彼は神話的なモデル、祖型に密着した物語の世界の中で育ったのである。
「祖母の語ったように」という彼の言葉 は、そのまま「民衆の記憶に止められていたように」と置きかえてもよい。こうした語りの伝統を継承しつつ、それを文学的に昇華させたのが『百年の孤独」である。
アマゾンレビューによると、
マルケスの作風には、大きく分けて2つのタイプがあると思うが、一つは記者時代のキャリアから生まれたスタイルで、実際の事件を基にしたり、あるいはジャーナリスティックな手法で書かれた、『予告された殺人の記録』や『族長の秋』に代表されるような小説。
もうひとつは、マルケスの少年時代に祖母が物語を語ってくれた時の、その独特の話法を小説に取り入れた幻想的な物語、シュールなものが日常の当たり前の出来事のように語られる不思議な文体で、その集大成ともいえるのが『百年の孤独』だが、本短編集はそこに至る試行錯誤の過程で、マルケス・スタイルが限りなく完成形に近づいたものだと思う。多くの短編集と比べても、全7篇、いずれも奇想・幻想的で豊穣な語り口で突出している。
とのこと。
・・・以上を総合して、
重要作品であるっぽい(というか3つの短編集で収録作がかぶっている)ものを選ぶと、
- 「大佐に手紙は来ない」
- 「巨大な翼をもつひどく年老いた男」
- 「この世で一番美しい水死者」
- 「青い犬の目」
- 「ママ・グランデの葬儀」
- 「土曜日の次の日」
- 「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」(中篇)
を読んでおけば、ベスト盤的な読み方はできる(はず)。
それにに加え、
百年の孤独に間接的に関わっている
"マコンド"を舞台とした諸作品
- 「イサベルの独白」
- 「火曜日の昼寝」
を読めば、魔術的リアリズムの特徴やコロンビアの雰囲気もわかるのでは??
・・・と、ほぼガルシアマルケス入門者の自分が推測で書いてみたブログ記事でした。
7月(というか6月末)に『百年の孤独』を読んでみたい方の準備体操としても、
いいんじゃないかなと。
「『百年の孤独』を読む前にこれ読んどくといいよ!」というアドバイスや、
他のおすすめ作品があれば気軽にコメントいただければと。
最後にひとつお知らせを。
発売日の6月26日より1カ月かけて
「みんなで『百年の孤独』を読む」という企画を考えてます。
一カ月、掲示板やニュースレターでみんな進捗を確認しながら読んでいくイメージ。
文庫化のタイミングとあわせて気軽に参加してみてください。
『百年の孤独』文庫版はこちらより。
とりあえず短編は、
重要作品である初期の名作(といわれる)「青い犬の目」や中篇「エレンディラ」辺りから読んで行きたいなと。