音楽の背景から宗教まで
ブックオフで購入し積読していたU2のBonoのインタビュー集、
『ボノ インタヴューズ』ミーシュカ・アサイアス (著), 五十嵐 正 (翻訳)
を読んだ感想をざっくりとまとめてみます。
英語タイトルは「Bono on Bono」。
音楽はもちろん、政治や宗教(キリスト教)、
バンドメンバーやプロデューサーについてまで、
しっかりボノの声がインタビュー形式でまとめられている貴重な一冊。
レビュー・感想
前提として、
この本(英語版)が発売された時期としては、
2005年、つまり最新アルバム『原子爆弾解体新書』が発売された翌年。
個人的に気になった部分をいくつかまとめてみました。
まずはU2のアルバムについて。
『Boy』や『原子爆弾解体新書』は
"無垢の終わり"ということに関係がある
『ペットサウンズ』のテーマでもある"朽ちていく無垢"。
ボノがずっと歌い続けてきたテーマ。
色々スタイルを変えつつも、同じ芯が通っているのはこのおかげなのかも。
プロデューサーのブライアンイーノについても言及があり、
ラリーは重要な要素であるプロセスにはほとんど時間をかけない。
一方、ブライアンには過程が最も重要なんだ。
ブライアンがセッションにやってきて最初にやることは、
部屋を装飾し直すことなんだ P115
メンバーの性格が手に取るようにわかる発言でこれも面白い。
「Bad」「With Or Without You」「Grace」「In A Little While」
こういった感情に訴える曲は彼がいなかったら存在してないだろう。
特に「Grace」は他の曲に比べ目立たないですが
イーノの魅力がばっちりでた隠れた良曲。
あと、ビジネス的なところでいうと、
原盤権、著作権はU2自身が持っているのだそう。
あのプリンスでさえも扱いきれなかった部分、
やっぱり権利を持つ者が強い、という話。
ほかにも、
ZOO TVツアーのときは破産寸前だったという裏話や、
書き下ろした「She Is A Mystery To Me 」の曲は、
デビッドリンチ監督の『ブルー・ベルベット』の映画サントラを聞いたのがきっかけだった話も興味深かった。
最もお気に入りの歌詞として、
クリス・クリストファーソンの『Help Me Make It Through The Night』
を挙げていたりも。
ボノ自身はU2のお気に入り楽曲として"Stay"や"Please"をあげてました。
"Stay"
Princeの才能をべた褒めする一方、
でも、プリンスには編集者が必要だ。口論は必要だよ。
スタジオの中でプリンスにファック・オフ!と言える人がね。 P227
これも正論。
ブルーススプリングスティーンについて語る部分や、
アフリカへの思い、そして
ボノがアフリカに興味を持つ前からブライアンイーノが関心を寄せていたという話も。
U2とBrian Enoの関係は、
やっぱり ミスチル&小林武史プロデューサー の関係とそっくりだな、と思ったり。
(それでも、ピーターガブリエルやポールサイモンのように
アフリカ音楽に傾倒しなかったのは偉いというかなんというか。)
こんな感じで、
Bonoらしさ満点の30万字インタビュー集の紹介でした。
2022年11月にボノの自伝/回顧録の『サレンダー』(Surrender: 40 Songs, One Story)も
発売予定。
どうやら新アルバムも数作用意しているようで、めちゃ楽しみにしてます。