アップルミュージックの名盤ランキング
2024年5月に発表された「100 Best Albums」。
SNSの音楽好きの間でもかなり話題になっていたので、見た人も多いだろうけれど、
今さらながら個人的な感想を軽く語ってみようかなと。
個人的に印象に残った部分を箇条書きでざっくりと。
・ドレイク『Take Care』(47位)がジョン・コルトレーン『A Love Supreme』(54位)より上なのはどうなの?
・下から順に発表されていたので、『リボルバー』よりテイラースウィフトの『1989』がランク上だったため、NewYork Timesのコメントも発表当時かなり炎上していた。
・その後、3位 ザ・ビートルズ『Abbey Road』で「ああ、1アーティスト2枚もありなんだ」ということで落ち着いた記憶。
・5位のフランク・オーシャン『Blonde』は驚き。
・1位 ローリン・ヒル『The Miseducation of Lauryn Hill』は正直下駄履かせすぎな気がするけれど、まあ自分も熱心には聞いてなかったアルバムなので何とも言えない。
・オーティスレディングみたいなRolling Stone誌で評価されていた大御所がいない
・The Policeや The Clashなどのパンク勢が一切なし
"若いころの勢い補正"、みたいなのが考慮されにくくなってきる気がする。
→ヒップホップにとって代わられた的な?
※訂正: The Clashは『London Calling』が入ってました、すみません。
・The Whoの『TOMMY』も『WHO'S NEXT』もなし。
これも若い時に聴いてなんぼのアルバムではあるししょうがない気もするけれど。
ピンクフロイドの『トミー』はアルバム回帰的な意味でも入れてほしかったナ。
・クラフトワークのチョイスが『Trans-Europe Express』なのがちょっと意外
AI時代なことも考慮して『人間解体』でよかったのでは?
・カントリー音楽のアルバムはケイシー・マスグレイヴス『Golden Hour』のみ(85位)
・メタルはメタリカの『Master of Puppets』(69位)のみ
・ラテン音楽はバッド・バニー『Un Verano Sin Ti』(76位 )のみ。
唯一の英語で歌われてないアルバムという意味でもこのアルバムはすごい。
レゲトン強し。
・ブラジル音楽が一枚もランクインしてないのはどう考えてもおかしい。
影響力も考慮して2枚ぐらいは入れるべきかなぁと。
ブラジルは関税が高く"アップル製品が最も高額な国"、と言われいて、
その当てつけなのでは? と思ったりする。(考えすぎ?)
・ブルース・スプリングスティーン『Born to Run』(22位)は、
若者ウケ悪そうな"白人おっちゃんロック"なのに、意外と高評価。
・7位のケンドリック・ラマー『good kid, m.A.A.d city (Deluxe Version)』
HIPHOP好きな人から見ても「あれ?これがKendrick Lamarのベスト?」
って感じだと思う。
・クィアな(LGBTQ+)文脈のアーティストがそこそこ評価されているのは個人的に嬉しい
ヒップホップが優遇されすぎて「いろんなものがない」気がするけれど、
時代の流れといえばそうなのかも。
(ここ十年の流行りを考慮するとまあね。)
はてなブログのこの方が書かれたブログも興味深かった。
これを多いと見るか少ないと見るかだけど、少なくとも過去のこの手のランキングではもっとも女性の割合が高いはず。
と言ってもパリテ的に下駄を履かされてる感じでもなく、ミッシー・エリオットやビョークやジョニ・ミッチェルやマドンナといったそうそうたる面々には文句のつけようがないし、さらに近年のビリー・アイリッシュやビヨンセやテイラー・スウィフトといった存在が音楽シーンを活性化させていることの反映だと思う。
あと、アルバムっていう単位で音楽を聴く文化の良し悪し。よく言われるように、これはビートルズの功績が大きくて、100枚のうちビートルズ以前のものはマイルス・デイヴィスとコルトレーンとニーナ・シモンだけ。
そのため、アーティストとしては偉大でも、ライブ中心だったりシングル中心の活動で、名盤と呼ばれるようなアルバムがない人は選ばれてない。
ジェームズ・ブラウンとか、フェラ・クティとか、ジェフ・ミルズとか。
これは本当に同意。
ランキング常連だったオーティス・レディングとかも入ってないのはその影響な気がする。
プログレッシブ・ロック勢からはピンク・フロイドの『狂気』が28位に入っているのみという。
プログレは一曲一曲が長いから「このストリーミング時代には・・・」という判断はあったんだろうなと。
ゼロ年代は冬の時代だったか?という考察も面白かった。
また、選者はみんな洗練された大人なんだと思う。なのでメタルやパンクといった子供っぽいロックはほとんど選ばれていない。
ザ・フーやパンク、メタルが少ない理由もこれだ・・・!
ファレル・ウィリアムスがパンク音楽を推す姿があまり想像できないし。
youkosekiさんのニュースレターも面白かった。
ポップ・スターが内省的な作品を作って、自分の悩みを吐露するというのは、今ではもう珍しくない。ただ、その雛形を作ったのはこの作品だと思う。おかげでリリースから10年が過ぎても現代的な作品だと感じたし、25年以上が過ぎた今ではますますそう感じる。アップルがなんと言おうと、私にとっては歴史的傑作です。みんな聴いてください。
女性アーティストが増えたのに、
ジャネット・ジャクソンは確かにランクインしてないの確かに意外。
→※訂正: すみません、ランクインしてましたね…。
「Consequenceによるアルバムオールタイムベスト100」についても以前書いたので
軽く振り返り。
NYのメディアということもあって、全体的にヒップホップやブルース、黒人アーティストのアルバムが伸びている印象。
やっぱりフリートウッド・マックの『噂』が高すぎる。
いくらなんでもアナログレコードが馬鹿売れしてて、Tiktokでヒットしたといっても
「ここまではなぁ」アップルのランク含め思ったりしなくもない。
歌詞も失恋ソングとかばっかりだし、音楽的な意義ってどうなんだろう?
もし「Spotify100」なる企画があれば、
コールドプレイやキラーズなどアンセムが強いアーティスト、
そしてラテン音楽、アフリカ音楽が入ってくるんかな?という妄想をしたり。
まあ、でも人それぞれの「俺的ベスト100」があるので、
こういうのわいわい語るだけでも面白いよね。
いつか「ねじまきBEST100」的なものはやってみたいなと。
個人的にはR.E.M.や、Depeche Mode、The Who、Doors あたりをいれてほしかったな~
あとはU2の『アクトンベイビー』とか。(こないだのMSGスフィアも凄かったし)
そういやBrian Enoも一枚もない。
上のブロガーさんがあげていた『スクリーマデリカ』はほんとに同意。
ライブも行ったぐらい好きで、影響力もハンパないし。
日本、というか邦楽で一枚挙げるなら、
やっぱりY.M.Oを入れるべきかなと。(ぶつぶつ)
そろそろ長くなってきたので、名盤ランキングの振り返りはこの辺で。
みなさんの意見も聞いてみたいなと。
今週のお題「上半期ふりかえり」
※あ、半年以上ほったらかしてた「2023年よかった音楽」も時間が取れそうなので今月中にはブログにまとめる予定です。お楽しみに。