純日記を集めた一冊
はてなブロガーの日記を集めた『はてなブログの日記本 2022』を読んだ。
”たくさんの何気ない日記を集めました”
というキャッチコピーのとおり、
お店での出来事から運動会、くるりのライブ、
雨の日の一日、入学式やたぬきうどん
...などなどホントにオチのない日記がまとめられてる一冊。
ただしあくまで非売品。
「第2回日記祭」にて紙の書籍が配布されたそう。
掲載されたブロガーさん宛てには(自分含め)、
株式会社はてな からメールでPDFで届いたので、
Kindleに突っ込んで読んでみた。
一応2022年1月から時系列順に並べられていて、
みんなの2022年を振り返る一冊という感じ。
ほとんどのブログ記事が、
僕を含めて一般人っぽい感じの文章なんだけれども、
どれもちゃんと生活感があって読みごたえがあるし、なおかつスッと入ってくる。
個人的にお気に入りの文章をいくつか紹介。
おかんの電話代を取り立てられる話。
帰宅後「携帯代払っといたで~」って仏壇の前でおかんに報告しときました。 「すまんなぁ」って声が聞こえた気がしました。「天国にまで取り立てよるねんな」 って声も聞こえた気がしました。笑
天国にまで取り立てる - トラック運転手ともさんの日常
別に誰に頼まれてるわけでも、誰かが待ち望んでるわけでもないが自分で読み返したときに楽しいだろうなという気持ちで毎日書いている。
いつか、助けてくれるその日まで - むらよし農園
なにげない一言が、
日常の芯みたいなものを捉えていてハッとさせられたり。
でもそうだな、そこにあった暇な時間とか、手持ち無沙汰な空白とかが失われていくことが、すこしさびしい。
桜吹雪 - うごく水たまり
彼の美学が生まれていた木屑だらけの小さな事務所を覗き見る。 死後も残るような何かを作る。
2022/5/8 - 取るに足らない
「作る」ことの美しさを今になって祖父から学ぶ。
「伝えたいことは言葉にしないとなぁ」そう思い、生まれて初めて兄に手紙を書いた。もうこんなことはないかもしれないと思うとすこし寂しくもあり。
優しい愛 - Chihi’Log
ここ十年ぐらい人を好きになったことはないのですが、やはりどうしても押し殺せないのは生涯を通じて心の底から人を愛したいという気持ちです。
恋愛って私が考えている程いいものじゃないの?? - 人に嫌われるのが怖い大学生の日記
・しばらく電車に揺られたのち、1番出口を出て徒歩1分、星屑珈琲に到着。
「静かな夜に」2022年9月10日の日記 - 素敵側の人間になりたい
こんな遅い時間であるのに、半分ぐらい席は埋まっていて、手持ちぶさな夜に人の気配を感じながら読書や書き物をしたい人が自分以外にも沢山いるのだな、と、なんだか安心する。
…布団の中で私が私を人間らしいぞと励ましている様子が容易に想像できる。 悲しきことか、愛おしきことか。その判断はまた明日の私に託すとしよう。
悲しきことか、愛おしきことか。 - ▽ ブドウに緑、
日記を素直に書くことと、人のためになるような文章を書くことは乖離していると思う。日記は自分のために書いている。
10月9日(日) - まだ、途中
だから誰かに読んでもらおうとしていることに矛盾を感じているし上手く気持ちに折り合いがついていない。
藤沢智子さんという週刊はてなブログの編集もされている方が
つくった一冊だそう。
製本は欧文印刷という東京の会社。
「自分も日記を書いてみたい」「もっといろいろな人の日記が読みたい」と思った方、はてなぶろぐでお待ちしています。
『はてなブログの日記本 2022』 「おわりに」 より
ブログ記事が紙の本になったのは初めてで、
でも実物は見てないという不思議な感覚。
いろんな方の「純日記」が詰まった一冊。
写真や動画もいいけど、
やっぱり文字やテキストじゃないと残せないものもあるし、
AI時代も「まだまだブログも死なないぞ」と信じたいところ。
あくまで肌感覚だけど、
ほかのブログサービスと比べても、
テキスト好きな人は多い気がするし、
やっぱりはてなブログには頑張ってほしいなと。
ちなみに日記本に掲載されたねじまきの記事はこの記事。
ほんとにオチもないただの一日の記録。
いろんな方の文章をよんで
自分のために記録していくことの意味を再認識した日記本でした。