有名人の苦悩
最近読んだyoukosekiさんのニュースレター「#頼りない話」。
有名人についてのエッセイ「人生は長いよ」が印象に残ったので軽く紹介したいなと。
・人生は長いよ | たよりない話
このエッセイはマイケル・ジャクソンの思い出から始まり、
下記のように切り込んでいく。
そして2曲目は"They don't care about us"で、「みんな俺達のことなんて気にしちゃいない」である。暗い。キング・オブ・ポップもつらいよ、ということを訳詞を読んで高校生だった私はようやく理解したのだ。
(ブラジルのPV、初めて見た。かっけー!)
でもその先に何があるのか? ソーシャルメディアが出てきたころは、その未来が分からなかったけれど、今は流行も一回りして、有名人でいることはそれはそれで難しい、ということがはっきりしてきたように感じる。
インターネット有名人のうち、有名税を払ってもお釣りが来る人がどれだけいるのだろう。あるいは、いま収益がプラスでも、これから有名税を払い続けられる人がどれだけいるのだろう。
うーん、なるほど。
いわゆるインフルエンサーで、確かに有名税を払っても
収支がプラスだと思えるのは誰がいるだろうか・・・。
しばらく考えてようやくひねり出せたのが、
初期Youtuberとして世界的にかなり有名だった、ライアン・ヒガ氏。
「How to be Ninja」やエミネム風のラップなど、
ティーンエイジャー向けの動画で
"世界で一番成功した日系人YouTuber"と言っても過言ではない存在。
TEEHEE!
そんなRyan Higa(Nigahiga)氏、
とある時点でパタッとYoutubeの投稿を停止し、
チャンネル登録者数は2110万人もいるのに、
3年前から一切更新がない。
ググってもあまり情報がなく多少心配していたのだけれど、
つい最近こんな記事を見つけた。
・ユーチューバー版の「あの人は今?」
→ YouTube's OG Creators: Where Are They Now?
これによるとライアン・ヒガ氏、
現在はTwitchにて定期的に配信活動をしているとのこと。
なんか安心したというか、
楽しみながら生活を続けているみたいで正直なところホッとした。
・・・なんだか話は脱線してしまったけれども、
インターネット発の有名人でが最前線でずっと生きながらえている例って、
確かにあまり思い浮かばないような。
このライアンヒガでも実質的に最前線からは退いているような形だし。
あとはMr.Beastとかは、まさに昔から有名で、お金の稼ぎもすごそうで、有名税を差し引いても全く大丈夫そうだよね、とふと思い浮かんだり。
最近聴いたNPRのポッドキャスト番組「The Indicator」でも
「インフルエンサー産業の闇」について語られていた。
このエピソードでは、
・インフルエンサーは常にトレンドに乗っからないとダメ
・業者のBotアカウントにイライラさせられる
・プライバシー問題
・アメリカの一部の州では、親が子供を使ってSNSなどで稼いでいる場合、
子供は18才以上になったらアカウントを削除する権利を有する
・親は銀行口座を作って子供のために収益の数パーセントを貯めておかないといけない
などの法律があるそう
などについて触れられていた。
Part2では、
The Indicator from Planet Money - Our final thoughts on the influencer industry
・基本、"インフルエンサー"といっても
フリーランスであることが多く収益は不安定
・インフルエンサー界隈の人種差別
→若い白人男性ばかりが優遇され、同じような内容でも黒人だと白人男性の何倍も頑張らないと同じ金額の契約を得ることはできない。
・ずっとスマホをいじっていないといけないし、実情としてかなり孤独。
なんてことも。
そんな風に見えないインフルエンサーの苦労を聞くと、
「有名人も大変だなぁ」という思いがより強くなってしまった。
フランク・オーシャンのコーチェラでのファンの過剰な期待とか、韓国アイドルの自殺が絶えないのとか、
最近の日本国内の話題をあげると、
歌舞伎俳優の過去の悪事が暴かれた例もあったりするように
失敗やヘマ、そして悪いことをしてしまった時のことが、
本来罰せられるべきよりも何十倍、何百倍も拡散されて、痛めつけられてしまう。
テレビや新聞だとすぐに他の話題に埋まってしまうけれども
(もちろん探せば出てくる)
インターネットだと5年前の情報も数秒で検索できてしまうので、
デジタルタトゥーとはなんとも怖いものだなと改めて思う。
『三体』の暗黒森林理論ではないけれども、何も発言せず隠れていた方が賢明なのでは?と思ってしまうのも無理はない気がするし、実際そうなりつつある現代。
過去の投稿をAIやアルゴリズムにほじくり返され、
悪目立ちしてしまうリスクもより増してきたように思えるし。
・・・そうこう書いているうちに、
Twitterの削除されたツイートが復活してしまうバグがあるとかないとか、
(そういうの、正直言ってかなり危険だと思うし)
有名人ってどう立ち振る舞えばいいのか
ほんとに難しい時代になってきたんだな、と今更ながら実感する。
僕自身はゲイということもあり、
顔出しはしない方針なのでまあ関係ないといえばそうなんだけれども、
(まあ大した身分でもないので実際のところ害はないだろうけど)
オフラインで信頼のおけるブロガーさんとご飯行ったりするぐらいが
ちょうどいいネットとの付き合い方な気がしている。
・・・かといって「やっぱりインターネットは匿名でやるべき」みたいな
インターネット老人会みたいなことを言うつもりはなかったけれど
なんかそういい出しそうになってきたので、そろそろこの辺で終わりにしようかなと。