一カ月間の短篇読書チャレンジ
どうも、ねじまき(@nejimakiradio1)です。
新しい月始まりということで、
また懲りずにあらたな挑戦をしてみようかと。
今回のテーマは「毎日1篇ずつ短編小説を読む」ということ。
今年は小説を書きたいなということもあって、
たくさん短篇小説を読むことにした。
・・・昔からベッドの上に本を何冊か置いて、
寝る前に読んで眠くなったらやめる、という習慣はあるんだけれど、
短編小説を1編必ず読む、という縛りはしたことないので、
ちょっと気合を入れて読んでいこうかなと。
Kindle Unlimitedや古本、図書館で借りた本など、
読むには困らないほど短編小説集は積読しているので、
・・・あとは読む時間を確保するだけ。
いくら長い短編小説でも15~30分あれば読めるはずなので、
今読んでいる長編本などの進捗を多少犠牲にすれば、
1日1編ならそれほど苦労することなくできるはず。
毎日忘れないように、
短編を読む用の時間を確保できるかが勝負な気がしている。
・・・ということで、
個人的に勝手に決めた5つのルールはこんな感じ。
- ジャンルは問わず、短い小説ならなんでもよし
- 読む順番は気にしない。直感でその時に読みたくなった作品を読む
- 昔に一度読んだ作品(再読)も可 (時間ない時はこれでいこうかなとw)
- 10点満点で評価+一言感想を書く (どういう点が優れているかなど)
- 楽しんで読む
短編と短篇ってなにが違うのか。
前から気になっていたので調べてみると、
昔は「短篇」と書くのが普通だったけれど
「篇」は当用漢字にならなかったので
代わりに「編」を使うことになった、という解説を読んでなるほどなと。
読書メモ (随時更新)
ということでここから短篇小説の読書記録。
2023年5月
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『フォークナー短編集 / ウィリアム・フォークナー』より「エミリーにバラを」
フォークナーは学生の頃 長編に挫折して苦手意識があったので、 ようやく短編でリベンジ。かなり有名な作品だそう。
エミリーの不可解な行動と町の住民の反応が面白い。
ホーマー・バロンがゲイなのではないか?という解釈、なんだか映画の『スリー・ビルボード』を思い出した。 8点 -
『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「悪の可能性」
適当にかいつまんだのがまさかの”バラ”つながり。この短編小説も、親切なように見えて実は…というちょっと変わった女性主人公と街の住民とのやりとりを見守るような作品。オチがこれまた可哀想な・・・。 6.5点
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『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「田舎へドライブ」
第二次世界大戦前の不穏な状況の仲、女性が意を決して彼とドライブにいくも・・・。海外文学の中で「心中」という言葉が出てきたりするのはなんとも不思議な感じ。八方ふさがりな彼女はどうすればよかったんだろう。軽くネタバレすると父親が正解だったというオチもなんともいえない後味。 6点 -
『結晶するプリズム』より「鰐の王子さま / イン・イーシェン」
短編なのに土着的なディテールや森の幻想的なシーンなど世界観がバッと広がるのが良い。展開も早いのに無理なく入ってくるのもすごいし、ラストがなんとも沁みる。シンガポールのル=グウィン的な印象を受けた。7点 - 『文鳥 / 夏目漱石』
文鳥の様子をここまで綿密に描けるのはさすが夏目漱石。全編にユーモアをふりかけたような文章はやっっぱりすごい。時代を感じさせる描写もなんだか乙。 8点 -
『人みな眠りて / カート・ヴォネガットJr.』より「スロットル全開」 趣味にハマる夫、口を挟めない妻、そして息子の自分勝手な行動に呆れる母… そしてついに堪忍袋の緒が… 途中まではどこの家庭でもありそうな話で結構好みな話。オチも悪くない(笑 7.5点
- 『The Collected Stories of Amy Hempel / Amy Hempel』より「In the Cemetery Where Al Jolson Is Buried」
アメリカの女流作家、エイミー・ヘンペルの短編小説。友人の死を見届けられなかった話。短い話だけどほんとグッとくる。一文一文がほんとに鋭い。9点 - 『傍迷惑な人々 / ジェイムズ・サーバー』より「ダム決壊の日」
作り話っぽい話が多いけど単純に心を空っぽにして楽しめる。文体や雰囲気は少しエトガル・ケレットに似てる気もする。7点 - 『ここから世界が始まる / トルーマン・カポーティ』より「水車場の店」
カポーティの初期短編集。昔の男を思い出させるような少女に出会い・・・。
シンプルだけど余韻の残る一篇。 6.5点 - 『人みな眠りて / カート・ヴォネガットJr.』より「ボマー」
男の同僚二人で超お金持ちの知り合いがいるとでっちあげ女の仕事仲間をハメようとするが・・・。 オチがこうでよかった(のか?)笑 6.5点 - 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「なんでもない日にピーナッツを持って」 主人公のジョンスン氏の野暮な親切心が周りの人に影響を及ぼし…。 世間は狭いという話。 7点
- 『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ / カート・ヴォネガットJr.』より「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」 最後のオチが切ない・・・。
読んでる側としてもなんか気まずさ感じてしまう文章力と展開がさすが。7.5点 - 『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ / カート・ヴォネガットJr.』より「パウダーブルーのドラゴン」
これも切ないラスト。あんだけ頑張ったのにこのオチかよ・・・。 8点 - 『フォークナー短編集 / ウィリアム・フォークナー』より「嫉妬」
嫉妬心は女性を中心に描かれることが多い気がするけど、これは男性中年の話。
あまり主人公に同情できないし、衝撃さは多少あるものの、わりと話もシンプルでうーんという感じ。6点 - 『傍迷惑な人々 / ジェイムズ・サーバー,』より「虹をつかむ男」
妻の尻に引かれた男が現実世界で妄想を膨らましていく話。(一回目はよく把握できなかったけどそういうことか・・・。)
映画『LIFE!』の元ネタっていうのを知ってちょとびっくり。7.5点 - 『レイモンド・カーヴァー傑作選』より「あなたお医者さま?」
久々に再読。電話からはじまるいかにも春樹っぽい話。
読みようによっては軽くホラー。短くて電話での会話からにここまで一気に読ませるのは流石。昔読んだときよりはるかに良く感じた。 9点 - 『ベスト・ストーリーズⅠ』より「深夜考 / ドロシー・パーカー」
「NewYorker」に掲載された短編のみを集めたアンソロジー。
不眠症の主人公が、脳内のラ・ロシュフコーを撃退しようとするが・・・。
たぶん言葉のリズムとか韻が大切な感じな文章で、日本語で読んでもあまり面白くはなかった。ただ自分もなかなか寝付けないタイプなのでこの妄想はわかるな・・・。「人間って、どうやって眠るんだっけ。」 6.5点 - 『カート・ヴォネガット全短篇』より「バターより銃」
戦争中の現地で兵士たちが「故郷に帰ったら、いちばん最初に食べたいもの」を妄想して・・・という話。
オチがちと弱い気がするけど、そのリアルな会話や出てくる食べ物が美味しそうなこと・・・。 6点 - 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスン』より「メルヴィル夫人の買い物」 クレーマーと洋服屋さんのバトル。 苦情受付係に行く途中でレストランに寄ってしまうところとか、店員の冷たい対応の描写も好き。オチも良い。 7点。
- 『なんでもない一日 / シャーリイ・ジャクスンの』より「喫煙室」 悪魔と契約を結ぶ話。こんな弱そうで小物な悪魔初めてみたかも笑 契約は大事。 7点
- 『アメリカの鱒釣り / リチャード・ブローティガン』より「クールエイド中毒者」
人口粉末果汁をドラッグのように丁重に扱う子供たちの話。
5ページほどの掌編、文章のリズムが最高で何度読んでも良い。 8.5点 - 『アレフ / J.L.ボルヘス』より「死人」
フォークナーよりフォークナーらしい、展開の
マテ茶や馬乗りなどいかにも南米なイメージが出てきて〇
どの描写も映像が浮かぶような文章で、ラストもなんとも映画的。7点 - 『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「一日の得」 殺し屋が男を追って仲良くなるが、充実した友人関係を見せられなんとも言えない哀愁を感じる一編。全体的にヒリヒリした空気感を書くのがうまい。冒頭から「一日得した」のテーマを忍ばせるのが良い。7点
- 『二十一の短篇 新訳版 / グレアム・グリーン』より「アイ・スパイ」
グレアム・グリーンって実際に諜報員だったこともあるのか!サマセット・モームもスパイだったし、人間観察ってやはり小説を書く上では大切だったのかも。 6 - 『レイモンド・カーヴァー傑作選』より「でぶ」
レストランの情景が思い浮かぶし、会話のやりとりが巧い。レイモンド・カーバーが誰か知らなかった学生時代に読んだ時よりも断然楽しめた。 7.5点 - 『アメリカの鱒釣り / リチャード・ブローティガン』より「<アメリカの鱒釣りホテル>二〇八号室」
超短編って意外と 読んだ記憶がない。
短くてシンプルな文章なのに、情報量の多さと、そのスッと入ってくる世界観。
なぜ208号室なのかもちゃんと謎が解けるのも良い。9点 - 『死者の奢り・飼育 / 大江健三郎』より「不意の唖」
米兵数人と日本人通訳一人が集落にやってくる。やがて通訳者の靴がなくなって・・・。 米兵とムラ社会の村人の態度の書き分けがなんとも巧いし、展開もほんと無駄がない。 8点 - 『死者の奢り・飼育 / 大江健三郎』より「人間の羊」
これぞ初期大江健三郎、って感じのお手本な短編。ウン年振りに読んだけどこれはハッキリと覚えていた。 8.5点 - 『掌の小説 / 川端康成』より「人の幸福」
この短編は短い&数が多いので、既読だったけど一つひとつの印象が薄くてこれも記憶になかった。ただ短いのにめちゃインパクトある短編。
継母奪われて満州に売られそうになる弟・・・。 7.2点 - 『AI 2041 人工知能が帰る20年後の未来』より「ストーリー仮面の神」
ナイジェリアのクィア、という設定も、土着感と未来が組み合わさる感じも、
実在人物の絡め方もどれもよかった。これが好きなら「結晶するプリズム」もよんで欲しい。 7.5点 - 『味覚の冒険』より「GOD OF THE DOG / 中島らも」
「犬を食う?」という惹き強めな書き出しから、最後までスッと読ませる紀行文のようなもの。
最後のオチも犬好きなら情景が想像できてしまう。 7点
…ということで短編小説を読む経過や感想・レビューについては
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今週のお題「何して遊ぶ?」