【広辞苑7 10年ぶり改訂】
ついに10年ぶりの改訂となる、「広辞苑 第7版」が1/12に発売されました。
新たに一万語が収録され「LGBT」や「ブラック企業」「フリック」「婚活」などここ五年で一気に身近になったことばまでもも網羅されているようです。
(「台湾」ということばの定義で岩波書店が窮地に立たされ、最近話題にもなりました)
日本の辞書を代表する『広辞苑』、 せっかく発売されたので、実物をみに本屋へ。
やはり、大きすぎます。
辞書編纂者の方の苦労を書いた本を何冊も読んできたので、「もし気に入れば買おう」と思って本屋に向かったのですが、さすがの存在感に圧倒されてしまいました。
今の時代、作家か、物書きか、ことばマニアか、教育関連の職の方 etc...
そういう特定の人以外にアプローチするには、広辞苑の大きなボディは重たすぎるのではないでしょうか。
【Kindle版の広辞苑は?】
昔は「知の象徴」だった巨大な紙の辞書も、Googleで打ち込めば意味が出てくる時代。
昔から紙の辞書を使ってきた方には不遜に聞こえるかもしれませんが、
新しい『広辞苑』が最も輝くベストな場所は、Kindleだと僕は信じてやみません。
本を読んでいるとき、ことばの意味がわからずに、文章をすっ飛ばしてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
しかし、電子書籍端末ではそんな心配はありません。
Kindle端末には「デジタル大辞林」や「Oxford Dictionary of English」が標準的に搭載され、電子書籍を読んでいるときに、わからない言葉があれば、文字を入力することなしに、すぐに調べることができます。
読書中、もしわからない言葉があれば、タップして単語を選択すると、
ポップアップで単語の意味が表示され、あっという間に意味を把握することができます。
しかも、『デジタル大辞林』にないことばは自動的に「Wikiedia」に接続し、意味を探してくれます。
『デジタル大辞林』、さすがに無料なだけあって、説明が非常に簡素であり、あくまで軽く意味を把握する程度にしか使用しません。
それだからこそ、個人的には新しい『広辞苑7』を電子書籍端末にのせてほしいのです。
【辞書編纂者の意見は?】
ここで、辞書を編纂されている方はどういう意見を持っているのかをみてみましょう。
『三省堂国語辞典』を編纂されている飯間浩明さんのラジオ講座をまとめた『国語辞典のゆくえ』という本に、興味深い内容が語られていましたので紹介したいと思います。

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 国語辞典のゆくえ (NHKシリーズ)
- 作者: 飯間浩明
- 出版社/メーカー: NHK出版
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「インターネットの情報だけではダメです。自分で辞書を買いましょう」
こんなふうに要求することににどれだけの効果があるか、はなはだ疑問です。
私は最近、自分が辞書を作る立場でありながら、「辞書は死んだ」と繰り返し発言しています。 P9より
辞書編纂者にもかかわらず、いきなりこんな発言をされています。
電子辞書の「後方一致検索・全文検索」ができたり、簡単にことばをアップデートできるというのは、紙の本がどう逆立ちしても勝てない部分だと認識されているようです。
オリジナルにある情報が、ネット上では欠落している、ということがあるのです。P15
しかし、さすがに辞書編纂者、無料のネット辞書には懐疑的です。
また、この本で特に印象に残ったのが、
国語辞典の電子版第1号は『広辞苑』だということ。
1987年という、国鉄が民営化されたような時代に、紙の辞書はすでに電子化されていたのです。(CD-ROM版として発売され、全く振るわなかったようですが。)
最後に、辞書の未来について飯間さんはこう語ります。
作り手が辞書を利用者に届け、利用者が作り手に反応を返す。
こうした双方向の回路ができれば、将来の辞書は、予想もつかないほど変わっていく可能性があります。 P145より
そもそもことばの意味なんて時代とともに変わっていくので、
一般人と辞書とのずれが随時修正されていくような仕組みがあれば、辞書は新たな活路を見出すのかも知れませんね。
またほかにも、『広辞苑 第七版』の編纂者インタビューで、電子化への抵抗はない、という内容を語っておられたのも印象的でした。
【紙の辞書も残って欲しい】
いかがだったでしょうか?
「昔から慣れ親しんだ紙の辞書がいい」という方も多いかも知れませんが、
ゆとり世代の僕からすれば、このような電子化への要望は決して珍しい意見ではないと思います。
せっかくこれだけ優秀な辞書があるのだから、最大限活用したいところ。
実際、新しい広辞苑は、電子辞書や「一太郎2018」、電子版としても発売されるようですのでキンドルなど電子書籍端末への展開も期待したいところです。
でも、紙の存在感も捨てがたいところ。気になる方はぜひ。

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