世界のねじを巻くブログ

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京都大学の「虫を知りつくす」展が虫の概念を変えてくれた

【京大の「虫を知りつくす」展】

 みなさん、「虫」はお好きでしょうか。
今日、京都大学に用事があったので、空いた時間に以前から気になっていた京都大学の総合博物館へ行ってきました。
「30分で出よう」とふらりと入ったつもりが、展示に見入ってしまい一時間以上居てしまいました。
平成28年度企画展として展示されていた「虫を知りつくす」展が非常に興味深かったので、今回紹介したいと思います。

【「虫を知りつくす展」概要】 

"虫好き子供が大人になったら…"というキャッチコピーでの展示。
詳細は下記ページをご覧ください。

 虫を知りつくす展
会期:2016年 7/13から10/23まで
場所:京都大学総合博物館

【印象に残った部分・感想】

印象に残った部分を下記に箇条書きで。(順番はごちゃごちゃです)

  • 「天敵資材」なるものがあり、カブリダニというダニを使用したマダニを駆除する薬などが実際に使われている。
    (「生物農薬」でWikipediaで調べると、他にも色々あるようです、すごい。)
  • アリの群れで一定の確率で存在する「働かないアリ」。
    これは「働かない」のではなく、「働けない」アリだそう。
    しかもその「働けない」DNAは親から子へ受け継ぐらしい。
    また、実験の結果、「働けないアリ」の系統は同じ巣の働きアリよりも多くの卵を産むことが分かっている。世代を経るごとに巣の中で「働けないアリ」はその割合を増やしていくとのこと。(将来どうなるんだろう?)
  • 虫の「自己組織化」の特性をロボットで実験する動画。火星でロボットが活躍する日も遠くないかも
  • 竹の中で酵母菌の農園を作り、増殖した酵母菌を食べて成長する ニホンホホビロコメツキモドキという虫がいる
  • シロアリの卵に化けるカビがある
  • ヤドクカエルは餌のダニが持っている毒を蓄積している
  • セイタカアワダチソウを食べる昆虫があまりいないため、セイタカアワダチソウとそれを食べるセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの個体数が多くなってきている
  • ヤブツバキというつばきの果皮の厚さと、メスのゾウムシの口の長さは互いに競うように進化してきた。(これを軍拡競争というらしい)
他にもシロアリの巣の展示(もちろん何千匹とうごめいてました!)やフェロモンの実際の匂いを嗅げる展示など、とても興味深い展示だらけでした。
説明も専門用語を使っている割には分かりやすく説明されています。
「痛くない注射針」や反射を低減する「モスアイフィルム」等、虫の生態や仕組みを生かした技術はいくらでもあるので、今後の発展に期待したい所です
個人的に大好きな"クモ"に関する内容がなかったのが唯一残念だったかな、というところ。
僕は偶然券売機が壊れていたため無料で入場することが出来ましたが、
それでも通常の入場料金は大人400円という手頃な価格。十分元は取れるかと思います。

【おわりに】

いかがだったでしょうか?
人によっては嫌悪の対象でしかない「虫」。
今回の展示で、いかに虫が複雑なシステムの中で生きているのかを知ることができ、新しい洞察を得ることが出来た気がします。
他にも自然史・文化史・科学史等、幅広い展示があるので、
関西圏に住んでおられる方は出町柳に来るついでに、一度京都大学総合博物館を訪れてみてはいかがでしょうか。