嗅覚に関する本
どうも、ねじまき(@nejimakiblog)です。
旅行をしながら仕事や資格の勉強をしたりで、
なかなかブログやポッドキャストを更新できてませんが「読書の秋」ということでもう一冊本を紹介したいと思います。
以前、いくつかの記事で触れましたが、
僕は昔から「嗅覚」にすごくに惹かれるのです。わざわざこんな展示にいったりも。
「におい」関して、わりかし色んな本を読んだのですが、サクッと読めて内容も楽しめた一冊を紹介したいと思います。
感想・レビュー
さっそく、印象に残った部分を書いてみます。
目と耳は、外部からの刺激が物理であり、 口と鼻は化学なのである。
『人はなぜ匂いにこだわるのか』村山貞也 P15
あまり考えたことはなかったですが、確かにいわれてみれば、
嗅覚に関する本を読むと化学の式が出てきたりで、圧倒的にケミカルの世界だったりします。
調香師など香料を扱うひとは理系出身の方が多いと聞いたがことがありますが、そういうことなんですね。
「におう」は赤い美しさのことだった。 P23
丹=に ということで、語源的には赤の意味を持つことばだったようです。
語源は意外なところからきていたりしてなかなかに楽しめます。
大昔は、嗅覚も大事なコミュニケーション・メディアであったと思う。P54
平安時代では、「におい」は貴族にとって必須のスキルで、
手紙にお香を焚いたり、文字通りのコミュニケーションとしての使われ方をされていました。
また、ところどころのページで、匂いに関する作品の引用がされてました。
例えば、
蜜柑の 香染みたる指を 洗はずに 山口誓子
という俳句、
読むだけでどこからかミツカンの香りがただよってきそうな一句です。
イメージを喚起させる効果は、五感の中でも特に優れているんじゃないでしょうか?
ほかにもヘミングウェイの『老人と海』の鮫工場のにおいが漂ってくるシーンの文も紹介されていました。
個人的には、三島由紀夫の『仮面の告白』で、ゲイの主人公が家の前を通る兵隊の汗の臭いに昂る場面もわりかし印象に残ってます。
自分が同性愛者の自覚がないころに読んだので、悟ってからもう一回読むと、主人公の気持ちが手に取るようにわかる気がしたのを覚えています。
意外とそういう見方はされてないですが、あの大江健三郎もにおいに関する描写が優れている作家だと思います。
立ちどまると犬殺しの躰からはやはり生あたたかい犬の臭いがし、それは犬の死体そのものよりもっと生なましかったから僕は何げなく顔をそむけながら歩きまわった。
「奇妙な仕事」大江健三郎
犬を殺していく「奇妙な仕事」を手伝う人々を描いた作品ですが、良い香りだけでなく、こうしたグロテスクな場面にも、嗅覚的な描写は活きてくるんだと思います。
音楽でいくと、サイモン&ガーファンクルやU2がパッと浮かびます。
U2の「Miracle Drug」という曲の歌詞も
Freedom has a scent. Like the top of a new born baby's head.
自由は匂いがある / まるで生まれたての赤ん坊の頭の上のような
となっていて、よくそんな発想ができるなぁ、と聞くたびに感心したりしてます。
レミオロメンやスピッツも意外と嗅覚にこだわっている歌詞が多い気も。
「におい」に関していろんな視点から語った本なので、興味のある方はぜひ。
【においの世界は面白い】
以上、ひさびさの「五感を鍛える」カテゴリーへの投稿でした。
嗅覚って人間の大切な五感の一つなので、知れば知るほど面白いです。
ワインや香水好きの方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
- 作者: 村山貞也
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1988/12
- メディア: 単行本
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