【デジタルリマスター上映】
以前から気になっていた、アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい(原題:Vertigo)』 を鑑賞してきました。
以前黒澤明監督の『七人の侍』を紹介しましたが、それと同じく「午前十時の映画祭」という企画により、あの『めまい』をスクリーンで観ることができました。
「午前十時の映画祭」とは「一度、スクリーンで見たかった。もう一度、スクリーンで見たかった。」というキャッチフレーズの通り、昔の名作を全国の映画館で上映するという映画好きにはたまらない企画です。
これから上映予定の『アラバマ物語』も個人的に気になっております。
【感想・レビュー】
【あらすじ・ストーリー】
屋上で犯人を追いかける際中同期が転落死してしまい、高所恐怖症になってしまう主人公。
警察を辞め、のんびり生活しているところに、造船会社を営む昔の友人から奇妙な行動を続ける妻を見張るように頼まれ尾行を続けますが・・・。
ジャンルでいうと、サスペンス+ラブロマンスという感じでしょうか。
主人公が「高所恐怖症」であることが物語の鍵になっており、 ヒッチコック監督はそこを活かした映画の撮り方をしています。
【カメラワーク・話の展開】
『めまい』といえば有名なのは「めまいショット」。
映画の中で何度も効果的に使われています(55秒辺り~)
ネタバレになるため内容は割愛しますが、教会の高塔を登っていくシーンは映画監督を志す人なら誰でも知っているであろう有名なシーンです。
この『めまい』のすごいところは撮影技術だけでなく、話の中盤でオチが明かされるところ。
中盤に映画の謎が解き明かされ、そこからまた違う方向へ話が展開していきます。
とても1956年の映画とは思えないほどの完成度。
ラストシーンも映画史に残る衝撃的な終わり方といえるのではないでしょうか。
【色へのこだわり】
また、異常なほどの色へのこだわりで有名なのもこの映画。
登場人物のイメージや心情の移り変わりを、洋服や舞台セットで的確に表現していました。
主人公が悪夢にうなされるシーンもサイケデリックな演出で、
「めまい」を感じるほどの映像で、ぜひ劇場で観て頂きたいところ。
ちょっと昼ドラっぽいくどさを感じることがありましたが、
流石に昔の映画なのでその辺は仕方がないと思います。
ちなみに、U2に「Vertigo(めまい)」という曲がありますが、おそらく赤い渦巻きがぐるぐる周るビジュアルはこの映画から取られたものだと最近気が付きました。
【映画館内の様子】
『スターウォーズ・ローグワン』のおかげか、シネコン内は人で溢れていました。
『めまい』の客層は『七人の侍』と比べると比較的若く、学生らしき方もちらほら。
映画を観終わった後は、『妖怪ウォッチ』の映画を待つ親子で溢れていました。
【ヒッチコックが初めてでも大丈夫】
- 話の展開の仕方が見事
- ビジュアルが今観ても全く古びないほど優れている
- 役者も物語に振り回される登場人物になりきっている
- 細部まで細かい作りこみ
この映画は「ヒッチコックって何?」という若い方や学生にも最初に観るヒッチコック映画として向いているのではないでしょうか。
個人的には他の代表作である『サイコ』や『鳥』よりもおすすめです。
僕もそれほどヒッチコック監督の映画をたくさん観たわけではないので、
『裏窓』など他の作品も見ていきたいな、と思った正午でした。
「映画館は遠くていけない」という方はブルーレイも安く出ているのでぜひ。
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