【アイデアとは魚のようなもの】
映画監督のデイビッド・リンチ(David Lynch)が瞑想について書いた一冊。
もちろん書かれているのは瞑想だけでなく、作品をどのように創り上げていくのか、
ジャンルを越えて活躍をするデイビッドリンチの創作の源を知れる一冊です。
さっそく感想を書いてみました。
【リンチ流 アートライフ&瞑想レッスン】
特に印象に残った部分をいくつか紹介したいと思います。
まずは本のタイトルにも関連をするこの部分から。
アイデアとは魚のようなものだ。小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。
でも大きな魚をつかめるには、深く潜らなければならない。水底へ降りていくほど、魚はより力強く、より純粋になる。巨大であり、抽象的だ。そしてとても美しい。 P10より
アイデアをひねりだそうとする欲望は、釣りエサに似ている。 P38
小さな魚は浅瀬を泳いでいるが、大きな魚は水底にいる。
釣りをするコンテナーきみの意識ーが広ければ広いほど、より大きな魚をつかまえることができる。 P40
僕もブログ記事のアイデアを思いついた瞬間は、魚を釣り上げたときのような感覚を覚えます。
映画館に入ると明かりが消える。なぜか知らないが、これがすごくマジカルなんだ。 P26
体験を共有できるのは素晴らしい。
家にいて、目の前にホームシアターがあるのもいいが、映画館にはかなわない。大きなスクリーンは最高だ。それはもう一つの世界へ分け入る通路だ。 P27
映画館の中に入るための通路。あそこを通るとき、今でもちょっとワクワクするのは僕だけでしょうか。
ぜひ上の記事も読んでみてください。
映画とは言語だ。話すことができる。大きくて抽象的な事実をね。 P28
無声映画なんてのはその典型で、ことばなしにあらゆる世界観を観客の頭に疲労してくれます。映像というのはそういう部分では圧倒的な強さを見せますよね。
映画は本編だけで成立すべきだ。映画監督が作品の意味を言葉で解説するのは、馬鹿げている。 P30
見る側としては、「映画の意図をしっかり監督の口から聞きたい」と思ってしまう僕。
意識の大海を活性化するためにダイヴするんだ。 P61
瞑想がもたらす至福は防弾チョッキみたいなものだ。きみを守ってくれる。 至福に満たされていればもう無敵だ。 P118
瞑想が終わった後のスッキリ感、これは何にも代えがたい一時ですよね。
場所の感覚が出せるかどうかで、映画は大きく左右される。 P140
そういうことなんでしょうか?
きみが発表する新作は、過去に達成したことの文脈において見られてしまう。 P184
例えば、『The Joshua Tree』から『アクトンベイビー』に転換を成功させたU2も、当時ここに相当苦しんだはずです。
特にStevie Wonderの曲なんて、確かに「Meditation」という言葉がモロに出てきますね。
デビットリンチがこんなに瞑想にハマっていたとは知りませんでした。
あの独特すぎる世界観は、こうした背景があって、生み出されているんですね。
【感想を読むより体験を】
瞑想に興味のある方、デビットリンチ監督の映画を一作でも見たことがある方は必読の一冊。
日本版には冒頭に「日本の読者へ」という題で、リンチ監督から日本の読者へのメッセージがあるのも好印象でした。
「瞑想って怪しそう」そんな印象をもっている方にはぜひ読んで欲しいです。

大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン
- 作者: デイヴィッドリンチ,David Lynch,草坂虹恵
- 出版社/メーカー: 四月社
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
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瞑想を実際に一ヶ月続けてみた感想は下記の記事をどうぞ。(今も継続中です)