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U2が日本で評価されない7つの理由【洋楽ロック】

【欧米では人気アーティスト】

みなさんはU2というバンドをご存じでしょうか。
U2と書いてユーツーと読みます。ミュウツーでもウニでもありません。
世界で最もライブ収入が多く、グラミー賞も最多受賞という驚異のアーティスト。
それでも日本でのU2の知名度は、クイーンやローリングストーンズ、オアシスやレディオヘッド・レッチリといったバンドに劣る気がします。

U2ファンとして、なぜ欧米では人気のU2が日本ではそれほど人気ではないのか、ざっくばらんに書いてみたいと思います。

あくまで個人的な推測ですが、歌詞からビジュアルまで、日本でU2の評判がパッとしない理由をまとめてみました。

1:人権・宗教・反戦・ドラッグなど歌詞の内容が重い

U2といえば「Sunday Bloody Sunday」や「Pride」などが挙げられますが、アイルランドの「血の日曜日事件」を批判したり、キング牧師を称える歌だったりで、曲のテーマが非常に重たいです。
他にもヘロイン中毒を描いた「Bad」や、ユダのキリストへの裏切りを描いた「Untill The End Of The World」などあげればキリがありません。
デビューアルバムの頃から、若くして亡くした母に対する曲も何曲も書いたりします。

日常を歌った歌詞が多い邦楽に慣れ親しんだ日本人には、少し説教臭いと感じてしまうのではないでしょうか。
初期からこんな感じなので、U2の軸のブレなさには尊敬の一言。

2:わかりやすいラブソングが少ない

U2には他のアーティストにありがちなシンプルな恋愛ソングが少ないです。
何だかんだで大衆の心を掴むのはバラードや恋愛に関する歌。

U2のラブソングとして有名な「With Or Without You」も単なるラヴソングではなく、教義の違うカトリックとプロテスタントのカップル葛藤を描いた曲です。

「The Fly」ではなんと主人公を"蠅"に例えてみたり、一筋縄ではいかないのが,U2の歌詞の特徴といえるでしょう。

3:キリスト教・宗教色が強い

U2はメンバーの4人中3人がクリスチャンという珍しいバンドです(ベースのアダムのみ無神論者)。

そのため、十字架や神・教会などキリスト教関連のワードが歌詞にバンバン出てきます。

ハリウッド映画でも聖書をモチーフとした話は良く出てきますが、ストレートに表現するパターンはあまり多くありません。

代表作のヨシュアツリーやアクトン・ベイビーもアルバム全体を通してキリスト教の世界観が描かれています。一番メロディーが聴きやすいであろう代表曲「One」でさえ、宗教的なテーマがたっぷり。
聖書の聖句を引用した歌詞も多く、キリスト教的な教養がなければ十分に楽しむことができません。日本で受けるわけがありませんね。

逆にいえば、欧米で受けている理由のひとつとして、この宗教観によって深められた曲の深み、があげられるのかも。
 
まあ一言でいえば、真面目な曲が多すぎるんですね、U2は。

4:欧米寄りなサウンド
最近の学生や若者でも、オアシスやコールドプレイ、レディオヘッド、Queen、ビートルズは聞こう、となるのにU2を聞く方が少ないのはここに理由があるように思います。

音が非常に空間的でヨーロッパ的なのがU2の音の特徴。 スケールも非常に広大です。
「Stay (far away )」なんて、一度はヨーロッパの街並みを歩いてみないと良さがわかり辛い気がします。

ヨーロッパ的サウンドだということを裏付ける理由として、U2の中でもメロディ重視な「With Or Without You」は日本でもそこそこ知名度あることが挙げられるでしょう。やはりサビのメロディーでぐわっと持ち上げる曲でないと、日本では流行りません。ちなみにあの宇多田ヒカルやSuperflyもカバーしています。

その点、2017年12月1日に発売される『Songs Of Experience』収録の最新シングル「You're The Best Thing About Me」はわかりやすいメロディーなので日本受けも期待できるのではないでしょうか。

5.政治的発言・介入が多い
社会派バンドの代表であるU2ですが、色んな国に政治的発言を躊躇なく行います。そのため、それを快く思わない人層から反感を受けがちです。ライブでも思いっきりトランプ批判をしてました。そこがU2の凄さでもあります。
I don't know, I don't know which side I'm on.
I don't know my right from left or my right from wrong.
わからない、自分がどちら側にいるのか
わからない、右も左もどちらが正しいのか間違っているのか
                                 -「Two Hearts Beat As One」より
上記の歌詞のとおり、本人たちは右翼左翼どちらに傾くというわけでもなく、ひたすら正義を貫きます。
そういや最近、パラダイス文書の一件もあったりと偽善者といわれがちですが、アフリカやエイズ対策に巨額の寄付・支援をしてたりもします。口だけじゃないところがU2の凄さです。

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6:日本受けしないビジュアル
昔はシュッとした顔立ちで女性にも多少人気はあったようですが、今のボノはサングラスをかけた50代のおっさん。海外でいう「サングラスといえばこの人」として挙がるぐらい有名なのがボノですが、そんなグローバルスタンダードは日本では通用しません。
日本人からすれば、「調子にのったセレブ」に見えてしまうのでしょう。

ギターのエッジも渡部陽一そっくりという有様。

ゲイの僕からすると、ドラムのラリーは日本人受けするかっこよさだと思う
のですが、あまりラリー好きだという話は聞いたことがありません。

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外見は好みの問題なので、しかたないですね
まあ、ファッション的な要素ではデビッド・ボウイやカート・コバーンの貢献にはかなわないでしょう笑。
 
7:反日・嫌日家という誤解

U2は90年代の強引な企業買収や捕鯨に関して日本を批判したため、反日アーティストといわれがちです。

実際それは大きな間違いであり、アルバム『No Line On The Horizon』では有名な写真家である杉本博司さんの写真をジャケットに使用しています。

建築家の安藤忠雄とも電話をかけるほどの仲の良さであり、ほかにも吉野の桜を歌ったYoshino Bloomなんて曲も書いてます。

また、2017年にもお忍びで直島や京都にもプライベート観光にも来ていたようです。

90年代の強引な捕鯨は欧米人の批判の対象になるのは仕方ありませんが、それイコール日本嫌い に直結するわけではありません。
・・・「7つの理由」と書きましたがまだ書けそうです。
 
8:来日公演が少ない
他の大御所アーティストと比較して、日本でのライブに来てくれる回数が少ないです。
ストーンズやレッチリなどの有名どころと比較すると知名度が下がるのはそのせいでしょう。
ブルーススプリングスティーンやDepeche Modeが日本であまり評価されないのも同じ理由だと個人的に思っています。
 
それでも、日本はアジアの中で唯一U2のライブが行われた国であり、累計5回も来日コンサートにきています。最近コンサートがないのは、「ギャラが高すぎて呼べない」というのが現状かもしれません。

どうやら最新アルバムを携えたアルバムツアー『eXPERIENCE + iNNOCENCE Tour』では日本に来るという噂もあるようなので、2019年の来日に期待しましょう。
※最新作『Songs Of Experience』の全曲レビューを書きました!!

【新作は初心者にもおすすめ】

ここまでU2が受けない理由を挙げましたが、最後に来週発売の最新アルバムの紹介を。

2017年12月1日に最新作『Songs Of Experience』(ソングス・オブ・エクスペリエンス)、が発売されます。今までにないほどストレートなロックサウンドの曲が多めで、聴きやすいアルバムになっていると思われます。

海外でもいまだに強い支持を集めるU2の新アルバム、聴かない訳にはいかないでしょう。この記事を読んで興味をもった、初めての方もぜひ!!

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※追記(2018.9.2):ボーカルのBonoの喉の調子が悪く、声が出なくなったようですが大丈夫でしょうか。とても心配です。

※追記(2019.5.15):来日公演の噂がなんどもツイッターで流れてます。ライブ期待しましょう。

※追記(2019.12.5): さいたまスーパーアリーナのコンサートいってきました。中村哲さんへの追悼やオノヨーコ、草間彌生さんなどが背景に登場し 最後には日本国旗まで。反日なんてありえないほどの日本人への大サービスでした。