世界のねじを巻くブログ

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2019年に心揺さぶられたKindleの電子書籍10選

キンドルおすすめ本

令和元年に読んだおすすめのKindle本をまとめてみました。
毎年恒例のブログ記事、読書好きの方はぜひ読んでみてください。

Kindle本を買い漁る人だけにわかる"電子書籍あるある" - 世界のねじを巻くブログ

まずはこの食に関する本から。

最後の晩餐 - 開高健

最後の晩餐 (文春文庫)

最後の晩餐 (文春文庫)

  • 作者:開高 健
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版

 「食」をテーマに歴史、文学、政治まで駆けまわる一冊。

開高健の経験による洞察で、改めて食欲というものの奥深さを思い知ることができる一冊。

一番印象に残ったのは、アンデス山で起こった「人食」について触れた部分。

P・P・リードの『生存者』より多くの引用がなされ、
開高建による解説が書かれています。

死体が肉になるかならないかは最初の一片を呑みこむか呑みこまないかにかかっていたようである。
位置 5167 『最後の晩餐』より  原文は(P・P・リード著・永井淳訳『生存者』平凡社)

 

味は強烈でしょっぱかった。あるものはそれを骨に巻いて、火で焼いてみた。腐った肉はあとで食べてみるとチーズに似た味がした〟

位置 5176 『最後の晩餐』より  原文は(P・P・リード著・永井淳訳『生存者』平凡社) 

 谷崎潤一郎の名作『美食俱楽部』にも言及。

食べるのがそんなに好きではない、という人にこそ読んでほしい一冊

 

しぶちん - 山崎豊子

しぶちん(新潮文庫)

しぶちん(新潮文庫)

  • 作者:山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/05/30
  • メディア: Kindle版

 『白い巨塔』『沈まぬ太陽』などの長編小説でが有名な山崎豊子さん。
今回はじめて短編小説を読んでみました。

初期作品なんだけど質の高さはピカイチ。

おすすめは冒頭の「船場」。
大阪の船場狂いのおばさんを書いた一作
狂気を感じますが、ほんとにこんな人いそうだと思わせる筆力。

「若旦那 はん、やっと、しっかりして来はりましたか、体がようなりはったら、真っ先に、あの船場の焼跡へ、もと通りの店建てまひょな」

位置: 409 『しぶちん』

短篇でもしっかり取材もしてなきゃ書けないのだろうな、
というのが文飾からしっかり伝わってきます。

『遺留品』ではミステリーも書かれてます。
 え?という笑えるオチもまたいいのよね。 

 

新訳 マクベス - シェイクスピア

新訳 マクベス (角川文庫)

新訳 マクベス (角川文庫)

シェイクスピアの作品のなかで、
短くて濃い作品を読みたいならマクベスかハムレットが一番いいかもしれません。
ベニスの商人もありかも。

マクベス、黒澤明が映画化するほど有名な一作

妻の有名な台詞とか、ラストの畳み掛けとか、今読んでも超面白い。
とりあえず"舞台を前提とした作品"ということを頭に入れて読んでみてください。

「女の股から生まれたものには負けない」

などの魔女の予言もこの物語のキモだったり。
スコットランドに行ってから、さらにシェイクスピア欲が高まってます。

→スコットランド旅行写真まとめ【エディンバラ・グラスゴー】

来年は『リア王』を読もうかな,と。

 

植物はなぜ薬をつくるのか - 斉藤和季
植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

  • 作者:斉藤和季
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: Kindle版

植物から生まれる"薬"に焦点を当てた一冊。

漢方からアヘン、カフェイン、アスピリンまで幅広く解説してくれます。。

化学式のモデルがでてきたり、かなり専門的な場面も出てきますが、
非常にわかりやすい一冊。

このように、地球上の植物種の数が 22 万~ 26 万種あるなかで、それぞれの植物が作る化学成分の生物活性が一部でも調べられている植物種は、全体の 10%に過ぎません。

位置;1229 『植物はなぜ薬をつくるのか』

ほんとにあらゆる面で植物に支えられてるんだな、と痛感。
これからの植物へのポテンシャルにも期待。 

 

万延元年のフットボール - 大江健三郎

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

  • 作者:大江健三郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/29
  • メディア: Kindle版

大江健三郎の代表作。実は一度学生の頃読もうと挫折し、
令和元年に再挑戦。タイトルにかけたお陰か、無事読破出来ました。

ジンや村人の朝鮮人に対する無駄な敵対心やら。
一揆にフットボールの若者を追従させる鷹の行動など人間心理の描き方がすごい。
狭いムラの話なのにここまで重厚にかけるのはもうね。

そしてすべての暴徒は声を揃えてとくに僕を非難した。  
──おまえは、ネズミそっくりだ!
位置: 2206

大江健三郎さん特有の嗅覚やの描写がさすが。

ラスト怒涛の展開、伏線の回収が見事というか読めないわこれは。
読後の達成感が半端なかったです。

 

 のちにレビューを書くかもしれません。

 

坂口安吾『日本文化私観』

日本文化私観

日本文化私観

  • 作者:坂口 安吾
  • 発売日: 2012/09/13
  • メディア: Kindle版
 

 極論すぎる気もしますが、核心をついた批評。

日本の美意識を解体していきます。
当時どういう受け取られ方をしたのか気になります。
いわゆる"炎上系ブロガー"みたいな感じでしょうか。

古いもの、退屈なものは、亡びるか、生れ変るのが当然だ。
位置: 364 『日本文化私観』より

谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』と比較して読みたい一冊。

 

日の名残り / カズオ・イシグロ

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 ノーベル文学賞受賞のカズオイシグロ代表作。

執事という生き方をする意味を、主人公の生涯から絞り出すような一作。

日系イギリス人というバックグラウンドを持ったカズオイシグロさん
しかかけなかった作品かと。

直接は言及されてませんが、
武士とイギリス人執事の共通点をうまく物語に乗せたという試みは流石。

「信頼できない語り手」という手法、
そういうことだったのか、とその巧みさに驚かされるばかりでした。

30年後ぐらいに再読して、
どう感想が変化するのかが楽しみだったり。

わたしを離さないで』以上のものは期待してませんでしたが、
ツートップにおすすめ出来るほどの超名作。

日本語で読みましたが、
英語で読むとさらに品格を感じさせる文章になってるそう。

ファラディ様はアメリカの方で、なさり方がいろいろと違います。
意地悪のつもりなど毛頭なかったことは、私がよく存じております。
が、それにしても、私にとってどれほど居心地の悪い一瞬だったか、ご想像いただけるでしょうか。

位置:243 『日の名残り』より

アメリカ文化に主人公がとまどうシーンも笑えます。

 名作なんだけど、どうしてもカズオイシグロさんの本は
クセが強いので人に勧めにくいのが弱点だったり。
わりと本好きの人でも、「どれもダメだった」という人を何人も見てます。

あと、カズオイシグロさん絶対に性格悪いでしょ、と思ったのは僕だけでしょうか・・・

読んだ後の余韻が消えない、不思議な魅力をもつ一作。

 

絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学 - 松本仲子

絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学 (幻冬舎単行本)

絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学 (幻冬舎単行本)

  • 作者:松本仲子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/05/24
  • メディア: Kindle版

世界一周旅行中に料理をする際、ずっと参考にしてた料理本。
料理の基礎を科学的な側面からレクチャーしてくれます。

例えば、

酵素が働く温度は 60 ~ 80 ℃で、
この温度をキープしている間は酵素が作用しているのでうまみがよく出る

とかそんなことをやさしく解説してくれます。

いまさら人に聞けない細かいネタがのっていてよかったです。
これでその辺にいる人よりもうまくステーキが焼けるようになった気がします。
(海外の安いお肉で毎晩練習したので・・・笑)

とりあえず言えるのは、
料理の細かい手順ひとつにも、
それなりの理由があるので省略しないできちんと調理しましょう、ということ。

世界一周した感謝のきもちも込めて、
今後いろんな国の料理をつくろうと思ってます。

 

夜間飛行 / サン・テグジュペリ

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

 メルボルン行きの飛行機の中で深夜読了。
当時の気持ちも相まって、思わず涙。思ってたよりよかった。

有名な『星の王子さま』があんまり好きじゃないので、
サンテグジュペリの作品はほとんど読んでなかったのですが、これは一気読み。

技巧的には映画『ダンケルク』的な時間の扱いの巧さを文章の中に見た気がします。
緊迫感の扱い方がほんとすごい。

作者自身が飛行機乗りということもあって、
とにかく描写が生々しい。

風景を描く一文でもなにか生きているような感覚を覚えます。
おそらくこういう風景を毎日のように見てきたのだなという説得力がこの本にはあります。

宵闇が近づいている。船を迎える港の 水面 と、おなじ気配が空にはあった。
位置:24 『夜間飛行』より

ブエノスアイレスの 街の魅力もビシビシ伝わってきます。

 

How to Design いちばん面白いデザインの教科書 改訂版 / カイシトモヤ

How to Design いちばん面白いデザインの教科書 改訂版

How to Design いちばん面白いデザインの教科書 改訂版

  • 作者:カイシ トモヤ
  • 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション(MdN)
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: Kindle版

 Kindle Unlimitedの読み放題対象本なので、
30分ぐらいで読み飛ばそうかな、と何気なくダウンロードしたデザイン本。
意外と専門的で、図が多くて勉強になりました。

・伝達力の高いアイコンを作るには、’’多くの人と共感できるような、類似性の発見と強調’’が必要
・CMYの3色を混ぜても、完全な黒にはならない。なのでKで補う
・デッドスペースをなくすには、風通しを考える

 

・・・など参考になる具体的なアドバイスがたくさんあって参考になりました。

 デザイナーではない初心者でも気軽に読めるので、
入門にもおすすめです。

これを読んでからブログのアイコン案をいくつか作りましたが、
読んだ成果が出た気がします。

 

電子書籍で読めます

紹介した本にはKindle Unlimited読み放題対象の本もいくつかあるので、
ぜひチェックしてみてください。

ほかにも「この本良かったよ!」というおすすめのキンドル本がある方は、
気軽にコメント頂ければ幸いです。

今週のお題「2019年買ってよかったもの」

 

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大江健三郎の同性愛的描写に関する考察【飼育】

ゲイ的表現の鋭さ

日本の文学界を代表する作家、大江健三郎。
意外と同性愛的視点で読んだ解説などが少ないので、
今回はLGBT的視点から大江文学について語りたいと思います。

ノーベル文学賞受賞の著者

ノーベル文学賞が話題になったので日本を代表する文豪、大江健三郎について書くことにしました。

僕自身、大江健三郎の大ファンではないので、全ての作品を網羅したわけではないですが
著書のいたる部分で同性愛者的表現が目立ちます。

ペ○スの描写も不自然なほど登場し、BL的な臭いもする作品があったりも。
LGBTというよりも、同性愛に限られてます。

生々しさを重視したものなので、
よりホモセクシュアルが強調されたような描写が特徴的。

 

初期の代表作『飼育』(芥川賞受賞)もそんな傾向を凝縮したような短編です。

あらすじとしては、
「戦争の時代、四国の村にアメリカの軍機が墜落し、
黒人兵が捕虜が村の捕虜となる。僕は監視役になり・・・」という話。

 

黒人兵を飼う、僕は躰を自分の腕でだきしめた。僕は裸になって叫びたかった。 黒人兵を獣のように飼う……
『死者の奢り/飼育 (大江健三郎)』  位置:1179

わりかし冒頭から濃いホモ臭さが。

腐蝕性の毒のようにあらゆるものにしみとおってくる黒人兵の体臭、それは僕の 頬 をほてらせ、狂気のような感情をきらめかせる…… 
『死者の奢り/飼育 (大江健三郎)』 位置:1349

"嗅覚"についての描写もやたらと多く。
なかなか強烈な描写だったり・・。
開高健なんかも戦争の話が多いのですが、やはり匂いに関する描写がよく出てきます。


それから急に僕らは、黒人兵が堂々として英雄的で壮大な信じられないほど美しいセクスを持っていることを発見するのだった。
『死者の奢り/飼育 (大江健三郎)』  位置:1606 より

セクス」というワードは大江の小説でよく出てくるのですが、
言うまでもなく「おにんにん」のこと。
こんな感じの描写がいたるところにあったりします。

 

こちらは「人間の羊」という短編より。

子供らは、裸になった外国兵の体を驚嘆して見つめた。兵隊たちはまっ白な皮膚と陽に輝やく金色の体毛とをもっていた。
『死者の奢り/飼育 (大江健三郎)』 「人間の羊」より

何気ない描写もこんな感じ。 

 

確か大江健三郎さんは女性と結婚しており、
おそらくホモセクシュアルではないはず。

各所の描写が完全にゲイの視点のそれで、
ゲイじゃないのにここまで書ける作家というのはホントにすごいなぁ」と読む度に思います。

大江健三郎さんの書き方として、
わざと文章を読みにくくすることで精神のいらだちや困惑を表現することもあるので、なかなかの読みにくさがあります。
『万延元年のフットボール』なんてまさにそんな感じ。


はっきり"悪文"なんて批判もされたりします。(※ノーベル賞受賞者です)


そういった意味で、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」の同性愛者的描写も、
大江健三郎の影響を強く受けているように気がしたり。

 

人種差別と同等に、抑圧された側の衝動みたいな力を、
小説の原動力として用いているのでしょうか。

 

そういや、村上春樹の作品でも、以前紹介したように

『偶然の旅人』や『ノルウェイの森』『スプートニクの恋人』などあらゆる作品に色んな形の「性」が登場します。

~LGBTと村上春樹~「偶然の旅人」『東京奇譚集』より - 世界のねじを巻くブログ

やはり大江文学の話の筋として、"普通"の色恋では役不足で、
突き詰めるとこういう方向に進むんでしょうか?
小説家のアタマん中ってほんとにすごいよなぁ。

Kindleで読める作品

今回紹介したのは
ゲイ的なクセが強い大江健三郎の作品でしたが、
大江健三郎の短編小説は比較的読みやすいかと思うので、
秋の夜長にぜひトライしてみてください。

大江文学入門には
死者の奢り・飼育』か『見るまえに跳べ』がおすすめ。
同性愛や人種差別、社会批判など様々なテーマを描いた初期短編集です。

死者の奢り・飼育(新潮文庫)

死者の奢り・飼育(新潮文庫)

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電子書籍にはない"紙の本のあたたかみ"とは何か?

【本の温かみの正体】

今までキンドルなどの電子書籍を試したことがない人がいう理由として、
「紙の本には電子書籍では味わえない温もりがある」という点を挙げる方がいます。
この"ぬくもり"や"あたたかみ"って一体なんでしょうか?

紙の本にはあって、電子書籍にはないものについてちょっと書いてみました。

【KindleやKoboにない読書体験】

たしかに現在の技術では、電子書籍が"書籍"たる部分はあくまで
「視覚」の部分のみ。
つまり「紙のようにみえるディスプレイ」という一点のみです。

紙の本は視覚以外にも
・「触覚」:表紙を開けるときのわくわく感。本のページを折る気持ちよさ。
・「聴覚」:めくる時の紙の擦れる音
・「嗅覚」:インクの香り。(本を買ったら、まず匂いをたしかめる人は僕だけじゃないはず。)

 ・「味覚」: ・・・さすがに味覚はありませんね笑

こういったものが結びついて、"読書体験"なるものをつくり出しているのだと思います。
と考えると、やっぱり電子書籍端末はまだそこに追いつけてない感じはしますね。

【どこまで紙に近づけるべきか】

僕自身、紙の書籍もよく買いますし、
紙媒体の良さ・温かみも十分に理解しているつもりです。

ですが、あまりに電子書籍端末を食わず嫌いな人が多い気がしたので、
今回ちょっとしたネタ記事を書いてみました。

においや手触りがないから、
といって電子書籍を試さない理由にはならないと思います。

他に電子書籍にしかないメリットなんて山ほどあるかと。

特に

・オンラインにお気に入りの文章を保存できる
・暗闇でも本が読める
・すぐに本が買える

・何千冊も持ち歩ける

これだけでも相当なメリットがあるかと。

まあそれでもほとんどの方はKindleを買わないので、
電子書籍だからこそできる方向で訴求するしかないのかなぁ~と思ったり。

  • デジタルで絵が動く書籍(ハリー・ポッター的な)
  • 場面に応じて匂いを発生する電子書籍端末
  • 口に含んだガムがその場面の料理の味を再現してくれる
  • シーンに応じて振動する
  • 読んだ場所により、GPSと同期し登場するスポットの固有名詞が変更

ぐらいしか思いつきませんが、まだまだ可能性はありそうですね。

苦手な方もぜひ令和初の秋の日に、
電子書籍に挑戦してみてはいかがでしょうか?

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映画『アドアストラ』と小説『闇の奥』コンラッドの名作を語る

【地獄の黙示録との関連】

ブラピ主演の映画『アドアストラ』が公開したので、
さっそく見てきました。

ベトナム戦争を描いた『地獄の黙示録』
の元ネタともいわれる有名なジョセフ・コンラッドの本『闇の奥』

 これがどうやら『アド・アストラ』のストーリーのベースになっているようです。

(これは「アドアストラ」ではなく「地獄の黙示録」の有名なシーン)

このプロジェクトは、グレイがピットに脚本を持ち込んだことが起点となっているが、自ら脚本も手掛けるグレイは、ストーリーのベースのひとつとしてイギリスの小説家ジョセフ・コンラッドの代表作「闇の奥」の名前を上げている。ジャングルの奥地にひとり分け入り、そこでカリスマ的な地位についた白人にまつわる話が、船乗りの話として語られる「闇の奥」は、フランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』にインスピレーションを与えた小説としても知られている。

【ネタバレなし最速レビュー】ブラッド・ピットが惚れ込んだ『アド・アストラ』宇宙飛行士の孤独な旅 より

 https://fansvoice.jp/2019/09/02/venice76-ad-astra-review/

 世界一周旅行中のベトナム・ホーチミンで、
まさに『地獄の黙示録』的な空間の
ドアーズの曲をかけながら読んだ本で、思い入れが強くて。

なんとなく読んだ本が、映画の構想のネタになってたりすると、
ちょっと嬉しいですよね。

 

主人公の鋭い状況描写や独白的なものが延々と続くので、
なかなかアクの強い小説となってます。

あらすじとしてほんっとに大まかに言うと、

「ヨーロッパの秀才がジャングルに行き、
そこに魅せられた一人の男の生き様をみて、
自分の内なる狂気を見つけ・・」

という話。

The horror! The horror!

の一節はあまりに有名で、村上龍や開高健、大江健三郎に通じるものがあるかもしれません。

しかし、彼の魂は狂っていた。人間の手のつかない原始の自然という魔境の只中で、たった一人でいるあいだに、彼の魂は自分自身を覗き込んで、何ともはや! 狂ってしまったんだ。

『闇の奥(光文社古典新訳文庫)』 位置:1863 より

 

さて、『アドアストラ』の話に移りますが

舞台はアフリカやベトナムでもなく、宇宙空間の話。

 

ストーリーとしては、

「ブラッドピット演じる主人公が、
偉大な功績を残したことで有名な父をさがしに行くが・・・」
という感じ。

軽くネタバレになりますが、
大筋はやはり「地獄の黙示録」と似てますね。

 

IMAXでみましたが最高でした。
壮大な広がりを大画面でみるのもいいですが、
宇宙船のような密室空間をIMAXでみると、
逆に狭さが際立って緊迫感が高まります。

 

冒頭シーンから思いっきり引き込まれます。
時代設定がはっきりとしませんが、いつの時代も宇宙はおっかないな・・・笑

 『2001年宇宙の旅』 や『猿の惑星』的なオマージュがたくさんあり、"映画好き"からの評価も高そうです。

シリアスな雰囲気のなかにもちょこっとしたユーモアがあったり。
映画を観た後はサブウェイが食べたくなりました。

 

 

あと、ブラピの演技が凄すぎて。。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をみてから
期間もそれほど空いてなかったので、演技の幅の広さを改めて思い知りました。

 

『ファーストマン』のライアンゴズリングも悪くなかったですが、
ブラッドピットが数歩先を行ってましたね。

 

 

『アド・アストラ』
『インターステラー』や『ゼロ・グラビティ』的な空気感が好きなら絶対におすすめ。

なんかどちらの紹介をしているのかよく分からなくなりましたが、『闇の奥』もぜひ。

他人にはおすすめしにくい作品ですが、
人間の狂気が生まれる体験を見たいなら必読の一冊。

Kindle Unlimitedで無料で読めるので、興味のある方はぜひ。

闇の奥 (光文社古典新訳文庫)

闇の奥 (光文社古典新訳文庫)

「万葉ことば」の美しさを知る平成最後の年【令和】

【万葉集ブーム】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。
今回紹介するのは、奈良大学文学部教授の上野誠さんの『美しい日本語が話せる 書ける 万葉ことば (幻冬舎単行本)』という本です。 
どうやら日本では令和の影響で、万葉集がブームとのこと。
せっかくなので、以前セールで購入して積読していたこの本を読んでみました。

【旅行に関しても】

 万葉集に使われている「万葉ことば」からあらゆるワードが選ばれていますが、
現在、世界一周旅行中ということで、旅行に関する箇所を少し紹介してみます。

例えば 「草枕」ということばに対して、当時の「旅」の背景がかかれていました。

古代において旅は楽しいものではなくて、苦しいものでした。
うっかりすると野宿をしなくてはなりません。
草を枕にして寝るとは、苦しい野宿からイメージされた言葉なのです。位置:589

旅の歌の主たるテーマは、ずばり別れです。
古典の旅は苦しい旅ばかりですが、そのなかでも一番苦しいのが妻との別れです。
ですから、草枕という枕詞が使われると妻との別れが一番はじめに想起されました。 位置:593

日本国内の旅であっても、当時は死を覚悟してする行為だったようです。
寝てれば到着する現代とは大違いですね。
また、 「石枕」とは、旅先での死を暗示する、つまり、
石を枕にするということは、山野や路上で死んでしまう ということらしいです。

古代では旅も命がけだったことがはっきりとわかる言葉です。

僕も先日、ブラジルで強盗に襲われたばかりなので、ちょっと気を付けようと思いました。

ブラジルで強盗に襲われた話 | 世界のねじを巻くラジオ

 

基本的に、古代における旅というものは、男性がするものでした。
位置:961

考えてもみませんでしたが、当時、女性は旅行することはなかったんですね。
確かに当時の女性の紀行文ってあまり聞かないような。

 

古代の旅というものは、その土地土地を通過してゆくごとに、その土地土地の神に許しを乞うことを繰り返すものでした。
だから、たくさん「くま」があっても一つも落とさずに振り返ったとか、捧げものをして祈ったとか歌うのです。位置:1550

 なるほど、お地蔵さんが山のなかにたくさんあるのもそういうことなのか。


また、「くまなく探した」の「くま」はこの万葉言葉が語源だそうです。
昔から なぜ「熊なく」なのかとずっと思ってましたが、
どうやらベアーのくまではないようです。

 

今回紹介したのはたった一例にすぎませんが、
千年以上前の万葉言葉が、今の時代にもしっかり根付いていると思うと感慨深く、日本語の歴史の深さを改めて思い知らされます。
「アハ体験」が味わえる一冊でした。

 

 

気に入った万葉ことばとしては「世のことわり」「さわけし」「をとめ」 あたり。

日常生活でもジョークみたいに普通に使えそうですね。

このブログでもさりげなく万葉ことばを使えれば、と思います。

【古典が好きな方におすすめ】

 万葉集に関する本といえども、学術的な本ではないので初めての方にもおすすめです。セールで200円ほどで購入できたので(今は950円になってますが・・)機会があればぜひ読んでみてください。

美しい日本語が話せる 書ける 万葉ことば (幻冬舎単行本)

美しい日本語が話せる 書ける 万葉ことば (幻冬舎単行本)

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『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)』を読んだ感想【Kindle】

【キンドルの音楽本】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。
今回紹介するのは、ハヤカワ文庫NFの『音楽嗜好症(ミュージコフィリア) / オリバーサックス著・太田直子訳』です。
この本は、脳神経科医の著者が、音楽をあらゆる観点から語った一冊。
かなり専門的な話に思えますが、やさしく噛み砕かれた文章で、音楽好きでなくても楽しめる一冊だと思います。

【科学的な立証も】

この本の趣旨としては、「音楽と人が織りなす不思議な現象を、脳神経科医がユーモラスに解説してくれる」というもの。
さっそく気になった部分を紹介していきます。

私たち人間は言語を操る種であるのと同じくらい音楽を操る種なのだ。
-『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)』 位置:90

音楽って「ひとつの趣味」とみなされることが多い気がしますが、
人間にとっては、言語と同じぐらい大切なものだそうです。
ギリシャ時代から必須の教科でもありますしね。

 

前半で紹介される、
「雷に打たれ、急に音楽的センスを発揮した女性のエピソード」もなかなか興味深く読めました。
干上がることはないんです。どちらかというと、スイッチを切らなくてはなりません」というほどの開花ぶり。羨ましいかぎり。
実際に映画ののようなことが起こっており、脳については解明されていないことが多いのだな、と改めて痛感しました。

 

実際、音楽をイメージすることは音楽を聴くこととほぼ同じくらい強く、聴覚皮質を活性化することがわかった。音楽をイメージすることが運動皮質も刺激し、逆に音楽を演奏する行為をイメージすることが聴覚皮質を刺激する。 位置:677

生演奏ではなく、CDやレコードのような録音されたメディアの音楽を聴くとき、
「演奏する人の様子を思い浮かべて」とよくいわれます。
やはりイメージすることで、脳科学的には大きな違いがあるようですね。
また、音に合わせて自分の身体を動かすのも脳によいそうです。

 

スーパーファミコンの 『スーパードンキーコング2』の音楽で有名なデイビッド・ワイズも登場。
頭のなかで延々と流れ続ける音楽を止める方法がちらりと。

どうやら「聴覚思考と結びついている発話器官を引き締めたり動かしたりするなど、音楽を聞くことに関係している筋肉」をリラックスさせると、わずらわしい脳の虫を止めるのに効果があるそうです。

The Whoの「I Can't Explain」の”音楽の虫”が頭をむしばみ続けるので、上記方法でリラックスしてみましたが、なかなか思う通りには止められませんでした笑

 

音楽はぜいたく品ではなく必需品であり、ほかの何よりも音楽に触れることで、自分自身を、そしてほかのいろんなものを、少なくともしばらくのあいだは取り戻すことができる。 位置: 6776 

非常に頼もしい文章です。
クラシックでも、メタルでも歌謡曲でもロックでも、「自分を取り戻すことができる」音楽を聴ける幸せって、これ以上ないと思います。

 

他にも紹介したい部分はたくさんありますがそろそろこの辺で。

脳科学という音楽にはなかなか見られない視点から、
片腕ピアニストや失語症、音楽に色が見える"共感覚"から幻聴まで、あらゆる現象を開設してくれます。

【聴覚への意識が変わる】

いかがだったでしょうか?
聴覚への無限の可能性にただ驚くばかり。
音楽に興味のない方でも、脳の神秘に惹きつけられること請け合いです。

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

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『夢十夜 / 夏目漱石』をひさびさに読んだ感想【Kindle】

【キンドルや青空文庫でも】

どうも、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。
新年もあけたことなので、昔読んだKindle本の整理をしていました。

僕は普段、夢をみることは滅多にないのですが、世界一周旅行を始めてからやたらと夢を見ることが多くなりました。(グロテスクな夢もみるように・・。)
それも関係してか夏目漱石の名作『夢十夜』が目につきました。

電子書籍にハマりはじめた頃、パプリックドメイン(無料)の電子書籍をよみあさっていたので、読んだ当時のことをふと思い出しました。
とはいいつつも、読んだのは7~8年前。
いくつかの印象的な部分以外はあまり記憶に残っておらず。
なので、今回再読した感想を軽くまとめてみたいと思います。

【こんな夢をみた。】

夏目漱石といえば、『坊っちゃん』や『こころ』『草枕』で有名な日本を代表する作家ですが、この『夢十夜』も

こんな夢をみた。 

 という有名な文章から始まる夏目漱石の代表的な作品
第一夜から第十夜まで書かれており、一種の短編集のようなものです。

(※ネタバレありなので、未読の方は注意)

この作品、当時はそれほど気が付きませんでしたが、
やっぱり五感の書き方がすごいんです。

五感を鍛える」を実践してから、
本を読む際も人間の感覚がどう描かれているかを常に気を配り、読んでたりします。

村上龍とかエグみのある五感の書き方もすごいですが、
サラッとした感覚の部分に人間魅せるテクニック、というのでしょうか。
かといってトゥーマッチでもなくバランス感覚が絶妙です。

読者が場面にのめりこめるように、適切な部分でにおいや景色、触覚やざわめきなどが盛り込まれてます。
これは経験がものをいう部分なんでしょうね。。

キンドルで読んだのはずいぶん前なのですが、いくつかの章(夜)はおぼろげながら覚えていました。

第一夜は冒頭からちょっと重めの文章です。
しかし、文章がほんとうに綺麗。

すると、黒い 眸 のなかに 鮮 に見えた自分の姿が、ぼうっと 崩れて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。長い 睫 の間から涙が頰へ垂れた。―― 位置:28

 

第二夜は、「何としてでも"悟り"を見いだそうとする男」の話。
主人公の内面の書き方が天才的です。

悟ってやる。無だ、無だと舌の根で念じた。無だと云うのにやっぱり線香の 香 がした。何だ線香のくせに。 位置:96

やっぱり凡人だとこうなりますよね。

第三夜のオチ、なんとなく覚えてました。
「未来を見通し、心も読むわが子をおんぶする父親」の話。
一種の怪談のような感じで、オチもしっかりまとまってます。。

こんな子供は持ちたくないですね笑

・・・とこんな感じで描いていると キリがないので、
お気に入りの夜(章)を紹介します。

個人的に特に好きなのが、第六夜
これは何回でも読み返せますね。

設定としては、
明治時代に運慶がよみがえり、街で彫っている姿をみなが見物している」という状況。

運慶といえば、あの金剛力士像で有名な天才仏師です。

主人公が感心してみていると、見物人の一人がこう語ります。

「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に 埋っているのを、 鑿 と 槌 の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
位置:294

なかなか哲学的な文章ですよね。
確かレオナルドダヴィンチもそんなこと言ってたような。

「それなら自分もできる」と主人公もすぐさま家に帰っていろんな木を試します。

ですが結局は・・・

ついに明治の木にはとうてい仁王は 埋っていないものだと悟った。それで運慶が 今日 まで生きている理由もほぼ解った。
位置:306

完璧な終わり方じゃないでしょうか。

 

第七夜の船の話も印象深い。
夏目漱石自身、海外留学のためによく船に乗っていたそうなので、自分の
自殺を試みる男の話。

 

 

第八話は五感の切り替えが天才的ですね。
散髪屋の場面とか、文章が開く無限の可能性が感じられます。

 

第十夜の豚の大群シーンも懐かしかったです。

この時庄太郎はふと気がついて、向うを見ると、 遥 の青草原の尽きる 辺 から幾万匹か数え切れぬ豚が、 群 をなして一直線に、この絶壁の上に立っている庄太郎を 目懸けて鼻を鳴らしてくる。 位置:492

スマブラのヨッシーの必殺技が思い浮かんだのは秘密です。

なんでこのエピソードをラストに持ってきたのかな?と疑問に思わざるを得ないですが、余韻を残す一篇。 

 

明治時代に見る夢だけあって、
現代とは違う時代設定のものが多いですが、決して古びない文章。
今読んでも、現代の本と同じように読めるところがすごいです。 

電子書籍で読める名作

いかがだったでしょうか?
紹介していない夜もたくさんあるので、あとはご自身で読んでみてください。
夏目漱石や昔の本ににそれほど興味がない方も、短編集のようなものなので気軽に読めるかと思います。
起承転結がわりかしはっきりしているところも◎。
Kindleだけでなく、青空文庫や楽天Koboでも無料で読めるので、興味のある方はぜひ。

夢十夜

夢十夜

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2018年に心揺さぶられたKindleの電子書籍10選

【キンドルのおすすめ本】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。 2018年も残すところあとわずか。 せっかくなので、今年読んだKindle本の中で、 特に心を揺り動かされた10冊を厳選してみました。
まだブログで紹介していない電子書籍ばかりですので、キンドルをお持ちの方はぜひ読んでみてください。
去年のまとめはこちらより。

創作術から酒に関するエッセイまで

まず、あらゆる創作活動に関わる方におすすめの一冊。

クリエイティブの処方箋

「クリエイティブ」の処方箋

「クリエイティブ」の処方箋

創造的思考を可能にするコツを、要点を絞ってまとめた本。
クリエイティブな人たちの思考の裏側を探り、 さらに、クリエイティブな活動に取り組む人なら必ずぶつかる壁がどのように乗り越えられてきたかという事例がたくさん紹介されています。

クリエイティブというのは絵を描いたり、小説を書いたり、家を建てるということだけではない。あなた自身を創り上げるということなのだ。それは、より明るい未来を、今は手の届かない機会を、自分自身のために創り出すということなのだ。

先日紹介した『クリスマス・キャロル』のディケンズの例も書かれています。

チャールズ・ディケンズは、夜な夜な街中を散歩した。夜の埠頭や、市場、路地裏でディケンズが出会った奇妙な人々は、後で小説の中に登場することになる。  位置:1729

妙に人間味のあるキャラクターばかりだな、とおもったら、実際みかけた人をモデルに書いてるんですね。。
『クリスマス・キャロル/ ディケンズ』を読んだ感想【Kindle】

酒から教わった大切なこと
酒から教わった大切なこと 本・映画・音楽・旅・食をめぐるいい話

酒から教わった大切なこと 本・映画・音楽・旅・食をめぐるいい話

本・映画・音楽・旅・食と酒にまつわるいい話を集めたエッセイ集。



あらゆるジャンルの芸術にちなんだストーリーを読めるところがすごいです。 筆者の「お酒論」的なことも学べます。

「だが私はおいしく飲んだ。まずいものをおいしく飲んだわけだ。青春の酒だからそれができたのだろう」 位置:515


僕自身のアルコールの趣向としては、ワイン・ビール・日本酒に偏りがちなので、
ウィスキーやカクテルにももっと挑戦しようかと思いました。
出てくるマティーニがほんとにうまそう・・・。

バーのしきたり的なことやマナーも軽く触れることできます。 エッセイ好きな方ならきっと気に入るはず。のんべえなら必読の一冊

 ベニスの商人
ヴェニスの商人(新潮文庫)

ヴェニスの商人(新潮文庫)

シェイクスピアは有名な『ハムレット』しか読んだことなかったのですが、 ずっと「ほしいものリスト」に入れっぱなしだった『ベニスの商人』もようやく読むことができました。


それちょっと屁理屈じゃない?」と思う部分はあったのですが、 話の展開の仕方はさすがシェイクスピア。

「ハムレット」と並ぶ面白さでした。

どのキャラクターも生き生きしていて、どのシーンも張りがあります。

金・銀・銅の箱選びの場面やラストの"肉1ポンド"のシーン、夫婦喧嘩など 「そりゃシェイクスピア売れるわ」と納得の一冊。

また会話のつくりがほんとに巧くて、一つひとつ出てくる言葉が人生の教訓になりそうなレベル。



ユダヤ人に対する当時の風当たりの強さ、キリスト教の立ち位置なども推し量ることができます。 また、経済学的な見方もできたりも。

シャイロックに対して「やりすぎじゃね?」とかわいそうに思う場面もありましたが。

決してシェイクスピアだからといって尻込みするような作品ではありません。 金融関係の方は必読。

ドビュッシーはワインを美味にするか?
ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学 (早川書房)

ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学 (早川書房)

「ねじまきブログ」を見ていただいる方は、音楽好きな方が多いはず。 この本は、心理学という視点から、音楽というものを見つめなおした一冊です。

音楽を聴くことには、われわれが予想する以上に複雑な脳内ジャグリングが必要になるというわけだ。  位置:3158

「ドビュッシーの名曲「月の光」がワインショップで流れていると、試飲のワインはより甘美になる?」
「ヘビメタ好きは言語能力に長けている?」
など興味深いトピックで、音楽というものの深さを教えてくれます。

音楽理論的な部分にもやさしく触れてくれるので、特に音楽に詳しくない方もぜひ。

熔ける
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫)

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫)

丁か半か。 吉か凶か。 そのとき私の目の前には、サラリーマンの平均生涯賃金のおよそ10人分にあたるチップが山積みされていた。総額20億円。 位置:6

書き出しからいきなり手に汗を握る場面ではじまる、大王製紙株式会社の元会長の独白。 ご存知の方も多いかと思いますが、海外のカジノで106億"溶かした"男。

だが、ひとたび開いてしまった地獄の釜の蓋は、二度と閉じることはなかった。48時間の死闘が終わったとき、私は煮えたぎる溶鉱炉のごとき奈落で熔解していた。 位置:107


カジノに溺れていく様子だけでなく、リーマンショックでの大打撃や、大王製紙経営立て直しの話
、リアルな体験に基づいたぐいぐい読ませるエピソードばかり。
経営者がマイナスの部分も包み隠さず書いた本として、 日本ではあまり見られない種類の一冊ではないでしょうか。

完全には反省してなさそうなところがまたすごい。
これだけの大失態を犯して、刑務所から出たあとに本を出しちゃうぐらいですからね。

個人的にはギャンブルはまったくハマらない口なのですが、もしそうなったときは、この本を読み返して我に返ろうと思います。 人間の欲の深さは、底なしです。

この電子書籍版は<増強完全版>ということで、さらに補完された部分も読むことができるのでおすすめです。

陰翳礼讃
陰翳礼讃

陰翳礼讃

日本人の美意識を見つめなおした、谷崎潤一郎の随筆集。 文章が綺麗すぎてさすがの一言。全ブロガーがお手本にすべきだと思います。


パブリック・ドメインの作品なので、Kindleだけでなく青空文庫やKoboでも無料で読めるかと思います。

デザインに関わるお仕事の方はもちろん、全日本人が必読の一冊です。

 

植物は<知性>をもっている
植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム

植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム

  • 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

この本を読むと、植物が「ただ生えてる」だけではないことがわかります。

植物は、「司令センター」を無数にもつ分割可能な生物であり、インターネットによく似たネットワーク構造で成り立っている。 位置:142

最近、こういった研究結果が続々とでてますよね。 ネットニュースでもよく聞きます。

 植物の感覚は人間よりもずっと鋭く、私たちのもっている五感以外に、少なくとも十五の感覚をそなえている。たとえば植物は、重力、磁場、湿度を感じて、その量や大きさを計算できるし、いろいろな化学物質の土壌含有率も分析できる。  位置:153

人間が思っている以上に、植物は緻密なセンサーをもっているようです。

私たちが鼻だけでにおいを嗅いでいるのに対し、植物は体全体を使ってにおいを感じることができるのだ。 位置:932


完全なる未知の世界。 BBCのドキュメンタリーを見ているかのようでした。

植物は、ロボット工学や情報科学にとってアイデアの宝庫というだけではない。実際、人類が共通して抱えるさまざまな技術問題にも、数多くの革新的な解決策を提供してくれる。

花や園芸好きな方、化学が好きな方、人間のちっぽけさを知りたい方もぜひ。

月と六ペンス
月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

これは非常に揺さぶられましたね。これはよかった。
ページをめくるのが止まらなくなった一冊とも言えます。

ストリックランドをはじめ、どの登場人物も個性が強すぎて、読んで思わず声が出た場面も。
これぐらい引き付けるキャラクターを書かないと読者を引き付けられないんでしょうね

友人から見た視点で語るというスタイルや、物語の導入部分も非常に巧い。

絵画は色んな人生が叩き付けられた狂気の塊なのだと改めて思い知らされました。

京都に「月と6ペンス」という知る人ぞ知るカフェもあるらしいので、来年訪れようかと思ってます。

また解説で知りましたが、サマセットモームはゲイの作家とのこと。 いわれてみれば、LGBT的解釈もできそうな作品。
モームの作品は短編しか読んでなかったのですが、ほかの長編も読もうと思いました。

今日からはじめる「技術Podcast」完全入門

個人的に2018年に大きな転換となったのは、
昔からずっとやりたかったポッドキャストを始めたこと。
かわいい表紙ですが、わりかしPodcastの技術的な部分もしっかり触れられていて、 エンジニアの方にもおすすめの一冊です。
配信さぼりがちなので、来年こそはポッドキャストに力を入れていきたいと思います。 詳細は下記より。

香料商が語る東西香り秘話
ヤマケイ新書 香料商が語る東西香り秘話

ヤマケイ新書 香料商が語る東西香り秘話

以前から書いてるように、僕は昔から「におい」に強い興味があります。 この本は香料を商売にしている方が書かれた、名エッセイ。

ともかく香水の興隆は女性の社会進出と表裏一体をなしていることを忘れてはならない。 位置:317
日本の香料商のつくる香料は食品用が圧倒的に多いのである。 西洋では、香水創りのために香料が発達してきた。 位置:366

なるほど、日本では香水の需要って少ないですもんね。

ルネサンスといえば一般には、古代文芸へ復帰して、美しい絵画が描かれるようになった時代という文脈でロマンチックに説明される。しかしこの説明は本質から目を逸らしている。見るべき本質は「人間の欲望の増大」である。   位置:1032

特に男性の方は香水って、あまり馴染みがないと思いますが、そんな方でも知的好奇心をくすぐるような本だと思います。 香りの世界って、ほんと広いです。
五感を鍛える」カテゴリーもぜひ。

【におい展】福岡の香りに関する展示会にいってきた感想

2019年もよい読書ライフを

いかがだったでしょうか? みなさんも、2018年に読んだ本の中でおすすめの一冊があれば、ぜひTwitterやコメントで教えていただければ幸いです。
来年も良い読書ライフを!
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2020年に心揺さぶられたKindleの電子書籍10選 - 世界のねじを巻くブログ@世界一周

『クリスマス・キャロル/ ディケンズ』を読んだ感想【Kindle】

【世界で語り継がれる名作】

現在、世界一周旅行中のねじまき(@nejimakiblog)です。

クリスマスも近づいてきたので、欧米圏ではみんな知っている、
チャールズディケンズの代表作『クリスマスキャロル(池 央耿訳・光文社古典新訳文庫)』の感想をさくっと書いてみます。
イギリスのクリスマスのイメージを創始した、とも言われるほど名高い作品です。

ジョージマイケルの『ケアレス・ウィスパー』を男がサックスで吹き荒らす動画

【レビュー・感想】

恥ずかしながら、僕自身チャールズ・ディケンズの小説は全く読んだことがなく、
この『A Christmas Carol』が初めてのディケンズ体験でした。

主人公は、いじわるな金貸しのスクルージー。

 スクルージは息巻いた。「クリスマスおめでとうなんどと 戯けたことを口にする脳足りんは、どいつもこいつも、プディングとごった煮にして、心臓にヒイラギの杭を打ち込んで埋めてやりゃあいいんだ。ああ、そうだとも!」 位置:103より

絵に描いたような嫌な奴です。罵倒表現が非常にブリティッシュです。

 

ストーリーはご存知の方が多いと思いますのであまり詳しく説明はしませんが

簡単にいうと

「意地悪な主人公が、自分の過去・現在・未来を目の当たりにして・・・」

という話。 

ストーリー的には大きな捻りがあるというわけではありません。

ですが描写がすごく緻密で、難しい言葉を使ってないのにその場にいあわせるような描き方がさすがでした。
いたる場面でイギリスのイメージがぶわっっと頭に広がります。

床の中央にうずたかく山をなす肉類はあたかも玉座の 体 である。シチメンチョウ、アヒル、その他、家禽、猟鳥。骨付きの豚肉、丸焼きの子豚、数珠繋ぎのソーセージ、桶に山盛りの 牡蠣、ミンスパイ。 位置:798

 

ときおり、急に話の語り手が読者自身に話しかけるなど、飽きさせない工夫もなされてます。

また、聖書の引用なども含まれ、キリスト教の影響も感じることができます。

 

亡霊がスクルージーを過去に導き、スクルージーを諭す場面。

「人はみな」亡霊は答えて言った。「隣人、同胞と進んで広く交わって、心を通わせなくてはいけない。そのためには、遠路をいとわずどこへでも出かけるようでなくては駄目だ。位置:337

ああやってみんなを楽しませるというのは、一財産を投げ出すにも等しいんだ」 精霊の顔色を見て、スクルージは口を閉ざした。位置:664 

いじわるな金貸しのスクルージは、過去の体験を振り返ることで、
徐々に改心していきます。
道徳的な部分が多く含まれるので、親から子供へ語り継ぐのに最適な本といえるでしょう。

ネタバレになるのでこのへんで切り上げますが、
驚くべきなのは、
1843年出版、ということで、
なんと今から175年近く前に書かれた小説。
一部タイムスリップもするようなSFチックな要素も含み、その時代に書かれたとは思えません。
良いもの時が経っても残るんですね。

翻訳をされた池 央耿さんというお名前、どこかで聞いたことあるな、と思ったら、
あのSF名作『星を継ぐもの』の翻訳もされている方でした。。
どうりですっと頭に入ってくるな、と。
ハードなSFだけでなく、ファンジー的なものも作品の雰囲気に合わせて翻訳されているので、まさにプロの技。

 

話の筋的にいうと「家族ってやっぱいいよね、独り身はみじめだよ」的な古い時代の作品なので、
LGBT/ゲイ的な視点で見ると、わりかしつらい一冊だったりします。
なので個人的には手放しに褒めたい作品ではないのですが、
欧米圏で語り継がれる理由が少しは理解できた気がします。  

最近、『クリスマスキャロル』に関するVR動画が作られたようですが、
色んな時代・場面をポンポン移動していく本作品は、VRに非常に向いた作品なのではないでしょうか。

また、ジムキャリーが声優をつとめる、ディズニー作の子供向けの映画もあるのですが、予告を見る限り、わりかし原作をうまく再現できている気がします。

【Kindle Unlimitedでぜひ】

今年のクリスマスはいかがお過ごしの予定でしょうか。

クリスマスの雰囲気が苦手という人をわりかし見かけますが、街が活気に溢れるので個人的には毎年楽しみだったりします。
特に現在ヨーロッパにいるので、いたるところでクリスマスマーケットが開かれていて、ホットワインが飲みたくなります。 
平成最後のクリスマス」ということで、ひとりの方も、みんなでも、
せっかくのクリスマスを楽しみましょう。

 「クリスマスおめでとう、伯父さん! 神の救いがありますように!」
位置:88

興味のある方はKindle Unlimitedでぜひ読んでみてください。

クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)

クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)

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『ザ・ロングラン 人生を走り出す日まで 』アルコール中毒の記録

ランニング本

今回紹介するのは、アル中であり、かつドラッグ中毒だった作者が、
ランニングに新たな道を見出した様子を赤裸々に語った本。
どうやらアメリカでベストセラー入りした小説で、
キンドルアンリミテッドで読めます。
ボリュームも少なくサクッと読めるので、
中毒になるというのがどういうことか知りたい方におすすめの一冊。 

アル中の心理を知れる

 日本でドラッグ中毒に陥った人の本はあまり多くないので、そういう意味では非常に意義のある作品だと思います。

僕自身としては、ワインは好物ですが、あまり量は飲めないので、結局溺れるところまではいかない、という感じなのですが、
この本を通して、お酒に溺れる人の心境を知ることができた気がします笑

 

 例えばこんな一節。

禁酒は過酷だ。瞼なしで生きているのと変わらない。位置:420

寝ようとしても全く入眠できず、なおかつ眠りを求める、という感じでしょうか。
辛そうですね。 

 

飲酒の最良にして最悪な点は、ほかの悪習ときわめて相性が良いことだ。 位置:499

ということで、お酒だけでなくドラッグにも手を出す著者。
やっぱりドラッグがすぐ手に入る環境というのはないほうがいいのかもしれませんね。

 

アルコールは、巨大な情報集約サイトみたいなものだ。身体に酒を過度に入れていると、あらゆる問題が一緒くたに取り込まれてしまったかのように、見えづらくなる。位置:683 

 お酒に溺れるたことがないので、あまり理解できませんでしたが、
情報には溺れているタイプなので、

 

作者は『ダークナイト』のジョーカー役であるヒース・レジャーが薬物の過剰摂取で死んだニュースが流れ、著者が飲んだ量よりも少なかったとわかって愕然としたそう。

それがきっかけで、ランニングに目覚めます。ここの切り替えはすごいですね。

ランニングを始めて、生活からアルコールを締めだしたことで、なぜ自分がアルコールを心の拠り所としてしまったのかをじっくりと省みる時間を持てた。位置:737 

ちょっと宗教チックですが、ランナーとしてすごく共感できます。
ランニングをしていると、自分の心境の変化を客観的に見ることができます。

また僕の経験からいうと、ランニングを習慣づけるとその数時間前はアルコールを摂取できないので、それがよりアルコールから離れることになる、といえるかと思います。

 

ただし反論の根拠をどれほど挙げられようとも、おれにとって酒を飲みつづけるのは計り知れないほどの精神の強靭さと信念が必要なことなのだから、アルコール依存症となる人間は弱いといった考えにはとうてい賛同できない。位置:874 

アル中になるのも、それはそれでキツいものなんでしょうね。
アルコールに溺れるのもそれなりの身体の消耗と精神の強靭さが必要。

 ちょっとしたアル中の美学さえ感じる一節です。

 

酒を断って、前より幸せになれたのだろうか? そうは思わない。おれは飲酒の達人で、それ欲しさで身ぶるいして目覚めるほど好きな酒を飲み、なかでも最上のものを手にバーのスツールに腰をおろしていた。 位置:884 

作者自身が過去を振り返って、あまり中毒者であった時代は後悔していないもよう。
これはこれでよかったんでしょうね。 

 

前半はひたすらアル中患者の独白が続くので、
正直めちゃ面白いかといわれると、そうでもなかったりもします。
どちらかというと興味深い、という感じですね。 

「アメリカでベストセラーとなった」という事実は確かなものであり、
おそらくはこの独白に共感できる人が多かったんだと思います。
アメリカもいろいろ問題を抱えてますね。。

アル中と聞いて心当たりのある人は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。 

ザ・ロングラン 人生を走り出す日まで (Kindle Single)

ザ・ロングラン 人生を走り出す日まで (Kindle Single)

ランニング中毒の道へ

後半は著者がランニングにハマっていろんなレースに出場するなんだかんだランニング中毒、ってのも脳内麻薬的な意味ではドラッグ並みににやばいものかもしれません。 
みなさんもせっかくのランニングシーズンなので、ランニング中毒になってみてはいかがでしょうか。

ポッドキャストやってます! ランニングについても熱く語ってます。

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