世界のねじを巻くブログ

ゲイが独自の視点で、海外記事/映画/書評/音楽/電子書籍/Lifehack/Podcastなどについてお伝えします。ポッドキャスト「ねじまきラジオ」配信中。

『GIGAZINE 未来への暴言 / 山崎恵人』を読んだ感想

ギガジン編集長の本

お盆休みということで過去にKindleでハイライトした文章を漁っていると、
GIGAZINE編集長の山崎恵人さんによる『GIGAZINE 未来への暴言 / 山崎恵人』の読書メモを発見した。
ブローガストの勢いを借りて、軽くブログとしてまとめてみようかなと。

gigazine未来への暴言 山崎恵人 

 

個人的に印象に残った部分をつらつら書き残していきます。
(できるだけ今の時代に読んでも面白い部分を優先しました)

 

GIGAZINEは各カテゴリの記事がトップページに時系列順にずらっと並んでおり、一般のニュースサイトにあるような細かいカテゴリ分けというのをしていません。これは、専門バカになってはいけない、というメッセージです。

いわれてみれば、大きなカテゴリ分けしかないし、タグみたいなのは存在しない設計。

 

ネットの出現前から 専門バカ というのは登場していました。その極端なケースが音楽です。

冒頭からなかなか飛ばした物言いが好き。でも確かにそうなのかも。

 

「理性・知性・感性」のバランスについての話も面白かった。

・知識を脳内ではなくネット上などの外部に貯め込む
・どこかに貯め込まれている知識を効率よく引き出すための連想力と発想力
・必要な知識を教養として身につけるための仮想体験・仮想経験

 

www.nejimakiblog.com

 

ネットの場合はそうはいきません。どこが一番最初の情報源なのか、それは信じるに値するのか、本当のことなのか?常にそういう 真偽確認の戦い、ソースの確認の戦い です。

書籍だとちゃんと原典にあたりやすいですしね、インターネットはそこが難しい。

 

その中からYouTubeの運営陣がGoogleを選んだ理由、それが「法的に戦ってくれる弁護士軍団を所有していること」 でした。つまり、YouTubeは最初から「著作権」 という法律と正面から戦うことを前提とし、 著作権の概念を破壊することを目的としている企業だったわけです。

YoutubeとGoogleが組んだ経緯を詳しく知らなかったけれど、そうなんだ・・・。

 

ユーザーの忠誠度が高いにもかかわらず、その忠誠心を裏切って壊滅しかけているのが音楽業界です。

Bandcampや高額のアナログレコードがわりとメジャーになり、昔より少しはマシになったのかな・・・?

他にもファンがパトロンになる「パトロンモデル」成立への道についても詳しく書かれていて、「投げ銭が当たり前になる」という現代をこの段階から予想していたのはすごいなと

www.nejimakiblog.com

 

変化は不可避であり、その変化にいち早く適応したところが一番生き残る確率が高いわけです。

 

そのときにいかにして効率的に、手軽に、抵抗感無く金銭を移動させるか? その手法を確立させたところが今後の覇権を握る可能性が大きいですし、逆に言えばこのような少額決済をさらに下回る超少額決済をどこが提供するのか、それは一企業がすべきなのか、それとも資金移動専門の国際的機関を新たに設立すべきなのか?そういう問題が新たに発生するはずです。

少額決済システムというのは、現在の勝利者であるAmazonやAppleをも倒す可能性がある と言えば、かなりわかりやすいはずです。

少額決済を獲ったところが最強、みたいな話はほかのビジネス本でもよく読むけれど、
日本では意外とまだ流行ってないような。(Paypayが一番近いんだろうけれど)

中国だとその辺うまくやっている印象。

 

もっともっと各自が自分自身に関する情報で共有可能なものについては積極的にインターネットという場に提供して後続のために残していく、いわば ライフログとでも言うべき活動を積極的に展開できる下地作り、さらには現実の世界とネット上の情報とをつなげて連携させる仕組みの充実が必要 です。

ライフログ、という言葉はずいぶん前に聞かなくなってしまったけれど、
AIの時代だからこそLifelogブームはまた来る気はしているんだよね。

 

学校というのは現代社会において最初で最後の防波堤 なのだ、という意識が必要なのではないかと常々考えています。

AI時代における教育現場を考えると、これは今だからこそより響く話。

 

それでもなお、高校や大学が存在し続ける理由はとりもなおさず、「無理矢理にでも環境の力で勉強させる」 という点にありますし、まだまだインターネットだけで全てが完結できるわけではないためです。

 

小学校・中学校といったレベルの教育内容であれば暗記は必須ですが、それよりも先の専門分野になってくれば、必要なのは適切な情報と知識をインターネットから取り出す取捨選択の力になります。

暗記教育が無意味になったのは、AI時代以前のインターネット時代から。
今は適切な情報と知識をAIからどう取り出して活かすか、みたいなのが重要なんだろうなと。

 

ネットで検索して得た知識を実際に自分の生活や自分の身に起きている問題に当てはめて実行していくこと、それが究極の試験問題です。

うーん、確かに。

 

すなわち、 インターネットが存在する以上、今後は問題を出す側の能力も同時に問われる のだ、ということに他なりません。

これも人工知能の時代にも通用する話。

 

実際には各自の好みはバラバラであり、結局はニッチの集合体でしかないという実態を明らかにしました。こうなってくるとインターネットはかなり有利な場だということがわかります。というのも、 インターネットの利用者自体の傾向として、「自分の好きなものしか見ない」 ためです。

 

だからこそ、 GIGAZINEはカテゴリを細分化してニッチを狙うのではなく、あらゆるニッチを狙うという方針 で運営してきた、という次第です。

確かにインターネットから食レポまで、膨大な記事を出しているのに、どれもニッチどころを攻めている印象。

 

www.nejimakiblog.com

 

 

本当に 人間一人が知ることができる情報の種類はこんなにも増えているのに、知ろうとする情報の幅はどんどん狭くなるばかり です。

 

インターネットを利用する人が増えれば増えるほど、このもうひとつの世界は仮想世界ではなく、現実の世界の完全な鏡像世界、双子でうり二つの世界としての側面を強めていくはずです。

メタバースうんぬんはさておいても、インターネットは「現実の世界の完全な鏡像世界」という認識は大切。

 

また、面白い特徴として、 ポジティブなコメントを残す人はあらゆることについて大抵ポジティブな反応をしており、ネガティブなコメントを残す人はあらゆる事についてネガティブな反応をしている、という事実があります。

ということは、 真に問題となるのは、普段はポジティブな評価を下す人がネガティブな評価を下した場合、さらには普段ネガティブな評価を下す人がポジティブな評価を下している場合 です。

これも面白い話。実感としても首を縦に振るしかない。

 

10人中9人に嫌われてもいいから残りの1人に興味を持ってもらう」というのは、そういう小さな反応だけれども、大きな意味を持つ声を拾い上げるという作業の繰り返しであり、それは現実世界では音声情報として消えてしまうものを、インターネット特有の文字情報として記録される特性を利用することによって、要するに「検索」することで常に検証し続けることが可能になったからこそできる芸当、というわけです。

音楽や映画の一般人のつぶやきレベルの感想を検索できるのはインターネットのよいところ。

 

対価を用意していなくても、前借りする必要はない、自分に払える分だけを払えばいい、そういう可能性が残されているわけです。「パトロンモデル」 はそのギャップを埋める回答の一つです。

投げ銭の本質のそれ。

 

だからこそ、このパトロンモデルの実現は「教育」とセットでないと成立しない、と考えます。

確かに。

 

「インターネットの規則を考えるというのは世界の規則、世界のルールを考えるのと同じ」ということも言っていて、Open AIの動きを見てみるとまさにその通り、という感じ。

 

なんだか四方八方に散っているような感覚を抱くかもしれませんが、すべての方向性は「無料であるものに対価を払う」という方向性に向かうのだろう、ということです。

 

村上龍ぐらいアバンギャルドな世界観と物言いで、
この人がSF小説書いたら面白いだろうなぁ、とちょっとずれたことを思ったり。

 

糸井重里さんの『インターネット的』も含め、
「過去のインターネット未来予測」みたいな本はいくら読んでも面白いな~と。

長くなってきたのでそろそろこの辺で。

gigazine未来への暴言 山崎恵人 

 

※8月に毎日ブログを書く試み「ブローガスト」10日目の記事です。

www.nejimakiblog.com

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』を読みつつ日記を書くことにした。

無駄な悩みを増やさないために

アマゾンでキンドルの新刊を探しているとふと見つけたこの本。

自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平

このブログやSNSには、どっちかというとプラスの、
(いいかえれば明るい話題しか)書かないようにしているけれど、

もちろん人生には、実際はブログに書かないようなしんどいこともたくさんあって。

今までそういうことを書いてこなかったなぁと、ブログを振り返ってふと思ったり。

 

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』の感想と日記

・・・ということで、
内省的な内容もたまには書いていこうかなと思った次第。

 

昨日購入してほんとにザっと読みした中で。
印象に残ったこと5つほどあげると

・自分がどのような自己否定しているかを具体的に確認する

・自己否定を書き出す

・第三者を登場させる

・自己否定のメカニズムを知れば知るほど、どんどん自己否定をしなくなる

・自己否定したくなった瞬間に、幼年期の「私」に会いに行こうとすると、いろんな感情に気づけるようになってくる

 

あたりがなるほどなぁと。
まじめな感想は、日記を書きながらじんわり書いていこうかなと。

 

話は脱線するけれど、
子供のころから親はかなり厳しく基本毎日怒られるばかりだったので、
自己肯定感みたいなのは全然なくて。

一人で悩むことはわりと多かったなと。

 

特に自分が同性愛者だと気づいた大学時代はしんどかった。
相談する人もいなかったし、
「この先60年も、隠しながら生きなければならないのか」と一人で抱えていたのはほんとうにキツかった。

「いやーよく生きていたね」とあの頃を振り返ると思うぐらい。

 

「しんどくても体は動かさないと」とランニングを続けていたのが唯一の救いで、

ランナーのバイブル『Born To Run』や『走ることについて語るときに僕の語ること』

『脳を鍛えるには運動しかない』みたい走ることについての本を読んでいたのでそのあたりはなんかやっぱり印象深い。

(自己啓発本もたまには役立つのよね、そういう意味では)

 

中学から高校時代によく聞いていた音楽、

U2やらR.E.M.やらルー・リード、グリーン・デイやら、デヴィッド・ボウイ、パティ・スミスやらミスチルやら宇多田ヒカルやら。

あの辺りは本当に救われた。

 

こんなハリウッドスターでさえ「死にたい」と思い、
オリンピックに出るスポーツ選手でさえ、
何度も自殺を考えた、みたいな発言は珍しくない。

 

しんどいアピールをしたいわけじゃないけれど、
やっぱりけっこうキツイのよ、正直。

 

事実、大学時代は音楽に人生を救われたようなもんなので、
U2とかR.E.M.とかブライアンイーの話題がしょっちゅう出てくるのはそういうことだったりする。

このブログに音楽の話題を書いてるのは一種の恩返しみたいなもので。

 

・・・とあまりぐだぐだ書いてると時間がないので、この辺の話はあとで追記するとして、

無駄な自己否定をしないようにするために、
100日間「自己否定をやめるための日記」を書こうかなと。

 

100日日記だと、

7日×14週+2日間=100日間という感じで

週に一回まとめて書くと2日余りが出るので、
まずは読み始めてから2日経った軽い日記を、
ねじまき日記のブログの方で書いてみました。

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』の日記を書いていきます。(~Day2) - ねじまき日記

今後はサブブログの方で書いていこうと思うので、
興味がある方は気軽に読んでみてください。

 

www.nejimakiblog.com

www.nejimakiblog.com

www.nejimakiblog.com

『灯台へ / ヴァージニア・ウルフ』文庫版のウェブ読書会を行う予定です。

鴻巣友季子訳 / 新潮社 

みんなで一カ月かけて同じ本を読むオンライン読書会「Bookstack
2024年10月の課題本はヴァージニアウルフの代表作『灯台へ』。
新潮社より最近発売された文庫版を読もうかなと。

www.shinchosha.co.jp

あらすじはこんな感じ。

「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。

河出書房から出ていたものを文庫化したものらしいので、
一応バージョン的には新訳といえるかなと。

 

ニュースレターや掲示板を活用して、オンライン読書会を行う予定です。

専用の掲示板(BBS)も作ってみたので、
進捗にあわせて自由にカキコしていただければと。

zawazawa.jp

 

バージニアウルフの代表作としてめちゃ有名なのはもちろん、
文体の舵をとれ』で紹介されている文章に惹かれて、
この本を読もうと思った方は多いんじゃないでしょうか?

 

ニュースレターでの読書会スケジュールとしては月三回。

読んだ感想や気に入った文章、理解を助けてくれるリンク集などを配信予定。

 

下記のイメージで。

 

・10日に配信 142ページ(第一部15章)まで読了予定

・20日に配信 P263ページ’(第二部終り)まで読了予定

・31日に配信    432ページ(ラスト)まで


(※別に読書ペースは自由なのですが、メール配信は上記スケジュールになります)

 

だいたい、1日に15ページ読めば1ヶ月以内に読み終わる計算。

 

もちろん 古い翻訳の単行本や、英語原文での参加も問題ありません。

 

ここから「BookStack」に登録していただければ、そのうち通知が届くかと。

 

文学史的にも有名な本なこともあり、
以前からずっと読みたかった一冊なので、これは本当に楽しみ。

紙の文庫本にあわせて、同時にKindle版も出てるのはちょっと意外。

 

www.nejimakiblog.com

読書にも"トロフィー機能"があったらいいのに。

本を読むことと実績解除の楽しみ

最近『百年の孤独』のオンライン読書会を終えて、ふと思ったことを書こうかなと。

読書って読者の想像力を試すようながあるので、
身も蓋もない言い方をすると、「想像力や知識がないと楽しめない」という側面があるということ。

 

今、日本で流行している『百年の孤独』でいえば、
"コロンビア"と聞いてパッと情景が思い浮かぶ日本人はそれほど多くないだろうし、
(僕もコカインとマフィアが思い浮かぶぐらいだった)

ましてやコロンビアのずっと昔の戦争の歴史のなんて知るわけもない。

 

ただ、そういうものを自分で調べていって、
軽く知識をつけておくと、わりと知らない国の文学でも楽しめることができたり。

www.nejimakiblog.com

 

コロンビア音楽を聴きながら、
Youtubeでコロンビアの村の動画を見てみたり。

あとは掲示板(BBS)でみんなの意見や気に入った文章を聞きあったり。

 

読書の楽しみ方って、もう少し広げられる気がするな、

と思ったのがここ最近のこと。

 

 

あと、読書はあまりにも"孤独"すぎる趣味なので、
多少は今の時代にあった"交流の場"的なものがもっとあればいいのになと思った。

 

たとえば、『文体の舵をとれ』(フィルムアート社)は

Twitterや小説サイト「カクヨム」での交流など、

出版社の盛り上げ方もうまかったし、ある種一つの成功例なのかなと。

 

 

・・・ふと思い浮かんだのが、
どの出版社でもトロフィー(実績解除システム)を作れる専用サイトやアプリを作って、実績解除をしてみんなで楽しんだり、SNS的な交流もできたら面白いなと。

 

□ コロンビアのバナナ戦争について調べる 『百年の孤独』

□ 小泉八雲の出生を調べる 『耳なし芳一』 

□ Kのあの一言はどういう意図で発せられたか 『こころ』

・・・みたいな。

 

そこまで手をかけたくないのであれば、
本のしおりに□チェックボックスをつけて、
それに沿って読者自身がリサーチをするだけで、
知らない間に読みやすくなっている、という仕組みがあったりしたら、
「ちょっと買ってみようかな?」と思う人も増えるはず。

 

『百年の孤独』の今回のヒットは、
「あの"名著"も今回なら自分でも読み通せるかも?」と読者に思わせたことが
主な勝因だと思う。
(人を選ぶような水墨画みたいな表紙から、
ワクワクを搔き立てるブックカバーになったのも英断だった)

 

 

また話は飛んで、
先月発売されたばかりの『世界文学アンソロジー』、

www.sanseido-publ.co.jp

公式ページの"発問例"一つを紹介。


あまり伝わらなかったけれど、
こういうリストを作って、
自発的に実績解除させていくと自然に読者の理解が深まる
みたいなものがあればいいなと。

ガブリエル・ガルシア=マルケス(コロンビア)
「世界でいちばん美しい溺れびと」

・特に気になった表現(比喩や語彙など)を抜きだしてみよう。

・この物語の文体やトーンからどのような印象を受けるか、考えてみよう。

・水死体がやってきたことで、村におこった変化をまとめてみよう。
また、その変化の理由を考えてみよう。

・「名前」という要素が、この物語の中で果たしている役割を考えてみよう。

こんな問いかけがあるだけで、読者の道しるべになるし、

海外文学は特にどう展開しているのかが読みにくいものが多いので、こういうのはありがたい。

 

こういうのものが、
例えばしおりに挟まっていたり、
『百年の孤独』の読み解きキットのように配布されていたりしたら、
読者にとっては大きな足掛かりになるはず。

 

 

本ってテキストだけに価値があるのではないと個人的に思っているし、
本文を読むだけではない楽しみを知ってもらうのが、読者を広げることにならないかなぁ、と思いこの記事を書いてみました。

 

・・・話が脱線するけれど、
最近、ゲームに関する調べ物をしていると、
エンタメに特化したゲームソフトでも
クリア率はだいたい30%ぐらい
という話を読んだ。

なるほど、ゲームでもそうなのか。。

 

みんなの読破率とかを見られれば、
なにか読書に取り組む基準になりそうな気がしているけれど、どうだろう?

電子書籍なら簡単にデータは集められるはずだし。

 

洋書多読界隈だと、いわゆる「YL(読みやすさレベル)」という基準があって、
自分の読解レベルに適した本を選ぶことが出来るのはわりと面白いし、
自分もこれを基準に本を選んだこともよくある。

 

音楽本も最近はよく工夫されていて、

ブラジル音楽の本『ブラジリアン・ミュージック』もSpotifyプレイリストへのリンクが貼ってあったりで、非常に参考になった。

ピーターバラカンさんの『新版 魂(ソウル)のゆくえ』もQRコードですぐ音源を聴けるようになったいたり。

カルチャー系の本は初心者にもやさしい仕様になってきているし、
そうでもしないと本が売れない時代になってきているとも言える。

 

 

・・・話は少し脱線するけれど、最近AI×読書のこんなサービスを見つけた。

Rebind AI

www.rebind.ai

Rebindは、一言でいえば「AI拡張読書サービス」というような感じ。

読書の内容に関する別の読者・専門家の解釈などを動画で見れたり、
自分だけの対話する相手ををAIで作成して、
本についての考えを AIの自分と話し合うこともできたりするらしい。

 

著者のインタビューやテキストを読み込んだAIガイドと対話できるなら、
詰まったときもAIに質問したり、
その文章の背景を知ることが出来たりしてなかなか面白そうな試み。

・・・実際に試したわけではないので、どれぐらいうまく読書体験を拡張してくれるのかはわからないけれど、方向性としてはとても面白いなと思った。

 

X-RAY

そういえば、ずいぶん前から
Kindleにも「X-RAY」という読書補助的な機能があるのをふと思い出した。

 

その人物に関連したシーンや文章を抜き出してくれる機能。

洋書の「あれ?誰だっけこれ…」現象を減らすことができるガイド的なそれ。

(・・・ただ、日本語だとちゃんと対応している電子書籍が少ないのと、
わざわざX-RAYで見るより、該当部分に戻って読み直した方が理解がしやすいことが多いので、個人的にはあんまり使ってないけれど。)

 

 

記事のタイトルから趣旨が逸れてしまったけれど、
読書という体験はAI時代においてもまだまだ死なないし、
工夫の仕方はまだまだあるよね、という話でした。

出版社もまだまだ工夫ができる部分はあるだろうし、がんばってほしいなと。

長くなってきたので、そろそろこの辺で。

 

誰でも参加できる、読書会はこちらより。
今月はお盆に読んだ本についてお届けしますので、
気軽に参加してみてください!

 

www.nejimakiblog.com

ガルシア=マルケスの短編・中編小説を読むためのガイド

『百年の孤独』を読む前に

ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』を読む前に、
頭を"マジックリアリズム慣れ"させておこうと、短編集を読むことにしました。

アマゾンなどで手に入りやすく、お手頃価格な版を3つほど紹介しておきます。

 

(※ちなみにねじまき自身は、
インタビュー集・文学論を2冊と、短編を数編読んだことがあるレベルで、
ほぼガルシアマルケス初心者、ということを事前に書いておきます)

 

ガルシア=マルケス中短篇傑作選 (河出文庫)

まずは比較的新しめのこの中短篇集より紹介。

「大佐に手紙は来ない」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」など、世界文学最高峰が創りだした永遠の物語。著者の多面的な魅力を凝縮した新訳アンソロジー。

 

収録されている作品は下記。

  • 聖女
  • 大佐に手紙は来ない
  • 火曜日のシエスタ
  • ついにその日が
  • この町に泥棒はいない
  • バルタサルの奇跡の午後
  • 巨大な翼をもつひどく年老いた男
  • この世で一番美しい水死者
  • 純真なエレンディラと邪悪な祖母の信
  • じがたくも痛ましい物語
  • 光は水に似る

 

やっぱり有名な作品「エレンディラ」と
なんだかよく聞く「大佐に手紙はこない」は必須っぽい感じ。

一番新しい日本語訳の短編集なので、読みやすさもおそらく一番なはず。

解説によると、日本ではガルシアマルケスよりも
ボルヘスやカルペンティエールの方が人気があったのだとか。

エレンディラがカポーティの「ミリアム」の影響を受けているらしくて、
読むのが楽しみ。

 

要するに語りの魔術に掛かってしまえばいいのだ
(編集者解説より)

 

ガルシア=マルケス全短編

「死」や「夢」など根源的な主題を実験的手法で描き、溢れんばかりの活力を小説に甦らせたコロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの短篇全集。「青犬の目」「ママ・グランデの葬儀」「純真なエレンディラと非情な祖母の信じ難くも悲惨な物語」と題されてまとめられた初期・中期・後期の3つの短篇集所収の26編を収録。巻末の詳細な「作品解題」とあいまって、この作家の誕生から円熟にいたるまでの足跡をつぶさにたどることができる。

 

グーテンベルク21のプロジェクト。

日本語訳がどれぐらい正確なのかはわからないけれど、
雰囲気を掴むためには十分なはず。

 

26作品あるので収録作品はスキップするとして、

 

Kindle Unlimited対象なので、
「作品解題」と「解説文」を読むだけでも参考になるかも。

『百年の孤独』につながる短編がいくつかあるみたいで。(※後述)

 

 

エレンディラ (ちくま文庫)

コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話"として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。

 

たぶん一つ目の「中短篇傑作選」が出版されるまでは、
定番の短編集だったはず。

収録作品として、短編6つと、中篇「エレンディラ」が収録されている。

  • 「大きな翼のある、ひどく年取った男」
  • 「失われた時の海」
  • 「この世でいちばん美しい水死人」
  • 「愛の彼方の変わることなき死」
  • 「幽霊船の最後の航海」
  • 「奇跡の行商人、善人のブラカマン」
  • 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」(中編)

 

つまり、彼は神話的なモデル、祖型に密着した物語の世界の中で育ったのである。
「祖母の語ったように」という彼の言葉 は、そのまま「民衆の記憶に止められていたように」と置きかえてもよい。こうした語りの伝統を継承しつつ、それを文学的に昇華させたのが『百年の孤独」である。

 

アマゾンレビューによると、

マルケスの作風には、大きく分けて2つのタイプがあると思うが、一つは記者時代のキャリアから生まれたスタイルで、実際の事件を基にしたり、あるいはジャーナリスティックな手法で書かれた、『予告された殺人の記録』や『族長の秋』に代表されるような小説。

もうひとつは、マルケスの少年時代に祖母が物語を語ってくれた時の、その独特の話法を小説に取り入れた幻想的な物語、シュールなものが日常の当たり前の出来事のように語られる不思議な文体で、その集大成ともいえるのが『百年の孤独』だが、本短編集はそこに至る試行錯誤の過程で、マルケス・スタイルが限りなく完成形に近づいたものだと思う。多くの短編集と比べても、全7篇、いずれも奇想・幻想的で豊穣な語り口で突出している。

とのこと。

 

 

・・・以上を総合して、

重要作品であるっぽい(というか3つの短編集で収録作がかぶっている)ものを選ぶと、

  • 「大佐に手紙は来ない」
  • 「巨大な翼をもつひどく年老いた男」
  • 「この世で一番美しい水死者」
  • 「青い犬の目」
  • 「ママ・グランデの葬儀」
  • 「土曜日の次の日」
  • 「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」(中篇)

を読んでおけば、ベスト盤的な読み方はできる(はず)。

 

それにに加え、
百年の孤独に間接的に関わっている
"マコンド"を舞台とした諸作品

  • 「イサベルの独白」
  • 「火曜日の昼寝」

を読めば、魔術的リアリズムの特徴やコロンビアの雰囲気もわかるのでは??

・・・と、ほぼガルシアマルケス入門者の自分が推測で書いてみたブログ記事でした。

 

7月(というか6月末)に『百年の孤独』を読んでみたい方の準備体操としても、
いいんじゃないかなと。

 

「『百年の孤独』を読む前にこれ読んどくといいよ!」というアドバイスや、
他のおすすめ作品があれば気軽にコメントいただければと。

 

最後にひとつお知らせを。

発売日の6月26日より1カ月かけて
「みんなで『百年の孤独』を読む」という企画を考えてます。

一カ月、掲示板やニュースレターでみんな進捗を確認しながら読んでいくイメージ。

文庫化のタイミングとあわせて気軽に参加してみてください。

 

『百年の孤独』文庫版はこちらより。

 

とりあえず短編は、
重要作品である初期の名作(といわれる)「青い犬の目」や中篇「エレンディラ」辺りから読んで行きたいなと。

 

nejimakinikki.hatenablog.com

 

www.nejimakiblog.com

『死亡記事を読む / 諸岡達一』(新潮新書)を読んだ感想

訃報の裏側を知る

諸岡達一という死亡記事専門家の本『死亡記事を読む』を読み終えた。

個人的に印象に残った部分をいくつかまとめていこうかなと。

 

死亡記事は、新聞の紙面割で言えば、おおかた社会面の最下段に載っている。小さい記事ではあるが実は読み応えがある。いや、ありすぎる。さまざまな情報が書きこまれており、仔細に行間まで読み込むと、意外な事実が現われてくるからだ。 位置55

 

 

死亡記事で注目すべきは、各紙によって扱いが大きく異なるコトだ。その死した人物への価値判断が紙面に如実に表れるのである。訃報を取り扱う新聞社の(とっさの)態度は興味深い。さらに死亡記事からは、現代性・社会性の濃淡を垣間見ることもできる。

 

具体的な死亡記事でいうと、

中埜又左エ門氏(なかの・またざえもん=ミツカングループ本社社長) の死亡記事から、落語家や、美空ひばりさん、
寅さん役をしていた渥美清さん、
オードリーヘップバーン、
暴力団組長

・・・などなど、色んな分野の有名人について例を挙げ、
各新聞社がどう報じたかなどについて書かれているのが興味深かった。

 

 

まずは死亡記事の役割やなぜ必要かにについて。

死亡記事の定型基本フォームだけを観察すると、そこに書かれた情報の種類は、葬儀・告別式(ないし通夜)に参列するであろう関係者、花輪を、生花を、香典を届ける、または弔電を打つ関係者のために書かれたデータといっていい。

なるほど。

 

 

死亡記事は他のメディアが(いまのところ)やらない活字情報である。

確かに、お悔やみ欄があるのは新聞ぐらいかも?(雑誌とかでもたまにあるけど)

 

死亡記事は新聞社の才覚が問われるネタである。記者のセンスと姿勢も問われる。常識の度合や博識度も問われる。歴史文化感覚も問われる。社会世相的知識も問われる。

 

一人の人間が死ぬ。その人は、新聞でどの程度の価値として取り上げればいいのか、第一面か、社会面か。見出しは必要か、傍線でいいか。顔写真は必要か、経歴はどの程度載せるか。その人間のナニが重要かで、死亡記事の扱いは違ってくる。

新聞社として、人の死をどう扱うか。
しかも何十万人という人に読まれる新聞なので、なかなか難しい話だなと。

 

 

その昔、ニュース価値判断を語るとき、「犬が人を嚙んでもニュースにはならないが、人が犬を嚙んだら、それはニュースだ」という冗句があった。

 

 

「死亡記事も勝負しろ!?」という章も興味深い。

 苅田久徳と野平祐二に話を戻すが、両者のニュース価値は、結局、担当編集記者のその時の心のうちでしかない。ホンネとタテマエを両立させながら「好き・嫌い」「知る・知らない」で死亡記事は扱われる。

 

 

美味しいビールが飲める、
というお店の店主さんの死亡記事の例もよかった。

明治四十二年、現在の神田駿河台下・三省堂書店近くに創業した「ランチョン」の二代目。当初、洋食店だったが、大正末期から生ビールに力を入れ……〝鈴木さんのついだ生ビール〟のファンも多かった。

「なぜ、ここのビールはおいしいのか?」と聞かれると「おいしいビールは理屈じゃない。愛情です」と答えるのが口ぐせだったという。

アメリカの死亡記事にありがちだけど、
こういう本人の口ぐせが載っていると知らない人でも一気に親近感が湧いてくる。

 

当然、担当デスクもいるだろう。そのデスクは、アメリカやイギリスで言えば、新聞編集局に存在するオビィチュアリー(死亡記事)・デスク(Obituary Desk)だ。  欧米でははっきりした部組織になっている。すなわち「死亡記事記事部」。

以前もブログで書いたように、死亡記事専門のライターが当たり前のようにいるのはすごいよね。

日ごろからしかるべき人物の経歴評伝その他の収集を怠らず、
"誰がいつ死んでも紙面対応できる体制が出来ている"そうで。

 

アメリカの例しか知らないけれど、欧米圏以外の他国だとどうなんだろう?
とふと思ったり。

 

 

事実、欧米の新聞では死亡記事が手厚い。「OBITUARIES」と題したページが連日あったりする。たっぷり書く、懇切に書く、詳細に書く。写真も大きく、カバー・ストーリーにも匹敵 する大記事になっている。この「人物を書く」ことを大事にする精神こそジャーナリズムの原点である。

 

繰り返し言おう。新聞社は「死亡記事部」を設置すべきだ。「惜別」「追悼抄」欄がその萌し、と信じたい。

 

インターネットで日本でも(一応) 死亡記事を読めるようにはなってきているけれど、
朝日新聞も読売新聞も有料会員しか読めないんだよね・・・。

 

長くなってきたのでこの辺で。

 

短文ながらも、新聞社の実力が見える死亡記事の魅力や裏側。
ニッチなトピックだけれども、「人の死」というものに興味のある方はぜひとも。

 

ニューヨークタイムズの死亡記事に関する本もぜひ。

www.nejimakiblog.com

『村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Café』対談集を読んだ感想

教授のインタビュー本

かなり昔に電子書籍で読んだ『村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Café』
Evernoteで「村上龍」を検索してたらキンドルのハイライトが残っていたので、せっかくということでブログに書いてみようかと。

坂本龍一さんが亡くなったとき、追悼の意を込めてブログにまとめようと思っていたけれど、ちょっと心がしんどかったのと忙しかったのもあって、ようやく。

現在はアマゾンのキンドルストアからは削除されてますが、10年前ぐらいは無料で読めたような気がする。

 

80年代にカルト的な熱狂を持って迎えられた対談、鼎談シリーズの「EV.Cafe」。 村上龍と坂本龍一のふたりの「龍」がその知性と感覚を研ぎ澄ましたこの対談シリーズが、 3.11 後の日本で復活しました。日本のいまと将来を憂う21 世紀の新たな対談とともに 1998年から2000年まで展開された対談、鼎談『EVCafe2』を初単行本化! 連載をしていた「エスクァイア日本版」誌が廃刊、その後10年に渡り入手困難となり、 ほとんど目に触れることができなかったため 書籍化の要望が高まっていた幻のシリーズを遂に一挙掲載。

 

www.nejimakiblog.com

 

政治からアメリカまで

ということで、印象に残った部分や感想をざっくりと。
(※Locationはキンドルのおおまかなページ数みたいなものです)

 

徹底的になくしたのは9・11の後のアフガン侵攻やイラク戦争の開戦当時のニューヨーク・タイムズに、なんの気骨もなければブレまくってばかりの論説記事が載ったとき。ニューヨーク・タイムズといえど、読者の大多数が読みたがっている論調を載せるだけのエンターテインメントに過ぎないって実感したときだったな。もうそれで幻想も信頼も、完全になくした。ニューヨーク・タイムズに限らず、どの国のどんなメディアも国民がなにを望んでいるかっていう空気を読んで、それに沿ったものを提供しているだけ。そこにはなんの一貫性もない。Read more at location 145

ガザ侵攻のときもNewYork Timesはやらかしてましたが、
911後もそんな感じだったのか・・・。

 

www.nejimakiblog.com

 

坂本 ぼくにジャーナリズム幻想はないけども、もしジャーナリズムにまだ可能性があるとすれば、それは権力の暴走を防ぐこと、嘘を暴くことが基本であって、大学でジャーナリズムを専攻すればそう習うはず  location 162

 

村上 歳のことを言ってもしようがないけど、死ぬまでに長編小説はあと何作書けるかっていうのは思っちゃうね。小説って書くのに時間がかかるから。 location 529

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』と村上龍の『Missing』はかなり似ている、と言われているけれど、晩年になるとそういう方向にテーマは向かっていくんだろうか。

 

坂本 いまのこの気持ちのわるい社会に生きることは、小説家にとってかなり刺激にはなるって言ったけど。

村上 そう、その気持ちわるさを虚構に投影して小説に書いていくわけだから、ある意味のやりがいはあるよ。location 541

 

坂本 あの『コインロッカー・ベイビーズ』だって、当時のアンフェアな世の中をぶっ壊してやるって小説だしね。基本的に龍は変わってないよ。location 550 

『コインロッカーベイビーズ』、来年ウン十年振りに読み返そうと思ってます。
たぶん1月の「BookStack」読書会の本にするつもり。

 

 

坂本 3・11以降で音楽的な刺激を受けたいくつかの中で、とくに印象的だったのは、ぼくの友達のラッパーがエジプトの動乱のときに渦中に赴いて何か月か住んで、そこで録音したラップを聴いたこと。あのときのエジプトの状況とその中での音楽の扱われ方に衝撃を受けたんだ。タハリール広場で抗議活動をやっている若者たちのラップ。あそこでは毎週のように新しいラップが生まれてて、それは単なる音楽表現というだけじゃなく仲間への連絡手段として使われたりもしたのだけど、ある16歳のエジプトの少年のラップがリズム感も抜群でめちゃくちゃカッコよくて。エジプト人の少年にとってラップ・ミュージックは外国からの輸入物なんだけれど、完全に自分のモノにして独自の表現としている。これは刺激になった location 569

 

 

村上 う~ん、よくわかんないなあ。小説には目に見える連帯ってないよ(笑)。

坂本 そうか(笑)。音楽は聴いてもらってなんぼだから、どういう人が聴いてくれるかとか、聴かれるときの状況とかのシチュエーションも大事なの。

村上 小説とくらべると音楽はよりダイレクトだよ location 594

確かに、小説より音楽の方が、聞かれるシチュエーションって大事なのかも。

 

 

村上 そう。だからあえて、坂本作品でいちばん好きな作品は? って聴かれたら『スウィート・リベンジ』と答えるようにしてたんだよね。 坂本 ああ、あれ以前は他人のことを考えることはまったくなかったからね(笑)。聴き手のことは意図的に排除してたから、それはつまりは、音楽を作るということは方眼紙の上にどうきれいに点を置いていくかっていう審美的なことにしか気持ちが向いていなかったということでもある。 location 609

日本の聴衆にも受け入れられやすいポップな作品集を目指して作られたアルバム。

 

 

坂本 しかし、これまでのパターンからすると、次の『EV.Café』は2026年ぐらいの予定だけど(笑)、どういう日本になってるかな? 村上 経済的にはよくないだろうね。ということはお金でいろんなことを支えられなくなるので、難しいなあ。
location 632

2026年の「EV.Cafe」は教授の死により実現しなかったけれど、どんな内容になったんだろうな・・・。というか日本は大丈夫なんだろうか。

 

 

坂本 もっともっと、一般人がウィルスや遺伝子工学とか、環境工学の知識を持たないと生き残れない時代になっていくと思うからさ。僕は最近、生き残り技術として「整体」や「合気道」をやっている。それはインターネットと同じで、やっぱり実践的知識としての興味なんだよね。社会が悪いとかって言ってすむ時代じゃないもん。
location 796

コロナを予見したような教授のことば。
合気道やってたというのはちょっと意外。(でも似合うかも)

 

 

坂本 敏感な人が、こういう鈍感な社会で生き残っていくためには、感覚を鈍感にしておかなくちゃいけないのね。そうしないと自分を守れない。敏感だと今度は社会と「そり」があわなくなっちゃうわけで、生き方変えなくちゃいけなくなる。だから学校とか会社とか行かなくていいんだよね。 location 820

こういう言葉があると救われる人はたくさんいそう。
現代では学校ってそんなに無理していかないといけない場所でもないしね。

 

 

村上 だから、「人生ってものは傷つきやすいものなんだ」とか、「君たちは本当に傷ついている、わかった」みたいな小説を書けばもっとうけるんだろうなって考えることがある。みんな弱ってるからね。もうちょっと降りていって、解決策を含めて悩みをきいてあげた方がいいかな、俺ってちょっと不親切かなって思ったり。まあ、俺がそんなことするわけないけどさ(笑)。 location863

いかにも村上龍っぽい。

 

坂本 普通の人は訓練をしてないから、悲しい時でも、どう表現していいかわからないんだよね。でも、悲しいことってまわりにいっぱいある。location 878

 

坂本 好き嫌いは別にして、尾崎豊もそういう役割だったんだろうね。 村上 中島みゆきもちょっとあるけど。そういうのは今はないもんね、必要としてないと思うんだ。 坂本 自分が傷ついていることを気がついていないんじゃないかな。でも傾向は違うけど、近いと思うのはMr.Childrenかな。location 887

今の時代だとAdoがそれにあたるんだろうなと。

 

村上 羽生善治に逢った時も言ってたけど、将棋においてもすごくいい手というのは、将棋のパターンの中にある手じゃなくて、感覚的な領域に入ってる手なんだって。自分で何でそうしたのかわからない手が残っていくらしいよ。location 969

この時から羽生善治さんってすごかったんだろうな。将棋全然詳しくないけれど。

 

 

村上 僕はこの2年間ぐらい、面白い夢を見ると記録してるんです。小説を書くのは、めんどくさいからすごく嫌なんです。だけど夢を書くのはすごく楽しい。なんでだろうと思うんだけど、夢っていうのは物語がないんですよ。偶発的な事件とか、エピソードやフラッシュ・バックの映像みたいなのがあって、それを自分の中で瞬間瞬間物語にしていくのね。それは小説と、作業としては同じなんだけど、夢の場合は書くことがすべてもう決まってるんで、それを記録していけばいいんですよ。 location1199

最終的に『Missing 失われたもの』に繋がったんだろうなと(少ししか読んでないけど)。

 

村上 もう一つは、一つの国家の上位の、「EU」みたいなリージョナル共同体が盛んになってくるよね。「国家を超えたもう一つ上位の枠組み」みたいなね。こういう世界の流れの中で、明らかに自分が所属するものが没落するっていう不安を抱いてる人がいっぱいいて、そんな人たちは明らかにナショナリズムに回帰してくだろうね、きっと。 location 2755

 

村上 今までのエコロジーは環境を守るという、欲望を抑える方向だったんだけど、今は欲望を抑圧するだけではなくもっと積極的に環境を維持していくという方向になってる。

坂本 メリットを感じさせるエコロジーね。結局、人間の経済活動をやめずに、しかも持続的な環境を作っていこうとすれば、そういう方向にならざるをえないんだよね。location 2828

 

ほかにも映画『ソイレント・グリーン』が語られたり、

 

「来世紀は「よく死ぬ」ことが大切になる」という浅田彰との対談、
「幸せなインターネットの時代は 終わってビッグビジネスの時代へ」という伊藤穰一との会話など、どれを読み返しても面白かった。
(あくまでハイライトで残してた部分のみだけど)

 

2016年時点ではキンドル版として公開されていたので、
こういうのこそ誰でも読めるように手に取れる場を広げてほしいなと思ったり。

 

EV.Cafe 超進化論』というのも気になっているけれど、
さすがに文庫本に3000円は出せないので、図書館で探してみたい。

 

www.nejimakiblog.com

『おしゃれと無縁に生きる』/村上龍の感想(幻冬舎文庫) - 世界のねじを巻くブログ

オンライン読書会をニュースレター「BookStack」ではじめます。

ブックスタック

以前からずっとやってみたかった読書会。
ニュースレターという形式で開催してみることにしました。

その名も「BookStack」。

bookstack1.substack.com

 

Substackにて、
月に一冊ずつ、みんなで進捗をあわせながら読むという試み。
参加はもちろん無料。
ニュースレターなので顔出しなども不要なため、
プライバシーも守られたブッククラブです。

 

bookstackブックスタック読書会

 

配信頻度は月に3~4回ぐらいになるかと。

なので、月頭、10日、20日、月末あたりに
読書の進捗とあわせてメールマガジンを送る予定をしてます。

 

随時、読んだ場所までの

  • 感想
  • 考察
  • 補足資料
  • 気に入った文章の引用
  • 本に合いそうな音楽プレイリスト

などをお届けします。

(文章の引用は「Biblog」を使ってみるのもありかなぁと思っていたり)

 

www.nejimakiblog.com

 

Newsletterという独特な空間だけあって、
ユニークなブッククラブにしていきたいなと。

 

しばらくの間は一人つぶやいているだけになるかもしれませんが、
どちらにせよ本は毎日読んでるし、
感想も自分でまとめてるし。
・・・地道に続けていきたいな~と。

 

あと、毎月20日ぐらいに
いくつかの本を挙げてアンケートを取るので、
そこで一番票が集まった本を次の月に読もうかと考えていたり。

 

Substack

ということで冒頭にも書いた通り、
流行りのサブスタックでのメルマガ配信です。

スレッドやチャット機能もあって、交流もしやすいかなという感じで。

 

bookstack1.substack.com

 

 

逃げ道  / ナオミイシグロ

気になるのは、まず何の本を読んでいくかということ。

記念すべき第一冊目はナオミ・イシグロの『逃げ道』にする予定です。

 

 

ノーベル文学賞を獲ったカズオイシグロの娘さんが書く、短編小説集。
同い年ということもあって、まずはこの本から読書会を始めることにしました。

今回は小説(海外文学)ですが、
将来的に日本の小説はもちろん、古典、文芸、ビジネス書、エッセイ、専門書などいろんなジャンルの本を読んでいきたいなと。

 

10月1日からみんなで読み始める予定なので、
読書家の方はお気軽に参加してみてください。

 

・・・また詳細は今月中にブログでお届け予定なのでお楽しみに。

後から読み始めても十分間に合いますので、
都合が着くタイミングでのご参加お待ちしてます。

(※他にも良い読書会のアイデアがあれば、気軽にコメント頂けると幸いです)

bookstack1.substack.com

 

※(詳細はこちら)

ナオミ・イシグロの『逃げ道』読書会をニュースレターで開催します。 - 世界のねじを巻くブログ

 

www.nejimakiblog.com

 

2022年のLGBTQ+的な話題を「ドーナツレター」で振り返る - 世界のねじを巻くブログ

高騰していて買えないプレミア本や気になる高価格帯の本を紹介してみる

高額な書籍たち

アマゾンで欲しいものリストに入れているけれど、
中古本でもプレミアがついているものや、元々のお値段が高くて手が届かないものが貯まってきたので、整理する意味も込めてブログにまとめてみました。

(※だいたいが3000円以上する"御本"ばかりです)

 

メキシコ文化に関する本、以前から気になっている。

 

 

チリの作家、ロベルト・ボラーニョの有名なあれ。
定価7700円(税込み)。面白いと噂は聞いているけれどお高い・・・。

 

 

 

Twitterで見かけたやつ。紙の本の装丁もいいかんじらしい。

 

 

ブラジル文学の翻訳は手に入らないものが多く、
以前からこれ以外にも読みたいものがたくさんある。

 

 

辞典も高額なのでなかなか変えないけれど、ブックオフでたまーに驚くような値段で買えることがあるのでずっと狙っている。

 

 

美学辞典

美学辞典

Amazon

こんなの辞典も面白そう。

 

 

海外文学はやっぱりお高い。(翻訳が大変なので仕方がないけれど)

 

 

600ページ以上もあるのでこのお値段。

"上質なユーモアとペーソスに満ちた"、とか書かれると読みたくなる。

 

 

亡霊の地

亡霊の地

Amazon

台湾の同性愛もの(?)
あらすじ読むだけでめっちゃ面白そうなやつ。

 

 

Twitterでみかけたやつ。

 

 

これとかめっちゃ面白そう。ギリ3000円以下。

 

 

ポール・オースターの対談本。(最近出たばかり)
Kindle本の方が高いってどういうあれなんだろう。

翻訳してほしい洋書を色々おすすめしてみる - 世界のねじを巻くブログ

 

 

オノ・ヨーコの『グレープフルーツ・ジュース』の英語原作。
日本語訳されている文庫版ははけっこう省略されているとのことなので
イラストなども描かれている完全版を読んでみたい。

 

 

クィア文学。ブックカバーもかっこよい。

 

 

学術本に近いものや専門書は、
やっぱりこの価格帯が当たり前なんだろうけれど、
気になるものをいくつか。

絶対面白いやつ。

 

 

古いけどけっこう有名なエイズをめぐる本。しかしお高い。

 

 

こういうのは老後にゆっくり読むのがいいのかも。

 

 

 

チャールズブコウスキーのWriting論。

 

 

五感から感じる、というニッチな建築本。

 

 

サンプリング的な文学、けっこう好みなのでこの村上春樹評論も気に

 

 

すごいニッチな視点からの本だけど、本ってこれぐらいじゃないとね。

 

 

 

植物本は高いものが多い。

 

 

 

最近発売された本。

 

もうコメントが追い付かないので気になるのをぺたぺた貼っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに挙げただけでも、
全て購入すると相当な金額になりそうで、やっぱり図書館や古本屋で地道に探すしかないのかな~。(まあ読む時間もないけれど)

 

紙の書籍が高いのはまあわかるけど、
Kindle版でも割引なく3500円以上すると
「ええお値段しはりますな」と言いたくはなるしやっぱり個人では買えなくなってしまうレベル。

 

でもこういうのが、
ブックオフ店舗で数百円で手に入れられたりすることがあるので、
ブコフめぐりはやめられないなと。笑

 

他にも「こんなお高い良さげな本ありまっせ」というのがあれば気軽にコメント頂けるとよろこびます。

今日はそんな感じで。

www.nejimakiblog.com

www.nejimakiblog.com

翻訳してほしい洋書を色々おすすめしてみる

日本語訳で読みたい書籍

はてなブログのお題が「読みたい本」とのことなので、
yomoyomoさんのリストに触発され、以前から書き溜めていた
邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくってみようかと。

yamdas.hatenablog.com

ということで、
おすすめの洋書や海外文学を紹介していこうかと思います。(読んでる途中・未読含む)

Consider This / Chuck Palahniuk

映画『ファイトクラブ』の原作者として有名な
アメリカの作家・チャックパラニュークの創作論。

自身の体験も交え、映画の効果的な場面やら古典文学の引用をしたりで、
かなり具体的なアドバイスばかり。
本を書きたい人にはほんとおすすめで、
チャックパラニュークを知らない人でも読み物として十分楽しめるはず。

 

The Collected Stories of Amy Hempel / Amy Hempel

アメリカではカルト的な人気を誇るAmy Hempel。
和訳された文章があまりないのが不思議なぐらいだったり。

エイミーヘンペルが書くのはほとんど短編小説でいわる「クイックフィクション」というものにあたるかなと。そのベスト盤とも言える短篇集。

 

上にあげたチャックパラニュークもべた褒めの女流作家で、
「どうやってエイミーヘンペルのように書けるんですか?」と聞かれ
「誰にもできやしない。(No one does.)」と答えているのが非常に印象的。

 

日本人の琴線にも触れそうな話も多いので
英語で読める方はいますぐチェックしてみてください。

"In the Cemetery Where Al Jolson Is Buried" は本当に読んで損なし。

(※またブログで紹介したいなと思ってたり)

 

 

Surrender / U2(Bono)

アイルランドの世界的ロックバンド、U2のボーカリスト・ボノが書いた自伝

つまみ食いでそこそこ読んだ感想として、
曲の背景から当時のアイルランドの様子までかなり濃ゆい感じで書かれていて、
ファン的にはありがたい一冊になってるな、と。

よく子供時代の記憶がここまで書けるな、と感心を通り越して驚いてしまうけれど、
自分の記憶を糧に曲をつくるアーティストとはそういうもんだろうな、と納得。

 

マイクロソフトのビルゲイツが京都の図書館に寄付した一冊に含まれていたのも
印象的で、邦訳される可能性がグッとあがったんじゃないか、と勝手に思ってたり。

(U2ファンは今、声を上げるべきかも)

 

This Is Your Mind on Plants / Michael Pollan

ジャーナリストのマイケル・ポーランが植物について書いた一冊。

WIRED JAPANで名著『幻覚剤は役に立つのか』が取り上げられたこともあり、
「ドラッグの人」という印象が強いけれど、
ポーラン氏自身、ガーデニング好きで、植物に関する本も何冊か書いていたり。

ドラッグやら植物などの本はけっこう専門的な単語が出てくるので、
日本語訳で気軽に読みたいなと。


幻覚剤は役に立つのか』は日本でもそこそこヒットしたような印象があるし、
最近邦訳が出た『意識をゆさぶる植物──アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性』も読みたい。

※追記:上記の『意識をゆさぶる植物──アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性』がすばり、『This is Your Mind on Plants』だったみたいです、訂正させていただきます。

ドラッグカルチャーはこれから日本でもさらに盛り上がりを見せるはずだし、
Netflixでドキュメンタリー化もされ話題になったので、
この植物本も、じきに日本語訳されると信じてます。

www.nejimakiblog.com

 

 

David Bowie Made Me Gay / Bullock, Darryl W.

とあるきっかけで見かけたゲイカルチャーな本。
ここ100年のポピュラー音楽を振り返り、LGBTQ+な曲と歴史背景を解説した一冊

まだあまり読めてないですが、プライド月間ということで
少しずつ読んでいきたいなと。

 

LESS IS LOST / Andrew Sean Greer

クィア小説の『LESS』の続編。
前作は歳を取ったゲイが世界を旅する話だったけれど
今回はアメリカ横断をする話なんだとか。
ドラッグ的な話も出てくるそうなのでこれも多分面白いはず。

英語版を読もうか、翻訳を待つかちょっと迷っている一冊。

 

Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow / Gabrielle Zevin

海外の雑誌やメディアなどで軒並み高評価な作品。

ゲームがテーマの話だということで『レディ・プレイヤー・ワン』みたいなのかと思っているけれどどんな感じなんだろう?

→ 日本語訳されるそうです!ありがたい限り=

 

 

A Little Life / Hanya Yanagihara

日系人のハニャ・ヤナギハラの著作は、
恥ずかしながら一冊も読んだことがないんだけれど、
「そろそろ読まねば」と思って数年経ってたり。

(どの作品もまあまあのボリュームなので、
日本語で読めると楽なんだけどな、と思いながら)

 

デビュー作の『森の人々』は和訳されてるっぽくてびっくり。

日本人の感想があまりなく、実際読んだ人の声を聞いてみたいなと思ったり。

 

 

その他の おすすめ/読みたい作品

時間がないので思いついたのをザっと書いていこうかなと。

 

HOW I BUILT THIS / Guy Raz
有名ポッドキャストの書籍版。
成功した起業家の話をいっぱい読めます。

Beyound Beatmatching
いわゆる初心者向けDJ論を書いた一冊。

 

THE MOTH
有名ラジオ番組の、印象的な実話を集めた一冊。

 

A Wrinkle in Time / Madeleine L'Engle
シリコンバレー界隈でも有名な児童書の定番。

映画化されてからの日本語訳に期待していたけど、
ディズニーが盛り上げる気が全くなかったためヒットせず

三部作ということもあって、英語で読むにはちょっと長いので読めてない。
英語多読教材としても割と有名かと。

 

The Music / Matthew Herbert

音楽論な一冊。こういうの英語だとたくさんあるんだろうなと。

 

音楽やスポーツなどニッチな本に関しては、
「それは売れないだろうなぁ」ってやつも翻訳されてたりするので、
けっこうファンの声がデカければ強ければ、熱意のある翻訳家さんが
もしかすると訳してくれるかも。

ボビー・ギレスピー自伝』『ヒクソン・グレイシー自伝』『音楽のはたらき』とかも出るぐらいだし。

 

そろそろこんな感じで。(※随時更新していこうかなと)

 

追記:

ポール・オースターの対談本。(最近出たばかり)
Kindle本の方が高いってどういうあれなんだろう。

 

 

#翻訳してほしい本のリスト でTwitter上でつぶやくと
翻訳者の方が見てくれるかも、という話なので、海外文学好きの方はぜひとも。

 

他にもおすすめの洋書があればコメント頂ければ、
この記事に追加していくかもです!

 

今週のお題「読みたい本」

 

www.nejimakiblog.com