世界のねじを巻くブログ

ゲイが独自の視点で、海外記事/映画/書評/音楽/Kindle/Lifehackなどについてお伝えします。

ベルギーの漫画『タンタンの冒険』シリーズの底知れぬ魅力

【小学校時代の思い出】

みなさんは『タンタンの冒険』という海外のマンガをご存知でしょうか?
小学校に 「火の鳥」や「ブッダ」『裸足のゲン』とともに置いてあったので、読んだことがあるという人も少なくないはず。

この「タンタンの冒険」という作品、エルジェというベルギーの漫画家が描いたヨーロッパ圏ではかなり有名なマンガです。

個人的に思い入れの強い数少ない漫画なので、紹介してみたいと思います。

【マンガ版インディ・ジョーンズ?】

あまり外国のコミックを読んだことがないという方にも、
「タンタンの冒険」の魅力がわかるよう、簡単に説明したいと思います。

勧善懲悪の冒険劇

 ハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズ」シリーズはご存知でしょうか?
財宝を探して世界を飛び回り、悪役と戦い、最後は・・・
という単純明快な冒険物語。007シリーズにも同じものを感じます。

要するにそれを漫画版がタンタンの冒険。
(どちらかといえばインディージョーンズがタンタンをパクったのでしょうが)

小学生にはほんとにもってこいの冒険劇。

タンタンは少年なので、恋愛関連の話が出てこず、まどろっこしくないのが個人的には◎なポイント。

 

異国情緒がある

タンタンはあらゆる国をまわりながら事件を解決していくので、異国情緒を頻繁に感じることができます。
アメリカ、ロシア、EU諸国、南米、アラブ諸国、中国とありとあらゆる場所で活躍。
まるで自分の自身が海外旅行に行っているかのような感じに陥ります。
タンタン自身も現地の民族衣装にかわったり、おしゃれな漫画です。

よくよく考えると僕が外国の魅力にはじめて触れはじめたのが、このタンタンの冒険かもしれません。
なので個人的にはけっこう思い入れのある漫画だったりします。
まあ石油国=危険みたいなステレオタイプなところもあるのですが、馴れ初めにはいいんじゃないでしょうか?

濃いキャラクター勢

どのキャラクターもびっくりするほどキャラ設定が濃ゆいです。
酒が飲めない船長、振り子を振り続ける博士、声でガラスを割れるオペラ歌手など挙げればキリがないほど。
特に印象的なのが、犬のスノーウィ。お酒でベロベロになったり、人語を話したり、基本的に馬鹿犬なのですが、ここぞ、という場面で大活躍してくれます。

主人公のタンタンも、新聞記者ということもあってか、非常に頭が切れ、格闘技や飛行機・船の操縦も完璧にこなします。まさに子供版インディ・ジョーンズ。

ちなみに原作は 「TINTIN(チンチ●)」というタイトル なので、日本では”タンタン”という名前に変えられています笑

【おすすめの名作】

 入門にはこの2作がおすすめです。タンタンの冒険の魅力がギュッと詰め込まれています。 

『なぞのユニコーン号』

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

『レッドラッカムの宝』 

ペーパーバック版 レッド・ラッカムの宝 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 レッド・ラッカムの宝 (タンタンの冒険)

【映画版もNetflixで】

なんとタンタン、ハリウッド映画化もされてます。しかもあのスピルバーグ監督によって。
タイトルも『ユニコーン号の秘密』と、原作を元にした映画となっております。
原作の雰囲気を崩さず、リアルなCGで世界観が再現。
キャラクターのイメージもほんとそのまんま。

数年前にこの続編が作られる、という話を聞きましたが、いまだに進展がないですね・・。
映画では主人公の名前はしっかり「チン○ン」と発音されています。笑
わかりやすい冒険劇なので、仕事の終わりにでも、子供とみて欲しい一作。
たしかIMAXが日本でもみられるようになった初期の頃の作品なので、リアルなグラフィックとともに、新世代的なインパクトもありましたね。
Netflixでもみれますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
海外の漫画を読んだことがない、という方はぜひ原作を。

太陽の塔の芸術家・岡本太郎が書いた『自分の中に毒を持て』

【内部公開の記念に】

先日エキスポシティに試写会へ行った際、夜の暗闇にボウッと浮かぶ不気味な「太陽の塔」を目にしてきました。
この岡本太郎の「太陽の塔」、2018年3月19日(月)に内部が一般公開されることをご存知でしょうか?
「芸術は爆発だ」ということばで有名な岡本太郎ですが、考え方や生き様も尋常ではありません。

せっかくなので、太陽の塔の内部公開を記念し、昔キンドル版で読んだ岡本太郎の著作『自分の中に毒を持て』の感想を書いてみたいと思います。

【レビュー・感想】

「自分の中に毒を持て」というタイトルからわかるように、かなり癖のある一作。

岡本太郎のドキュメンタリーを見たことがありますが、自分の意志を必ず貫く姿勢が非常に印象的な方でした。
本の文章を読んでも、その印象は決して薄まることなく、彼の常軌を逸した信念の強さがビシビシと伝わってきます。

例えばこういう文章。

ぼくだったらこうする〟というだけだ。それに共感する人、反発する人、それはご自由だ。 
『自分の中に毒を持て』 位置:473より

何気ない一文にも、彼の性格が表れています。

ニブイ人間だけが「しあわせ」なんだ。ぼくは幸福という言葉は大嫌いだ。ぼくはその代りに〝歓喜〟という言葉を使う。 
位置:633


あの「芸術は爆発だ」という有名なフレーズについても、岡本太郎が意図せず、言葉が独り歩きしてしまっていると苦言しています。

ところで一般に「爆発」というと、ドカンと大きな音が響いて、物が飛び散り、周囲を破壊して、人々を血みどろにさせたり、イメージは不吉でおどろおどろしい。が、私の言う「爆発」はまったく違う。音もしない。物も飛び散らない。 
 位置:1867

全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。  位置:1867

"爆発"という言葉にも彼独自の世界観があるよう。
宇宙うんぬんの話が出てきたところで、芸術家・横尾忠則のことを思い出しました。

結婚制度に対しても疑問を呈しています。
この本が出版されたのは1993年、つまり今より25年ほど前に書かれたということ。
その当時から結婚制度に"変わった人"と捉えられてしまったことは間違いないでしょう。

ぼくは、結婚という形式が好きじゃない。  男と女の関係は、証明書を登録し、形式的にワクにはめられるようなものではない。
位置:1232

家族というシステムによって、何の保障もされていないことが、真の生きがいであると思う。だからぼくは自由に独身を通してきたのだ。
位置:1257


さらに、職業分化に対しても異議を唱えています。
まるでようやく副業解禁がちらほら見られる今を見据えていたかのよう。

 職業分化の問題。 職業があることは悪いことじゃない。いまの社会人はほとんど職業を持って生きているし、社会もそれに支えられている。 ぼくは今まで一度も職業を持つことが、卑しいなどと言ったことはない。人間が社会で生きていくには、職業を持つことはノーマルなんだから。 しかし、そのために、全人間として生きないで、職業だけにとじこめられてしまうと、結局は社会システムの部品になってしまう。
『自分の中に毒を持て』位置:1867より

いくつか抜粋しましたが、こんなのは序の口で、「えっ?」と驚かされるほど暑苦しい文章が続きます。

体の芯から芸術家肌、悪く言ってしまえば"クセが強い"おっちゃん。
でも、こういうぶれないこだわりがない限り、芸術は生み出せないのでしょう。

余談ですが、この人を人情味あふれた感じに変身させれば建築家の安藤忠雄になるのだ、と勝手に思っています笑

これまた話はずれるのですが、本日、太陽の塔の内部公開を記念して、Dreams Come Trueの無料コンサートがあったのですが、僕も友達も両方ハズレ。
先日の試写会のように、人生続けてうまいことは起きません。
『大阪LOVER』や『決戦は金曜日』も歌ったとのことで、羨ましいかぎり。
内部観覧も予約でいっぱいのようですが、関西人として一度は見てみたいもんですね。

【Kindleの新装版も】

なんと僕がキンドルで当時読んだときにはなかった、『自分の中に毒を持て<新装版>』なるものが出ているようです。
新装版はカラー口絵つきでパワーアップしているとのこと。今から読む方はこちらもおすすめです。

自分の中に毒を持て<新装版>

自分の中に毒を持て<新装版>

デビット・リンチが瞑想を語る本『大きな魚をつかまえよう』レビュー

【アイデアとは魚のようなもの】

映画監督のデイビッド・リンチ(David Lynch)が瞑想について書いた一冊。

もちろん書かれているのは瞑想だけでなく、作品をどのように創り上げていくのか、

ジャンルを越えて活躍をするデイビッドリンチの創作の源を知れる一冊です。

さっそく感想を書いてみました。

瞑想を一ヶ月間続けて感じた感想・変化をまとめてみた

【リンチ流 アートライフ&瞑想レッスン】

特に印象に残った部分をいくつか紹介したいと思います。
まずは本のタイトルにも関連をするこの部分から。

アイデアとは魚のようなものだ。
小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。
でも大きな魚をつかめるには、深く潜らなければならない。
水底へ降りていくほど、魚はより力強く、より純粋になる。
巨大であり、抽象的だ。そしてとても美しい。 P10より
アイデアをひねりだそうとする欲望は、釣りエサに似ている。  P38

さな魚は浅瀬を泳いでいるが、大きな魚は水底にいる。
釣りをするコンテナーきみの意識ーが広ければ広いほど、より大きな魚をつかまえることができる。  P40

僕もブログ記事のアイデアを思いついた瞬間は、魚を釣り上げたときのような感覚を覚えます。

 他にも、至るところで映画への愛がひしひしと感じられる文章が。
映画監督なので当然といえば当然なのですが。
映画館に入ると明かりが消える。なぜか知らないが、これがすごくマジカルなんだ。 P26
いや、これなんですよね、映画は。
体験を共有できるのは素晴らしい。
家にいて、目の前にホームシアターがあるのもいいが、映画館にはかなわない。大きなスクリーンは最高だ。それはもう一つの世界へ分け入る通路だ。  P27

映画館の中に入るための通路。あそこを通るとき、今でもちょっとワクワクするのは僕だけでしょうか。

ぜひ上の記事も読んでみてください。

映画とは言語だ。話すことができる。
大きくて抽象的な事実をね。 P28

無声映画なんてのはその典型で、ことばなしにあらゆる世界観を観客の頭に疲労してくれます。映像というのはそういう部分では圧倒的な強さを見せますよね。

 

映画は本編だけで成立すべきだ。映画監督が作品の意味を言葉で解説するのは、馬鹿げている。  P30

見る側としては、「映画の意図をしっかり監督の口から聞きたい」と思ってしまう僕。

まあ監督側としては、自由に見て欲しい、という思いのほうが強いのは当然ですね。
 
意識の大海を活性化するためにダイヴするんだ。 P61
瞑想と聞くと、「静かな」「落ち着く」というようなイメージがありますが、デビットリンチ監督のこういった言葉を聞くと、積極的な「ダイヴ」という行為であることがわかります。
 
瞑想がもたらす至福は防弾チョッキみたいなものだ。 
きみを守ってくれる。 至福に満たされていればもう無敵だ。 P118

 瞑想が終わった後のスッキリ感、これは何にも代えがたい一時ですよね。

場所の感覚が出せるかどうかで、映画は大きく左右される。 P140
 "場所の感覚"という抽象的な言葉が出てきましたが、このワードを聞いてパッと僕が思い浮かべたのは、『シティ・オブ・ゴッド』や『ラスト・エンペラー』など。
そういうことなんでしょうか?
 
きみが発表する新作は、過去に達成したことの文脈において見られてしまう。 P184
これは辛いですよね。自分は新しいことをしたいのに、観客は昔の作風ばかりを求める。ブログ記事や小説にも同じ事がいえるでしょう。
例えば、『The Joshua Tree』から『アクトンベイビー』に転換を成功させたU2も、当時ここに相当苦しんだはずです。

最後に書かれているクリント・イーストウッド監督からのメッセージ(P206)も見逃せません。最新作の映画『15時17分、パリ行き』も本当に楽しみです。
 他にも有名人で例を挙げれば、
スティービー・ワンダー
リチャード・ギア
ヘザー・グラハム
コメディアンのラッセルブランド
マーティン・スコセッシ監督 など名だたるメンバーも瞑想を行っているとのこと。

音楽にも言及があり、
ビートルズの「Across the universe」
スティービー・ワンダーの「Jesus Childrens America」等の名曲、実は瞑想について歌っているとのこと。
特にStevie Wonderの曲なんて、確かに「Meditation」という言葉がモロに出てきますね。

デビットリンチがこんなに瞑想にハマっていたとは知りませんでした。
あの独特すぎる世界観は、こうした背景があって、生み出されているんですね。

【感想を読むより体験を】

瞑想に興味のある方、デビットリンチ監督の映画を一作でも見たことがある方は必読の一冊。

日本版には冒頭に「日本の読者へ」という題で、リンチ監督から日本の読者へのメッセージがあるのも好印象でした。

「瞑想って怪しそう」そんな印象をもっている方にはぜひ読んで欲しいです。

大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン

大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン

瞑想を実際に一ヶ月続けてみた感想は下記の記事をどうぞ。(今も継続中です) 

『広辞苑 第七版』は電子書籍端末にこそ搭載されるべきだとおもう

【広辞苑7 10年ぶり改訂】

ついに10年ぶりの改訂となる、「広辞苑 第7版」が1/12に発売されました。
新たに一万語が収録され「LGBT」や「ブラック企業」「フリック」「婚活」などここ五年で一気に身近になったことばまでもも網羅されているようです。
(「台湾」ということばの定義で岩波書店が窮地に立たされ、最近話題にもなりました)

日本の辞書を代表する『広辞苑』、 せっかく発売されたので、実物をみに本屋へ。

やはり、大きすぎます。

辞書編纂者の方の苦労を書いた本を何冊も読んできたので、「もし気に入れば買おう」と思って本屋に向かったのですが、さすがの存在感に圧倒されてしまいました。
今の時代、作家か、物書きか、ことばマニアか、教育関連の職の方 etc...
そういう特定の人以外にアプローチするには、広辞苑の大きなボディは重たすぎるのではないでしょうか。

【Kindle版の広辞苑は?】

昔は「知の象徴」だった巨大な紙の辞書も、Googleで打ち込めば意味が出てくる時代。

 

昔から紙の辞書を使ってきた方には不遜に聞こえるかもしれませんが、
新しい『広辞苑』が最も輝くベストな場所は、Kindleだと僕は信じてやみません。

本を読んでいるとき、ことばの意味がわからずに、文章をすっ飛ばしてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

しかし、電子書籍端末ではそんな心配はありません。
Kindle端末には「デジタル大辞林」や「Oxford Dictionary of English」が標準的に搭載され、電子書籍を読んでいるときに、わからない言葉があれば、文字を入力することなしに、すぐに調べることができます。

読書中、もしわからない言葉があれば、タップして単語を選択すると、
ポップアップで単語の意味が表示され、あっという間に意味を把握することができます。

しかも、『デジタル大辞林』にないことばは自動的に「Wikiedia」に接続し、意味を探してくれます。

『デジタル大辞林』、さすがに無料なだけあって、説明が非常に簡素であり、あくまで軽く意味を把握する程度にしか使用しません。

それだからこそ、個人的には新しい『広辞苑7』を電子書籍端末にのせてほしいのです。

【辞書編纂者の意見は?】

ここで、辞書を編纂されている方はどういう意見を持っているのかをみてみましょう。

『三省堂国語辞典』を編纂されている飯間浩明さんのラジオ講座をまとめた『国語辞典のゆくえ』という本に、興味深い内容が語られていましたので紹介したいと思います。

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 国語辞典のゆくえ (NHKシリーズ)

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 国語辞典のゆくえ (NHKシリーズ)

「インターネットの情報だけではダメです。自分で辞書を買いましょう」
こんなふうに要求することににどれだけの効果があるか、はなはだ疑問です。
私は最近、自分が辞書を作る立場でありながら、「辞書は死んだ」と繰り返し発言しています。 P9より

 辞書編纂者にもかかわらず、いきなりこんな発言をされています。
電子辞書の「後方一致検索・全文検索」ができたり、簡単にことばをアップデートできるというのは、紙の本がどう逆立ちしても勝てない部分だと認識されているようです。

オリジナルにある情報が、ネット上では欠落している、ということがあるのです。P15

しかし、さすがに辞書編纂者、無料のネット辞書には懐疑的です。

また、この本で特に印象に残ったのが、

国語辞典の電子版第1号は『広辞苑』だということ。
1987年という、国鉄が民営化されたような時代に、紙の辞書はすでに電子化されていたのです。(CD-ROM版として発売され、全く振るわなかったようですが。)


最後に、辞書の未来について飯間さんはこう語ります。

作り手が辞書を利用者に届け、利用者が作り手に反応を返す。
こうした双方向の回路ができれば、将来の辞書は、予想もつかないほど変わっていく可能性があります。 P145より

そもそもことばの意味なんて時代とともに変わっていくので、
一般人と辞書とのずれが随時修正されていくような仕組みがあれば、辞書は新たな活路を見出すのかも知れませんね。

またほかにも、『広辞苑 第七版』の編纂者インタビューで、電子化への抵抗はない、という内容を語っておられたのも印象的でした。

【紙の辞書も残って欲しい】

いかがだったでしょうか?
「昔から慣れ親しんだ紙の辞書がいい」という方も多いかも知れませんが、
ゆとり世代の僕からすれば、このような電子化への要望は決して珍しい意見ではないと思います。
せっかくこれだけ優秀な辞書があるのだから、最大限活用したいところ。
実際、新しい広辞苑は、電子辞書や「一太郎2018」、電子版としても発売されるようですのでキンドルなど電子書籍端末への展開も期待したいところです。

 でも、紙の存在感も捨てがたいところ。気になる方はぜひ。

広辞苑 第七版(机上版)

広辞苑 第七版(机上版)

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2017年に心を揺さぶられたKindleの電子書籍10選

【キンドルの名著まとめ】

2017年も残すところあとわずか。
せっかくのなので、今年読んだKindle本の中で、特に心を揺り動かされた10冊を厳選した記事を書いてみました。

いずれもまだブログで紹介していない電子書籍ばかりですので、キンドルをお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

【メディア論からワイン、LGBTまで】

 まずはブログ記事らしく、この本から紹介してみます。

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

シリコンバレーでの経験を踏まえ書かれた佐々木俊尚さんのメディア論。

 つまり家族や恋人、友人、同僚といった仲間たちと共有したり、議論したいと思うコンテンツを提供する最適化が必要だという主張なのである。
-286ページより

アップル・グーグル・フェイスブックの関係や 「Buzzfeed」の戦略についても書かれ、ブロガーなら一度は読んで欲しい一冊。

 

Do you talk funny? (英語)
Do You Talk Funny?: 7 Comedy Habits to Become a Better (and Funnier) Public Speaker

Do You Talk Funny?: 7 Comedy Habits to Become a Better (and Funnier) Public Speaker

作家や起業をこなすDavid Nihillというアメリカ人によって書かれた本。
アメリカの漫談である「スタンダップコメディ」を日常生活にいかそう、という視点で
非常に深い洞察をもって書かれた一冊です。
最近Netflixでスタンダップコメディばかり見てるので、僕個人としてはど真ん中の内容でした。

“The human race has only one really effective weapon and that is laughter.” — Mark Twain
人種にはただ一つ有効な武器を持っている、それは笑いだ。ーマーク・トゥイン   位置:528

上記のような引用をいくつも交え、日常生活における「笑い」の有効性を説いていきます。
ブログのライティングにも活かせる内容なので、また機会があれば紹介したいと思います。 

 

The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド
The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

今年はナパ・バレーでの火災やEUとのEPAで大枠合意など、ワインを愛する人にとって色んなニュースが舞い込んできた一年でした。
僕自身もワイン好きなのですが、正直品種や味など理解せずに飲んでいるだけなので、少しずつ知識を身につけたい、と思い購入した一冊。

ビジュアルが見入ってしまうほど美しく、好きなページから気軽に何度読み返せます。
アマゾンのページで「なか見!検索」で一度中身みてからの購入をおすすめします。

 

弟の夫(全4巻完結)
弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

2018年に佐藤隆太×把瑠都で実写ドラマ化されるゲイ漫画『弟の夫』
「死んだ弟 の恋人であるゲイのカナダ人男性が日本にやってくる」という話。
4巻でコンパクトに話がまとめられ、世の中の無意識な偏見を浮き彫りにします。

「男同士の恋愛ってどうなの?」と思う方に特に読んで欲しい名作。

下記に最終巻のレビューもしてみたので、あわせてご覧ください。

『弟の夫』 第4巻(最終巻)発売、実写化も【ゲイ漫画】

『ゲイ・カルチャーの未来へ』田亀源五郎さん最新作の感想

 

Nature Fix 自然が最高の脳をつくる
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

 最近、スマホやパソコンに夢中で自然に触れてない、という方におすすめの一冊。

「自然に触れることがいかに大切か」ということを、最新の研究結果を踏まえて教えてくれます。

人には本来、自然との触れあいが欠かせない──その事実をきちんと理解すればするほど、得るものも大きくなる。キンドル版 位置:5026 より

とりあえず、1カ月に最低5時間は自然とふれあう時間をつくりましょう。

 こちらのレビュー記事もあわせてどうぞ。

僕自身もこの本を読んでから、ランニングコースはなるべく自然に満ちた場所を選ぶようになりました。

 

GO WILD 野生の体を取り戻せ!
GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

 上の本と同じく、「野生に立ち帰る」ことの大切さを説いた本。
トレイルランニングにも触れた一冊だったので、トレランにハマりはじめた僕にとってたまらない内容でした。

この違いの多くは、トレイルランニングが自然の中で行なわれるという点と、進化上の習性(狩猟)にならっているという点にあるはずだ。 位置:2820

 このスポーツの基本的要素が、進化によってわたしたちの中にコードされた根深い欲求に訴えかけるのだ。 位置:2831

 人間の本能を忘れず、日常生活を送っていこうと思いました。


天才たちの日課
天才たちの日課

天才たちの日課

  • 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: Kindle版
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 古今東西の小説家、詩人、芸術家、哲学者たちが、どのようにして創作活動を続けていくのか、普段の日課に着目した一冊。
モーツァルトやカフカ、村上春樹やピカソなどあらゆる有名人の生活に触れることが出来ます。

この本を読むと、どんな偉人達も自分と変わらない人間なんだな、ということを実感しました。
モチベーションを失ってしまった方に、心からおすすめしたい一冊。

 「習慣は聡明な人間においては野心の表れである」
 ーオーデン(詩人)


わたしを離さないで
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/01
  • メディア: Kindle版
  • 購入: 1人 クリック: 2回
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2017年のノーベル文学賞受賞、カズオ・イシグロの代表作『わたしを離さないで』です。
ネタバレをするとこの小説の価値が落ちてしまうので多くは語りませんが、最後の展開は涙なしでは読めませんでした。

またブログでも紹介したいのですが、重くて再び読見返すのが辛いぐらいです。
ノーベル文学賞のニュース後は品薄が続いたのですが、電子書籍なら一瞬で購入できたのも印象的な思い出。

 

ライフハック大全―人生と仕事を変える小さな習慣250
ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

人生と仕事を大きく変えるライフハックが、これでもか!と詰め込まれています
「Pocketの読み上げ機能」は英語の記事を読む上でもっと活用していきたいですね…
この本を読むと、デジタルスキャナーの「Scan Snap」がさらに欲しくなってきました。。

 

WIRED(ワイアード)
WIRED(ワイアード)VOL.19 [雑誌]

WIRED(ワイアード)VOL.19 [雑誌]

  • 作者: Condé Nast Japan (コンデナスト・ジャパン)
  • 出版社/メーカー: コンデナスト・ジャパン
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る

知る人ぞ知る、名雑誌WIREDが今年でなんと、休刊してしまうということなので、最後にこれを挙げておきましょう。

個人的には音楽について特集されたVOL.21、 
VOL.26「ワイアードTV:映像ビジネスの新時代」

などが印象的でした。

ゲイの自分としては、アイデンティティーを特集した最新刊も非常に気になります。
どの巻も本当に心揺さぶられるものばかりで、休刊がほんとうに悔やまれます。。

バックナンバーも全て電子書籍で出版されていますので、気になる方は必見です。

【2018年こそ電子書籍元年に?】

2016年にはKindle Unlimitedという黒船が来航し、
2017年にはPrime Readingが開始され、さらには新型のKindle Oasisまで発売されました。まだ全体を占める割合としては少ないですが、電子書籍の浸透は誰にも止められません。

今後はどう電子書籍が広まっていくのか、2018年も楽しみです。

良い電子書籍ライフを!

Kindle Unlimitedが英語学習に最も効果的だった件

『すべての男は消耗品である。/ 村上龍』完全版の感想【キンドル】

【名エッセイの記念版】

『限りなく青に近いブルー』や『コインロッカーベイビーズ』などドラッグや性描写で溢れた長編が有名な村上龍。

彼は長編だけでなく、映画や短編、そしてエッセイの書き手としても有名です。

今回紹介するのは、ファッション雑誌等に掲載された『すべての男は消耗品である。』というエッセイ集。
30周年記念版、ということで、13冊分がまるまる収録されています。
こういうのがキンドルの良いところですね。

暇なときに気になる部分をちょこちょこ読み進め、ようやく読み終えたので、感想を書いてみたいと思います。

Kindle Unlimitedで読めますので、気になる方はぜひ。
『すべての男は消耗品である。』30周年記念 完全版

【Kindle版レビュー】

 あまりにボリュームがあるので、気に入った部分をかいつまんで紹介したいと思います。

まずはこの文章から。 

男の犯罪と芸術はすべて勃起をおさめるために発生する 位置1,840

いかにも村上龍らしい一文。
まあ、ある意味核心を突いているのかも知れません。
Ryu Murakami自身の芸術へのスタンスがはっきり示されているように思えます。

 

「日本文学が潰れても、文学が潰れるわけじゃない」の章より

考えてみれば、村上春樹も吉本ばななも、そして彼らの主人公達も、ポジショニングを拒否している。 位置5,182

いつまでも飽きられることなく、世界中で支持される作家は、ひとつのレッテルを貼られることを嫌うのでしょうか。
確かに村上春樹も吉本ばななも、毎回違ったアプローチで小説を書くように思われます。

 

「自分が見たいと思うものは全世界が見たがる」そう思うところから映画は始まる 位置7,456

最近の映画で言うと、 『ブレードランナー2049』も監督ドゥニ・ヴィルヌーヴが見たいがままの世界観が、そのまま表現されているように思えます。
AIの恋人が新しいソフトをインストールするシーンは、ただならぬ執念を感じました。

 

すべての兵士が消耗品であるのとまったく同じように、私達オスはどうあがいても消耗品であることから逃れることはできない。 位置7,745

代わりはいくらでもいるし、子供を産めるわけでもないし、いつか必ず死ぬし、死と隣り合わせのような無謀なことをやらなければ、必要な情報は得られない。位置7747

しかしだからこそ、自由な存在になれる可能性を持つ。それが私の言う消耗品なのである。 位置7748

『すべての男は消耗品である』というタイトルには、実は下の句があって、それは「だから自由だ」というものだ。 位置20,303

 このエッセイのタイトルである"消耗品"というワードに焦点を当てた文章。

なるほど、「消耗品」をネガティブに捉えるな、というのが村上龍の意図のようですね。

ゲイの僕からすると、女性に振り回されずに済むゲイは、ちょっとズルい立ち位置にいるのかな、とも思ったり。

 

日記は小説に敵対している。 小説家は、情報を物語の力によって強化するために虚構をつくる。  位置9756

なるほど、そのように認識したことはなかったです。

 

日本を象徴する言葉を一つだけ上げるとしたら、「間」だろう。  9907

日本文化を代表する庭園や建築、能や歌舞伎という面を見ても、「間」というものが根幹をなしていることに気づかされます。

もう一つあげるなら、「呼吸」というワードがあらわれるのかもしれませんね。

 

日本人は外圧がなければ、物事を考えたり、制度を変えようとしたりしない、とよく言われるが、それはどこの国も同じだ。物事を必死で考えたり、制度を変えたりするのは骨が折れる作業なので、できれば誰もそんなことなしで済ませたい。この国は外圧がなさすぎたのだ。  10,201

以前、『ゲイ・カルチャーの未来へ』という本を紹介しましたが、もう一度この文章を記載しておきます。

台湾の場合は、反中国というのをプッシュしているところがあるように思えるんです。それはたとえば、ウクライナが反ロシア的な形でEUに寄りたいからLGBTの権利運動が進んでいるというのと似ています。 そう考えると、日本は逆張りをするような相手がとくにいない気がするので、そういう意味では、推進力に欠けるのかもしれません。
『ゲイ・カルチャーの未来へ』 P.203より

ただ単に権利向上だけを訴える動きだけでは社会を動かす力にならず、何か外圧に対して反発するような別の要因がなければ、人・社会派変わることが出来ないということでしょうか。

 

また、"草食系男子"という言葉の出現について、

きっと日本社会においては、「どうでもいいような象徴的な表現」が常に必要とされているのだと思う。 20,309

最近でも "充実している上司"を表す"ボス充"なる聞き慣れないワードが生み出されたり、「象徴的な表現」が収まる気配はありません。

みんな”所属していないもの”を恐れているのでしょうか?

 

だが、社会的怒りは「しょうがない」という言葉では消えない。変質して、どこかに沈殿する。 23,191

最後にこの文章を。
なぜだかオウム真理教による「地下鉄サリン事件」を思い出しました。 

【エッセイストRyu Murakami】

 男・女という性に対する概念がゆらいでいる現代に、改めて読んでみましたが、なお輝きを増したかのように興味深く読むことができました。

村上龍のエッセイは、重い内容もも軽いこともサクッと読める魅力がたまりませんね、

今回紹介したのは完全版、ということで、なんと13冊分がまるまる収録されています。

まさか、30年も連載が続くとは思わなかった。 」と本人も驚いていくボリューム。

 Kindle Unlimitedの読み放題対象の電子書籍なので、気になる方はぜひ。

すべての男は消耗品である。VOL.1?VOL.13: 1984年8月?2013年9月 連載30周年記念・完全版

すべての男は消耗品である。VOL.1?VOL.13: 1984年8月?2013年9月 連載30周年記念・完全版

『トコトンやさしい人工知能の本』文系にもおすすめのAIに関する本

【ディープラーニングも解説】

最近、世界を騒がす人工知能。
何となく理解はできるけど、でも正直「人工知能ってなに?」という問いにはっきり答えられない文系の方。
今回はそんなあなたにおすすめの一冊を紹介したいと思います。

【人工知能ってなに?】

今回紹介するのは、『 トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)』[辻井 潤一 (監修), 産業技術総合研究所 人工知能研究センター (編集)]という本。

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 辻井潤一,産業技術総合研究所人工知能研究センター
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

ぼんやりとした知識の方が多いかと思いますが、全編にわたり、イラストつきで非常にわかりやすく書かれております。
知識のない中学生あたりでも十分に理解できるのではないでしょうか。
さっそく、感想を軽く書いてみたいと思います。

【レビュー・書評】

この本を読めば、「機械学習とはなにか?」というような基礎的な知識は身につけることができると思います。

特に印象に残った部分を箇条書きで書きたいと思います。

  • "人工知能"というワードに、厳密な定義があるわけではない
  • 昔から人工知能は期待→失望の波を何度か繰り返してきた
  • 今回騒がれているのはビックデータが手に入るようになったため
  • ディープラーニングの"ディープ"は「多層」であること
  • 「意味の計算」が成り立つ分散表現の面白さ
    「4月-2月」=「桜-梅」なんてことも可能
  • テロ対策がテキストマイニング研究を後押ししている

まずは「人工知能って何?」という基礎的な部分から、仕組み、直面する課題、今後の展開、何が便利になるのか?というあらゆる疑問に答えてくれます。

2016年12月23日と比較的新しい書籍なので、最新の研究内容についても盛り込まれているところがいいですね。

特に深掘りされていたのが「人工知能にどうすれば人間的な認識をさせることが可能か」というところ。

まだ現代でもAIが活用できていない大きな原因のひとつに、"人とAIとの認識の違い"が挙げられます。

例えば、「上り坂」と「下り坂」は小学生でも簡単に認識出来ますが、
人工知能からすれば、「同じ傾斜の坂」でしかなく、判断するのが非常に難しいのです。

自動運転での事故や、SFで描かれるようなロボットの反乱を防ぐためにも、「どこまで複雑で不確実な外界を防ぐか」という「フレーム問題」も触れられており、非常に興味深かったです。

【理系でなくても楽しめる】

いかがだったでしょうか?AIはじめての一冊にぴったりの本だと思います。
ワトソンやらNEC WISEやらいろいろ人工知能が第四次産業革命を起こすといわれていますが、現状のように数百億円もするスーパーコンピュータがヒト一人分の仕事ができるようになったとしても、世の中はまだまだ変わりません。
ぜひ今後の発展に期待したいですね。
気になる方はぜひ本を手に取ってみてください。

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい人工知能の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 辻井潤一,産業技術総合研究所人工知能研究センター
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

GPSとKindleを組み合わせれば、さらに読書体験が広がるはず

~自然が最高の脳をつくる~『Nature Fix』書評

【脳科学に基づいた本】

最近、パソコンやスマホに夢中であまり外出できてない、という方。
そんな方におすすめな、"自然"に対する意識を大きく変えてくれる本を紹介したいと思います。

今回紹介する『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方/フローレンス・ウィリアムズ著』という本の原題は『The Nature Fix』、つまり「自然が回復させる」的な意味が込められています。

人には本来、自然との触れあいが欠かせない──その事実をきちんと理解すればするほど、得るものも大きくなる。キンドル版 位置:5026 より

古い時代からアリストテレスやベートーベンなどの哲学的者や音楽家が、なぜ自然の中を歩いてきたのか、その理由をしっかり説明してくれます。

かなり心揺さぶられた一冊なので、書評を書いたみたいと思います。

【感想・レビュー】

この本を読んでまず印象に残ったのは、アメリカのFlorence Williamsというジャーナリストによって書かれた本にもかかわらず、日本が大々的に取り上げられているところ。

第一章からいきなり日本について書かれていて驚きました。

どうやら、"森林浴"という考え方は日本が初めて提唱したものらしいです。

千葉大学教授 宮崎良分さんも、日本語版解説としてこのように記載しています。

最近、自然セラピーにおける脳、自律神経、内分泌、免疫を指標とした論文を総説としてまとめたところ、その研究論文の多くは日本発であることが分かった。 位置:5449より

 日本人としても、誇りに思いますね。他国と比べてかなり研究が進んでいるようです。

 

『ネイチャーフィックス』という本の大きなテーマとして、
自然の中で得られる利益は、過ごした時間と正比例の関係にある、ということです。

マッケロンはある論文で次のように述べた。「平均すると、被験者は都会にいるときより、屋外の緑豊かな場所や自然のなかに身を置いているときのほうが有意に、かつ確実により深い幸福感を覚えている」
Kindle 位置:138より

また、この本は「ただ、気分転換が脳に良いってだけじゃないの?」と自然が持つ効果に懐疑的な人の疑問に対する回答も示されています。詳しくは本書で。

 こういった本にありがちなのは、「○○は体にいい!」と説明するだけで、実際何をすれば良いかの説明が全くなかったり、というパターン。

「結局何をすれば効果があるの?」という読者の疑問に、この『Nature Fix』は簡潔に答えてくれます。

トゥルヴァイネンのチームはある研究で、都会に暮らす三〇〇〇人を対象に、自然のなかですごしたあとの気分の変化とストレスの軽減について尋ねた。すると一か月に五時間、自然のなかですごすと、最大の効果を得られるという結果が出た。
位置:2958

1ヶ月に5時間、つまり一回に30分程度を週に2回公園や川沿い・山などの自然の中で過ごせばいい、ということになります。

こう聞くと、意外と簡単にできそうな気がしませんか?

ロンドンのハイドパーク、ニューヨークのセントラルパークなど、都会人が自然を大切にする意味がわかる気がします。
日本にも、こうした公園はいくつか見当たります。
大阪でいうと、鶴見緑地・大阪城などがあたるでしょうか。
芝生に横たわりながら、読書するのもいいかもしれませんね。

みなさんも自分の家や職場の近くで、自然に溢れた居場所を探してみてはいかがでしょうか?

今週のお題「芸術の秋」

【トレイルランニングも効果あり?】

僕は走るのが好きなので、自然の中でトレイルランニングをすることもあります。

確かに、森や山の中で草木をかき分けながらのランニングは、五感が研ぎ澄まされ野生に還った気分になれます。特に本には言及されてませんが、トレイルランニングにも間違いないなく自然がもたらす効果はあるはずです。
ただ路上を走るランニングよりも断然気持ちいいですしね。なんといっても自然の中は空気が澄んでいるのがたまりません。
最近トレイルランはサボりがちなので、もう少し山へ足を運ぼうと思いました。

【森林や樹木が持つ力】

この書籍を読むと、街の中のにやたらと目がいくようになること間違いなしです。
僕も可能な限り、自然に触れる心掛けをしようと思いました。
昔から観葉植物は好きで部屋にいくつか置いてたりするのですが、ついにオフィスの机にもガジュマルの木を置いてみました。パソコンの画面にうんざりしたとき、目にするとかわいくて癒やされます。

みなさんも一度、"自然"という恵みに触れ、その素晴らしいさを再確認してみてはいかがでしょうか? 
テクノロジーに悩まされる現代人におすすめの一冊です。Kindle版もあるのでぜひ。

だが身体を動かし、戸外の空気を吸うだけのことなら、だれにでもできるはずだ              ──ウォルト・ホイットマン

NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

  • 作者: フローレンス・ウィリアムズ,栗木さつき,森嶋マリ
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2017/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

『ゲイ・カルチャーの未来へ』田亀源五郎さん最新作の感想

【若いLGBTに読んでほしい本】

ゲイゲートの巨匠として世界的に有名な田亀源五郎さん。
ゲイ文化に関して自身のキャリアを振り返りつつ、現代のゲイ文化に言及した『ゲイ・カルチャーの未来へ』という本を先日出版されたので、さっそく、読んでみました。

様々な優れた作品を出し続け、ゲイカルチャーを動かす田亀源五郎さん本人だからこそ語れるような濃いトークがどんどん出てきます。
その洞察の鋭さに、何度も「うん、うん。」と唸りながら読み切ってしまいました。

 内容は決して同性愛者 だけに向けたものではなく、ストレートの方にも強くおすすめできるものとなっております。軽くレビュー・書評を書いてみたいと思います。

【「弟の夫」裏話も】

この本は、木津毅さんという方と田亀さんとのインタビューをまとめ、それを本にまとめられたという形をとっています。

田亀源五郎さんの半生や創作の源、エロティシズムの探求、欧米と日本社会の比較など、幅広いトピックについて知ることができます。

もちろん、2017年の7月に第4巻が出て完結したゲイ漫画『弟の夫』もその例外ではありません。

 この田亀源五郎さん、エロティックなゲイアートのみならず、ゲイを描いた初の「ヘテロ向けゲイ漫画」である『弟の夫』を描いたことで話題になりました。
ちなみにこの『弟の夫』は第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した名作。
『弟の夫』については下記の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひ。

※追記(2017.12.8)NHKプレミアムでなんと実写ドラマ化されるとのこと。原作もぜひチェックしてみてください。

上記の『弟の夫』をつくるにあたり、田亀さんはこう考えていたそうです。

そういう意味では、非当事者に何をどうアピールできるか、ということが社会を変えられる鍵になるんだろうなと思っていました。 
『ゲイ・カルチャーの未来へ』 P.26より

ゲイやLGBTだけをターゲットにしても、せいぜい総人口の3%~7%程度。

いかにゲイ的な視点をストレートの方に伝えられるか、そこが重要なのかもしれません。

また、下記のように自分の作品に対するスタンスをはっきり示しているところがさすが。

もし私の作品を読んで「これが入っていない」と思うのだったら、「自分で描いてください」と言うしかないですね。 P48

僕が書くこのねじまきブログでも同様のことがいえます。
この「世界のねじを巻くブログ」は基本的にゲイの視点から語った内容になっており、他のLGBTQAは置いてけぼりになってしまいがち、というのは否めません。

なるべく多くの当事者が何かしらの形で"表現"してほしいな、というのが僕の思いです。

他にも、とうの昔からオープンリーな田亀さんのカミングアウト論もこの本の見どころのひとつ。
ゲイカルチャーの未来へ 田亀源五郎

ちなみに田亀さんの英語表記は
Gengorou Tagame ではなく Gengoroh Tagame のようです。

【LGBTブームで終わってしまわないように】

 また、LGBTブームを流行で終わらせてしまわないためには、当事者が声をあげていくしかない、と田亀さんは語ります。

たしかにまだまだ変わっていないことは多いですけれども、変わるチャンスはある。ただ、良くも悪くもその鍵を握っているのは当事者でしかないなと考えています。『ゲイ・カルチャーの未来へ』 P198

上にも書いたように、やはりこのままでは日本は変わりません。
多少うさんくさがられようと、何かしらの形で意志を表明しないと、社会は動かないという意見には僕も同意です。

 

他にも、日本でLGBT運動が起こりづらい要因として、田亀さんはこう語ります。

台湾の場合は、反中国というのをプッシュしているところがあるように思えるんです。それはたとえば、ウクライナが反ロシア的な形でEUに寄りたいからLGBTの権利運動が進んでいるというのと似ています。
そう考えると、日本は逆張りをするような相手がとくにいない気がするので、そういう意味では、推進力に欠けるのかもしれません。  
P.203より

なるほど、ただ単に権利向上だけを訴える動きだけでは不十分であり、社会的・政治的にLGBT権利運動を動かす別の要因が必要ということでしょうか。

そうすると、やはり日本にとっては海外からの視線が気になる2020年の東京オリンピックが大きなマイルストーンになるはず。
逆にいえば、このタイミングを逃すと同性婚などといった議論は影を潜め、"過ぎ去ったブーム"となってしまうのかもしれませんね。

 

また、「あとがき」でフジテレビの"保毛尾田保毛男騒動"についても言及されていたのも興味深かったです。

それを見ながら、そういったゲイ表象が世に出てしまう原因として、ひとつには悪意の有無に関わらず存在する偏見という問題があるが、もう一方では、それに意義を申し立てることができるような可視化された当事者が、仕事の現場にいないという問題もあるのではないか、とも思った。 P238より

他にも、色んなアーティストの映画・小説・絵について述べられているので、ゲイカルチャーを学びたいゲイの方は必読の一冊といえるでしょう。

【異性愛者の方もぜひ】

同性愛やLGBTだけでなく、ノンケ・ストレートの方にもぜひ読んで欲しい本。
田亀さんの創作の原動力から何かを得られるはずです。
僕自身何かを生み出せている訳ではないのですが、もっと"何かを表現する"という行為に目を向けていきたいな、と心動かされた本でした。
こういう本こそ、リアル書店では買いにくいので、Kindle版も出るといいですね。※12/9に大阪でたがめげんごろうさん本人のトークショーが開催されるようです。

ゲイ・カルチャーの未来へ (ele-king books)

ゲイ・カルチャーの未来へ (ele-king books)

ワインソムリエの嗅覚の鍛え方:『言葉にして伝える技術』

【嗅覚の鍛え方】

 みなさんは普段、嗅覚を意識して使えているでしょうか?
他の五感である視覚や聴覚と比べて、おろそかにしてしまっている人も多いはず。

今日はそんな方に向けて、ワインソムリエの田崎真也さんという方がが教える、「嗅覚を言葉にして伝える技術」を紹介したいと思います。

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

【言語化する大切さ】

 この本で何度も語られるのは、「五感を言葉に表す」ということの大切さ

五感で受け止めた感覚は、潜在的な記憶にとどまることがあっても、それだけでは、自由自在に引き出せる記憶にはなっていません。
いつでも思い出し、より明確に呼び起こすためには、言葉が必要なのです。P4

 やはり感じるだけでは自分のライブラリに蓄えることはできません。
ブログでもそうですね。実際に文章にしてみて初めて、深く理解できることは多々あります。

もう一つ、「嗅覚」の本質を捉えるために書かれていたのが、「常套句を使わない」ということ。

味わいを表現する時には、表現する語彙も大事ですが、
その前に持つべきは、先入観ではなく、自分自身のモノサシだと思います。 P48

 味や香りに関するボキャブラリーなんて知れたものですが、自分なりの表現を広げていきたいと思いました。

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 嗅覚の鍛え方も非常に印象的でした。

そのような場所で、もし花や緑を見つけたら、すぐに近くに寄って香りを嗅ぐのではなく、まずは遠巻きに香りを意識することがトレーニングになります。
そして次ぐに近くに寄って、あらためて花の香りを嗅いでみるということを習慣づけると、しだいに嗅覚のセンサーが鋭くなっていくと思います。 P187
なるほど、遠巻きにみて香りを嗅ごうとするのが大切なんですね。
 
五感の鍛え方について、

・紋切り型の表現や先入観を捨てること
・五感で感じたことをそれぞれの言葉に置き換えていくこと
・言葉を増やし、分類して言語化し、記憶すること
・相手や状況に合わせて、より受け取りやすい、適切な表現を選ぶこと
・基本は、ポジティブなものの見方に立って表現すること

などが挙げられていました。
10月の目標のひとつとして「五感を鍛える」をあげていましたが、「言葉にする」ということはおろそかにしがちでした。
しっかり五感で情報をキャッチして、より深く自分の五感に触れていくようにしたいと思います。

【鼻が弱い方にも】

ワインソムリエが書いた本ですが、難しいことばなしに、「嗅覚」という五感につきわかりやすく優れた本でした。
「日常生活で匂いは意識していないなあ」というや鼻に自信のない方にもぜひおすすめです。

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

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