世界のねじを巻くブログ

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2021年に心揺さぶられたKindle本10選

電子書籍振り返りin令和三年

令和3年に読んだ"おすすめのKindle本"。
年末恒例のブログ記事、だいぶ遅れましたが軽くまとめてみようかと。
(今年読んだ本なので、2021年発売の本ばかりではないです)

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ざっと印象に残った十冊をジャンル問わず紹介していきます。

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪! ? / トレバー・ノア

以前ポッドキャストでコラボした海外コメディラジオさんのおかげで知った、
スタンダップコメディアンのトレバーノアの自伝。

白人と黒人の両親に生まれ、生まれたこと自体が罪という
壮絶な人生体験。

普通、子供というものは両親の愛の証だけど、僕の場合は両親の犯罪行為の証だった。オヤジといっしょにいられるのは家の中だけ。家を出たら、オヤジは僕たちとは通りの反対側を歩かなければならなかった。

南アフリカが舞台で、スラムのなかでトレバーがもがく様子が描かれます。

アパルトヘイ、犬を買って取り返す話、バイクから飛び降りる話、
黒人と猫の話などなど。

あと、かあちゃんが偉大すぎて・・・。

ネルソン・マンデラに対する見方もなるほど、そうなるのか、という発見があったり。

ブラジルのスラムを描いた映画『シティー・オブ・ゴッド』なんかが好きな方はおすすめ。

わんぱくトレバーノア少年の壮絶な自伝、
モンティパイソンの
「Always Look on the Bright Side of Life」を地で行く、
この図太さは見習いたいですよね・・・。

「The Daily Show」の司会者といえばわかる方がいるかも。

 

クララとお日様 / カズオイシグロ

ノーベル文学賞受賞後の長編として、かなり注目度も高かった『クララとお日様』。

「AIロボット×宗教」というテーマはカズオイシグロさんにしかできない芸当でした。

"ちょっと不穏なトイストーリー"という感じではじまり、
あの独特の不気味さを引きずったまま、話は進んでいきますが、
クララのひたむきさや子供たちの健気さに心打たれたりも。
大人の怖さや社会の分断、心とはなにか?など幅広く、かつ自然に読者へ問い描いかけをしていて物語としてさすがの出来でした。

「感情がないって、ときにはすばらしいことだと思う。あなたがうらやましいわ」  わたしはしばらく考え、「わたしにも感情があると思います」と言いました。
「多くを観察するほど、感情も多くなります」

カズオ・イシグロさんもノーベル文学賞を気負わずに
のびのびと書いておられるようでそこも良かったな。

それでも、個人的には
『日の名残り』『わたしを離さないで』の衝撃には敵わなかったというのが正直なところ。

読後感として、クララがひたむきに突き進むところをどう捉えるかで、
物語のとらえ方が大きく変わってきそうな本だなと思いました。

ちなみに現在進行形で『恋するアダム / イアン・マキューアン』を読んでるのですが、
2021年に出版された、英作家のAIに関する本、ということで
比較しながら読むとめちゃくちゃおもしろいです。
また恋するアダムの感想もまとめようかと。

 

フライデーブラック / ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー

#Blacklivesmatterに関心がある方なら、絶対に読んで欲しい一冊。
話ごとに世界観は違うものの、
どれも人種というひとつのテーマが貫かれているので、
読後感もかなり刺さるものがありました。

SF的な世界観をユーモアまじりに書いていく短編集。
若い著者なのにほんとにすごい。

リアリティーと虚構の混ぜ方のバランスが絶妙でした。

おすすめの短編は、

「フィンケルスティーン5」「フライデー・ブラック」「小売業界で生きる秘訣」あたりですかね。

実際に子どもが殺されてこの世界から消えるよりも、俺が一日に一千万回でも二千万回でもゲームの中で殺される方がマシだ。

ジョージ・フロイド事件の警官、22年懲役の判決が出たそうで、
とりあえずは、というところ。

決して"重い"だけの本ではないので、あらゆる日陰者に読んで欲しい一冊。
ゲイとしても、こういうユーモアをもちあわせていたいものです。トレバーノアの自伝もそうですが、
数年前に流行った洋書の日本語版を2,3年後に読むことが多くなってきたような・・・。

 

 

ムーン・パレス / ポール・オースター

ポッドキャストのコラボ回でも話した、
Paul Austerの代表作『ムーンパレス』。

学生の頃から読もうとして、何十年越しにようやく読めました。
読書会的な感じはひさしぶりだったので、
なかなか印象に残った一冊でしたね。

それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。そのころ僕はまだひどく若かったが、未来というものが自分にあるとは思えなかった。僕は危険な生き方をしてみたかった。とことん行けるところまで自分を追いつめていって、行きついた先で何が起きるか見てみたかった。

音楽・映画・本・名所など、旅小説としても読める一冊なので、
アメリカン・カルチャーが好きな方はぜひ。

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ポールオースターの作品、もっと読んでいきたい。
次は『ガラスの街』あたりかな。

 

うたのしくみ 増補完全版 / 細馬宏通

ユーミンから岡村靖幸まで「どうしてあの歌が心に響くのか」という
「うた」のエッセンスをひも解く一冊。

やわらかいタイトルで、書かれている言葉もかみ砕かれてわかりやすいですが、
その分析はすごいの一言。

冒頭のユーミンの「やさしさに包まれたなら」の解説を少し。

ユーミンはこの部分に「さ」に先立つ「S」の音をさあっと忍ばせているのです。

そもそも、サ行の音には、他の行にはない独特の力があります。日本語の音の多くは、子音と母音が1セットになった「モーラ」という単位でできていますが、「さしすせそ」の音では、このモーラの、子音部分を強調しながら、しかもいくらでも引き延ばすことができます。

うたをたしなむ人なら読んで損はないかと。

ほかに良かった音楽本をあげておくと、

名盤レコーディングから読み解くロックのウラ教科書も録音やマイクロフォンに焦点を当てた本としてマニアックでしたが、
ポッドキャスト配信者としては、かなり楽しめました。

レコーディングの裏側を知りたい方にはほんとおすすめ。

 

ちょっとでもAbleton Live!に興味があるなら『サウンドプロダクション入門』は
ほんっとにおすすめ。
(制作側の専門的なことが多いので、音楽家かDTMerじゃないとちょっと厳しいかも)

またブログで紹介しようと思います。

 

批評の教室 / 北村紗衣

はてなブロガーの本ということで、
一冊あげておこうと思ったのが、
北村紗衣さんの
批評の教室──チョウのように読み、ハチのように書く (ちくま新書)』。

批評の教室、全体的に作品への愛が伝わってくるのがいいなぁと。

身も蓋もない話になりますが、批評をする時は自分の性的な嗜好や趣味をきちんと理解しましょう。これは批評する側のバイアスを認識するという問題にかかわることです。

基本的に作品は世に出た瞬間、作者の手を離れるものだと考えてください。異なった文化的背景を持ついろいろな受け手が作品を受容し、違う解釈を作り出すところに批評の醍醐味があります。

実際の批評を批評家同志でコメントしあう部分も興味深かったです。

sakibouさん、実はポッドキャスト(というかTBSラジオ)のアフター6ジャンクションにも
何度も出演されてたりもします。

(オープンレターうんぬんはあんまり追えてないのでノーコメントで。)

 

はてなブログ関連でいくと、
2020年はyomoyomoさんの『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて: 続・情報共有の未来』、

2021年は他にも
フミコフミオさんの『神・文章術』、
柴那典さんの『平成のヒット曲』と意外と出てるしなんだかんだ読んだなぁ、
という印象。

文章や切り口が面白いブロガーさんはたくさんいるので、
KADOKAWAとのコラボなどで書籍化してほしいなと思いました。

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カトマンズでLSDを一服 / 植草甚一

あの時代のドラッグカルチャーを日本語で記録している
という意味ではかなり貴重な一冊。

ハシーシやメスカリンが効きだしたときのように、しぜんと 目 ぶたがふさがる。すると音楽が目に見えてきた。一つの音が明りで書いたようになり、キラキラと雑色になって飛び散る。

無限に大きい万華鏡のまんなかにいるようだし、ある音が、ほかの音よりも強く、ぼくのなかで反響し、それが後頭部や胃のあたりをシビれさせ、打楽器の音が強烈な電気ショックのように全身を飛びあげるようにするのだった。

中島らもさんの『アマニタ・パンセリナ』あたりが好きな方はぜひ。
漫画『ウルトラヘブン』も実は今年読んだのですが、
これもなかなかブッ飛んでました笑

古本でも手に入りにくい本が電子書籍化されるのは、ほんとありがたいですね。

 

 

Futureproof / Kevin Roose

キンドルらしく(?) 洋書を一冊いれておくと、

「AI時代をどう生きるか」という未来予測のようなものも含めたビジネス書。
ニューヨークタイムズTech記事に寄稿しているKevin Rooseという方が書いた一冊。

実はPodcast経由で知ったのですが、サクッと読めて内容もわかりやすかったです。

『Futureproof: 9 Rules for Humans in the Age of Automation』というタイトルの通り、
9つのルールでまとめられているので、ビジネス書を英語で読みたいという方にもいいかも。

そのうち「フューチャープルーフ」日本語版も出るんじゃないかな、と。

簡単にまとめると、

「サプライズ・コミュニティー・希少性」 がキーワード。

機械にできない驚きを、
ソーシャルで人とのつながりを大切に、
組み合わせで自分の希少性を高めよ、

・・・的な内容でした。

要するに、効率性だけを求めることや、
テクノロジー的なスキルだけはだめ、ということ。

AI化されるものの実例だったり、そうでないものだったり
なかなか興味深かったです。

 

ボルヘス怪奇奇譚集 / ホルヘ・ボルヘス

いままでラテンアメリカの小説って『アルケミスト』ぐらいしか読んでなかったのですが、
短篇小説を皮切りに、ラテンアメリカの小説を読むようになりました。

Kindleで出版されているのはあまり多くなく、
ボルヘスが世界の怪奇談や伝承・説話をあつめた一冊をあげておきます。

マトリックスにも出てくる有名「荘子の夢」が出てきたりもします。

荘子の夢  荘子は 蝶 になった夢を見た。そして目がさめると、自分が蝶になった夢を見た人間なのか、人間になった夢を見た蝶なのか、わからなくなっていた。 ハーバート・アレン・ジャイルズ『荘子』(一八八九)

民俗学が好きな方や、
夏目漱石の『夢十夜』が好きな方におすすめです。
寝る前にさらっといくつか読むにもぴったりの一冊。

ラテンアメリカ文学にいまさらハマるというあれなんですが、
コルタサルやマルケスあたりもどんどん電子書籍化してほしいな~と。

 

三体シリーズ / 劉慈欣

いれようか迷ったのですが、一応。
日本語訳も完結したので2021年話題になりました。

最終巻の三部は風呂敷を広げすぎで、
個人的には『三体Ⅱ』のほうが好みでした。

いま、人々は学んだ。終わりのない宴はない。あらゆるものに、かならず終わりがある。

日本に対する描写がステレオタイプすぎるところや(日本刀や茶道)、
ルーブル美術館やエドガー・アラン・ポーなどありきたり(?)な引用が、
物語のスケールと比較してうーん、と思ったりもしたのですが、
全体としてやっぱりおもしろかったです。

1部については、VR・メタバース的な視点でみても楽しめるので、
この小説が2008年から書かれたというのはほんとに驚きのひとこと。

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決して日本のSF小説も負けているとは思わない
ので、
世界の目がアジアに向いている間に、
日本もガンガンアピールしていってほしいな~と。
(※音楽もドラマも同じことを思う一年でした)

三体

三体

Amazon

 

 

おいしさの錯覚 / チャールズ・スペンス

なんだかんだ毎年でフード・グルメ系の本を選んでいるので、2021年もチョイス。

『おいしさの錯覚 「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』

五感のみならず、心理的な部分に興味があるなら必読の一冊。

結局のところ、中立な環境や背景など存在しない。環境だけでなく皿の形や料理の名前、あるいはカトラリーなどのすべてが食体験に影響することをガストロフィジクスが証明しつつある。

 

面白い事例として、スイスにあるデニス・マーティンのモダニストレストランの話も興味深かったです。

食事客がテーブルについても、すぐには給仕を始めない。すると、テーブルに置かれている置物がスイス流の塩の容器や胡椒挽きなのだろうかと不思議に思った客たちが、牛を手に取る。底面を見ようとして傾けると、その置物は悲しげな「モー」という音を出すのだ。驚いた客の多くは笑いはじめる。あっという間に、ダイニングルームは牛の「モーモー」という合唱で満たされ、笑顔が広がる。

人々の気分が明るくなったところで、コース料理の一品目がキッチンから出てくる*2。結局のところ、私たちの気分が、食事体験を左右するもっとも重要な要素と言える。だから、人々の気分をよくすることに力を入れるべきなのである。

嗅覚・触覚の部分が特に面白く、ぜひ読んで欲しい一冊。
フードポルノは罠ですね・・・・。

表紙が淡白なのであまり期待してなかった本だったのですが、、
(ちょっと冗長な部分はありましたけど)
食という概念を揺さぶられ、かなり楽しめた一冊でした。

Kindle Unlimited読み放題対応なのでおすすめです。

料理系でいくとほかにも、
若者シェフが世界各地で奮闘する『アマゾンの料理人』も
Saku Yanagawaさんとかぶる部分があるような気がしたりで面白かったです。

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ほかにKindleで読んだ話題作でいうと、

本屋大賞を受賞した、ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』
詩集を読むきっかけになったので、そういう意味では思い出深い一冊。
沼地や自然の描写は美しく、世界観ごと頭にのこる一冊でした。

ですが、恋愛小説的なところが思ったより多く、
個人的な好みでいうとど真ん中ではなかったので、今回10冊には入れず。

2022年はドストエフスキー生誕200周年ということで、
『カラマーゾフの兄弟』に挑もうと思ってます。

 

2021年は、Kindle Unlimitedの同時に利用できる本の上限が
10冊から20冊になったので、
いろんな電子書籍に目移りしてばっかりの一年でした。

ほかにもお気に入りのキンドル本があれば、コメントで教えて頂けると幸いです。

みなさんも良い読書ライフを。

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『平成のヒット曲/柴那典』を読んだ感想と僕の平成ソングス

美空ひばりから米津玄師まで

柴那典さんの著作『平成のヒット曲』をKindleで読みました。

平成元年である1989年のヒット曲「川の流れのように」に始まって、
2018年の「Lemon / 米津玄師」まで、THE平成な曲が
時代背景と共に紹介されている一冊。
さっそく軽く感想を書いてみたいと思います。

(柴那典さんといえば、POPLIFE THE PODCASTにも出演されていて御馴染みの方。
実は、はてなブロガーだったりもします)

shiba710.hateblo.jp

感想・レビュー

この本は三部構成になっていて、

「ミリオンセラーの時代」「スタンダードソングの時代」「ソーシャルの時代」
という区分に分けられています。

昭和が香る平成一年の一曲目、
選曲は美空ひばりの「川の流れのように」。誰もが納得の名曲。

「柔」ってそんなに売れてたんだ・・・。という驚きがあったり、
秋元康のエピソードもよかったです。

 

ちびまる子ちゃんの「おどるポンポコリン / B.B.クィーンズ」が入っているのも◎
僕の生前の話でなんとなくでしか分からなかった「ビーイング系」という言葉にもしっかり解説があって助かりました。

 

「EZ DO DANCE / trf」ひさびさに聞いたけど、なかなか攻めてる一曲だし、
制作側の意図も知るとやっぱすげーなと。

 

ミスチルは安定のイノセントワールド
いろんな章にプロデューサーの小林武さんの名前が出てて流石だな、と。

 

「強い気持ち・強い愛 / 小沢健二」はあんまり実感なかったかな?というのが正直なところで、無難に『LIFE』の曲が一般的には”ヒット曲”にふさわしい気がしました。

 

奥田民生の「イージュー★ライダー」の項目の「カウンターとしての脱力」はまさにそうだな、と。お気に入りの一章です。

 

安室奈美恵のバックグラウンドはあまりよく知らなかったのでこういうのを知れるのがディスクガイド的な本の良さですよね。

 

・・・・と全部書くとネタバレっぽくなるのでこの辺で。

 

ほか印象に残ったことを箇条書きで。

・ハナミズキってカラオケでそんなに歌われている実感はなかったけどなんか納得。
・着うたの流れでいくと個人的に「キセキ / GreeeeN」ではないような気がした
・レディーガガの章で『Pray For Japan』に触れられていたのも個人的に◎
・嵐は無難に「A・RA・SHI」な印象だけど年代的にそうなるよね、という。
・割合的に沖縄系の系譜が意外と強いんだなぁ思わされました。

 

そのアーティストのことを知らなかったしても
しっかり楽しめる書かれ方をしていた点が良かったです。

 

個人的な平成ソングス

ねじまき自身の平成時代における個人的な記憶を振り返り、
「入れてほしかったなぁ」という曲として

 

「LOVEマシーン / モーニング娘。」

「BUMP OF CHICKEN / 天体観測」

「アゲハ蝶 / ポルノグラフィティ」

「上海ハニー / ORANGE RANGE」

「ばらの花 / くるり」

「夏祭り / Whiteberry」

「木村カエラ / リルラ リルハ」

「Dreamland / BENNIE K」

「Lovers Again /  EXILE」

あたりが挙げられるかな~

(バンプオブチキンの天体観測は絶対入ってると思ってました)
改めて振り返ると、やっぱりドラマやCMで思い出される曲が多いですね~

いろいろ聞き返していると、「スイミー」とか「深い森」でノスタルジアが溢れてきました。

 

平成31年については4月30日までしかないせいか掲載なし。
ということで2019年のヒットチャートを振り返ると、

「香水 / 瑛人」か「白日 / King Gnu」「宿命 / Official 髭男dism」辺りになるのかな?

millennium paradeにも繫がりもあるので個人的にはキングヌーを推したいところ。

 

 

令和時代のヒット曲はどうなるか?

BandcampやTiktok、Soundcloud、Mixcloud、Youtube、メタバースなど、
音楽を発表する場も増え続ける一方。

リスナーとしてもフォローするのが大変になってきたせいで、
一点集中しにくい時代になってきた(柴さん的に言うと”ヒットの崩壊”)時代だと思います。

これからの時代は、
・メタバース
・プレイリスト
・ポッドキャスト
・NFT
・脱欧米

あたりがキーワードになるんじゃないかなぁと思ったり。
自分だけの音楽を探す楽しみが増えたはいいことかな、と思ってます。

「音楽の未来に関する12の予測」を読んで印象に残ったこと - 音の壁ラジオ


最後に柴那典さんのブログより引用。

が、ポイントはアルゴリズムと人間との相互作用のフィードバックループが起きることにある。たとえば、最初はそのユーザー自身と嗜好や指向に基づいて判断していた「お気に入り」に、アルゴリズムによってもたらされたザイオンス効果(単純接触効果)が発火する。たとえば、ハッシュタグに乗っかってミームに参加することで感情の焦点が変化する。一人ひとりの行動がデータとして食われることで可視化されたトレンドが提示され、それによって行動が変容する。「口コミ」とは全く別の力学が「ミーム」として人を突き動かす。 どうやら、オンラインの世界ではすでに非科学的な領域に属することが物事を動かしているようだ。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」とアーサー・C・クラークは言っていたけれど、それは僕が子供の頃に思い描いていたSF的な未来とは全く別の形で具現化している。

ミームは呪術、アルゴリズムは魔術 - 日々の音色とことば

 

アルゴリズムと、それに反発する人間の選曲、

令和時代もまったく読めないですが、
日本の音楽も海外勢に負けずに生き残ることを願うばかり。

数十年後になるであろう(?)『令和のヒット曲』楽しみにしてます。

Spotifyプレイリストにこの本で紹介されている曲を年代別にまとめてみたのでぜひ。

平成のヒット曲 / 柴那典 - playlist | Spotify

 

 

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『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』を読んだ感想

青砥瑞人さんの脳科学本

 今回紹介するのは、脳科学者の青砥瑞人さんが書かれた
『ブレインドリブン』という本。

タイトルを見ると「胡散臭いビジネス書か」と思う方もいるかもしれませんが、
わりと科学的な根拠に基づいて誠実に書かれている本だったように思います。

はてなブログのお題がモチベーションに関するものだったので、
軽く気になった部分をまとめてみました。

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感想・レビュー

 この本はどちらかというと最後の章の「クリエイティビティ」に重点を置いた一作
なのですが、
今回はブログのお題にしたがって「モチベーション」に関する部分のみを紹介します。

 

たとえば私の場合、ボトムアップ系の欠乏状態をトップダウン系に生かす方法として、大好きなコーヒーを利用する。
大好きなコーヒーが目の前にあるのに、見るだけで飲まない。
『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは / 青砥瑞人』 
位置: 464

 

そこでたとえば、まずはお昼休み直前にお腹が空いた状態を認識したら、これはチャンスと考え、残り 10 分間だけでも集中してみるなどはいかがだろうか。
位置: 482

 

これ、よく言われることですがお菓子とか用意しても
普通に我慢できずに食べてしまうことが多いので、
しっかり我慢してモチベーションを高めた状態で作業してからありつこうと思います。 

 

実際に見聞きしたり、脳内でそのお気に入りの言葉をつぶやいたり、映像を頭に思い描いたりすることで、あなたのモチベーションは高まっていくだろう。
位置: 492


例えば僕は、
映画の主人公が解決の糸口を見つけるシーンとかは大好きで、
たまに作業に詰まったときなどにみることがあります。

 

・アランチューリングがドイツ軍の暗号機"エニグマ"を解読するシーン

『イミテーション・ゲーム』より

 

 

 

・老人コーチが反撃するシーン
『ミリオンダラー・ベイビー』より

www.youtube.com

 

ロッキーのランニングシーンとかもベタですが最高ですよね。

 

自分の好きな文章・映画のシーン・音楽・絵などを普段から
目の見える状態にしておくのはほんとおすすめです。

 

 

新しい学びへのモチベーションは、普段からどれだけ新しいものと触れ合っているかが重要なポイントになる。
位置: 699

 

普段から、いかに新しいものに触れているか、ということ。
結局いつもの心がけと積み重ねが大切なんでしょうね。

 

 

モチベーションが高まっている状態の自分の内側の反応に気づき、味わい、そしてある時、その高まりを思い返すことは、モチベーションを高めやすい脳の状態にするトレーニングとしては欠かせない。
位置: 926

 

だからこそ、 意識的に良いところを見ていくのは、重要なトレーニングになる。 これを「いいとこセンサー」と名づけたい。普段使いづらい脳機能を、意識的に使うことで、脳は育まれていく。
位置: 954

 

具体的には単に自己の体験した出来事やファクトの記憶だけでなく、そのときどきの感情も記憶として保持しておく必要がある
位置: 1,037

うまくいった思い出だけでなく、
その時の感情をしっかり覚えておく必要があるそうです。 

なので個人的に毎日の日記は必須なのでは?と思いました。

 

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よく言われる"自分ごと化"とは、

「自分の脳内にある過去のエピソード記憶、感情記憶、価値記憶を振り返り、目の前にあるモノ・コトと関連づける作業」
位置: ,378

だそうです。

・・・あまり深く考えたことがなかったですが、なるほど。

 

重要なのは「Neurons that fire together wire together*」の原則に基づき、
「挑戦したときの記憶」と「そこから得たものの記憶」を脳で同時に再現することだ。
位置: 1,486


うまくいったことを思い出す、というのはありがちですが、
上記を同時に頭の中で再現、というのは意識したことがなかったかも。

これは今後試してみたいなと思いました。

 

この本からはちょっと外れますが、

モチベーションを上げるため個人的にしていたのは、 

  • 好きな音楽を聞いて気分をアゲる
  • できることからはじめる
  • その作業から得られる"メリット"だけに意識を向ける
  • スマホの電源をオフにする
  • うまくいったときの記録・思い出を記録する/振り返る

・・・ありきたりですが、こんな感じですかね。

 

なんとかブログのお題に沿った内容になったでしょうか。

ざっくりな感想ですがこの辺で終わりたいと思います。

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Kindle Unlimitedの読み放題で対象なので、
興味のある方はぜひ。 

BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

  • 作者:青砥瑞人
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: Kindle版
 

今週のお題「やる気が出ない」

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『クララとお日さま』カズオイシグロの最新作を読んだ感想

新刊が発売

カズオイシグロさんの最新作『クララとお日さま』が早川書房より
2021年3月2日に発売されます。

(※後半にネタバレありのレビューを追記しました)

 ノーベル文学賞受賞後初めての長編出版
ということでイギリス・日本のみならず海外でも注目が集まってます。
(※『忘れられた巨人』はノーベル賞前に英語版が発売してたので)

今回僕が特に気になっている理由として、
AIの少女が主人公 ということ。

カズオイシグロがこの時代に書く人工知能、
どういう話が展開されるのかかなり注目してます。

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ちなみにこの『クララとおひさま』、
すでに映画化も決定しているようです。

 

あらすじ・ストーリーは映画.com.によるとこんな感じ。

2021年3月に刊行予定の原作は、並外れた観察眼を持つ「人工フレンド(Artificial Friend)」のクララが主人公。人工知能(AI)を搭載したロボットであるクララは、店を訪れる客や通りを歩く人々を眺めながら、いつか誰かが自分を購入してくれると期待していた。ついに、クララはある少女の家族と住むことになるが、実は一家には秘密があったというストーリーだ。

カズオ・イシグロの新刊小説「クララとお日さま」が映画化 主人公はAIの少女 : 映画ニュース - 映画.com

 

AIの人工フレンドが主人公というのは、いままでになかったですよね。
SF小説好きの方でもおそらく楽しめる内容になるんじゃないかと。

カズオイシグロさんの小説は一人称のものがほとんどなのですが、
今回もお得意の感じで話が進むはず。

 

あと気になるのが一家の秘密とはなんなのかということ。

お日様、というタイトルから
夜しか活動できない主人公を描いた『タイヨウのうた』を
ふと思い浮かんだのですが、
さすがに安直かな・・・と思ったり笑

でも太陽がキーワードになるのは間違いないかと。

 

名前がクララ、ということで
おそらく舞台は日本ではなく海外のお話し。
(※追記:海外インタビューによるとアメリカが舞台とのこと。英国ではなくあえて米国なのは何か理由があるはず。)

評価の高い「日の名残り」や「わたしを離さないで」と
同じ外国での話なのでこれは期待できますね・・。

 

個人的に気になるのは

「記憶」や「信頼できない語り手」のギミックが使われるかというところ。

 

AIが主人公とはいえども、
「わたしを離さないで」のように
SF・テクノロジー臭さは前面に出ない内容になるかと思ってます。

448ページということで、
まあまあのボリュームですね。「わたしを~」とほぼ同じぐらいの長さ。

登場人物もあまり多くなさそうなのにこの長さとなると、結構な急展開があるのかも。

  

…話は逸れますが、
実は正月にカズオイシグロさんの出身地である長崎旅行に行ってきました。
その影響もあって、個人的にカズオイシグロ熱が再燃。

せっかくなので
BBC SoundsでKazuo Ishiguroさんのインタビューを一通り聞いたりもしてました。

 

するとBBCのインタビューで、

人工知能をテーマにした小説の構想を2017年の段階で軽く語っていてびっくり。

・・・ということで少なくとも足掛け5年かけて小説を練っていたのかなと。

 

・人間であるということはどういうことか

・伝統的にいう「魂(soul)」とは何か?

・機械と動物の違いは?

ということに触れて、

 

人工知能は私たちの生活や人間関係を覗くレンズとなる
ということも語っておられました。

 

初めてインタビューをまともに聞きましたが、
すごく誠実な方なのが伝わってくる話し方。

 ときたまユーモアを挟んで場を和ませるのも
さすが英国紳士です。

 

クララとお日様、いまからほんとに楽しみですね~
児童文学っぽい表紙カバーも素敵。子供の視点で世界を見る感じになるのかな?

 

あと、もちろん日本語訳者は土屋政雄さん。

この方、もともとはIBM製品などコンピューターマニュアルを日本語訳する仕事をされていたそうなので、AI関連の語彙もばっちり訳してくれそう。
エンジニアやプログラマーの方にももしかすると刺さる物語になっているかも。

 

海外でもKazuo Ishiguro「Klara and the Sun」というタイトルで世界同時販売されるそうなので、原文のEnglishで読みたい方はそちらでも。

イギリス本国ではコロナウイルスの影響でロックダウンが厳しく、
家で本を読む方も増えているそうで、考察も盛り上がるんじゃないかと。
またブログで感想・レビューを書いてみたいと思います。


・・・ちなみに時差の関係でどうやら日本が最速発売だそうです。

Amazon Kindleの電子書籍版も同時発売なのでぜひ。

クララとお日さま

クララとお日さま

 

 

ネタバレありのレビュー・感想

ここからネタバレありの軽い感想的なものを。

・今作も相変わらず「記憶」のギミックをうまく使いこなすKazuo Ishiguroさん。
・ホームレスはただ寝てただけなのに、AIだから死んで生き返ったと勘違いしてたり、AIだから勘違いする間違いやずれをうまく生かした物語だった。

・物語の裏になにかが潜んでいるけど、しばらく読者には明かされないスタイルは今作も引き継いでる

・随所で"トイストーリーっぽさ"を感じた

・クララの純粋さがこの物語の救い

・「わたしを離さないで」に共通するテーマもあるので、まずは「私を~」から読むべきかも?

・そもそもAIロボットが太陽信仰してるところが微笑ましい

・後半の元同期AFに似た孤独な女性は誰? (誰か教えて・・)

・滝に行く途中の牛の描写の意図がいまいち読み取れなかった(誰か教えて・・)

・AIにもあそこまで感情(があるように思える)たっぷりに動くと、倫理的な問題がやっぱりたくさん出てきてしまいそう。クララに無礼よ、と怒るお母さんのシーンとか。

・ロボットの世界にも人間の世界にも"格差"があって、いくら技術が発達してもそこは根強い問題なんだなぁと。

・3章・4章あたりで話が急展開。独特の残酷さが滲み出てきます

・「人工知能は私たちの生活や人間関係を覗くレンズとなる」結局この言葉を徹底したような作品だった

 

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キンドルおすすめ本 in令和二年

令和2年に読んだおすすめのKindle本をまとめてみました。
毎年恒例のブログ記事、読書好きの方は読んでみてください。

Kindle本を買い漁る人だけにわかる"電子書籍あるある" - 世界のねじを巻くブログ

まずは旅行に関する本から。

弱いつながり 検索ワードを探す旅 / 東浩紀

弱いつながり 検索ワードを探す旅 (幻冬舎文庫)

弱いつながり 検索ワードを探す旅 (幻冬舎文庫)

  • 作者:東浩紀
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: Kindle版

コロナ禍で旅行ができない中、
改めて"旅行をする"とはどういうことなのか
僕なりにいろいろ考えた一年でした。

そんな中見つけたのがこの一冊。

とはいえ、ぼくたちはもうネットから離れられない。だとすれば、その統制から逸脱する方法はただひとつ。  
グーグルが予測できない言葉で検索することです。 
位置27 (Kindleでのページ位置)

 観光を「検索ワードを増やす」ためのもの、という考え方は僕にとって斬新でした。

だから勧めたいのは、第三の 観光客タイプ の生き方です。  村人であることを忘れずに、自分の世界を拡げるノイズとして旅を利用すること。旅に過剰な期待をせず( 自分探しはしない!)、自分の検索ワードを拡げる経験として、クールに付き合うこと。 位置360 


偶然性に身を曝し、普段の日常では出会えないものとの
"弱いつながり"をつくっていく。

 それが旅の本質なのかもしれません。

あ、旅関連本でいえば『WIRED(ワイアード)VOL.38』 の特集も良かったです。

 

アフターコロナの旅行業界を予想してみる - 世界のねじを巻くブログ 

 

あの素晴らしき七年 / エトガル・ケレット

 TANさんとポットキャスト収録した際に教えて頂いた、
イスラエルの作家によるエッセイ。

…そんなことしても時間と金の無駄だよ。あと二ヵ月で町全体がすっかり消滅させられてしまうなら、修理したって意味ないだろ?」

位置903 

何気ない会話からも、
市民のみんなが"戦争とのつきあい方"
知っていることが伺いしれます。

ユーモアのすぐ隣には、戦争の影が落ちていて
笑っていいのか迷う場面もあるほど。

シニカルな著者の視点にはたくさん学ぶものがあったかと。

イスラエル文学はあまり読んだことがないので、
他の著作も読んでいきたいと思います。

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』も寝る前に読んでますが、
これまた良い感じなのでまた別の機会に紹介する予定です。

やる気あり美のTANさんと超・雑談回 Part1 | 世界のねじを巻くラジオ

 

生活の発見 / ローマン・クルツナリック

生活の発見

生活の発見

 愛、家族、仕事、時間、お金、感覚、旅、自然、死生観など、
あらゆる視点から人の生活を見つめなおす一冊。

以前ポッドキャストでも少しだけ話したことがありますが、
歴史を振り返りつつ、そこから何を学ぶのか、
そんな示唆に富んだ一冊です、

バラは近代まで見た目ではなく主に香りを楽しむために育てられていたという話や、
中世において、墓場は子供の遊び場だった、とか興味深い事実がたくさんちりばめられてます。
宗教についての一文も印象に残りました。

結局、親が子供に受け継がせるものとしては、
政治的意見やスポーツの興味、食習慣などより、
宗教上の信念のほうがはるかに成功しているのだ。 位置4408 

・・・確かに。 

特に「死」について書かれたパートは、
コロナ禍にこそ読む価値があったかと。

「開けた場で率直に死について語る」ということが、
現代には必要なのではないか、という作者の主張にもただうなずくばかりでした。

死が身近ではない現代人に、
急に降りかかってきたコロナウイルス。

なんとか生き延びて今後の教訓にしたいところですね。

 

キス・キス / ロアルド・ダール

キス・キス

キス・キス

以前から短編小説を書きたいと思っているので、
古典的な短篇の名手、ロアルド・ダールの短編を読んでみました。

『チャーリーのチョコレート工場』でおなじみの著者。

『あたなに似た人』は何度も読んだけど、
こっちはまだ読んでなかったのでようやく読めた。

ブラックユーモアが好きな方にはおすすめ、
話のオチがだいたい黒いという笑

 おすすめは「天国への登り道」「牧師のたのしみ」あたりかなぁ・・。 

「これからどうなるの?」という読者の
意識を操るテクニックを学べた気がします。

短編小説を書くうんぬんを抜きにしてコロナ禍は重くて長い話を読むのよりも、
短編を読むことがすごく増えた気がしますね。

 

紙の動物園 / ケン・リュウ

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

もう一つおすすめの短編集を紹介。

日本でも数年前話題になった中国SFの短編集『紙の動物園』です。

2018年にほとんど読んでいたのですが、
最後の1編を読む前になぜかキンドル端末から消してしまったので、
最近読み終えてないことに気づきようやく読了。

ときどき、紙の動物たちは、困った事態に陥った。
一度、水牛が夕食時にテーブルの上の醤油皿に飛びこんだことがあった(本物の水牛のように、ぬた場で転げまわるのが好きなのだ) 
位置62  

やっぱり表題作の「紙の動物園」、他には「結縄」「良い狩りを」
辺りは、中国の深い歴史の蓄積があるからこそ書けたもので

古の技術と未来の技術と結びつき、
独特な味わいを出すのが個人的にはグッと惹かれました。

未来になっても、
ピラミッドの下層部はいい扱いを受けてないのがなんだかな・・と思ったり。
 

中国SFめちゃめちゃ熱いです。
テッドチャンの『息吹』もよかったですが、
ギミックが濃くおすすめしづらいので『紙の動物園』の方が
入りやすいかと。

いまさらですが、
最近ようやく話題の『三体』に取り掛かりました。

来年春には第三巻も発売されるとのことなので、
流行りに乗り遅れず読み通したいと思います。 

 

クックズ・ツアー / アンソニー・ボーデイン

クックズ・ツアー

クックズ・ツアー

料理系の本、なんだかんだで毎年リストに入れてる気がします。

この本は有名シェフが世界中の料理を食べまわる様子を記録した本

料理や味の描写はもちろん、
シェフの悪態、レストラン業界の裏側なども知れたりするのが興味深いです。
 

個人的にはエディンバラで
スコットランド料理である「ハギス」を食べるシーンやビールを飲むシーン
印象に残りました。

この世でビールを飲むのに完璧な場所があるとしたらここがそれだ。
通りの角に建つ目立たないパブで、小さな看板にスモークガラスの窓。
通りから中は見えない。ドアを開けるとそこは時代物の小さなバーで、
すりきれた木の床、ビールとエールの手動式のサーバーがあり、数人の中年男がパイント・グラスを手にバーテンダーとおしゃべりしている。 
位置5391 

 この本に刺激されて、
普段は作らないボツワナ料理やレンズマメのスープを作ったりも。

 旅行ができないなか、こうしたグルメ系の紀行文を読むと、
どこかに現実逃避できるのでおすすめです。


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ラジオのこちら側で / ピーター・バラカン

ラジオのこちら側で (岩波新書)

ラジオのこちら側で (岩波新書)

 

ピーターバラカンさんの自伝。

 イギリスからやってきた若いバラカンさんが、
日本のレコード会社やラジオ局で奮闘する様子が書かれています。

 毎章の終わりにプレイリストが組まれていて、
どの曲も非常に良かったです。 

アメリカやイギリスのラジオ業界・歴史についても知ることができ、
Podcastの今後を考える上でも非常に参考になった一冊でした。
YMOとの絡みを知れるのも良かった。

 日本のラジオDJにはあまり見られない、
「選曲のポリシーはあいかわらず"自分がいいと思う音楽"ということだけ」
というしっかりした姿勢を持ったバラカンさん。

文章が知識だとすると、ラジオは情熱ですよね、たぶん。

ゲストと二人で交互に曲をかけあう、
”レディオ・ピンポン”、やってみたいですね。

2021年には、ちょっと新しい企画を考えてたりします。(お楽しみに) 

 

もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて: 続・情報共有の未来 / yomoyomo

Tech系の話題が好きな方は必読の一冊。

ブログやSF、ポッドキャストやVR、プライバシー、仮想通貨、IoTなど、
ありとあらゆるテクノロジー関連の未来について深く考察されています。

はてなブログも更新されているyomoyomoさんが執筆されている著作が
Kindleでも配信されると聞いてさっそく読んでみました。

古い記事をまとめたものなのですが

オキュラスクエストにおける性差別問題や、
プライバシー関連の話、ブログに込める思いなど、
どのトピックも読ませる内容になってます。

ねじまきブログは、
テック系の話が好きな読者の方、リスナーの方が多い気がするので、
またブログかポッドキャストで振り返ってみたいと思います。

ちょくちょくデビッド・ボウイやジョニ・ミッチェルなどロックネタを絡めておられるのも個人的にツボだったり。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』最新版公開&Kindle版公開!- YAMDAS現更新履歴

 

ネットビジネス進化論 / 尾原和啓

ネットビジネス進化論 何が「成功」をもたらすのか

ネットビジネス進化論 何が「成功」をもたらすのか

  • 作者:尾原和啓
  • 発売日: 2020/06/27
  • メディア: Kindle版

なんだか自己啓発本っぽい感じのタイトルですが、
書かれているのはすごくまっとうな内容です。

ヤフオクやメルカリがトップを取った経緯や、
アマゾンが「本」からスタートした理由
あまり知らなかった中国テック業界の動向についても知れることができたのも◎。 

日本で中国や東南アジアのようなすべてを統括するスーパーアプリができなかった理由として、

ざっくりいえば、日本はいまとなっては中途半端に「便利」な社会になっていた、というのが大きいと思います。
位置786

という考察にはなるほど、と驚かされました。

 

PaypayやLine Payなどの ”なんたらPay”は
手数料を取ることがメインの目的ではなく、

支払いの苦悩から解放し、
従来なら「こんなのは商売にならない」とあきらめていたような小さなことでも、
ビジネスとして成り立つようになること、

というのは目から鱗でした。

ITビジネスに関わる方、ぜひ読んでみてください。 
 

ゲーム音楽史 スーパーマリオとドラクエを始点とするゲーム・ミュージックの歴史 / 岩崎祐之助

「制限の中、いかにより良い音楽を生み出すか」

ゲーム音楽一曲一曲が、
プロジェクトX並みのドラマが作れそうな苦労をしてるのを知れる一冊。

マリオ・ドラクエから始まり、
スーファミやメガドライブ、PS2まで、
ゲーム音楽とハードの進化の歴史を学ぶことができます。

個人的には結構いい本だったな、と思ったのですが、
Amazonではあまり評価がよろしくないようです。。

けっこうマニアックで専門的・コアな話題が続くので、
昔からのゲーマーや、作曲に興味のある方に読んでほしい一冊。  

『ゲーム音楽ディスクガイド1・2』もあわせて読む/聴く、と
ゲームミュージックの世界の深さに驚かされることでしょう。

幻覚剤は役に立つのか / マイケル・ポーラン

ドラッグは人にいかなる影響を与えるのか。
雑誌WIREDの"トリップ特集"でも大きく特集されてました。

僕は昔からドラッグカルチャーに興味があるので、 
この一冊にはまさにブッとばされました。

LSDからマジックマッシュルームまで、
実際の被験者のことばをたくさん聞けるのも非常に興味深かったです。

幻覚剤がもたらす意識変化を学術界主流派がなぜここまで恐れるのか、という重要な問いの答えがここにはある」グリフィスと初めて会ったとき、彼は言った。「これまでだって、重大な神秘体験から生まれた数多くの権威が、既存のヒエラルキー構造を揺さぶる脅威となってきたからね」

位置1050 

 

 ...でもこの経験のおかげで、植物とつながり、それを使う人々ともつながっていると思えるようになりました。儀式で使うのであれ、幻覚剤として使うのであれ、サラダとして食べるのであれ」
位置1193 

物質主義の限界を超えるには、
なにかしらこういった想像力を爆発させる刺激が必要なのかもしれません。

ちょっとお高い一冊ですが、
まさに「意識が変わる」一冊であることを保証します。

サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~を観た感想【Netflix】- 世界のねじを巻くブログ

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電子書籍で読めます

長くなりましたが、Kindle端末で読めるオススメ本10冊を振り返ってみました。

こうして電子書籍10冊を振り返ってみると、
なんだかんだ新型コロナウイルスに影響を受けているようないないような。

現実から離れることを目的とした内容の本ばかりをチョイスしたのは
おそらくそういうことなのかと笑。

お堅い/重ための本はやっぱり紙の本として買うことが多いので、
こういうラインナップになったのかもしれません。

紹介した本にはKindle Unlimited読み放題対象の本もいくつかあるので、
ぜひチェックしてみてください。
(楽天Koboでも買えるものもあります)

ほかにも「この本良かったよ!」というおすすめのキンドル本がある方は、
気軽にコメント頂ければ幸いです。

お題「#買って良かった2020

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Mr.Children 道標の歌/小貫信昭 の本を読んだ感想

【ミスチル本】

ミスチルの音楽論を語る一冊『Mr.Children 道標の歌/小貫信昭』

なんだかんだミスチルのみを語る音楽本はあまりないので、
貴重な一冊。

さっそく読んでみたので、書評的なものを書いてみたいと思います。

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感想・レビュー

ざっくりと印象に残った部分をまとめてみました。

 

・初期の名曲「Replay」について

いきなり聴こえるサビの歌詞には現在の二人の気持ちが描かれていて、
そこからAメロ・Bメロで時間を遡って〝リプレイ〟していくという仕組みがある曲とのこと。
言われてみれば確かにそうで、初期からこんなひねった曲作るのはすごいな、
と素直に驚きました。

初期からCROSS ROADでヒットするまで

デビューからミリオンまでの苦労を書く前半部分だけでも十分に元が取れるぐらい
素敵です。

そこから「Inoccent World」までの流れも最高。 

 

・インスパイアされた洋楽が紹介されている

有名なシンディローパーからの刺激や、
その他桜井和寿さんが影響された洋楽がエピソードとともに紹介されてます。

 個人的に嬉しかったのが、
U2に関する言及が多かったこと。 

洋楽アーティストの中でも一番多かったのではないでしょうか?

桜井和寿さん自身、U2の「Like A Song」を聞いて衝撃を受けた、
的なことを言ってた気がしますし。

U2初心者におすすめのアルバム5選 - 世界のねじを巻くブログ@世界一周

 ほかにもブルース・スプリングスティーンも何度も登場してましたね。

 

・小林武史のプロデュース

あとなによりプロデューサーの小林武史さんについてもバッチリかかれていること。

初期のあたりの面倒見の良さはさすがに

U2もブライアンイーノやダニエルラノワとタッグを組んできたのと同じく、
ミスチルもコバタケさんがいなかったなら存在しなかったバンド。

 そこ関連のエピソードもめちゃ楽しめます。

 

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・曲作りの過程

メロディーから歌詞まで、

どうやってこの曲が出来上がったか」という部分についても
けっこうな文章を割いて書かれているので、
作曲家やDTMerの方はすごく刺激をもらえるのではないでしょうか?

日本を代表する桜井さんといえども、
あらゆることをメモしてストックしているのは意外でした。

DAWはPro Toolsを使っているらしいです。

 

・制作スタジオについて

収録したスタジオの様子・背景なども書かれていて、
「へぇ~」と感心しながら読んでました。

特に烏龍舎設立の
海外スタジオから貴重なアナログ機材を受け継いだというエピソード
初めて知りました。

新作『SOUNDTRACKS』の制作の様子もちょっと書かれているので、
ニューアルバム発売前に読みたいですね。

 

 

 「みちしるべというタイトル通り、
ミスチル初心者にも歴史がわかりやすく書かれていて、

不満点としては、

DISCOVERYのアルバム関連の話が飛ばされてる感じがした点。
「終わりなき旅」の誕生日秘話に話を割かれすぎてる印象を受けました。

個人的に一番好きなアルバムなので、 サッと通り過ぎたのはちょっと寂しかったかな。

(もちろんそれも良かったのですが!)

 

公式が認めるミスチル本って、
『es』『優しい詩』ぐらい?なので、
けっこう本作は貴重な存在かと。

Kindle版もおすすめ

最新アルバム『SOUNDTRACKS』の発売も控えている
ミスターチルドレン。

昔からの往年のファンなら読んで損しない内容になってます。

電子書籍のキンドル版でも読めるので、
ミスチルファンの方はぜひチェックしてみてください。 

Mr.Children 道標の歌

Mr.Children 道標の歌

  • 作者:小貫 信昭
  • 発売日: 2020/11/19
  • メディア: 単行本

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Kindleセールのたびにモヤモヤすること【Amazon】

【キンドルとアマゾンアプリ】

 現在アマゾンのキンドルストアにて、
Kindle本ストア8周年キャンペーン」が行われています。


が、キンドルのセールがあるたびに毎回モヤモヤすることがあります。

 

Androidのアプリ版だと、
セール本の一覧表示が
1ページあたり14冊しか表示されない

ので、セール対象の本を探すのが非常にめんどくさい仕様になってまs。


f:id:popmusik3141:20201028223713j:image

 

ざっと探して「次へ→」、
次のページでスクロールして「次へ→」

を繰り返さないと本を見れないというアプリの仕様。


ページ数も199ページとかあったりもするので、
結局諦めて途中で離脱してしまいます。

Android版だとこんな感じですが
iPhone版もこんなUIなんでしょうか?


「ほかにも名作がお得に買えるのに・・・」と思うと、
ちょっと残念な気分になります。

 

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本の表示冊数が多くなると、
読み込みが遅くなる、 などのデメリットが出るのはわかりますが、

さすがに1画面に14冊は少なすぎます。。 。

 

これ一刻も早くなおしたほうが、
ユーザーはもちろん、アマゾンのためにもなる思うのですがいかがでしょうか? 

離脱率すごく高そうなので、もったいないと思います。

 

最後に、今回のポイント還元セール対象の
お気に入りの本&購入した本をいくつか貼っておきます。

 

 ロシア料理をめぐる紀行文のようなもの。
ポッドキャストでも一度触れたことがあったような。
おうち時間にちょっとでも旅した気分になりましょう。

旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

  • 作者:米原 万里
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版

 

 アート好きの方ならぜひ。

モダン (文春文庫)

モダン (文春文庫)

  • 作者:原田 マハ
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: Kindle版

 

「鬼滅の刃」で話題の大正時代のマタギの話。
男色うんぬんもあったりするので同志の方はぜひ。

邂逅(かいこう)の森

邂逅(かいこう)の森

  • 作者:熊谷 達也
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版
 

 

 村上春樹の短編もお得。

パン屋再襲撃 (文春文庫)

パン屋再襲撃 (文春文庫)

  • 作者:村上春樹
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: Kindle版

 

 世界の美術館の旅を楽しめます。

CREA Traveller 2019 Winter NO.56[雑誌]

CREA Traveller 2019 Winter NO.56[雑誌]

  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Kindle版

 

これ前から読みたかったやつ、
料理に関する名作短編アンソロジーです。

 

 ほかにもオススメのセール対象本があれば、
コメントなどで教えていただければ幸いです。 

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メタファー(笑)が分からなくても楽しめる村上春樹の短編小説5選

【初めての方におすすめの作品】

ひさびさの短編小説集『一人称単数』を発売する村上春樹さん。

けっこうどれもひと癖あるので、
心理学や、文学、音楽などいろんな知識がないと楽しめない面もあります。

 

また、村上春樹の作品は
過去作とリンクしているような小説も少なくないので、
初心者の方にはおすすめできないものがあるのも正直なところ。

 

今回は 
「メタファーって何?」
とハルキワールドがわからない読者に向けて、
おすすめの短編小説を5つほど紹介したいと思います。

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【短篇ベスト5】

単純にストーリーで楽しめる短編小説を、
ベストオブハルキ的な短編集である

『象の消滅』と『めくらやなぎと眠る女』より
5つほど紹介します。

 

まずは短編小説のなかでも特に短いこの作品から。

最近、ホラーブームが再燃しているような気がします。

この「鏡」という短編は7ページほどの超短編なのですが、
ハルキ的な”怪談”として読めたりします。

 

あらすじは
「主人公が職員室の夜の見回りでの奇妙な思い出を語る」
というお話。

深読みするもよし、
怖い話として読むのもあり。 

鏡を見ないで髭が剃れるようになるには結構時間がかかるんだぜ、
本当の話。 『めくらやなぎと眠る女』 P96より

と締めるのはなんともムラカミっぽい終わり方ですね。 

 

沈黙

村上春樹の作品の中でもかなり男臭い部類に入る、
ボクシングに関するストーリー

 

 

 

男勝りな文体で有名なヘミングウェイも、ボクシングをやっていたことで有名であり、
あのコナン・ドイルもボクシング小説を書いていたので、
 アメリカ小説の影響を受け、この短編を書いたのだと思います。 

 

人を殴ったことがあるか?」という主人公のの問いから
この物語は始まります。


人間的に信用できない一人の生徒との確執を描いた作品。

"大沢さん"のことばが珍しく強めにかかれており、
村上春樹さんも力を込めて書いているように思います。

 

ラストの大沢さんの長いセリフは、
今のSNS社会にも響くものがあり、必読かと。

 

・学生の頃いじめられた経験のある方、
・どうしても許せない奴がいる方

に読んでもらいたい一篇です。

かなり異色の作品かと。

 

四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

英語の教科書にも載るほど有名な作品。
有名どころかつ短いので選んでみました。

 

あらすじとしては、

主人公の「僕」には、
50メートルも先からも、
彼女が100パーセントの女の子であることがちゃんとわかっていた。

それにもかかわらず、声をかけずに見送ってしまったという話。

まあそれだけといえばそれだけなんですが、
不思議な世界観のせいか、余韻を感じさせます。

 
解釈は人それぞれだと思いますが、

タイミングを逃すと、
運命は大きく変わってしまうぜ的な話でしょうか。

 

学生時代のうちに読んでおきたい一篇かも。 
今回紹介する中では、
"世間が想像するハルキ像"に最も近い話だと思います。

 

この短編が気に入った方は、
「窓」という作品も気に入るはず。

 

 

中国行きのスロウ・ボート

 学生時代に出会った三人の中国人に関する思い出を中心に
ストーリーが進んでいきます。

”友よ、中国はあまりに遠い。”

という締めくくりは、
今の時代の日中関係にも
当てはまることなのではないでしょうか。


「午後の芝生」や「パン屋再襲撃」と並ぶ、
初期の短編を代表する作品です。

  

 

偶然の旅人

最後に、ゲイとしては外せないお気に入りの作品。

ピアノの調律師であるゲイ男性の主人公の生活を描いた話。
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 ジャズやLGBTに関心のある方にぜひ読んでほしい作品。

最後は江國 香織さんの作品的な終わり方をします。

 

【一人称単数もぜひ】

村上春樹さんは知名度が高すぎて、
いわゆる"読書家"からは不評な作家さんだったりしますが、
 

良くも悪くも世界中の評価を受けている方。
あえて避けるのはどうなのかな、と個人的には思います。

 

新作の短編小説集『一人称単数』には、
「品川猿は語る」という
おそらく短編「品川猿」と関連しているであろう
小説が収録されるということで、楽しみにしてます。

気になった方は、
初期短編集の『象の消滅』から読んでみては。

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2005/03/31
  • メディア: 単行本

リニケルというブラジルのLGBTシンガーの名曲紹介

【Liniker:ブラジル音楽】

ブラジル音楽にハマってます。
ぱっと連想するようなサンバやボサノバだけではない、ラテン音楽のメッカ。
南米一の音楽大国という名に負けず、あらゆるジャンルの音楽が洗練されてます。

最近は特にLGBTQ界隈のミュージシャン、アーティストの動きが盛んで、
ジャンルの垣根を超えたような全く新しい音楽を聴けることもしばしば。

今回紹介するのは、

リニケル率いる、
リニケル&オス・カラメロウズ (liniker e os caramelows)というバンドやソロの音楽。

まずはYoutubeの映像を。

 

ライブ映像もCD以上のクオリティ。
「Remonta」

レモンタという曲ですが、
展開も面白く、日本ではなかなか聞けないような音楽。

 

ルックスも、男性・女性という区別を取っ払ったような容姿。

胸は大きく、口紅を塗り、
体格はたくましい。 

・・・声は完全に男性的な感じですね。

 

 「Zero」

 こんなセクシーな音楽もできます。
バンドの演奏やコーラスもピッタリはまってて◎。

 しっとりしたラテン音楽って情熱的で最高ですよね。

 

ボーカルの表現ってまだまだ追及できそうだな、と改めて思わされました。
ミュージシャンらしいミュージシャンというか。


こんな感じで
ポルトガル語が少しでもできたらな~と思いつつ、
ほとんどわからないままブラジル音楽をいろいろ聞き漁ってます。
最近のブラジル音楽めちゃすごいですよ。

 

リニケールはLGBTシンガーで、
僕自身がゲイということもあり、
こういうポップカルチャーの盛り上がりを見ると非常に元気づけられたり。

 

個人的に一番好きな曲を最後に載せておきます。

「De Ontem」

  

Não Adianta - Acorda Amor

Não Adianta - Acorda Amor

  • 発売日: 2020/01/21
  • メディア: MP3 ダウンロード


日本だと氷川きよしさんがこれに近かったり?
こんな感じでLGBTQシーンが活気づくといいのにね。

 
カリスマ・シンガー、
リニケル率いるリニケル&オス・カラメロウズ (liniker e os caramelows)。
気になった方はSpotifyなどで聞いてみてはいかがでしょうか。

いまから新作アルバムが楽しみです。

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ポッドキャストやってます。
世界一周旅行や音楽・映画、ゲイライフについて熱く語る番組。

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日本でポッドキャストやオーディオブックが流行らない理由?

Podcastが不人気な理由

はてなブックマークで話題の下記noteについて思うことをだらだらと書きます。

note.com

一部を抜粋。

日本にしばらくいて感じるのが、日常的(恒常的)にけっこううるさい音声が流れてても気にならない鈍感さ。

本当にそうでしょうか??
"うるさい音声が流れてる"のは決して日本だけじゃないはず。

個人的な考えを書くと、日本人は文化的に

真剣に聞くのと、
聞き流しするのとの "使い分け"が苦手

なんじゃないかな、と思ったり。

"流し聞き"に関してはほとんどが音楽に奪われているので、
声を聴く文化があまりないのも原因かと。

 

あと日本語の文法的に、
"聴く"より"読む" 方が適しているのもかなり大きいですね。

SVOがきれいに出てくる英語と比べ、
主語を省略できたりする日本語は流し聞きに向かないというか。

 
これだけじゃ終われないので、
下記にそれぞれが流行らない理由の考察を軽く書いてみました。

オーディオブックの不人気

オーディオブックが流行らない理由としては、
単純に日本語コンテンツが少なすぎることがあげられるかと。

 

例えばみんなが知っているわかりやすい例として、
村上春樹さんのオーディオブックを見てみましょう。

アマゾンジャパンで検索するとまず出てくるのは、
ロング・グッドバイ』。

ハルキ翻訳のレイモンド・チャンドラーの名作です。

うーん。
・・・まず検索一番目の候補に出てくるのが本人の著作でないという。

 

2、3番目は村上春樹さんの本なのですが、
どちらもEnglish版。

この時点で
「音で聴こうかな?」と思う日本人は相当削られるわけです。

 

しかもなんとも物悲しいのが、
英語では相当数の著作が音声化されているのに、
日本語コンテンツはなんとゼロ。

そもそも日本を代表する作家で、
かつ人気も間違いなくあるはず。

なのにそれが配信されていないんじゃあ厳しいでしょ、という状況。
(これは日本の電子書籍業界にも言えるのだけど)

 

しかもこの『ロング・グットバイ』、
サンプルを聞くと、かなりクセのある気障な声優さんが読み上げてます。

個人的に想像している主人公のイメージと声が違うし、
これで一冊分聞こうとは思えなかったです…
(※いい声だとは思うのですが、オーディオブックで聴くには情報量が多すぎる。。)


なるべく多くの人に聞いてもらえるよう、
癖のない声優さんを選ぶべきではないでしょうか?

 

ちょっと話は脱線しますが、
冒頭に載せたnoteに対する反論エントリ。

一部抜粋。(中身読んであげてください。)

結論を言うと日本語にはアクセントがほとんどないから。

個人的には、
オーディオブックは
演技やアクセントを極力抑えて読み上げてほしい派なので、
この意見は個人的に納得できませんでした。 (僕だけの意見かもしれませんが)

 あまりアクセントを強くつけられると、聞き辛いですし、
英語版のオーディオブックでさえも、どちらかというと淡々としたものが多いような。

 

値段・価格もそう。
村上春樹の英語音声版『1Q84』を見てみると、

上中下とボリュームが大きいのはわかるけど、

一冊4900円って高すぎないですか?

 

という感じで、
英語圏で山のようなライブラリーに安くアクセスできるのと比べると、
日本語版はかなりに貧弱。

 

日本語で吹き込み直さないといけないハードルは
やはりそうとう大きいのかな~と。

 

出版社のガードが固いのか、
ただ動きが遅いのか、
あえてそういう戦略をとっているのか。

どれが原因かはわかりませんが、
まず聞いてもらえるコンテンツを揃えてほしいな」と僕は思います。

 

audiobook.jpさんがサブスクサービスも含め頑張ってるので、
今後の発展に期待してます。

  

あと欧米では自己啓発系オーディオブックも人気があるけど、

日本だと「意識高い系」と揶揄され胡散臭がられるので
残念ながらあまり伸びなさそうなイメージ。

 

視力が落ちてきて文字で読むのがつらい、という団塊世代を狙って、
山崎豊子さんや司馬遼太郎さんの著作を音声化してみてはどうでしょうか?

 

それとも時間がない若者に向けて、短編小説を細切れに配信するとか。

 

「Scridb」の日本語版ような神サービスがあれば、日本でも流行るでしょう。

 

 ポッドキャスト

Podcastについては、
ただ単に知名度がなさすぎるだけで、

"無料で好きなジャンルのトークを聞ける"
というのが広まればあっという間に人気になるはず
(願望含め)

   

ブラジルなんかは騒音やアナウンスも騒がしいのに、
ポッドキャスト市場はなかなか大きいみたいだし。(ラテン語圏というのも大きいけど)

ドイツでは「個人で出来るジャーナリズム」的な流行りをしているらしくて。


日本には語るべきニッチで深いコンテンツが山ほどあるので、
各々に特化した番組があれば流行ると僕は確信してます。 

 

コンテンツ不足はポッドキャストに関してもいえることで、
日本語の配信者がもっと増えなければ"流行"とまで言えるには程遠いかもしれません。

最近はスマホアプリだけで配信できるようになったので、
音声配信に興味のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか? 

www.nejimakiblog.com

 

ノイズキャンセリング機能付きのAirPodsやソニーのイヤホンも普及し
騒音の中でもしっかり声を聞けるようになったので、

みんなもっとオーディオブックやポッドキャスト聞こうぜ!

 というブログ記事でした。

 

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